【翼を授かった強度】UEFA チャンピオンズリーグ Group G ザルツブルク×リール

f:id:football-analyst:20211014084300p:plain

皆さん、どうも。試合からかなりの時間が経過してしましたが、今回はUCL Group Gのザルツブルク×リールのレビューを行っていきましょう!

 

最後まで目を通していただけると嬉しいです!

 

 

YouTubeも始めましたので、チャンネル登録もしてもらえると嬉しいです。

 

www.youtube.com

 

スターティングメンバー

f:id:football-analyst:20211014084603p:plain

 

Chapter1:配置で優位を取るために

まずこの試合で触れていきたいのはザルツブルクの前進方法だ。前節のヴォルフスブルク戦と比べでリール戦の方が、よりスムーズに前進ができていた印象だ。

スムーズにビルドアップするために行っていたのが「配置で優位性を取る」ことだ。この準備があったからこそ、ザルツブルクは前進が可能になっていた。

ではどのような配置の取り方をしていたのだろうか。

f:id:football-analyst:20211014091632p:plain

そもそもの配置的な優位性

上の図のように4−4−2で守備を行うリールに対してザルツブルクは初期の配置で優位に立つことができていた。

特に中央ではOMFアーロンソを中心にDMF、IH、CFが囲うような立ち位置をとることで、中央3レーンで数的優位を作り出す。さらにこのような立ち位置を取れていたことで、以下の場所でも数的優位を作り出すことができる。

f:id:football-analyst:20211014092059p:plain

数的優位と間

このように、中央ではOMFとDMFでリールCFとCHの間にそれぞれポジションを取ることができ、CFとCHの脇にはIHが立てる。このCFとCHの四角形の外側にIHが立てることで、大外のSHに対しても数的優位を作り出すことが可能になる。このような現象が生まれるのはIHがCH-SHの間に立てているから。

これでリールSBに対して「タスク過少」の状態を強いる。これが後々の遅れを生じさせる強要になっていた。

 

Chapter2:ザルツブルクの動かし方

では次はザルツブルクの動かし方についてを考えていこう。これはいくつか方法がある。もちろん、リールの選手の出し方によってその方法は変わっていく。

 

2−1:SHの背後を取る

ではまず触れていきたいのが、SHの背後を使っての前進方法だ。これはSHがIHとSBの中間ポジションを取る守備を行ったときによく見られた現象だ。

f:id:football-analyst:20211014093627p:plain

SHの背後

このようにCB⇆GKのパス交換の際、SBが外側、IHが1つ内側にいることで、リールSHに対して中間ポジションを取らせることが可能になる。

さらにこの時にボールサイドCFがSBのところまで流れてSBをピン止め、さらにOMFがCHの間に立つことでCHの意識を後ろにも残させる。

これでGKにボールを燃そした時点で以下のような前進が可能になる。

f:id:football-analyst:20211014094231p:plain

ミドルパスでの前進

このようにSBがスルスルと上がっていくことでGKからミドルパスを受けて前進を行える。ここにボールが届くとザルツブルクは一気にスピードをあげて攻撃を仕掛けていく。

ではなぜここにミドルパスを打ち込むことができたのだろうか。

それはCFでSB、IHでCHをピン止めすることがまず大きな要因としてあげられる。

次にリールSHの視野(意識外)にSBが出ていけるからだ。これはSHがGKへのバックパスに一瞬気を取られるので、SBの上がりに気づくことが遅れる。この遅れでSBがフリーになれる。

そしてOMFの立ち位置も忘れてはいけない。先にも触れたように、OMFがCHの間、もしくは背後(DF–MFのライン間)に立つことでCHの意識を後ろに残しているので、CHのスライドが一瞬遅れる。

もちろん、GKのキック精度も高いことも触れなければならないところだ。

このようにしてリールはSHの背後をとることで前進を行っていく方法もあった。

 

2−2:レイオフ→広い方

では次はレイオフからの広い方への展開だ。このパターンはSBに対してSHがプレスを行なった時に見られることが多かった。ではどのようにレイオフをして、広い方へ展開していたのだろうか。

f:id:football-analyst:20211014100139p:plain

SHのプレスが入った時に行われる

このパターンは「外回りの動かし」を行うことで、中央を使うことを考えられている方法だ。この図のように、、CB→SBとボールを動かしてCFとSHのプレスを呼び込む。

これでSHの背後、SBに対してIHが縦にサポートを行うことで、SBを呼び込みつつ中央を開ける。

この時にボールサイドCFはSBの背後をとる動きを加えることでリールのバックスのスライドを強要させる。

さらにCFとOMFでCHをピン止めすることで、空間(CF–MFのライン間)でDMFがボールを受けることが可能になる。このようにしてザルツブルクはレイオフを完成させていた。

そしてここから広い方向へ展開していく。

f:id:football-analyst:20211014101244p:plain

広い方へ!!!

このようにDMFカラマ(IHの時もあり)がフリーかつ前向きでボールを持つことができるので、簡単に広い方向への展開が可能になる。さらにこの時にIHで絞り込んだSHをピン止めしているので、さらに外のSBへのパスが通りやすくなっている。

もちろん、リール全体をスライドさせていたことも大きく関係。このような方法でもザルツブルクは前進して崩しの局面に移行していた。

 

2−3:SBの背後

そして最もシンプルな方法。それがSBの背後にボールをを流し込む方法だ。これは2−2で解説してた「IHのサイド流れ』の時点でSBを釣り出したときに、レイオフの洗濯ではなく、SBの背後のCFへのパスを選択したときにこの攻撃が発動する。

そしてこの攻撃で猛威を振るっていたのがCFのアデイェミだ。この若武者のスピード感とテクニックは本物で、確実にリールのCBに脅威を与えていた。

個人的にはこのシンプルな攻撃が最も怖いものだと感じた。当然、この攻撃を繰り返せば、単調になり、間延びしてトランジションが機能しなくなるは理解している。それでもアデイェミの能力が最も生きるであろうこの攻撃をたくさん見たい気はした。

 

強度で上回ったザルツブルク

勝負を分けたところは確実に「強度」の部分だろう。リールのプレス強度や球際の部分が決して低かったわけではない。当然、高いレベルにあった。だがその上をいったのがこの試合のザルツブルク。セカンドボールへの反応速度やボールの移動中に寄せる速度は確実にリールを上回っていた。まさに翼を授かっているかのような軽やかさ。さすがはレッドブルグループ。

この勝利でこの混戦するグループで一歩先にでたザルツブルク。オーストリアの絶対王者はこの最高の舞台でどこまで翼を広げ、羽ばたくことができるのだろうか。とても興味深く、そして見ていてシンプルに面白いこのチームに注目していきたい。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

次回の記事もお楽しみに!!!

 

YouTubeもしているのでチャンネル登録もお願いします!

www.youtube.com

 

ではまた次の記事で!