【真っ向勝負】UCL ラウンド16 1st Leg インテル×リバプール

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皆さん、どうも。今回はチャンピオンズリーグ1stレグのインテル×リバプールのマッチレビューを行っていきます。僕は「挑戦者」のインテルがどのように試合に臨むのかがとても気になる試合でした。蓋を開けてみれば、シモーネ監督は自分の信念をそのままぶつけていく、真っ向勝負を挑むことで勝利を収めようとする勇敢な姿勢が見えました。結果は敗戦となってしまいましたが、内容とリバプールに向かっていく姿勢はとても好印象でした。

それでも試合を支配されながらも、勝利をつかんでしまうリバプールの強さには脱帽です。クロップ監督の交代策、選手個々人のレベルの高さ、そして勝負強さ。

最高のチーム同士、最高の舞台だからこそ、このような熱く面白い試合になったのではないでしょうか。

では前置きはこの辺りにして、早速この試合のレビューを行っていきます!最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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スターティングメンバー

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リスクよりもメリットを!

僕が密かに予想していたのはインテルは自陣でブロックを作り出して、ロングカウンターを打ち込む方法を採用するだろうと考えていたのだが、見事にその予想は裏切られることになった。シモーネ・インテルが選択したのは、ハイプレスだ。インテルの守備の基本はミドルプレッシングなのだが、この試合ではリバプールの良さを潰しにかかった。当然、前線にはサラーとマネという爆速ストライカーがいるので、ハイプレスを行うのには相当な勇気が必要だろう。

そしてインテルの選手たちはその恐怖を押し退けて前に出る選択をした。このハイプレスこそが、選手に、サポーターに、そしてインテル全体に勢いをもたらした。

ではシモーネ監督が授けたハイプレスとはどのようなものだったのだろうか。

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人中心でハイプレスを行う。
この時にSB⇆WBの距離を予めかなり縮めておくことで、SBからのロング/ミドルパスを相殺する。
さらにアンカーに逃げられることも防ぐためにここにはブロゾビッチを押し出す。(中盤もマンツーマン)
こうなると3CB vs 3トップになるが、ここまで良い状態で届けられることのないように、かなり強度を持ってプレスを行っていた。

この試合でポイントとなったのが、リバプールバックラインから出てくるロングパスもしくはミドルパスだ。ここを潰しにかかるために、2CBには2CF、SBにはWBが対応を行う。ここでWBの立ち位置がかなり前になっていて、SBとの距離を縮めているかいないかがハイプレスが嵌るか嵌らないかの分かれ目だったと思う。

リバプール相手にWBの背後を開けることは、サラーとマネにスペースを与えてしまうということだ。ここにボールを落とされてしまうと、対応仕切るのは難しい。それぐらい、今のサラーとマネはスーパーなプレーヤーだ。

だが、インテルはそのスペースに落とされる前に潰しきることを選択。その結果がWBのSBへのプレスだ。

この守備を完結させるためにインテルは外誘導を行っていた。だからファビーニョの所までブロゾビッチが出てくることで、中央の前進ルートを消しにかかったのだろう。

では外誘導をした時に、どのように守備を完結させていたのだろうか。

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サイド誘導してから。
ここでもポイントになるのがWBのプレスの掛け方。
WBはSBの利き足を消すようにプレスを行う。ボールサイド中盤は引き続きマンツーマンで守備を行う。さらに3CBもマンツーマンを続行。特に降りる降りるジョタにはCBデフライが着いて行って対応を行う。
ボールと逆サイドの選手はしっかりとスライドを行ってカバーポジションを取りながら、圧縮できる距離感を維持していた。

サイドに誘導するとWBはアレクサンダー=アーノルドとロバートソンに対して利き足を封じるようなプレスを行っていた。ここのプレスの掛け方が存外に上手く、これが先ほど触れた「WBの背後・CBの脇のスペース」を消す大きな役割を果たした。

リバプールはこうなると内側を経由して前進を考えるようになるのだが、ここも潰すためにIHがマンツマーンを続行。さらにリバプールはCFジョタが中盤に降りてヘルプを行うのだが、ここにはCBデフライがしっかりと対応し切ることで、逃げ道を防いでいた。

何度も言うがとても勇気がいるプレスだったと思うし、小さくないリスクもあっただろう。だが、インテルはそのリスクを上手く管理し、隠し、そして前で奪い切ることとリバプールの良さを消すことに成功していた。

インテルは守備から試合の流れを手にした印象を僕は受けた。

 

リバプールがチャンスになるときは?

