【リスクの駆け引き】CL Round 16 1st Leg チェルシー vs リール

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はじめに

皆さん、どうも。今回はチャンピオンズリーグラウンド16の1stレグ、チェルシー×リールについてを考えていきます。

フランス王者vs欧州王者というなんともチャンピオンズリーグらしい対戦となり、いよいよ欧州サッカーも佳境に差し掛かったなと感じる対戦カードです。チェルシーはシーズン当初と比べるとチームが重く、本調子とは言えない状態、一方のリールは主力を冬の移籍マーケットで引き抜かれてしまいました。

お互いに苦しい状態での一戦となったので、手堅い試合になると思われましたが、リールのハイプレスによってかなりスリリングな展開になりました。

そしてそのプレスを剥がすことでチェルシーはホームでまずは勝利を手にすることに成功しました。では今回はリールのプレッシングとチェルシーのプレス回避を中心にマッチレビューを行っていきます!

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ハイリターンのプレス

リールはハイプレスを行っていくことで、チェルシーの組み立てに制限をかけてショートカウンターを考えていた。特にSTを低い位置でヘルプを行わせることで、リールはチェルシー陣内奥深くで引っ掛けて攻撃に出ていた印象だ。当然、ひっくり返されるとピンチを招くことになるのだが、リールはそのリスクよりも「ハイリターン」でリスクを覆い隠すことを考えた。

試合の立ち上がりこそピンチを招いて失点もしてしまったが、そのプレスはかなりの効力を得ていた。

ではリールはどのようにしてプレスを行っていたのだろうか。

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プレスの基本担当
CFはシウバとGkに向かっていき、ボールサイドSHがCB、逆SHはCHまで絞り込む。
だからSHがCBにもCHにも対応できる立ち位置をまずは取っていた。
さらにSBはWBまで出ていくことでWBも押し下げる目的があるように映った。
CHはヘルプを行うSTをマンツーマン。

このように中盤のところでまずは数的優位、STのところはCHでマンツーマンを行うことでボールを引き取ったSTに満足なプレー時間を与えないように守備を行っていた。だからまず誘導する場所は外側のCBになる。

ここに誘導する途中ですでにSBはWBまで出ていたので、かなり前から嵌め込んでいく意識は強かったと思う。これで以下の場所でボールを回収していく。

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チェルシー陣内で場所を狭くする

このように、チェルシー陣内で後ろ向きの選手を作り出すことでミスを誘発させて回収していく。後ろ向きの選手⇨前向きの選手を作り出すことが上手なチェルシーに対して、前向きな選手のところにもマーカーをしっかりと付けているので、ボールを回収は安定していた印象だ。さらにミドルパスに対してはバックスがしっかりと素早くスライドしていたので、構えた場所から前向きに対応できるようになっていた。ボールサイドの選手が守備でアタックする速さも当然ながら、スライドの速さも見事だったと僕は感じた。

 

この守備に対してチェルシーはどのようにプレスを回避していたのだろうか。

 

レイオフ中心の回避

まずは前半の回避方法から考えていこう。チェルシーはレイオフ中心の回避を行っていくのだが、前半と後半のレイオフの場所と意味合いが少し変わっていた。

ではまずは前半の回避方法から考えていこう。

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STの個人能力で回避

まずはST vs CHのところで勝負を行い、ここで個人でプレスを回避する方法。この方法が前半は多く、だからこそ引っ掛けられるリスクが高いものとなっていた。だが、個人で回避するとかなり広大なスペースを得れるので、一気にスピードを上げて攻撃を仕掛けることができる。

そのポイントになっていたのがこの日CFに入ったハヴァーツだ。彼の動きを加えながらボールを引き取る動きは見事なもので、ルカクとはまた違ったポストプレーの方法だ。僕が思うに、今のチェルシーにはうご買いながらポイントを作る、もしくは引き取ることのできるCFの方が合っているのではないかと考えている。

この試合の6:28〜や14:35〜、35:34〜などはまさにそれで、ハヴァーツが浮いたポジションでボールを引き取ることで、いうまく速攻に移行することができていた。

STで回避してCFで時間を作る。この方法は主にアロンソ、プリシッチサイドで行われていて、リュディガー⇨プリシッチのパターンとリュディガー⇨アロンソ⇨プリシッチのパターンで、プリシッチがアンドレを剥がしてプレスを回避する方法が目立っていた。ではジエクサイドでは主にどのような方法で回避していたのだろうか。

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レイオフ中心の回避。

こちらのサイドはレイオフ中心の回避となる。このように左から右にボールを持っていたときにこの組み立てを行うことができていた。

左右に振った時に、リールのプレスの遅れを生じさせ、CBクリステンセンが持ち出す。こうすることで、WBアスピリクエタが高い位置に押し出される。それと同時にSTジエクが降りてきてボールをピックアップ。ここのWBの前方向のベクトルとSTの後ろのベクトルという逆のベクトルを利用することで、「プレスを単発」で終わらせる。そしてレイオフ先はカンテとなり、だから彼が前向きでボールを受けてそのままボールを持ち出す場面が多く見受けられた。

だがこれは、STジエクのところで潰されてしまうと、ひっくり返されてしまう選手が多く、少なからずリスクを孕んでいた。

そしてそのリスクとリターンの駆け引きに勝ったのが前半のリールで、だからチェルシーは後半から形を変えてレイオフの場所と意味合いを変えていく。

 

意味合いを変えた後半

前半はリスクを孕みながらも、そこを回避していくことでチャンスを生み出していこうと考えていたように見えたチェルシー。当然、常時リスクを取るという戦いはしないのだが、ある局面で「ここ!」というときには積極的にリスクを取ってその先の優位性を獲得・拡大していた印象だ。

ただ先ほども触れたように、前半はその駆け引きでリールに屈してしまった。だから後半から3−5−2に変えてレイオフの場所を変えた。これが上手く機能して安定感をもたらすことになる。

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中盤が嵌った状態からの回避
だが前半と違うのがWBに対して斜めを用意できていたことと横がなくなる代わりにライン手前に降りてヘルプを行うプレーが極端に減っていた。
これで押し込まれるポイントを隠すことに成功していた。

このようにチェルシーは3−5−2に変えたことで、プレッシングによって押し込まれることをまずは回避する。前半のようにSTを廃止することでライン手前まで降りてヘルプを行うプレーを隠すことに成功。

その代わりにリールの中盤とガッチリ当て嵌まることになるのだが、ここでチェルシーが考えたことは「1つ前での回避による安定感」だ。だから大外のWBにボールを届けたときに、斜めのサポートを作り出すために2トップに変更。これで動きは少なくなるが、安定してトライアングルを作り出すことが可能に。そしてそこからCF⇨IHでレイオフをすることで、IHがボールを持ち出して速攻に移行することができていた。

さらにIHが持ち出した時点で2トップが外側に広がりながらDFラインと駆け引きをできるようにもなっていたので、速攻の厚みと迫力も増した印象だ。

 

後半からは局面でのリスクの駆け引きを制した先のリターンではなく、低い位置で奪われるリスクを回避しながら、より安定感を得れる戦い方にシフトした印象だ。

だからこそレイオフが行われる場所が変わって、IHの持ち出しからの速攻が多く見受けれたのだろう。

 

