【間延び・広がり・被り・段差】スーペルコッパ・イタリアーナ決勝 インテル vs ユベントス

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皆さん、どうも。今回はスーペルコッパ・イタリアーナ決勝のインテル×ユベントスについてを考えていきます。最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

YouTubeでも考えてみたので、こちらもご覧頂けると嬉しいです!!!

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ではブログでのレビューもお楽しみ下さい!

 

 

スターティングメンバー

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人中心で考えるユベントス

まず考えていきたいのはユベントスの守備についてだ。ユベントスはインテルのビルドアップに対して前から圧力をかけていくことで、中盤背後(DF–MFのライン間)をぼかし、全体を広げられる前に狭くして潰し切ることを考えていた。

だから担当の守備をある程度はっきりさせて、人を中心に守備を行った。

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人中心の守備。
3バックにはCFとSHが向かっていき、中盤は特にマンツーマンを意識。
インテルWBが上がってきてバックスと同人数になるが、ここまで到達させない守備を考えていたので、ある程度は許容。
一応、担当はSB⇆WBになっていた。
これでGK以外は人をキャッチ。

特に人をキャッチするのが顕著だったのが、ブロゾビッチ、バレッラ、チャノハノールに対して。例えIHがサイドに流れようとも、CHはしっかりと着いていくことで満足にプレーを行わせないようにしていた。

そしてボールを奪いたいのはIHやDMFへの外⇨内のパス。ここを掻っ攫ってショートカウンターに出ることでゴールに迫ることを考えた。だから横パスが出る前の選択肢を削るためにCBにも積極的にSHを当てに行っていたし、現に先制点を奪ったのはユベントスで、狙い通りの形からの攻撃でリーグでも圧倒的な堅守を誇るインテルからゴールを奪って見せた。

インテルは自陣内での広がりを作り出すゆえに、横パスが引っかかるとネガトラが掛かり切らないことが多い。だからこそ、ユベントスはそこを狙い撃ちするために『人中心の守備』を行ったのだろう。

 

だがこのハイプレスは試合を通して続くはずもなく、さらにインテルの人とボールの動かし方によって剥がされていくことになる。

 

パターンから最善を選択するインテル

インテルは広がり、間延び、段差、そして被りを作り出すことがかなり上手い。そしてそれを生み出すためのパターンが数個ある。そこに入る選手変われど、動く場所と選手間の関係性の土台は一緒だ。

そしてその中から最善の選択をすることで、インテルはユベントスのハイプレスを躱し続け、ボールを保持し、試合の主導権を握った。

ではここからはそのパターンを考えていきたい。

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バレッラのサイド流れによる前進。
この場合はCHを中央から引きづりだして中央にスペースを生み出す。
そこに降りてくるのがCF。中盤まで降りてくることでCBとの距離を作ってポイントを作り出す。ユベントスの「人キャッチ」を利用した方法。

この方法が試合開始〜65分辺りまで最も見られた方法だ。これはラツィオ戦でも行っていたし、バレッラのプレーエリアの広さとダンフリースの推進力、ジェコ(ラツィオ戦ではサンチェス)のピックアップ能力を利用した方法だ。

最初に触れたように、ユベントスの守備は基本的に人中心に考え、マンツーマンで圧力をかけることを行った。インテルはこれを利用して、バレッラがサイドに流れることで、ラビオを中央から退かしてジェコが降りてくるスペースを創出。そしてそこにボールを打ち込むことで段差の背後(DF–MFのライン間)でポイントを作り出すことができていた。

これがスムーズに行えたのも、ユベントスがGKハンダノビッチまでプレッシングを行わなかったので、呼吸を整える場所を確保できていたからだ。だからバレッラがポジションをとる時間を作り出すことができて、中央にスペースを創出することが可能になっていた。

さらに、このような方法もある。

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WBが下がってボールをピックアップ。この時にSBを釣り出してその背後にIHが抜け出すことでここでもCHを中央から退かすことを行う。
これでブロゾビッチが個人でスペースメイクをすることで、外⇨内のパスを受け取る。