当然、リバプールが全く何もできなかった訳ではない。 例えば11:40〜のリバプールの前進方法。これはリバプールの十八番と言ってもいいのではないだろうか。インテルからするとこれを消したかったので、先のようなプレッシングを行った。

この局面はSB⇨WGへのミドルパスを打ち込むことで2ndボールを作り出す。この時にWGにミドルパスを打ち込むことで、インテルバックスのスライドを強要させる。これで2ndボールを回収し、素早く前に送ることでCFジョタがボールをピックアップすることでポイントを作ることができる。これはインテルCBをスライドさせてプレーベクトルを横向きにさせることで、中央でポイントを作り出すことが可能になる。

この状況を作り出すことができれば、ピッチを斜めに切り裂きながらゴールに向かうことが可能になる。リーグ戦のバーンリー戦ではこのパターンが多く見受けられ、この試合でも同様に見受けることができた。

だからインテルは「そもそもミドルパスを撃たせない、もしくはミドルパスの精度を落とす」ために、WBが利き足を封じるような真っ直ぐ向かっていくプレッシングを採用したのではないだろうか。

 

間延びと広がりと優位性の拡大

今季のインテルというと「間延びと広がり」がキーファクターとなるだろう。インテルのマッチレビューの過去記事でもこの間延びと広がりについては多く触れさせて頂いている。そしてリバプールに対してもこの方法は十二分に通用することを証明してみせた。インテルは広がりを持ち間延びをさせて優位性を得ると、その優位性をすぐさま広げていくことを考えながら攻撃を仕掛けていく。

ではこの試合ではどのようにしてポイントを作って優位性を得て、攻撃を仕掛けていたのだろうか。

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広がりを持つ方法と持てる場所。
基本的に広がりを持てるのは場所はWGの背後になる。ここで広がりを持てるのはWBでSBを止めていることが大きく関係。さらにチャノハノールとブロゾビッチが組み立てのヘルプを行うことでリバプールの中盤を引き摺り出す。一方でビダルはあまり組み立てに参加することはせず、その先の2ndボールにアタックさせるような立ち位置をとっていた。

インテルが行ったのはシモーネ監督が植え付けた「プレスを誘導して引き込む」ビルドアップだ。特にこの試合では、ブロゾビッチとチャノハノールがバックラインまで降りたり、3列目でヘルプを行ったり、場所をその都度修正しながら出口もしくは幅を作るCBに時間とスペースを与えるプレーを行っていた。

これで上の図のようにWGに対して手前と背後で数的優位を作り出すことができていた。そいてWGの背後にボールを届けることで、起点を作っていく。

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WGの背後で広がりを作るCBにボールを届ける方法

このように広がりを作るCBにボールを届ける方法は上の図のパターンが主なものとなる。これはブロゾビッチの立ち位置(チャノハノールも)でCF–WGの門も広げることで、WG背後のCBに届けることができるようになっていた。

さらにジェコへのミドルパス⇨CBへの内⇨外の回避方法も持ち合わせていた。だからここの2ndボールにアタックするために、ビダルはあまり下がることがなかったのだろう。例えば34:20〜からの前進などは(ここではビダルは回収しなかったが、その兆候は見える)とてもわかりやすいのではないだろうか。

先ほども少し触れたが、付け加えるとWBでSBを止めているので、WGの背後で受けたCBが時間とスペースを得ることができていた。

これでここから一気にスピードを上げて攻撃を仕掛けていく。

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リバプールの中盤をひっくり返す+スライドを強要

門を広げて縦パスを通してポイントを作る方法とミドルパスでリバプールの中盤をひっくり返すと、リバプールはボールサイドにスライドを行わなければならなくなる。これはCBでSBのプレッシングを呼び込むことができるので、起こり得る現象だ。(当然、ハイプレスを行うリバプールの戦い方があることも大きく関係してることも忘れてはいけない)

これでCB⇆SBの時間を利用して背後をアタックしていく。特に対角のWBへのフライスルーパスを多用し、このパスがかなり効いていた。また背後に落とさなくても、逆サイドのWBに持っていくことで、WB vs SBを作り出すことで、個人の勝負に昇華することも叶っていた。特にアレクサンダー=アーノルド vs ペリシッチの勝負はペリシッチに軍配が上がっていた。