フリーダムなレナトサンチェス

この試合で最も輝きを放っていたのはレナトサンチェスなのではないだろうか。少なくとも僕には彼のプレーに惹かれた。リールの攻撃を牽引し、チェルシーに対して問題を常に突きつけた。フリーダムに組み立てに絡みながら、テンポを変えるスルーパス。ときにドリブルで剥がして味方にスペースを与えていた。時間の作り方とその時間軸の変え方はロマンを感じるし、それを一人でやってしまうレナトサンチェスのプレーには感動を覚えた。若くしてバイエルンに引き抜かれ、ポルトガル代表でもユーロを制するゴールを決めた若き才能。彼はまだ24歳だ。末恐ろしい。癖の強い選手なのは間違いないが、再びキャリアを作りステップアップして、その才能を世界に轟かす日はそう遠くないのではないだろうか。

彼のプレーを見るだけでもこの試合を振り返る価値があると思わせてくれる試合だった。ぜひ皆さんも、この試合を振り返ってみてほしい。

 

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【ライン間の横断とライン跨ぎ】プレミアリーグ第26節 アーセナル vs ブレントフォード

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はじめに

皆さん、どうも。今回はプレミアリーグ第26節のアーセナル×ブレントフォードのマッチレビューを行っていきます。アーセナルは開幕戦で負けてしまったブレントフォードにリベンジを果たしました。当時とは調子もチームの練度も随分と違いましたが、ソレでもブレントフォードの人数をかけた守備とダイレクトなフットボールに少し苦戦した印象です。それでも後半から前に出てきたブレントフォードをひっくり返して2ゴールを奪って勝利を手にしました。

それでは早速この試合についてを考えていきましょう!

 

 

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蹴らせて回収したい?

まずはブレントフォードの守備について少し触れていこう。彼らは長身の選手が多く、空中戦の勝負は特に強い。だからこそ、回収する方法は「蹴らせて回収」のように僕には映った。

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中央経由の前進をまずは防ぐ
そのためにトーマスを2トップで消す。
中盤はしっかりと中央3レーンを埋めつつライン間を消す。
外側はWBに狙って対応を行わせる。
これでボールを持たせてロングパス、もしくはミドルパスを選択させて回収を行う。

このようにブレントフォードはCBにボールを持たせることを選択させる。ここでポイントになっていたのが下のパスでライン間に差し込まれないようにすることだ。だからこそ、中盤の距離はを縮めて特に中央3レーンを閉じた。またトーマス経由の展開をされてしまうと、左右に振られて遅れとずれが生じてしまうので、ここは2トップで対応を行っていた印象だ。これで降りるラカゼットにはCBが付いてける状態を作り出し、上のパスを跳ね返していくことで、アーセナルの攻撃を食い止め、特に前半はミドルブロックからローブロックを行き来することで、試合を「堅い」ものにし、強引に出てくるアーセナルをひっくり返して攻撃を完結させようと狙っていたのではないだろうか。

だから後半開始早々、前に出てきたことに個人的には少し驚いたが、失点してからの彼らのサッカーは積極的で、とても面白いものだった。だからこそ、後半はより動的な試合で、シンプルに楽しめるものになったと僕は感じた。

ではアーセナルは彼らの狙いをひっくり返す、もしくは躱すためにどのようにプレーをしていたのだろうか。

 

押し込むための横断とライン跨ぎ

ジャカとトーマスがコンビを組むと、大体4−3−3の形になるのがほとんどだ。ジャカが1つ前に上がりIHの立ち振る舞い、ウーデゴールも1つレーンを移動してIHの立ち振る舞いをする。

この方法を土台に、アーセナルはブレントフォードの2トップ脇をポイントにしつつ攻撃を組み立てていた。

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2トップ脇を取る菱形と崩しの菱形

このようにアーセナルはセドリックが内側に入ってくることで菱形を作り出す。さらに先ほども触れたジャカとウーデゴールの立ち位置によってもう1つ前でも菱形を作ることが可能になっていた。

そしてここから以下のようなローテーションをしながらライン間を横断しさらにラインを跨いでいくことで押し込んでいく。

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縦断が多いジャカ

このように右サイドは基本的にトライアングルを形成しているのだが、より動きがあるのが左サイド。左サイドのローテーションが多いのはジャカの存在だ。彼はブレントフォード中盤の手前と背後を行き来することで、周辺の選手の立ち位置が変わっていた。

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ジャカが背後に立つとき

このようにジャカが背後に立つ場合はティアニーを頂点にしてトライアングルを形成する。これで前方向に2つのパスコースを作りつつ、縦パスが入ったときに並行のサポートを作り出すことができる。

またジャカが手前に降りてきた場合は以下のようになる。

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手前に降りるジャカ

このように手前にジャカが降りてくると、当然ティアニーは幅を取りながらポジションを上げてスミスロウが内側でプレーを行う。これは昨季によく見られていたパターンで、今回もそれを踏襲している感じた。

これがラインを跨ぎながら組み立てを行っていく方法になる。これを繰り返すことで、ブレントフォードのマーカーを混乱させ、さらに中盤の選手を釣り出してう動かすことが可能になっていた。

これブレントフォードを動かしながら、アーセナルはトーマスを起点にライン間を横断して、ブレントフォードの中盤の脇を起点に崩しに移行していく。

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三角形から菱形の変形。
特に左サイドのトーマスのサポートはスムーズで早く、彼はライン間を横断するためのポイントになっていた。
これで逆サイドのウーデゴールにボールを渡すことで、サカとウーデゴールの攻撃センスを生かしてゴールに迫った。

全部が全部とは言わないが、頻度が多かったのは左サイド。こちらのサイドのトーマスのサポートはスムーズで早い印象を受けた。だからこそ、トライアングルから菱形になり、その頂点に入るトーマスがライン間横断のポイントになっていた。

上の図のように横パスを引き取る、レイオフを受ける形で逆サイドのウーデゴールにパスを届ける。ここで左サイドにブレントフォードを寄せているので、『中盤脇』で崩しの起点を作り出すことが可能になっていた。とりわけ、サカにスペースを与えることができるので、今の彼なら1vs1ならもちろん、1vs2でもなんとかしてしまう。さらにそこにはセドリックのランニングでのサポートとウーデゴールの動きとポジショニングでのサポートもある。

このようにして、アーセナルはブレントフォードを押し込むために、ローテーションを繰り返しながら、ラインを跨ぎ、そしてライン間を横断することで、押し込んだ状態で崩しの局面に移行していた。

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押し込んでからもローテーションを中心

そしてアーセナルは押し込んでからも当然のようにローテーションを行いながら、崩しを行っていた。特にジャカの攻撃センスはこんなに高かったか?と感じるほどだった。スムーズなポジションの取り方、最終局面一歩手前のパス、さらに壁になる動きも見事だったのではないだろうか。当然、斜めに切り裂くパスも健在だった。

結局は後半からブレントフォードが前に出てきたので、それを1つづつ丁寧に剥がしていくことで、ゴールに迫ってゴールを奪ったが、それが出来るようになっているのも開幕戦から比べると、見違えるチームになっている。

 

激化するCL圏内争い

シーズン当初の3連敗。一時は本当にどうなることかと思ったが、気が付けばCL圏内に手を掛けている。ライバルは多いが、それでも争っているマンチェスターユナイテッド、ウェストハム、トッテナムと比べると断然安定感はある。試合の消化数にはばらつきもあるが、なんとかして3位に位置するチェルシーも巻き込んで、熾烈なものにしたいのがアーセナルの本音だろう。ビッグロンドンダービーも控える中、来季こそは数シーズンぶりの欧州最高の舞台に舞い戻ることができるのか。カップ戦もなく、リーグ戦一本に集中できることも大きなメリットだろう。

若手中心の彼らがどこまで登っていくのか、これからもアーセナルも楽しみだ。

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【最大の武器で刺す】Premier League第26節 マンチェスター・シティ vs トッテナム

