【トランジションで上回るために】チャンピオンズリーグ Group G ザルツブルク vs ヴォルフスブルク

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皆さん、どうも。今回はチャンピオンズリーグ Group Gのザルツブルク×ヴォルフスブルクのマッチレビューを行っていきます。最後まで目を通していただけると嬉しいです!

 

 

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Chapter1:速さを消したいヴォルフスブルク

まずヴォルフスブルクの守備から触れていこう。彼ら過去2戦と少し守備のやり方を変えて、ザルツブルクの攻撃を止めにかかった。彼らが具体的に止めたかったのは「速さ」だろう。

トランジションゲームに持ち込まないように、制限をかけて「捨て球」を蹴らせることを考えていたのではないだろうか。

ではどのように守備を行うことでボールを回収しようとしていたのだろうか。

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サイドに誘導

守備の基本。ゴールから遠ざけるためにヴォルフスブルクはまずはサイドに誘導することを考える。そのために、OMFはDMFをほぼマンマークして、中盤のラインでライン間への縦パス、特に中央3レーンを通る縦パスを徹底して消すことを考えていた。だからSHの立ち位置は割と内側だった。

SHが内側に立つことでザルツブルクは外側のSBへのパスを選択することが多くなっていく。そしてそこへ誘導すると以下のように守備を行う。

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極端に圧縮してボールを回収

ヴォルフスブルクはこのように極端に圧縮を行うことでボールを回収することを試みた。だからこそ、SBに入るとSHが外側にプレスを行い、IHが列降りをするとそこにはボールサイドのCHがマーク。さらに流れてくるOMFにはCBではなく、逆のCHがスライドをしてマークを行っていた。

これでCB-SB-CH-CH-SHのユニットを作り出して逃げ道をなくしてボールを回収することを考えていた。

だがこの守備はうまく機能ぜずに、試合早々に失点を喫してしまう。

ではザルツブルクはどのようにしてこの守備を破壊したのだろうか。

 

Chapter2:背後を狙うための列降りとレーン移動

ザルツブルクは「列降り」と「レーン移動」を繰り返すことでヴォルフスブルクの守備を破壊していった。

そしてザルツブルクは背後を狙って一発で急所を抉るためにこれを行う。

ではどのように列降りとレーン移動を繰り返して背後を狙うための準備・土台を作り出していたのだろうか。

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列降りとレーン移動と土台

まずザルツブルクが行うことが多かったのがIHの列降りだ。これを行うことで土台は3−1になる。これでヴォルフスブルクのCFとOMFの脇のスペースで時間を持つことが簡単になっていた。

もちろん、ボールサイドIHが降りてくるのでSBが一列前に上がることが可能になる。こうすることで幅を担保しつつ、1つ内側にはCFがレーン移動を行って縦パスのコースを確保する。

この立ち位置を作り出すことでヴォルフスブルクSHは列降りしたIHにプレスをかけにくくなる。その理由は外側にSB、自分の背後にCFが立っているからだ。

これでザルツブルクは外側で時間を確保することができていた。だが、これだけでは不十分で、前進すること、最大の狙いでもある背後を突くことは敵わない。

だからこそ、さらにボールと人を動かしていく。

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動きを加えて背後

まずボールを動かすのはSBとIHのパス交換。これを1つ打ち込むことでヴォルフスブルクのSBとSHをSBに集めることができる。そうすることでIHが時間を持つことが可能に。さらにこのボールの動かしの間にCFが列降りを行ってCHをピン止め。またその先ではOMFが列上げとレーン移動を行うことでボールサイドCBをピン止め。もしくは意識を引きつける。

これでボールを持てているIHから逆CFが斜めにランニングすることで一気に背後を取ることが可能になっていた。

これの大きなメリットとして、CF vs CBの1vs1の状態を作り出すこと、さらにその1vs1の状態はCBが背走している状態だ。これでCFが優位に立つことができて、フィニッシュまで持っていく可能性を上げていく。

