【対応と修正の掛け合い】プレミアリーグ第15節 ウェストハム×チェルシー

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皆さん、どうも。今回はプレミアリーグ第15節のウェストハム×チェルシーについてを考えていきます。最後までお付き合い頂けると嬉しい限りです!

 

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スターティングメンバー

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Chapter1:ウェストハムの守備

1−1:ハイプレス

まずはウェストハムの守備についてを考えていこう。彼らはまず、5−2−3、もしくは3−4−3の形で守備を行うことで、チェルシーの土台に対して牽制、圧力を加えていくことを考えた。だからこそ、このような守備になっていた。

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ウェストハムは真っ向からチェルシーに向かっていくことを選択。だからこそ、3−4−3の布陣で、各場所で捕まえれるように立ち位置を取る。この時に重要になっていたのが、2−3のブロック。3トップでジョルジーニョとロフタスチークをぼかすことを行いながら、3CBに向かっていけるような守備ポジションを取る。さらにその後ろのライスとソーチェクはジエクとマウントをぼかしながら、ジョルジーニョとロフタスチークに出ていけるように立ち位置を取っていた。

こうすることで、中央を経由させずに外側に誘導することを考えていた。外側に誘導したときにWBに対してWBが早めに対応できるように予め高い位置をとるようになっていたことも好印象だ。この立ち位置をWBが取ったことで、ウェストハムは後ろに重たくならずに、割と高い位置で守備を行えるようになっていた。

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そしてアントニオがシウバに対してプレスを行うと全体の守備のスイッチが入る。外側のCBに誘導すると、そこにはボールサイドのSTが出ていく。この時に当然、背中でCHを消しながら出ていくように徹底されていた。またSTとリンクしてボールサイドWBとCHも縦にスライドして明確にボールサイドを狭めていく。これで逆CHが中央にスライドし、バランスをとることで、守備の形を完成させる。もちろん、フルバックもしっかりとスライドを行っている。

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そしてボールサイドを狭くして回収することで、ショートカウンターに出ていくことを狙っていたのがウェストハム。何度か引っ掛けてアントニオを中心にショートカウンターを打ち込めそうになっていたが、狙った場所とは少し違う場所での回収、もしくはプレスを回避されてしまうので、上手く守備から攻撃に移ることができなかった。

このハイプレスが剥がされると、ウェストハムはローブロックに移行する。ではローブロックではどのような決まり事があったのだろうか。

 

1−2:ローブロックでの守備

ローブロックでは基本的に5−3−2、もしくは5−2−3で構えることが多くなっていたウェストハム。当然、2CHの脇を取られてことが多くなるのだが、その『取られ方』の許容の違いがある。それが「内側⇨外側のパス」か「外側⇨内側のパス」で取られるかの違いだ。

結論から述べると、「内側⇨外側のパス」はOKで「外側⇨内側のパス』はNGというようになっていた。

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このように内側から外側へのパスはWBが対応でき、そして時間を稼げるのである程度許容していた。このパスが出ることが多かったのはやはりフルバックから。特に中央CBのシウバや手前で受けるCHジョルジーニョからパスが出ることが多くなっていた。

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次にこのような状況、外側から内側へのパスは打ち込ませたらいけないようになっていた。このようにリュディガーが持ち出すとき、さらに逆ではジェームズが少し低めの位置で起点を作ったときに、残るCHライスの脇を取られることが多くなる。この状況に持ち込まれてしまうと、CBが対応に出るので最終ラインに段差を作られてしまう。だからこの状況に持ち込まれることをウェストハムは嫌っていた。それでも守れていたのは、最終ラインにしっかりと人数を揃えていたからだ。

では内側⇨外側のパスを誘発した場合はどのように守備を行っていたのだろうか。

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このように外側の選手(WBや入れ替わるST)にパスが出ると、そこにはWBが対応を行う。ここでWBは時間を稼ぐ守備を行うことで、チェルシーCHを捕まえていたCHのヘルプを待つ。これに連動して、STが縦スライドしてCHをマーク。さらに中央に残るライスもスライドしてボールサイドSTを消しにいく。これで逆STが縦スライドで場所を埋める。

こうすることで、中央に差し込ませずに外側でボールを回収、もしくはバックパスを選択させることでチェルシーに崩しの局面を満足に行わせなかった。

 

このようにして、ウェストハムはチェルシーに対して守備を行ってロンドンスタジアムのサポーターを熱狂させてみせた。

 

当然『後の先』のチームであるチェルシーはしっかりと対策に対して適応していくことで、攻撃を行う。では彼らはどのようにしてウェストハムの守備を掻い潜っていたのだろうか。

 

Chapter2:チェルシーの適応

早速、チェルシーの適応についてを考えていこう。触れていく場面はこの場面。

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先ほども触れたように、ウェストハムはこのようにしてサイドに追い込むことを考える。これに対してチェルシーは「1つ奥」を見ることで回避を行っていく。

