【2つの顔】LaLiga 23節 バルセロナ vs アトレティコ・マドリード

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(全文4,550文字)

皆さん、どうも。今回はラリーガ第23節のバルセロナ×アトレティコマドリードのマッチレビューを行っていきます!

今季、とても苦しんでいるアトレティコマドリード。彼らの堅守はどこへ行ってしまったのか。一方のバルセロナはレジェンドであるシャビの帰還により、チームは徐々に上向きになってきています。一時はボトムハーフまで沈むのでは無いかと感じていたチームは、気付けばCL出場圏内まで順位を上げています。そんな両極端なチーム状況の一戦について考えていきましょう!

 

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ではここから先のブログでのレビューをお楽しみ下さい!

 

 

スターティングメンバー

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アトレティコの守備(前半)

堅守でここまで上り詰めたシメオネ・アトレティコ。チームに全てを捧げるアトレティコの戦士たちに今何が起きているのかは僕には理解できない。(継続してチームを見てないので、詳しい方、教えて頂けると嬉しいです!)

多分、他の試合と同様この試合の守備も存外に脆かった。

まずは彼らの守備についてを考えてみよう。

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こちらが基本形となる。シメオネのチームが選択した守備は433(半ば451)で自陣で守備を行っていた。

個人としてはスアレスはブスケツ番を行い、SBにはWGを当て嵌めに行った。

こうなると問題になるのが CBの持ち出し。ある程度の持ち出しは許容するが、ハーフライン近くまでの持ち出しに対してはIHが持ち出しの制限をかけるように設定されていた印象だ。

この時にやはり重要になったのが「背後で消す」ことと「横スライド」だ。特に横スライドの早さはさすがと言えるものだったのではないだろうか。

そして前半で最も苦しんだのがSB vs WGのところ。特に新加入のトラオレに対してかなり苦戦した。

ここまでは主に個人の守備対応になるのだが、大元の問題はチームとしての守備に原因がありそうだ。

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僕が感じたのは「アトレティコマドリードはどこに誘導してどのようにボールを奪うのか」が不透明だったなと感じた。

多分チームとして行いたかったのは、外側の誘導だろう。ここをチームとして誘導していく事で、個人の守備対応に昇華した時に、より有利な状態でマーカーに対して勝負を仕掛けたかったのではないだろうか?

「有利な状況に持ち込んで個人守備に昇華する」事をチームとして上手く行えなかったのがアトレティコが苦しんだ原因だろう。

だから28分辺りでアルバのランニングとトラオレの突破を止めるために532へ明確に修正していた。

では、そもそもなぜチームとして上手く守備が機能しなかったのか。

これはバルセロナの組み立てに大きく関係していきそうだ。

 

バルセロナの組み立て

トラオレとアウベス、そしてトーレスがチームを1つ上のレベルへ引き上げたのは間違いないだろう。どこかちぐはぐしていたポジショニングがはっきりし、個々の技術と強みを最大限に発揮できるように設定された。

その攻撃の土台となるのが、やはり「組み立ての局面」だ。

ではバルセロナはどのようなビルディングアップを行い、崩しの局面に移行する事で、アトレティコに風穴を開けたのだろうか。

まず触れていきたいのがバルセロナ左サイドの組み立てから。以下の図を確認して頂きたい。

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左サイドでは主に2つのパターンがある。それがガビが幅を作るパターンとアルバが幅を作るパターンだ。

この図はガビが幅を作り出すパターン。主に左サイドでは5vs2を作り出す。この時のブスケツの立ち位置はさすがとしか言いようがない。

さらにIHフレンキーのポジショニングだ。シャビが監督になってから、IHの立ち位置と待ち方と動き方がはっきりした印象を受ける。この試合でも同様だ。フレンキーは必ずSB- CBの間に立つ事で、2枚の意識を引き付けて、幅を作り出すガビに一瞬のスペースと時間を与えていた。

これでアルバ経由かブスケツ経由かピケから直接、ライン間かつハーフスペースで待つフレンキー、もしくは幅を作るガビへパスを打ち込める。

バルセロナはアトレティコに対して「背後に常に潜る選手」と「1枚で2枚の意識を引きつけれる立ち位置」を取り続けていたことで、迷いによる遅れと、余分な横スライドによる送れを生じさせた。だから簡単に2ndラインを越えることができたのではないだろうか。

さらに、バルセロナは奥を取る方法も持ち合わせる。それがアルバが幅を作り出すパターンだ。

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やはり手前だけの攻略だと限界がある。アトレティコの守備が慣れると前向きに奪われてカウンターに出るチャンスを与えてしまう。

だからこそ、奥を取ることも大切になる。(押し込むためにも)

そして左サイドで奥を取る役割を担うのがアルバだ。ガビが幅を作るパターンと変わらずに、5vs2の局面は変わらない。違うのは選手の立ち位置だ。このパターンはフレンキーがアトレティコ2ndラインの手前まで降りてアルバを押し出す。この時にガビがSB-CBの間にポジションを取る。ガビがWGで起用されたのはここに大きく関係してきそうだ。

こうなると困るのがコケだ。コケはスライドして場所を埋めつつフレンキーの対応をするのだが、がっつり降りるのでタスク過小になる。この状況を作り出すことで、フレンキーが前向きで時間とスペースを得る事ができる。(仮にコケが着いてくれば、フレンキーに渡さずにトレースに縦パスを打ち込む。)