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はじめに

皆さん、どうも。今回はPremier League第26節のマンチェスターシティ×トッテナムのマッチレビューを行っていきます。チームの練度がどんどん上がっているシティ。彼らは今、最高の状態にあると言っても過言ではないと思います。そんなチームに立ち向かったコンテ・スパーズ。彼らは持ち合わせる最大の武器を手に、この試合も劇的な勝利を収めて見せました。コンテが就任してから劇的な試合が多過ぎな、トッテナム。

コンテが考えたのが確実にソンとケインという両刀を最大限に生かし切るロングカウンター。だからこそ、守備から試合に入り、保持されることを極端に許容しました。だからいくら押し込まれようと、トッテナムは能動的に守備をしているように僕には見えました。

それも関係して、シティの最終ラインはかなり高い位置まで上がっていました。これが多分狙いで、だからこそ、ロングカウンターを発動しそして完結まで持っていけたのではないでしょうか。

では今回はトッテナムがこの試合でどのようにしてプランを遂行していたのかを中心に考えていきます!最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

 

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侵入を徹底的に潰す

まずはトッテナムの守備から考えていこう。この試合でトッテナムが徹底して潰していた侵入がある。それが「下のパス」と「ドリブル」での侵入だ。これを消したのは確実に内⇨外の展開で動かされることを嫌ったからだろう。僕の印象だが、コンテが就任してから、トッテナムは横のスライドの回数が減り、さらにその距離も短くなっている印象を受ける。特にCHのその回数と距離だ。その代わりに縦の行き来はかなり増えていると思う。

だからこそ、この試合でもCHの縦の出入りが多かった。これがまず中央に下のパスとドリブルで侵入されることを防ぐ大きなポイントになっていた。

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トッテナムの守備
基本的にCBにボールを保持されることは許容。制限をかけるのは持ち出しに対して。
ケインはロドリ番が基本タスクで、STはまずは絞り込んでIHをマークできる立ち位置を取る。
これで5−4−1の形になるが、かなり「4」の距離は狭かった。
だから外側に誘導したいのではないかと考えた。
そしてそこに待ち構えているのがWBで、決してWGのマンツーマンではなくて、外側に立つ選手に対応するという感じになっていた印象。

こちらがトッテナムの守備の陣形と基本タスクになる。特徴的だったのがSTのタスクで、まずはかなりIHを意識して内側、そしてしっかりと下がってポジションを取るようになっていた。(これは後に説明することにつながってくる)

STが内側に絞ってさらに下がるので、中盤4枚の距離はかなり近かった。ここからもわかるように、トッテナムはまず中央への下のパスを消していた。

だがこれだけでは不十分で、シティのCBは持ち出して相手を動かすプレーを頻繁に選択し、その質は驚愕の高さだ。当然、トッテナムはここも潰さなければならない。

だからトッテナムはCBの持ち出しに対しては以下のように対応する。

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持ち出すCBにはCHが前に出て対応する。
ここにSTを当てに行かずにあえて距離のあるCHを当てにいっていた。

このように持ち出すCBに対してはCHが前に出て対応を行うように設定されていた。これもかなり特徴的で、このプレーを選択することで内側を消せていた。さらにSTがIHの近くまで下がっていることで、CH–STの門もかなり狭くなっているので、これも内側を消せた大きな理由だろう。

ここのCHを縦に押し出すという守備はコンテが来てから変わったところの1つだと僕は思っている。これを行うことで、STが斜めに出る、剥がされて斜めに戻ることを防ぎ、さらにSTの背後をCHが距離のある横スライドで対応するということを防ぐことが可能になっている。だからこそ、STとCHの縦スライドの距離と回数は増えるが、横のズレは極端に減っているのではないだろうか。

 

このようにしてトッテナムはまず外側に誘導する。そして外側に誘導した時点で奪いにいくのではなく、まずは時間を稼ぎながら、ブロックを下げていくことを選択していた。

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外側に誘導してブロックを下げる。
これでシティ全体を自陣に引き込むことでカウンターに出れるスペースを創出。
さらに時間を稼ぎながら下がるので、出ていったCHがポジションに戻れていた。

サイドに誘導するとSTが内側から外側に対応することで時間を稼ぐ。この時間の間にCHがしっかりと素早くポジションに戻ることで、ローブロックを形成。そしてサイドのST−CH–WB−CBのユニットでボールを回収するか、もしくは入ってくるパスを回収することでロングカウンターに出る。この時に起点となるのがケインで、カウンターのフィニッシュ担当がソンになる。ここのホットラインとクオリティの高さはいうまでもないだろう。

11:43〜や22:03〜の守備の仕方はとても分かりやすいのではないだろうか。

 

ひたすらにトッテナムは下のパスとドリブルでの侵入を防ぎ続けることで、『待ち構えた状態』でクロス跳ね返し続けていた。仮にシティに上から叩けるCFがいたのならまた話は別だと思うが、現実はシティにそのような選手はいない。だからこそ、コンテはこのような方法を選択したのだろう。

だからこそ、トッテナムは常にゴール方向から前向きに守備を行うことができてた。

 

異質なカンセロ

シティはトッテナムの守備にかなり苦戦していた。押し込むことはできても、その先の崩しをどうするかという問題に陥っていた感じだ。これはいくらシティとも言えど、トッププレーヤーにあれほど場所を埋められてしまうと難しくなるのは必然だろう。

だがそれでも徐々にゴールに近づくことができていたのは、カンセロの存在だろう。彼の圧倒的なボールセンスで強引にDFを1枚剥がして崩しにかかっていた。だからこそ他の選手が空いて、優位性を作り出すことができるようになっていた。あんなにDFを剥がして、あれだけボールが扱えためちゃくちゃ楽しいだろうな。

 

速攻に移るための用意

防戦一方になること、いやボールを保持させて守備の時間を長くすることを考えたトッテナム。だが時間帯によっては「ボールを保持できる」局面もある。コンテ監督はペップ・シティのハイプレスをひっくり返して速攻に出れるプランも用意していた。それがクルゼフスキの先制点に繋がった。

ではトッテナムは速攻に出るためにどのような用意をしていたのだろうか。

これは3:56〜や12:35〜、16:36〜などを見るととても分かりやすいと思う。

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斜めに刺し込んで攻撃に移る。
動かしていくのがロドリとSB。

まずは先制点のシーンのようにケインがボールを引き取ってカウンターの起点になるパターン。トッテナムが特に動かしたかったのはロドリとSB。ここを動かすためにCHが囮になったり、WBがSBの近くまで上がったりしていた。これがカウンターに出るための素地になる。さらに3バックなので、広がりを持つこと(WGの背後を取ること)ができれば、割と時間を持つことが可能になる。ここでSBがWBを捨ててジャンプしてくれば、そのままSBの背後を使えば良い。これで斜めにケインに差し込むことで、STのソンもしくはクルゼフスキが背後にランニングして一気にカウンターに移行する。

先制点はこのような形で生まれている。

そして速攻の移るパターンはもう1つある。それがSTがカウンターの起点になるパターンだ。

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ここでも動かすのはロドリとSB。
STがロドリの視野外から降りることで、SBの場所で数的優位を作り出せる。
これでSTがカウンターの起点になる。この場合は背後を取る選手はWBになっていた。

このように素地は変わらずCBから斜めに差し込むことを基本としていた。変わるのはレシーバーで、ここで受け取るのがSTになる。STが受け取ることができたのはここでもロドリを動かすことができていたこと、さらにロドリの視野外からボールを引き取る動きをしたから。これで一瞬の遅れを作りつつ、出てくるSBに対して数的優位を作る出せる。