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このようにWBジェームズで幅を作ると当然、横のサポートをロフタスチークが行う。この時にロフタスチークは前に少し引っ張ることで、捕まえに来たCHライスを動かし、1つ奥の空間で待つジョルジーニョへのパスコースを創出。この時にウェストハムCHが対応できるのでは?と感じるかたもいるだろう。だが、横スライドの最中に急な方向転換で縦に対応することになるで、若干の遅れが生じてしまう。その若干の遅れの分で、ジョルジーニョは前を向くことができる。

そしてそれをいとも簡単にこなしてしまう技術が彼には備わっている。当然ここで前を向くことができれば、ウェストハムの守備をリセットすることができる。だからチェルシーはウェストハムにハイプレスからローブロックの守備に移行させることに成功していた。

 

だがその先の攻撃はウェストハムの守備が硬く、侵入することが難しくなっていた。それでもジョルジーニョとロフタスチークが作った段差の背後でマウントやジエクがボールをピックアップすることで、崩しの局面には移ることができるようになっていた。そしてハーフスペース奥を取ってマイナスのクロスからチャンスを作っていたが、あと一歩が届かなかった。ここに明確な目指すべき人、目指すべき絶対的なストライカーがいればまた状況は変わってくるだろう。チェルシーはルカクの完全フィット待ちだ。

 

ウェストハムの修正

この試合、ウェストハムは2つ修正を加えるのだが、その1つ目が行われたのは24:30秒辺り。これを行ったことで、修正前よりかは「1つ奥」を使われることが少なくなっていた。

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このようにSTランシーニが中央に絞ってCH番を行うようになっていた。特にジョルジーニョ番を行うようになる。これでボールサイドCHがチェルシーCHに出ていくことで、場所を狭くしていく。

だがこの修正は『残るCHの脇』を空けてしまうことになるので、ボールサイドCHが出ていく時間を利用されてCH脇をSTやCFに使われてしまうことになる。

だからこれを受けてウェストハムはハーフタイムで明確な修正を行う。これが2つ目の修正になる。

 

Chapter3:確実性の低い状況に持ち込まれた修正

当然、ウェストハムは修正を加えた。この修正がチェルシーを苦しめることとなる。ではどのような修正を加えていたのだろうか。

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このように立ち位置を5−3−2に変更することで予めCHを捕まえている状況をウェストハムは作り出した。

こうすることでチェルシーはCBで数的優位を作り出すことが可能になる。だからこそクリステンセンやリュディガーからライスの脇のスペースに縦パスを打ち込めるようになる。これを許容したのがウェストハムで、CB⇆STのパスの距離が長くすることを考える。これを行わせたことでパスの移動時間を利用してウェストハムCBが前に出て対応できるようになっていた。

このように守備の勝負する場所を修正していた。そしてこれがチェルシーが最も確実性の低い状況に持ち込むことができていた。

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このようにアントニオがCBの間に流れることでボールを引き出す。特に左サイドに流れてボールを受けることが多くなっていた。ここでフィジカル勝負に持ち込むことで、手前にセカンドボールを作り出す。ここでウェストハムは5−3−2にしていることで、ボウエン、ソーチェク、ランシーニでセカンドに反応。

現在のチェルシーはこの勝負に持ち込まれてしまうと、一番確実性の低いものになってしまう。現にここのセカンド回収が間に合わず、ボーウェンに同点ゴールを決められてしまった。

ここにきて負傷者の多さ、球際の勝負で勝ち切れるコバチッチや危険な場所に先回りしてリスクを消したり、奪い切る能力のあるカンテの不在が大きく響いた試合だったような感じた。

 

今季初の複数失点…

ここ数試合、内容は確かに良いものとは言えなかった。しかしそれでも負けないのは「今季はタイトルを獲れるぞ」と思わせてくれるものだった。そして今節のロンドン・ダービー。今季初の複数失点。ここにきてぼかし続けていた多くの負傷者の不在に嘆くことになった。特に中盤の底の守備の強度。そこの勝負に持ち込ませなければ、良いのだが、この試合はそういう訳にはいかなかった。全面にフィジカルの強さを出してくるアントニオとそれを生かすウェストハムの戦い方。さらにソーチェクの飛び出しとそれによる全体の押し上げ。その相棒にはライスというカバーエリアの広さと危機察知能力がこれで多少強引でも攻撃を完結し、そしてボールを回収できるのではないだろうか。当然、チームとしてしなければならないことをきちんとこなしているからこそできる芸当だろう。これでリバプール、チェルシーと下したウェストハム。彼らの強さは本物だろう。

ここからの過密日程をチェルシー、ウェストハムともにどのように乗り切るのか楽しみだ。

 

最後までありがとうございます!

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