最初の内はよりダイレクトにゴールに迫れるCFへのスルーパスを出していたのだが、ファンダイクが最強過ぎて、だんだんとそこを避けるようになった印象だ。ほんまにファンダイク、一人で全部止めてしまう…。だからこそ、WBへの対角のパスが多くなっていたのだろう。

これがCBで広げて優位性をすぐに使って広げていく方法だ。

当然、場所を入れ替えながら攻撃を仕掛けるインテルは、局所で数的優位を作り出して、ポイントを作ることも行っていた。

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ブロゾビッチやチャノハノールとバストーニとシュクリニアルの入れ替わりを利用

例えば52:06〜の組み立て。選手が入れ替わることでリバプールのプレスを空転させることを狙う。さらに局所で瞬間的に数的優位を作り出すことで、前向きの選手を作り出すことができていた。これで先述したものと同様に、対角にパスを送り込むことで、スピードアップをして攻撃を仕掛けていた。

このようにして、インテルは広がりと間延びを作ってそこをポイントにすることで、スピードアップして攻撃を完結させることでリバプールゴールに迫っていた。

彼らの攻撃は「相手が戻り切る前に!」を体現している感じがした。そのためのプレスを呼び込み、引き込んでからの攻撃なのだろう。

 

補足:出口の担当

補足として、個々人に託されていた出口の担当についてをまとめておきたい。あくまでも基本的なもので、プレーエリア、局面、状況によってその担当が変わっていたので、あくまでも「補足」として触れておきたい。

 

・WB

⇨背後の出口担当。特にダンフリースは中盤のヘルプを行わないようになっていた。だから常に高い位置をとっていたし、逆に彼が低い位置でボールを引き取ってしまうと失う印象があった。だからダンフリースの推進力を生かすための立ち位置になっていた。

 

・IHとDMF

⇨中央の出口担当。特にチャノハノールがそのタスクを全般的にになっていた。当然、中央だけではなく、サイドに流れて受けることもあるので、一概には言えないので、注意してほしい。

 

・シュクリニアルとバストーニ

⇨これは先ほども触れたようにWGの背後での出口になっていた。ここにボールを届けるのが、ハンダノビッチの大きな役割にもなっていた。これは基本的に不変のものだと僕は思っている。

 

・CF

⇨当然、彼らは広がったライン間でミドルパスを受けることで出口となる。またWBペリシッチが下がった時の斜めの出口としても機能していた。

 

これが主な出口の担当になっている印象だ。先ほども述べたが、プレーエリア、局面、状況によってその担当が変わっていたので、あくまでも補足だ。

 

参考までに過去記事もぜひ。

www.soccer-bunseki.com

 

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リバプールの修正

リバプールはハーフタイムでジョタに替えてフィルミーノを投入する。これが大きく機能する。ジョタよりもフィルミーノの方がプレーエリアが広く、縦の動きだけではなく、横のヘルプも頻繁に行う。これが徐々にCBの対応の遅れを生むことになる。そしてそれに追い討ちをかけるように、ディアスとヘンダーソンとケイタの投入。より走れて仕掛けれる選手、そしてトランジションで強さを発揮する選手を投入することで、優位に立とうと試みていた。またSBがWBと距離を作り出すことで、ミドルパスも打ち込めるようにもなっていた。

このようにして、リバプールはインテルの遅れを生じさせることで2ndボールを回収できるようになっていき、そしてディアスのドリブルを存分に生かして攻撃を仕掛けることができるようになっていた。

 

差は勝負強さか?

インテルの試合と言っても過言ではなかっただろう。だが終わってみればリバプールが0−2で勝利を収めている。枠内シュート2本で2ゴール。勝負強いとはこのことだろう。これがトップオブトップを走り抜けているチームなのだろう。本当にインテルの試合だったと思うし、なんなら今季のトップ3に入る試合の内容だった気がする。あと一歩届かなかったインテル。その壁を越える一歩が大きかったように感じた試合だった。2戦目は「情熱の要塞」アンフィールドだ。とても難しい試合になるのは間違いないが、この試合のように勇敢に真っ向から勝負を仕掛けてほしい。

とても面白く、楽しい試合だった。ありがとう、インテルとリバプール!!!

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

次回の記事もお楽しみに!!!

 

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