このパターンだとWBが背後をアタックする役割になる。SBが出てきているので、その背後をWbがアタックしていた印象だ。仮にそこをケアされるとケイン経由で逆サイドまで持っていくことで、広がりを持って攻撃を仕掛けることができる。

試合はボールを持てないことがほとんどだったが、そえでもボールを持てた時にもしっかりと、攻撃に出れる準備を怠っていなかった。その結果が最初のチャンスを創出し、それを決め切った先制点に繋がったのだろう。これは偶然ではないと僕は思う。

 

皮肉にも…

トッテナムは2点目を決めてから、かなりローブロックを作り出していた。ボックス内の人数は異常で、そこを崩していくのは至難の業になっていた。だから必然的にクロスが多くなったシティ。こうなるとトッテナムはゴール方向から前向きに跳ね返すことができる。単調になっていく中で、一発を決めれる選手がシティにはいない。いわゆる生粋のストライカーだ。仮にストライカーがいれば、このような展開になった時でもなんとかしてくれる感じはある。それがクラブのレジェンド、アグエロだった。彼がいなくなってから、上手く攻撃を分散させ、ゴールを量産してきたシティ。だがこの試合のように、守り切る意志を明確に迫られた時、さらに割り切ってゴール前にバスを置かれた時に苦しむことは予想できていたから、シティはケイン獲得を本気で考えたのだろう。

当然、ボックス内に人をかけると事故が起きやすく、そしてそれを見事に誘発したシティ。これでドローで試合が終えると思った矢先、ケインが皮肉にもクロスを上から叩いて劇的な決勝弾を奪ってみせた。

トッテナムはこれで王者に対しシーズンダブル。さらにはコンテが就任してからまたしても劇的な展開で勝利をもぎ取った。コンテの勝者のメンタリティが植え付けられつつあるのか、劇的な展開が増えたのはコンテ就任と大きく関係していそうだ。

ひたすら守り切り、勝利を手にしたトッテナム。見事だった。おかげさまでプレミアリーグの激闘がさらに激化した。シーズンの佳境に向かう中、どのチームが生き残り、脱落していくのか。「魔境」プレミアリーグも目が離せないのは確実だ!

 

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【絶滅危惧種?】CLラウンド16 1st Leg ザルツブルク vs バイエルンミュンヘン

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皆さん、どうも。今回はUCLラウンド161st Legのザルツブルク×バイエルンミュンヘンのマッチレビューを行っていきます。

ザルツブルクはハイプレスでドイツの絶対王者に真正面から向かって行きました。そして先制点を奪ってみせました。彼らの命を燃やし尽くすようなフルスロットルなフットボールは絶滅危惧種が生存を賭けて必死に生きているような、熱いものだと僕は感じます。ソレでも非情なのがドイツの絶対王者。彼らは後半からの修正でプレスを受け流し、個人の強さでザルツブルクのゴールを最後の最後で破ってみせました。

この試合はかなりハイテンポでシンプルに見ていて楽しい試合でした。では、早速ですが、この試合のマッチレビューを行っていきましょう!最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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ザルツブルクの過去記事

グループリーグのザルツブルクはどのような戦いをしていたのか。これについて気になる方は以下の過去記事をご覧になってもらいたい。

 

www.soccer-bunseki.com

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基本的にザルツブルクはどの試合でもフルスロットルで熱量を感じるプレッシングで戦ってきている。そしてグループリーグを突破し、レベルが数段階上がったチームとの一戦、バイエルンに対しても変わらずにハイプレスを行っていた。

では次はザルツブルクのハイプレスについてに触れていこう。

 

大胆なハイプレス

ザルツブルクはラインを越えてプレスに出ること、レーンを跨いで大胆にボールサイドを圧縮することで、ハイプレスを完結させる。だからこそ、スプリントの回数とそのスピードが必須で、プレー強度を保てる若い選手が中心になっている。当然、この大胆なハイプレスはバイエルンミュンヘンにも通用し、彼らに満足なプレーをさせなかった。

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ザルツブルクのハイプレス

基本形はこんな感じだろうか。ザルツブルクは常にボールホルダーにアタックすることを行う。ここで唯一アタックしないのが、この試合だとCBズーレのところだ。ズーレがボールを離すと、そこからハイプレスのスイッチが入っていく。基本的にボールサイドの選手を捕まえて、ボールホルダーに対して出しところを喪失させる。当然、レシーバーは常に近くに人がいる状態なので、前向きのプレーは難しくなる。

ボールサイドの選手は人を捕まえ、周りの選手は大胆にスライドを行っていた。これで逆サイドは捨てるが、そもそも捨てたところでそこを見せないようになっているので、ボールサイドを圧縮することができていた。

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出てくる場所での回収と2nd回収

具体的にこのようにボールを回収していた。ひたすらボールホルダーにアタックしていくので、バイエルンの選手はプレーを選択する時間が極端に少なくなり、さらにプレーテンポも意図せず上がっていく。これでザルツブルクは自分たちの土俵に持ち込み、走力と反応速度を中心に、ルーズボールが出る場所、もしくはミスが起こり得る場所に人を送り込むことで、自分たちのボールにしていた。そして奪ったボールをより直線的にゴールに向かっていけるようなパスを送り込むことで、アデイェミやアダム、オカフォー、アーロンソのスピードを生かしてバイエルンゴールまで迫っていた。

ボールを保持して立て直すことを半ば捨て、よりダイレクトな攻撃を仕掛けてくザルツブルクのフットボールは今となっては絶滅危惧種なのではないだろうか。ストーミングの代表格とも言えたリバプールも現在はボールを保持しながら崩しも行うことも可能になっている。当然、他のチームも似たような形になってきている中で、ザルツブルクはかなりハイプレスを貫き通している印象だ。

 

距離の短いバイエルンのプレス

そうとは言ってもザルツブルクも自陣からの攻撃もきちんと行える。だがあくまでも「よりダイレクトに」というスタンスは変わらない。だからこそ、これを止めるためにバイエルンもハイプレスを以下のように行った。

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バイエルンの守備についてを少しだけ。
基本的にバイエルンも前プレを行うときは人を意識。
この時にボールサイドSTがCBに向かっていくプレスがスイッチとなる。
これで中央に入ってくる下のパスを潰し切ることでボールを回収したい?

ブンデスリーガを見ていないので、なんとも言えないが、バイエルンミュンヘンの守備はこの試合を見る限りではこのような感じだった。バイエルンも前プレを行う場合は人を中心に守備に入っていく。この時のスイッチがボールサイドSTだったように僕は見えた。サネ、もしくはミュラーがCBにプレスをかけるとスイッチが入る。こうなるとWGがSB、ボールサイドIHをCHが捕まえて中央に誘導してそこでボールを回収、最終ラインでは常に2トップに対して数的優位を維持している感じだった。そして特徴的だなと思ったのが、あまり人が動かないということ。詳細にいうと、スライドとジャンプの距離が極端に短いということではないだろうか。

ぜひともナーゲルスマンのバイエルンミュンヘンを定期的に見ている人がいるのならば、ご教授して頂きたい。

 

自陣からの攻撃は?