またまた背走しているので、クリアは飛距離が出ないのは自然の原理だ。だからこそ、その2ndボールに列降りとレーン移動で人を集めたザルツブルクの選手が群がるように反応していく。

そしてそこでボールを回収することができれば、再び攻撃に移行することができるようになっていた。

 

ザルツブルクは基本的に背後へのパスを考え、そしてそこからネガトラで2ndを回収して再び攻撃に移行するというフットボールを展開。この方法でヴォルフスブルクを圧倒していた。

 

Chapter3:2つのユニットとポジトラ

では最後にザルツブルクの守備について触れていきたい。ザルツブルクの攻撃、もしくはトランジションに目を奪われがちだが、僕はトランジションで上回るための守備こそがザルツブルクの魅力だと感じている。

ではどのようにポジティブ・トランジションに持ち込むための守備を行っていたのだろか。

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サイド誘導と2つのユニット

基本的にザルツブルクもサイドに誘導することを考えていた。もちろん、4−3−1−2で守備を行うので外に誘導した際にはSBにボールを持ち出される、もしくは呼吸を整えられることになってしまうが、これは許容しているというか、そうさせるように仕向けている印象だ。

これでSBに持ち出させた時点で3センターとOMF、SBとCBのユニットを作り出す。(上の図の白と青のところ)これを作り出すことで、持ち出させたSBに対してパスコースを限定させていく。

そして奪いところは基本的に2つになる。まずはユニット①のパターン。

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ユニット1で回収

このように内側(CH)にパスが入ると一気にSBに出ていったIHが外を切りながらプレス、内側からはIMFがプレス、さらに縦方向からはDMFが出ていくことで囲い込んでボールを回収する。もちろん、バックパスにはCFが対応できるので、ヴォルフスブルクCHは単独で突破をしなければならないという非常に難しい状況に陥ることになる。

これでボールを回収することができれば、以下のように攻撃を仕掛けれる。

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SBの背後とCBの間のランニング

このようにボールサイドCFがSBの背後、逆CFがCBの間をランニングすることで、OMFが外側に遅れて出ていく。これで早い攻撃を完結させていく。

ではユニット②ではどのように奪い、攻撃に移行するのだろうか。

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ユニット2で回収

この場合はSHに対して圧縮を行う。この時に斜め後ろからIH、SBが縦方向から、DMFが横方向からプレスを行うことで逃げ道をなくしていく。さらに斜め前のCFへのパスはCBがしっかりと対応することで、選択肢を0にしていく。ここでボールを回収することが多く、実際にここでの回収によって先制点やその他にも多くのチャンスを作り出していた。

ではここでボールを奪うとどのように攻撃に移るのだろうか。

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SBの背後と外側のランニング

このように2トップがSBの背後とCBの外側をランニングしていくことで、OMFもしくはぼるを奪った選手が持ち出せるスペースを作り出す。もちろん、逆IHも攻撃に参加することが可能になるので、一気に前方向の圧力を加えることができる。

このようにして、ザルツブルクはヴォルフスブルクのネガトラをポジトラで上回ってみせた。

 

まとめ

この試合、トランジションの勝負に持ち込みたくなかったヴォルフスブルクと、自分たちの土俵に持ち込みたかったザルツブルクの構図で試合が進んでいった。

そして見事にザルツブルクが守備からトランジションの局面を多く作り出すことで、ヴォルフスブルクのネガティヴ・トランジションをポジティヴ・トランジションで上回ってみせた。もちろん、ザルツブルクのネガトラの局面もかなり早く、2〜3人一気にホルダーに対して密集するのだが、それを1人で解決してしまう場面もあった。

1人で打開して局面をぶっ壊してしまう選手もいて、戦術と個人が相互関係を持つこのスポーツは、これだからやめられない。

これがチャンピオンズリーグ。例外なく、この大会の選手たちは人外にいる。楽しい。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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