ここでポイントとなるのがWBでSBを釣り出すことができているかどうか。このパターンが詰まってしまう時はSBを釣り出すことができずに、IHが抜け出すスペースがなくなってしまうとき。そうなると中央でIHが横のサポートを行うので、ユベントスを動かすことができずに、場所を狭くされ易い。

現に失点シーンはIHが抜け出すことができずに、ブロゾビッチへの横パスを回収されてショートカウンターでやられてしまっている。

だから上の図のように、SBを釣り出すことができ、SBの背後にIHが抜け出すことができれば、CHを中央から退かすことができるのでブロゾビッチが個人でスペースメイクをしてボールを引き取ることができていた。

だがこのパターンは先ほども触れたように、SBを釣り出せないときのリスクが高いので、徐々に選択しなくなっていた。

では次のパターン。

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CBへのロングパスを打ち込む前進方法。
ブロゾビッチのバックライン参加とIHとCBの入れ替わり。
これでCBが高い位置で幅を作り、WBが1つ内側。
IHが開けた場所にCFが入って下の組み立ての出口も用意。

ここで考えるのが「勝てる場所」と「被りを生み出す」ということ。これを考えるために、IHがユベントスSHの近くに降りることで、CHとSHのマークを被らせることを行う。このバレッラとチャノハノールの降り方が絶妙だ。

そしてIHが降りることで、CBのシュクリニアルとバストーニが幅を作り出すことで、GKからのロングパスを引き出す。

仮にここでSB vs CBに持ち込むことで、競り合いの勝率をあげることで「勝てる場所」を作り出す。この方法でインテルはユベントスのハイプレスをひっくり返すことで前進を行っていた。

 

そして65分過ぎから増えたのがユベントスのMF–DFのライン間を使ったプレス回避、前進を行った。これはユベントスのハイプレスによる疲労による間延びも大きく関係している。

ではどのようにしてライン間でボールをピックアップしていたのだろうか。

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ライン間でボールを受けるCF。
ハイプレスを呼び込んでDFラインと分断を誘発する。

何度も触れるようにインテルはGkがフリーになることがほとんどだった。だからこそ、GKからCFへのロングパスを送り込むことで前進を行う。

そのためにインテルはIHがバックラインの近くまで降りることでユベントスのCHのプレスを呼び込む。これでCHとバックラインの分断させる。当然、ここでボールをピックアップすることで一気にスピードを上げて攻撃を仕掛けていた。

ここの分断をうまく利用して、攻撃を仕掛け続けることができていた。

 

押し込んで回収できる設定

インテルはプレスを回避することで、ユベントスのプレスを止めて押し込んでいく。

そこでインテルの特徴としてCBバストーニとシュクリニアルの攻撃参加と2nd回収率の高さだ。だからCBが攻撃参加ができ、攻撃を完結できる回数が多い。

ではなぜ押し込んで、回収できるのかを考えていこう。

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ラインの作り方。
ボールサイドのCBの攻撃参加と逆サイドのCBとDMFのラインを作り出す。

このように、CFモラタに対してはデフライ、ブロゾビッチ、ボールと逆CBで囲い込む。これでカウンターをある程度封じ込める。これが表せるなら1−2のラインだ。このラインを作り出すことで、ボールサイドのCBが攻撃参加が可能になる。これをすることで、5枚でサイドの攻略を図る。このサイドで攻撃が詰まったら、攻撃の目線を変えるために、+1を作り出すことを行っている。さらにこの+1がセカンド回収の要員になっていた。

だからこそ、インテルは常に攻撃を仕掛けることが可能になっていた。この設定方法を見ていくだけでもとても面白い試合だった。

 

劇的。

ユベントスのハイプレス。そしてそれを躱すために最善の方法を選択していくインテル。この構図が試合を通して続き、そしてファイナルサードでのせめぎ合い。特にエリア内のユベントスの守備の矜持は守備の楽しさを表しているものだったし、そこを崩すために攻撃を仕掛けるインテルは攻撃の楽しさを表現しているものだった。

そして最後は劇的な決勝点。堅い試合になることが多い決勝だが、立ち上がりからフルスロットルでかなり見応えのある試合だった。

ドラマもあり、戦術的にも面白く、そして熱かった決勝。ぜひ皆さんもディレイ観戦してみてほしい。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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