さらにアルバを押し出したので、それに呼応してカラスコがポジションを下げて対応する。これもフレンキーの周辺にスペースが生じたことに関係しているだろう。

そしてフレンキーから一気に背後にボールを落とす事で、アルバのフリーランを存分に生かしていく。

 

共にこのパターンでアトレティコをボールサイドに寄せたタイミングで、 ピケかブスケツ(2ndライン手前に降りるフレンキー)からサイドを変えることで、トラオレの質で縦突破を図る。後に触れるが右サイドではトラオレの縦突破で深さを作っていた。

では、その右サイドの組み立てについて触れていこう。

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なんと言っても右サイドはアウベスの存在だろう。彼が内と外をタイミングよく取り、さらにはアンカー役割まで担うこともあった。

その中でアウベスの役割は以下の通りになる。(上の図にも記載)

 

  1. WGを止める
  2. ペドリが下がってヘルプを行うタスクを代わりに担う
  3. ブスケツを少し前に押し出してその先のネガトラに絡ませる
  4. ブスケツを押し出すことでスアレスを押し下げて CBが持ち出すスペースを確保する

 

主にはこの4つだろう。特に3と4はアウベスのプレービジョンと技術が抜群だからこそ出来ることで、これによってブスケツはかなりの恩恵を受けていた。最も分かりやすいのは16:48のアラウホからブスケツの差し込むパスだろうか。

これはブスケツがミスをしてしまうが、アウベスが近くでフェリックスを止めつつ、ペドリのヘルプのタスクを代わりに担っていたこと、更にアラウホに持ち出させるスペースを創出したからこそ、ブスケツのマークが外れてパスを呼び込む事ができた。

アンカーにパスが入れば、アトレティコの守備をリセットする事ができるので、さらに前でポイントを作り出す事が可能になる。

もっと詳細にいくと、以下のような前進方法だろうか。

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先にも少し触れたように、アウベスのおかげでペドリが中心点を取れるので、SBを少し内側に引きつけれる。これでブスケツ経由でトラオレがボールを受けた際に「良い状態」から仕掛けに入る事が可能だ。当然、アラウホから飛ばしてトラオレ、もしくはアウベス経由のトラオレへのパスもある。

これでトラオレがボールを受けると、チャンネルをそのままペドリがランニングする事も、内側で並行を作り出すことも可能だ。

そしてもう1つが、トーレスのヘルプだ。

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このように、ブスケツが中心点から退くことで、コケの背後からトーレスが縦パスを引き出す。これでブスケツかペドリのサポートを使って崩しの局面にスムーズに移行する事ができるようになっていた。

 

アウベスが内に入るタイミングは?

ではアウベスが内側に入るタイミングはどんな時だろうか?これはフレンキーが関係していそうだ。彼が降りてくればアウベスは外側に立ってブスケツにスペースを供給していたし、降りない場合は、ブスケツのサポートを行っていた。当然、これだけではないと思うが、仮にこの方法が続くのであれば、もう少し探ってみたいと思う。

 

アトレティコの守備(後半)

前半、散々にやられたアトレティコ。戦士達がこのまま終わるはずもなく、彼らは腹を括って前から守備を行うことを決意した。これがかなりの効力を発揮し、バルセロナを苦しめた。特に54分の3枚替えから442のダイヤモンド型にする事で、前プレの強度を強めた。

2トップでCB、SHはIHへのパスコースを消しながらSBに出て行く形をとる。コケに関してはブスケツまで出て行き、アンカーを潰しにかかった。これによってバルセロナの選手に探す時間とポジションを取る時間を削り、蹴らせて回収するまで完結させていた。仮にこれを前半から行っていたらどうなっていたかはとても興味深いものだった。

 

バルセロナは前プレの形を見て、アウベスが中に入るのではなく2トップ脇を取るようになっていたし、フレンキーがブスケツの横まで降りてサポートを行うことも行ったが、アトレティコの強度が強く、上手く回避を行えなかった印象だ。調子が悪いとは言え、アトレティコはアトレティコ。彼らが腹を括った時のプレーはこちらまで熱くなるものがあるのは確かだ。

 

明暗が分かれた一戦に

バルセロナは確実かつ着実、そして大きな一歩を踏み出した。いくら調子が悪いとはいえど、昨季王者のアトレティコに対して4ゴールは立派なものだろう。試合内容に関しても、特に前半はサポーターが望むものが見れたのではないだろうか。立ち位置と技術、パステンポで相手を崩していく。さらにトラオレという弾丸特攻もできるようになった。ここからどのように進化し、シャビと共に選手達がどこまで高みに登っていくのか楽しみだ。

 

一方のアトレティコ。不安は不安。ここまで守備に繋がりがないアトレティコは初めて見た。今までの強固な守備はどこへ行ったのか。単体の守備が多く、そうなってしまうのはプレス制限と追い込む場所が明確じゃない事が挙げられるだろう。そうなるといくら対人が強い選手が揃っているとは言えど、数的不利な状況では対応は難しい。

いかにして有利な状態で個人守備に昇華出来るか。これを再考して作っていく必要がありそうだ。もしくは後半のように前からプレッシングを行っていくか。さてはて、シメオネ監督がどのようにチームを立て直すのか。ここもまた楽しみな1つだ。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

次回の記事もお楽しみに!!!

 

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