ではザルツブルクの自陣からの攻撃はどのようになっていたのだろうか。これはグループステージのヴォルフスブルクに向かっていったのと同様に、ザルツブルクは3CBの脇を使っていくことで、中盤を省略して攻撃を仕掛けていく。

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抜け出すCF。
有利なランニング勝負に持ち込むことで、ドリブルの成功率を上げていく。

CFアデイェミを中心に、プルアウェイでCBの脇のスペースをアタックしていく。前半はとりわけリュカ・エルナンデスのサイドを狙って攻撃していた印象だ。現にザルツブルクのゴールはこのサイドから生まれている。シンプルな攻撃だが、ランニングで相手をひっくり返すことを繰り返すことで、MF–DFを分断することができていた。だからこそ、背走した状態で跳ね返したボールを拾えるのは前向きのザルツブルクの選手になっていた。これは確実に狙って作り出しているものだし、そこに人を送り込む設計とそれを支える走力もまた見事なものだなと感じる。

 

バイエルンの修正とは?

前半かなり苦しんだ印象だったバイエルン。若き名将はしっかりと修正を加える。その修正というのが起点を作る場所だ。バイエルンはゲームを作る場所をまずはCBズーレに設定。これは前半からあまりここにプレスをかけてなかったからではないだろうか。さらに加えた修正が、2トップ脇のスペースを中心にゲームを作り、ズレを1つずつ生じさせたことだろう。

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バイエルン修正
ズーレからの対角のパスを中心に仕掛けることで、2トップのプレスを誘発。
これで外側で2トップから離れてリュカやパヴァールがボールを受けれるように。
さらにCHも2トップ脇でボールを引き取る回数が増えて起点を前に作れるようにもなっていた。

このように大胆にスライドを行うザルツブルクに対して、空いているスペースを使って攻撃を仕掛けたバイエルン。まず空いたスペースというのがCBズーレのところで彼からの対角のロングパスや縦パスが打ち込んでいくことで、ザルツブルク2トップの守備のタスクを若干変更させる。これがまず相手を動かすための第一修正。

次に外側のCBがCFトップから離れたポジションをとることで、ザルツブルクIHとSBに対して「ジャンプしてSBが出てくるのか」と「IHが内側から外側にプレスを行うのか」の選択を迫ることに成功していた。これを行ったことで、局面で数的優位を作り出すことができるようになり、そこから攻撃を展開できるようになっていた。

これで前半は全く前向きにプレーできていなかったトリッソとキミッヒが起点になることができ、押し込むことに成功。押し込むことができれば、カウンターも未然に封じることもできる。これでバイエルンはザルツブルクを押し込んでほぼワンサイドゲームを演じることができたが、逆転ゴールまで奪い切るには至らなかった。

それでもナーゲルスマンが施した明確で迅速な修正はさすがだ!と感じた。

 

ノックアウトラウンドでも戦えるぞ!

グループステージからザルツブルクを見ている僕としては、正直バイエルンに蹂躙されると思っていたが、蓋を開けてみれば健闘も健闘。ザルツブルクの早く闘志あふれるフットボールはバイエルンミュンヘンにも十二分に通用することを証明して見せた。若い子のチームが巨大なチームに向かっていく姿は勇気までもらえる試合だった。最後の最後に追いつかれてしまったが、真正面から勝負を仕掛けてここまで戦えるのは、これから先の戦いにも大きな影響を与えることは確実だろう。果たして2ndレグはどのような内容になるのか。ここの対決も見逃せない。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

次回の記事もお楽しみに!!!

 

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【真っ向勝負】UCL ラウンド16 1st Leg インテル×リバプール

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皆さん、どうも。今回はチャンピオンズリーグ1stレグのインテル×リバプールのマッチレビューを行っていきます。僕は「挑戦者」のインテルがどのように試合に臨むのかがとても気になる試合でした。蓋を開けてみれば、シモーネ監督は自分の信念をそのままぶつけていく、真っ向勝負を挑むことで勝利を収めようとする勇敢な姿勢が見えました。結果は敗戦となってしまいましたが、内容とリバプールに向かっていく姿勢はとても好印象でした。

それでも試合を支配されながらも、勝利をつかんでしまうリバプールの強さには脱帽です。クロップ監督の交代策、選手個々人のレベルの高さ、そして勝負強さ。

最高のチーム同士、最高の舞台だからこそ、このような熱く面白い試合になったのではないでしょうか。

では前置きはこの辺りにして、早速この試合のレビューを行っていきます!最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

YouTubeも行っております!本日21時からライブ配信でこの試合についても話そうと考えておりますので、興味がある方は覗いてください!

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ではブログでのレビューもお楽しみ下さい!

 

 

スターティングメンバー

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リスクよりもメリットを!

僕が密かに予想していたのはインテルは自陣でブロックを作り出して、ロングカウンターを打ち込む方法を採用するだろうと考えていたのだが、見事にその予想は裏切られることになった。シモーネ・インテルが選択したのは、ハイプレスだ。インテルの守備の基本はミドルプレッシングなのだが、この試合ではリバプールの良さを潰しにかかった。当然、前線にはサラーとマネという爆速ストライカーがいるので、ハイプレスを行うのには相当な勇気が必要だろう。

そしてインテルの選手たちはその恐怖を押し退けて前に出る選択をした。このハイプレスこそが、選手に、サポーターに、そしてインテル全体に勢いをもたらした。

ではシモーネ監督が授けたハイプレスとはどのようなものだったのだろうか。

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人中心でハイプレスを行う。
この時にSB⇆WBの距離を予めかなり縮めておくことで、SBからのロング/ミドルパスを相殺する。
さらにアンカーに逃げられることも防ぐためにここにはブロゾビッチを押し出す。(中盤もマンツーマン)
こうなると3CB vs 3トップになるが、ここまで良い状態で届けられることのないように、かなり強度を持ってプレスを行っていた。

この試合でポイントとなったのが、リバプールバックラインから出てくるロングパスもしくはミドルパスだ。ここを潰しにかかるために、2CBには2CF、SBにはWBが対応を行う。ここでWBの立ち位置がかなり前になっていて、SBとの距離を縮めているかいないかがハイプレスが嵌るか嵌らないかの分かれ目だったと思う。

リバプール相手にWBの背後を開けることは、サラーとマネにスペースを与えてしまうということだ。ここにボールを落とされてしまうと、対応仕切るのは難しい。それぐらい、今のサラーとマネはスーパーなプレーヤーだ。

だが、インテルはそのスペースに落とされる前に潰しきることを選択。その結果がWBのSBへのプレスだ。

この守備を完結させるためにインテルは外誘導を行っていた。だからファビーニョの所までブロゾビッチが出てくることで、中央の前進ルートを消しにかかったのだろう。

では外誘導をした時に、どのように守備を完結させていたのだろうか。

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サイド誘導してから。
ここでもポイントになるのがWBのプレスの掛け方。
WBはSBの利き足を消すようにプレスを行う。ボールサイド中盤は引き続きマンツーマンで守備を行う。さらに3CBもマンツーマンを続行。特に降りる降りるジョタにはCBデフライが着いて行って対応を行う。
ボールと逆サイドの選手はしっかりとスライドを行ってカバーポジションを取りながら、圧縮できる距離感を維持していた。

サイドに誘導するとWBはアレクサンダー=アーノルドとロバートソンに対して利き足を封じるようなプレスを行っていた。ここのプレスの掛け方が存外に上手く、これが先ほど触れた「WBの背後・CBの脇のスペース」を消す大きな役割を果たした。

リバプールはこうなると内側を経由して前進を考えるようになるのだが、ここも潰すためにIHがマンツマーンを続行。さらにリバプールはCFジョタが中盤に降りてヘルプを行うのだが、ここにはCBデフライがしっかりと対応し切ることで、逃げ道を防いでいた。

何度も言うがとても勇気がいるプレスだったと思うし、小さくないリスクもあっただろう。だが、インテルはそのリスクを上手く管理し、隠し、そして前で奪い切ることとリバプールの良さを消すことに成功していた。

インテルは守備から試合の流れを手にした印象を僕は受けた。

 

リバプールがチャンスになるときは?

