今回はセリエA インテル×フィオレンティーナについてを考えていきます。今季からセリエAにも手を伸ばしていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
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スターティングメンバー
Chapter1:移動と距離の管理
まず触れていきたいのがフィオレンティーナの守備だ。彼らが行った守備は、確実に王者インテルを苦しめ、そして先制点を奪って前半を折り返すという、これ以上ない前半を過ごすまでに至っていた。
この守備の肝となっていたのが、それこそ「ボールの移動中」にどこまでマーカーまで寄せることができるかということだ。
ではこれを基盤に、フィオレンティーナはどのような守備を行っていたのだろうか。
フィオレンティーナは前から全てのポジションを当て嵌めることで、インテルにプレッシャーを与えていく。とくに潰していたのがDMFブロゾヴィッチのところ。彼に存分にプレーをさせないように、DMFトレイラが前まで出てきて予めブロゾヴィッチを消すことを行っていた。
致命傷となるのが、トレイラ⇆ブロゾヴィッチで遅れが生じたとき。例えばインテルの36:35〜の組み立てを見ればわかるように、トレイラの遅れが生じると、ブロゾヴィッチに前を向かれてしまい、一気に縦に早い攻撃で完結されてしまう。
だからこそ、ここは予めトレイラがマークし、さらにそのマークは徹底していた。
ではこの当て嵌めからどのような状況に持ち込み、ボールを回収していくのだろうか。
このように外側のCBにパスが出るとそこにはWGが真っ直ぐプレスを行う。こうすることで、背後でIHを消して外側を選択させるように促す。さらにこのボールの移動中にSBがWBまで出てくることで、WBを捕まえる。もちろん、逆サイドではしっかりと縦・横共にスライドを行うことでカバーポジションを取る。
これで上の図の青のエリアでボールを回収することを考える。
ここでも「ボールの移動中」がポイントとなる。例えばWBへパスが出るときに、ここにはWBともう1枚内側からIHがプレスをかける。これでWBで蓋をすることでボールを回収する確率を上げていく。
さらにロングパスだ。フィオレンティーナはインテルの長いパスを蹴らせる場合には、決まって「深い位置」からそのボールを蹴らせることを行っていた。
だからCBを押し込むために、WGがプレスをかけることと、CBへのパスが入るときに、できるだけ早くSBがWBの近くに立つように心がけていた。
これを行ったことで、フィオレンティーナはCBのロングパスに飛距離を出させずに、インテル陣内に押し込むことに成功する。さらに、CB→CF(ジェコ)へのパスが届くまでの時間で、IHとCBで挟み込めるように、IHがプレスバックを行っていた。
このようにして、フィオレンティーナは移動と距離を管理してボールを回収して、攻撃に出て行っていた。
総じて、フィオレンティーナの「ボールの移動中」のプレーはかなり高いレベルにあったのではないだろうか。
Chapter2:距離を管理できなかったインテル
一方のインテルの守備はどうだったのか。特に前半の守備はフィオレンティーナの違って、「距離」の管理ができていない印象を受けた。
ではインテルはどのような守備を行っていたのだろうか。
インテルもフィオレンティーナ同様に人を意識した守備を行う。特に中央を消す作業は必須で、サイド誘導から中に入ってくるパスを潰すことで、ボールを回収するという設定があるように僕には見えた。だからWBがSBに出ていくことが多く、その背後のWGにはCBがズレて対応を行うようになっていた。そのため、WBが出て行った際には3トップvs3バック(逆WBのプレスバックが間に合えば数的優位)の構図になることが多かった。というよりも、この構図を作られてしまっていた。これを作られてしまうことで、インテルは失点をしてしまう。
ではなぜ、この構図を作られてしまっていたのだろうか。
このように、右から左、もしくは左から右にボールを動かされたときに、インテルは『間に合わない場所』が生まれてしまう。それがふられたサイドのWBだ。
上の図のように、ふられたサイドのWBは最終ラインから出ていくことになるので、SBとの距離が開いてしまって間に合わないことが多くなる。
これでその背後のWGにロングパスを出されることになり、CBが晒されることになる。
ここで羽返せれば良いのだが、失点シーンのように跳ね返すことができずに、WGに抜け出されると、残りのフルバックがスライドを行い、カバーとCFのマークを行う
こうすると、大外のWGがフリーになってしまう。ここでフリーになるのは、ふられるサイドの起点となるWBがSBまで出て行ってしまっていて、プレスバックの距離が遠く、それが間に合わないからだ。
だから、逆のWGがフリーになっており、失点を喫してしまっていた。
こう考えると、インテルが勝負を仕掛けられていた場所は以下のエリアになる。
まず勝負されてしまう場所が先程も触れたWG vs スライドするCBだ。ここで背後に抜け出されると、失点シーンのような展開になってしまうので、CBは何がなんでも跳ね返すことを考える。
そうすると、次に勝負されてしまうのが手前のスペースだ。上の図でいう赤の四角のエリアで2nd回収の勝負に持ち込まれる。
ここで勝負するのはIHになるのだが、インテルはベクトルの関係で不利に陥る。インテルはフィオレンティーナSBにボールが入った時点で、IHダンガンがボールを引き受けにいくので、そこに対して当然IHがついていく。こうなると、その背後(CBとIHの間)にスペースができる。
ここに出ていくのが下がったフィオレンティーナIHが『前向き』に出ていき、インテルIHが『後ろ向き』に2ndボールを拾いにいく。
これがベクトルの関係でインテルが不利になっていた理由。当然、前向きにボールを回収しにいくフィオレンティーナの選手の方が優位になっていて、インテルはボールを回収できない場面が何度かあった。
Chapter3:移動距離を調整したインテル
前半、距離を管理できなかったインテル。この展開が続いたのならばフィオレンティーナが勝つ確率は高かっただろう。だがインテル新監督シモーネ・インザーギは、しっかりと距離の調整を行う修正を行った。
ではどのような修正を行ったのだろうか。
結論から言うと、サイドにふられた時のSBに出す選手をIHに変更したことだ。これを行ったことにより、IHとSBの距離が近いのでSBに圧力がかかるようになる。さらにWBがWGの近くに立ってマークを行い、さらに場所を埋めるので、SBが背後に出すパスの選択肢を未然に消すことができる。
さらにIHへのパスにはCBが前に出て潰すように再設定。こうすることで、フィオレンティーナ陣内でボールを奪えることが可能になっていた。
前半よりも確実に高い位置でボールを回収できるようになっていたので、インテルはショートカウンターを打てるようになっていたし、フィオレンティーナの前進を防ぐことができる、もしくは圧力をかけてミスを誘うことができていた。
大切なことを教えてくれる一戦
この一戦は大切なことを教えてくれる一戦だった。やはりどれだけボールの移動中にマーカーに寄せ切れるかがいかに重要なことかを改めて教えてくれる一戦だった。
特に前半のフィオレンティーナのその強度は目を見張るものだった。一方のインテルは間に合わないと見るや、距離も調整を行うことで、息を吹き返す。こうすることで、インテルはプレスが嵌るようになり、縦に早く、厚みのある攻撃でフィオレンティーナを粉砕して見せた。この攻撃力は魅力的だし、見ていて面白かった。
定期的にインテルの試合も見ていきたいので、頑張って時間を作っていこうと思う。
見たい試合が多いな。時間、、、笑
頑張ろ…!!!
今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
次回の記事もお楽しみに!!!
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