【保持するスタンスの違い】セリエA 第16節 ローマ×インテル

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皆さん、どうも。今回はセリエA第16節のローマ×インテルについてを考えていきます。最後までお付き合い頂けると嬉しいです!

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【4分で解る!ローマ×インテル】〜保持スタンスの違い〜 - YouTube

 

スターティングメンバー

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Chapter1:ローマの保持スタンス

まずはローマの保持スタンスから触れていこう。モウ・ローマの保持スタンスの目的は「ダイレクトにゴールに向かう」ことを意識して保持の局面を行っている。

だからこそ、ローマは最終ラインで保持をした時にインテルのプレスを呼び込むことを考える。

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まずこのようにローマのビルドアップ、保持の土台は3CBとDMFクリスタンテの4枚の菱形となる。これでインテル2トップに対して数的優位を維持していた。さらにローマはまずはWBをかなり高い位置まで押し上げることで、インテルのWBの立ち位置を下げる。そして最も特徴的なのが、DMFブロゾビッチ脇を取る選手がほぼ決まっていたということ。ローマはDMF脇をザニオーロとベルトゥになっていた。

ここからローマはダイレクトにゴールに向かうために以下のようにボールを動かしていく。

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このように3バックでボールを動かすことで、インテルIHを引っ張り出してDMFと逆IHのスライドを強要する。(インテルの守備は後述)

ローマはほとんどの場合、『1つ目の外への動かし』では前に進むことを選択しない。

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このようにローマは「各駅停車のパス」を選択。このパスを選択をすることでインテルの全体のプレスを呼び込む。そして逆の外側CBにパスが渡ると、上がっていたWBが下がってボールを引き取ることを行う。さらにザニオーロが下がることでCBを釣り出して「WBの背後・CBの脇のスペース」を創出する。

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そしてこのようにインテルの全体のプレスを呼び込み、背後にスペースを作り出すと、DMF脇の選手にパスを打ち込み、背後にIHが出ていくことで、早い攻撃を行う。この攻撃は右サイドでは「ザニオーロ⇨ムヒタリアン」で左側では「ベルトゥ⇨ショムロドフ」の抜け出しになっていた。またDMF脇で受けた選手が前を向くことができるのならば、そこからドリブルでゴール方向に向かうことを選択していた。

このように、ローマは「よりダイレクトにゴールを向かうこと」を選択し、だからこそプレスを呼び込み、スペースをアタックしていた。実際にチャンスを先に作り出していたのはローマだったし、ゴールに向かう迫力は良かったと僕は感じた。

 

Chapter2:インテルの守備

ではインテルの守備にも触れておきたい。

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インテルはこのように、2トップでDMFクリスタンテを消しながら3バックに牽制に出る。この時に外側のCBにパスが出るとそこにはIHがプレスを行うことが決まり事としてあった。さらに5−3−2、はたまたCBにIHを押し出すことを選択するインテル。そうすると空いてくるのがDMF脇のスペースだ。ここのカバーも明確になっていて、ここの担当はCBになっていた。だからこの試合、ベルトゥやザニオーロにはバストーニやダンブロージオが対応に出ていくことが多かった。

このように守備設定を行うことで、以下の場所でボールを回収することを狙う。

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このようにWB⇆WBに設定しているので、ここで前向きに対応することで外側で回収することを考える。またここでボールを奪えず、内側の選手の選手に逃げられることになることもある。ここにはDMFのスライドとCBの前の対応で、内側の選手を潰し切ることでボールを回収し、ショートカウンターに出ることを狙っていた。

だがChapter1でも触れたように、ローマはWBの背後にスペースを作り出すことを行い、WB経由のビルドアップを行わなかったため、奪いところを絞りきれなかった印象だ。だがそれでも無失点に抑えることができたのはGKハンダノビッチの好セーブと「ボール保持」にある。では次のChapterではインテルのボール保持についてを考えていこう。

 

Chapter3:インテルの保持スタンス

インテルの保持スタンスは『攻撃のポジションの整理とアタッキングサードに人を送り込むこと』になっていた。これを行うために、以下のような土台を作り出す。

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インテルも3バックなので3CB+DMFの菱形を作り出すのだが、さらにここにIHのチャノハノールが下がってビルドアアップに参加することが多くなっていた。これは後々触れる「CBの持ち出し」に大きく関係している。

さらに5枚の土台を作り出すことで、インテルもWBを押し上げることを選択していく。

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土台を5枚にしたことで、ザニオーロの場所でブロゾビッチとチャノハノールの2枚で数的優位を創出。これでダンブロージオ⇆バストーニのパス交換で逆サイドCBをフリーにする。このパス交換で、全体を一気に押し上げることを考える。さらにボールを受けたCBは持ち出すことで、攻撃に参加していく。ここで持ち出せるのはWBを押し上げたことで、ローマWBを押し下げてピン止めしているから。

当然、このCB間のパスが打ち込めないときはCFジェコやコレアが下がってきてリンクマンとしての役割を果たすことも行っていた。

このCBの持ち出しはコンテ・インテルのときにも行われていたが、シモーネ・インテルの方がより洗練されていて、崩しに絡んでいくことが多い気がする。

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WBが高い位置を取っていること、さらにIHバレッラと2トップが最終ラインと駆け引きを行うことでローマ5枚の最終ラインと数的同数を作り出す。そして上の図のようにCBが持ち出すことで5枚+1の状況を作り出すことが可能になるので、ローマ5枚の最終ラインに対して数的優位を作り出すことができる。だから持ち出すCBに誰が対応するのかが曖昧になり、その迷いの分だけ駆け引きとクロスを送り込める時間を得ることが可能に。実際に3点目ダンフリースのゴールはこのようにして生まれたものだった。

 

速攻と遅攻の二刀流

ローマは主力を欠く戦いになったが、決して悪い内容ではなかった。明確な戦い方を示し、王者に対してしっかりと牙を剥いた。だがコーナーキックでの失点、対応策を出す前の追加点、そしてゴールを奪うために前に出ると、昨季のコンテのフットボールのような縦に早いダイレクトな攻撃。まさに二刀流。出ていけばダイレクトフットボールを、引けばポゼッションフットボールを展開される。だからローマは常に後手を踏んでしまうことになってしまった。仮にローマが先制点を奪っていたとしても、ロースコアにはならずに打ち合いになっていたことは容易に想像できる。それだけローマにもゴールを奪い切るだけの迫力はあった。ローマにとっては上位に食い込むための、インテルに取っては首位に離されないための、重要な一戦だった。それも絡み、かなり面白い試合だったので、ぜひ皆さんも時間があればこの試合を覗いてみてほしい。

がんばれ、モウ・ローマ!!!!

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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