当然、リバプールが全く何もできなかった訳ではない。 例えば11:40〜のリバプールの前進方法。これはリバプールの十八番と言ってもいいのではないだろうか。インテルからするとこれを消したかったので、先のようなプレッシングを行った。

この局面はSB⇨WGへのミドルパスを打ち込むことで2ndボールを作り出す。この時にWGにミドルパスを打ち込むことで、インテルバックスのスライドを強要させる。これで2ndボールを回収し、素早く前に送ることでCFジョタがボールをピックアップすることでポイントを作ることができる。これはインテルCBをスライドさせてプレーベクトルを横向きにさせることで、中央でポイントを作り出すことが可能になる。

この状況を作り出すことができれば、ピッチを斜めに切り裂きながらゴールに向かうことが可能になる。リーグ戦のバーンリー戦ではこのパターンが多く見受けられ、この試合でも同様に見受けることができた。

だからインテルは「そもそもミドルパスを撃たせない、もしくはミドルパスの精度を落とす」ために、WBが利き足を封じるような真っ直ぐ向かっていくプレッシングを採用したのではないだろうか。

 

間延びと広がりと優位性の拡大

今季のインテルというと「間延びと広がり」がキーファクターとなるだろう。インテルのマッチレビューの過去記事でもこの間延びと広がりについては多く触れさせて頂いている。そしてリバプールに対してもこの方法は十二分に通用することを証明してみせた。インテルは広がりを持ち間延びをさせて優位性を得ると、その優位性をすぐさま広げていくことを考えながら攻撃を仕掛けていく。

ではこの試合ではどのようにしてポイントを作って優位性を得て、攻撃を仕掛けていたのだろうか。

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広がりを持つ方法と持てる場所。
基本的に広がりを持てるのは場所はWGの背後になる。ここで広がりを持てるのはWBでSBを止めていることが大きく関係。さらにチャノハノールとブロゾビッチが組み立てのヘルプを行うことでリバプールの中盤を引き摺り出す。一方でビダルはあまり組み立てに参加することはせず、その先の2ndボールにアタックさせるような立ち位置をとっていた。

インテルが行ったのはシモーネ監督が植え付けた「プレスを誘導して引き込む」ビルドアップだ。特にこの試合では、ブロゾビッチとチャノハノールがバックラインまで降りたり、3列目でヘルプを行ったり、場所をその都度修正しながら出口もしくは幅を作るCBに時間とスペースを与えるプレーを行っていた。

これで上の図のようにWGに対して手前と背後で数的優位を作り出すことができていた。そいてWGの背後にボールを届けることで、起点を作っていく。

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WGの背後で広がりを作るCBにボールを届ける方法

このように広がりを作るCBにボールを届ける方法は上の図のパターンが主なものとなる。これはブロゾビッチの立ち位置(チャノハノールも)でCF–WGの門も広げることで、WG背後のCBに届けることができるようになっていた。

さらにジェコへのミドルパス⇨CBへの内⇨外の回避方法も持ち合わせていた。だからここの2ndボールにアタックするために、ビダルはあまり下がることがなかったのだろう。例えば34:20〜からの前進などは(ここではビダルは回収しなかったが、その兆候は見える)とてもわかりやすいのではないだろうか。

先ほども少し触れたが、付け加えるとWBでSBを止めているので、WGの背後で受けたCBが時間とスペースを得ることができていた。

これでここから一気にスピードを上げて攻撃を仕掛けていく。

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リバプールの中盤をひっくり返す+スライドを強要

門を広げて縦パスを通してポイントを作る方法とミドルパスでリバプールの中盤をひっくり返すと、リバプールはボールサイドにスライドを行わなければならなくなる。これはCBでSBのプレッシングを呼び込むことができるので、起こり得る現象だ。(当然、ハイプレスを行うリバプールの戦い方があることも大きく関係してることも忘れてはいけない)

これでCB⇆SBの時間を利用して背後をアタックしていく。特に対角のWBへのフライスルーパスを多用し、このパスがかなり効いていた。また背後に落とさなくても、逆サイドのWBに持っていくことで、WB vs SBを作り出すことで、個人の勝負に昇華することも叶っていた。特にアレクサンダー=アーノルド vs ペリシッチの勝負はペリシッチに軍配が上がっていた。

最初の内はよりダイレクトにゴールに迫れるCFへのスルーパスを出していたのだが、ファンダイクが最強過ぎて、だんだんとそこを避けるようになった印象だ。ほんまにファンダイク、一人で全部止めてしまう…。だからこそ、WBへの対角のパスが多くなっていたのだろう。

これがCBで広げて優位性をすぐに使って広げていく方法だ。

当然、場所を入れ替えながら攻撃を仕掛けるインテルは、局所で数的優位を作り出して、ポイントを作ることも行っていた。

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ブロゾビッチやチャノハノールとバストーニとシュクリニアルの入れ替わりを利用

例えば52:06〜の組み立て。選手が入れ替わることでリバプールのプレスを空転させることを狙う。さらに局所で瞬間的に数的優位を作り出すことで、前向きの選手を作り出すことができていた。これで先述したものと同様に、対角にパスを送り込むことで、スピードアップをして攻撃を仕掛けていた。

このようにして、インテルは広がりと間延びを作ってそこをポイントにすることで、スピードアップして攻撃を完結させることでリバプールゴールに迫っていた。

彼らの攻撃は「相手が戻り切る前に!」を体現している感じがした。そのためのプレスを呼び込み、引き込んでからの攻撃なのだろう。

 

補足:出口の担当

補足として、個々人に託されていた出口の担当についてをまとめておきたい。あくまでも基本的なもので、プレーエリア、局面、状況によってその担当が変わっていたので、あくまでも「補足」として触れておきたい。

 

・WB

⇨背後の出口担当。特にダンフリースは中盤のヘルプを行わないようになっていた。だから常に高い位置をとっていたし、逆に彼が低い位置でボールを引き取ってしまうと失う印象があった。だからダンフリースの推進力を生かすための立ち位置になっていた。

 

・IHとDMF

⇨中央の出口担当。特にチャノハノールがそのタスクを全般的にになっていた。当然、中央だけではなく、サイドに流れて受けることもあるので、一概には言えないので、注意してほしい。

 

・シュクリニアルとバストーニ

⇨これは先ほども触れたようにWGの背後での出口になっていた。ここにボールを届けるのが、ハンダノビッチの大きな役割にもなっていた。これは基本的に不変のものだと僕は思っている。

 

・CF

⇨当然、彼らは広がったライン間でミドルパスを受けることで出口となる。またWBペリシッチが下がった時の斜めの出口としても機能していた。

 

これが主な出口の担当になっている印象だ。先ほども述べたが、プレーエリア、局面、状況によってその担当が変わっていたので、あくまでも補足だ。

 

参考までに過去記事もぜひ。

www.soccer-bunseki.com

 

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リバプールの修正

リバプールはハーフタイムでジョタに替えてフィルミーノを投入する。これが大きく機能する。ジョタよりもフィルミーノの方がプレーエリアが広く、縦の動きだけではなく、横のヘルプも頻繁に行う。これが徐々にCBの対応の遅れを生むことになる。そしてそれに追い討ちをかけるように、ディアスとヘンダーソンとケイタの投入。より走れて仕掛けれる選手、そしてトランジションで強さを発揮する選手を投入することで、優位に立とうと試みていた。またSBがWBと距離を作り出すことで、ミドルパスも打ち込めるようにもなっていた。

このようにして、リバプールはインテルの遅れを生じさせることで2ndボールを回収できるようになっていき、そしてディアスのドリブルを存分に生かして攻撃を仕掛けることができるようになっていた。

 

差は勝負強さか?

インテルの試合と言っても過言ではなかっただろう。だが終わってみればリバプールが0−2で勝利を収めている。枠内シュート2本で2ゴール。勝負強いとはこのことだろう。これがトップオブトップを走り抜けているチームなのだろう。本当にインテルの試合だったと思うし、なんなら今季のトップ3に入る試合の内容だった気がする。あと一歩届かなかったインテル。その壁を越える一歩が大きかったように感じた試合だった。2戦目は「情熱の要塞」アンフィールドだ。とても難しい試合になるのは間違いないが、この試合のように勇敢に真っ向から勝負を仕掛けてほしい。

とても面白く、楽しい試合だった。ありがとう、インテルとリバプール!!!

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

次回の記事もお楽しみに!!!

 

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【後ろ向きとぼかす関係】セリエA第25節 ミラン×サンプドリア

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皆さんどうも。今回はセリエA第25節のミラン×サンプドリアのマッチレビューを行っていきます。この試合で勝利したミランはとうとう暫定ですが、首位に返り咲くことに成功しました。試合開始から攻撃はもちろんのことながら、守備でも積極的に仕掛けていました。ミランの「後ろ向き」の作り方とそれに付随した「ぼかす関係性」は積極的に守備を行う上で、とても重要なことだと思います。

では今回は、ミランの守備を中心にマッチレビューを行っていきますので、最後まで目を通して頂けると嬉しいです!!!

 

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スターティングメンバー

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サプドリアの守備 vs ミランの回避

ミランの守備から触れていく前に、まずはサンプドリアの守備から触れていこう。彼らはミランとは違い、上手く「後ろ向きの選手」を作り出すまでには至らなかった。

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サンプドリアの基本の守備担当。
5−3−2で構え、CHは3−2のブロックで消す。3−2ブロックの背後のOMFは同サイドのCBが出ていって潰す。
ここからCFがCB、IHはSBに向かっていくことを選択。これで奪いたかったのがSHのところ。だから試合開始から28:09の守備修正まではIHがSbに出ていく。それ以降はWBがSBまで出て行く形が基本。失点シーンは例外ぽく、だからこそ失点したのかもしれない。

サンプドリアはこのような守備を行う。だが、ここで問題となったのが、SBの所だ。ここにIHが内側から外側にプレスをかけるのだが、絞り過ぎているせいでIH⇆SBの距離が遠く、SBに制限がかかりきっていない状態が続いていた。だからこそ、ミランは以下のように展開することができていた。

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SBを起点に展開を広げる。この時にポイントになっていたのがSHの所。
本来、サンプドリアはここでボールを回収したいので、CBとWBでSHに対応するのだが、ミランはそれを逆手に取ってSHで2枚をピン止め。(特にCB)
これでディアスがライン間でレーン移動してボールをピックアップ。
これに付随してCHがレイオフ、逆SHが背後へランニング。

ミランはこのように、サンプドリアのIHの遅れを利用して攻撃を仕掛けていく。他の記事でも触れていることなのだが、ミランも他のチームと同様にベクトルとは違う方向の動きとパスを加えていくことで、優位に立つことができていた。

これはミランがそれぞれ、立ち位置によってと選手個々人の「選択すべきプレー」が明確になっているからできていたことだ。

特にディアスのライン間のピックアップのプレーとトナーリのレイオフの作り方は一級品だろう。まだまだ彼らが若いのが末恐ろしい。

 

サンプドリアの修正とミランのゴール

当然、サンプドリアは修正を加える。これは時系列は逆だが、WBがSBに出てきた場合は、ゴールを奪ったような展開でプレッシングを回避していく。

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サンプドリアの修正。
IHがSBに出て行かずにCHを捕まえる形を取る。こうなると、先のレイオフを潰すことが可能になる。これでSBに対してWBが出て行く形を取る。

サンプドリアがこのような修正を加えたことで、ミランはSBの所であまり時間を作れることが難しくなっていく。だが、ミランはメニャンからのミドルパスで回避していく。

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ミランはミドルパスを多く選択。
これを繰り返していくことで、WBの迷いを生じさせて手前のSBも使えるように。
ミドルパスとWBの距離を作り出してSBで時間を作り出す。

このようにミランはWBの背後、CBの脇のスペースを使って行くことで、手前の選択肢を増やしていく。これはWBとSBの距離を広げれることができるので、再びSBの

でポイントを作ることが可能になっていた。

背後に落とせるGKメニャンの存在はかなり大きいのではないだろうか。

 

後ろ向きとぼかす関係

なんと言ってもミランのハイプレスだろう。彼らは後ろ向きの選手を作り出し、さらに後ろ向きの選手⇨レイオフの選択肢も消していた。ではどのようにしてこれを完結させていたのだろうか。

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ハイプレスはCFがワンサイドカット。
この時の中盤はマンツーマンを行う。ここで降りてくるセンシはぼかす。
当然、センシに入ってくる場合はCBが対応して行く。

ミランの守備のポイントはCFのワンサイドカットになる。ここの牽制がしっかりと決まれば一気に追い込むことが可能になる。そしてジルーもイブラヒモビッチもそのカットの仕方が存外に上手いのは言うまでもない。

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スライドと閉じ込め

ミランは外側に誘導した時に、一気に圧縮していく。ここでもしっかりと中盤はマンツーマンで対応することで、ボールホルダーに選択肢をなくさせる。ここでロングパスを蹴らせればバックラインで回収が可能で、近くの選手に付けるとそこを狙って潰すにかかる。さらに受ける選手は後ろ向きになっているので、かなり不利な状態になっている。また受けた選手が前向きの選手にボールをセットしようとしても、そこにはマークがいるので、落とすことは困難になっている。

この状況を作り出すことで、ミランは中盤のブロック背後の選手にマークを付けなくても対応できるようになっている。だからこそ、上手くぼかせるのではないだろうか。

 

修正後のタスク過少とぼかせない状況

サンプドリアは52分の交代で明確に立ち位置を変える。これがミランを苦しめた大きな理由になる。

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サンプドリアは4−4−2のダイヤモンド型にポジションを修正。これを行うことで、ミランに対して以下のような課題を突きつける。

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タスク過少とぼかせない状況
センシとカンドレーヴァが2OMFのような立ち位置を取るので中央で数的不利な状況。さらにSBが一瞬マークの選手がいなくなるので、タスク過少で守備で浮く。

このように中盤は前で捕まえれるのだが、その背後に2枚ぼかさなければならない選手が生まれている状況下になる。これで視界の外側から降りられた時に、局面で数的不利になるので、だんだんと勢いを持って行かれてしまう。

だがそれでもミランはタスク過少だったSBの立ち位置を内側に修正したことで、対応を適切に行っていく。これで前に出てきたサンプドリアに対してカウンターを中心に攻撃を返して行くことで、盛り返し、見事にウノゼロで勝利を収めてみせた。

 

激化するスクデット争い

とうとう首位に返り咲いたミラン。ミラノダービでの勝利はとんでもなく大きなものだった。この勢いを保ったまま、難敵とも言えるサンプドリアを見事に乗り越えてみせた。気付けばミランのシュート数はサンプドリアの約3倍。問題は追加点を奪えなかったことだろうが、積極的な守備からの攻撃は魅力の1つだろう。

昨季はミラノのライバルが優勝を決めた。今季こそは!と覚悟を決めているに違いないミラン。やはりミラノ勢が優勝争いを繰り広げるとセリエAが帰ってきたなと個人的には感じる。今、セリエAが熱いぞ!!!

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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【常に先手を!】プレミアリーグ第25節 ノリッジ・シティ vs マンチェスター・シティ

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皆さん、どうも。今回はプレミアリーグ第25節のノリッジ・シティ vs マンチェスター・シティのマッチレビューを行っていきます!

洗練され続けるペップ・シティの強さがこの試合でも見ることができ、ノリッジを寄せ付けることなく、圧勝してみせました。彼らの先手を取り続け、そして常に判断を迫らせる戦い方は末恐ろしいと感じるものでした。

今回はマンチェスター・シティがいかにしてノリッジを粉砕したのかを考えていきますので、最後まで目を通して頂けると嬉しいです!!!

 

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ではブログでのレビューもお楽しみ下さい!

 

 

スターティングメンバー

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組織に風穴を!

まずマンチェスターシティが動かした場所、いや守備組織から引き摺り出した場所というのが主に2列目となっていた。

彼らはノリッジの2列目に風穴を開ける事で、能動的に、そして常に先制攻撃を仕掛ける事ができていた。以下の図を見てもらいたい。

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まずマンチェスターシティがノリッジのSHを引き摺り出した時の状況から考えていこう。

基本的にマンチェスターシティは CBとアンカーで数的優位を維持する事ができていた。だからこそ、CBアケやディアスがボールを持ち出すプレーを多く選択していた。

こうなるとノリッジはSHが対応に出るか、IHが対応に出るか、それともステイするかの3択になる。ここで最後のステイを選択するチームは少なく、前半はSHが対応に出る事が多くなる。これで CB⇨SBのシンプルなパスでスペースを取る事ができる。

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CBでSHを釣り出すと、そこの背後に必ずIHが入って行く。これでノリッジIHをピン止め、さらにWGが1つ内側に入って、SBを内側で止めておく。

これをCBの持ち出しとCB⇨SBのボール移動中にIHとWGはポジションを取り直していた。特に左サイドのギュンドアンとスターリングはこれをかなりのスピードと精度で行なっていたのが印象的だった。

これを行った事で生まれるのがSBが持ち出すスペースだ。ここでポイントとなるのは、『ノリッジSHを斜めに押し戻させる』事だろう。

これを強制する事で、ノリッジの全体を下げることができるし、SBが高い位置を取れば取るほどSHの位置を下げる事ができるので、カウンターのリスクを下げることにも繋がっていた。だからマンチェスターシティは全体をコンパクトにして、ネガトラの局面で一気に圧縮する事が可能になっているのではないだろうか。

さらに以下のような方法もある。

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主に後半から多かったのだが、ノリッジIHが出てきた場合には、トライアングルを中心にライン間を攻略していく。この時にCBが選択するパスは、1つ飛ばしたパスが多かった印象だ。いわゆるCB⇨WGへの飛ばしたパスが多かった。

これが打ち込めるのには理由があり、ノリッジはIHが出て行くと、一発でのライン間への縦パスを消すために、SHが絞り込むようになる。こうなると幅を作り出すWGへのパスコースが出来上がる。

これで上の図のように横からライン間へ侵入する事で、攻撃を仕掛けていく。

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そしてライン間で受けると、視線を集める事ができるので、サポートを行うSBやWGが容易にボールを引き取る事が可能に。

当然、WGとIHのワンツーで背後を取ることもできる。これはマンチェスターシティの基礎技術が異常に高く、パススピードがノリッジSBが WGまで出て行くスピードをかなり上回っていたので、その遅れを作り出す事ができ、上の図のようなプレーを頻繁に行えた。

そしてもう1つ。対角のパスと『中盤脇』を使ってノリッジに追い討ちをかけていく。

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ここでも起点となるのは持ち出すCB。この時にCFフォーデンが中盤のヘルプを行って、ノリッジIHをピン止め。当然、ストライカーの位置に人がいなくなるので、ギュンドアンとスターリングがそれぞれ1つ内側に入る。(入らない場合もある。この場合はギュンドアンがハーフスペースでSBをピン止めして、スターリングが幅を作り出す。その時のジンチェンコは1つ内側でスターリングの後ろ側のサポートとネガトラ要員となる。)

これで幅を作り出すSBジンチェンコがドフリーでボールを引き取ることが可能に。

さらに、フォーデンがノリッジIHを、マフレズがノリッジSBを止めているので、ウォーカー、もしくは中盤脇を取るシウバがフリーになっていて、必ずと言っていいほど、ここで前向きの選手を作り出す事ができていた。この試合の先制点なんかを見ると、とても分かりやすいのではないだろうか。

 

十八番のハーフスペース奥

前進することにほとんどストレスが無かったマンチェスターシティ。だからこそ簡単に崩しの局面に移行する事ができていたし、全体を押し上げる事ができるので、ネガティブトランジションでもかなり優位に立てた。唯一危険な場面になるのは単独でドリブル突破されてしまう事だろうか。それでも人の集め方が上手いので、早めに止めてしまうのだが。

では、どうやってこの試合も十八番のハーフスペース奥を取っていたのだろうか。

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この方法はノリッジの自陣深くの守備に大きく関係する。ノリッジのフルバックはほぼペナ幅まで絞り込む事で、ゴール方向から外に守備を行った。これがマンチェスターシティに取っては『おいしい』状況になっていた。

彼らは基本WGが幅を作り出す。ここにパスが入ると、ノリッジのリアクションはSBが内側から外側に対応に出ていくというもの。先ほども触れたが、マンチェスターシティの基礎技術がめちゃくちゃ高いので、ここの遅れはどうしても生じる。そうなってくると、残っておきたいSHが斜めに降りてプレスバックを行っていく。

ここの斜めの戻しもまたマンチェスターシティに取っては格好の的になる。(全体を押し上げてコンパクトネスを維持し、ネガトラを完結でき、カウンターを防げるから)

これでSBが出ていくタイミングとほぼ同時に、IHがハーフスペース奥をアタック。フォーデンのゴールなんかはこの形で生まれたものだ。そして最も厄介なのが、幅・アタック・サポートの選手が入れ替り続ける事だろう。ノリッジもまた、この攻撃の餌食となった。

 

奥のフィニッシュワーク

マンチェスターシティはハーフスペース奥のアタックだけでなく、もう1つの攻撃を備えている。ハーフスペース奥を『手前の崩し』とすると、もう1つの方法は『奥のフィニッシュワーク』だ。それがハーフスペースからの逆サイドへのクロスだ。ここからファーサイドへのクロスがかなり多くなっている印象だ。ジェズスがサイドで起用されるのも、逆サイドから上がってくるボールを叩き込むためでもあるのではないだろうか。

これで折り返しやフィニッシュを選択していく事で、マンチェスターシティはファイナルサードでも手前と奥を常に突き付けている状態を作り出すことに成功している。

マンチェスターシティの守備対応したくねえ…

絶対遅れ出て、そっから崩されるもん…

 

スペースと前向きを!

洗練され続けるペップシティ。基本に忠実で、そしてそれを高水準でこなしていく。背後・手前・幅。ライン間の取り方とタイミング。選手個々人の基礎技術。そりゃあ強い。そして何よりもゴールを奪うために、スペースを作り出し、前向きの選手を作り続ける。それも1人ではなくて2人。だから常に相手に遅れを作り出した状態で選択を迫る事ができているのではないだろうか。

今季のペップシティの強さも異常だ。果たしてリーグタイトル、そして今季こそ悲願のCL制覇は叶うのだろうか。その力は十二分に備わっている。今週から始まるCL決勝トーナメントも存外に楽しみだ!!!

 

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