皆さん、どうも。今回はプレミアリーグ第14節のワトフォード×チェルシーについてを考えていきます。最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
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スターティングメンバー
Chapter1:引き剥がせない前半
ミッドウィーク開催の試合。チェルシーは怪我人も多く、メンバーを入れ替えて試合に臨んだ。これが結果、特に前半に苦しむことになる大きな要因となってしまった。
では早速、チェルシーが苦しんだ理由についてを考えていこう。
試合の立ち上がりから、プレッシングの色を強めたワトフォード。このようにワトフォードは外側のCB、チャロバーとリュディガーに誘導することを考える。ここに誘導するために、2CHのロフタスチークとサウールに対してIHのシソコとクレヴァリーがマンマークを行い、SHペドロとデニスがWBを捕まえることが設定。さらにチェルシーの3トップに対しては4バックが数的優位を作り出していた。これで外側CBにパスが出るとSHがWBを背中で消しながらプレッシングを行う。
これでワトフォードは中央にパスを誘導してボールを回収。この時にCHと中に入ってくるWBにの中間ポジションにIHがポジションを取り、DMFがスライドしてカバーを行って逃げられないようにリスク管理。このようにワトフォードはハイプレスの色を強めてチェルシーに対して圧力を加えていく。
そしてこの守備を行われたチェルシーは、中央を経由することができずにバックラインから中盤を飛ばしてSTやCFへのパスが多くなってしまう。「中央を経由できない」前進が多くなっていくと、ワトフォードのMF–DFを引き伸ばす、引き剥がすことができずに、コンパクトな陣形を保たれてしまう。
だからこそSTマウントやプリシッチ、CFハヴァーツに縦パスが入ったとしても、中盤にスペースを作り出していないので、狙って潰されてしまっていた。
また、中盤に入ったCHロフタスチークやサウールの中央でのボールのピックアップ能力が満足いくものではないので、このような状況に陥ってしまっていたのではないだろうか。お互いが横並びになった時に、ボールがを受けたい場所が被ってしまうことが多いので、中央経由というものができなくなってしまっていた。そもそもこの二人は中央でボールを受ける選手ではないので、CBに対してパスコースを作り出すことができていなかった。だから上記のよう中盤を飛ばしたパスが多くなってしまう。
ここからわかるように、チェルシーはいつもよりも『縦を広げる』ことができず、STがライン間を使うことが難しくなり、ゆえにワトフォードにコンパクトな陣形を保たれて、ショートカウンター⇨クロス爆撃で攻撃を仕掛けられてしまっていた。
もちろんトゥヘルはボールをプレーできるように明確な修正を加える。ではどのような修正を加えていたのだろうか。
Chapter2:縦に広げるための修正
前半は上手くボールをプレーすることができずに、かなり苦しんだチェルシー。その理由はChapter1でも述べた通り、「中央を経由できない」ことが大きく関係している。だから中盤の背後にスペースを作り出すことがままならなかった。
これを見兼ねたトゥヘルは前半でサウールを下げてシウバを投入。そしてボランチにチャロバーを置いた。
この修正を加えたことで、以下のように優位に立てる場所が多くなる。
このように「縦関係」の数的優位を作り出すことが最終ラインで行えるように。この時にチャロバーを頂点に菱形を作り出すことがポイントなる。こうすることでロフタスチークとマウントでワトフォードIHをピン止めすることができるようになっていた。だからプリシッチとハヴァーツが2トップのような立ち位置になり、ワトフォードのフルバックとDMFを止めることが可能に。だからそれに起因してWBと外側のCBのところでも縦で数的優位を作り出すに至る。
そして以下のようにボールを動かせるようになっていた。
このように菱形の頂点に入るCHチャロバーでワトフォードIHを釣り出すことができるので、中盤に段差を作り出すことができる。これは前半にはできなかったことで、だからライン間にスペースが生まれてくる。そしてそこでボールをピックアップするのがマウントであり、ロフタスチークだ。当然、ここにDMFが出てくることもあるが、そうなるともう1つ先のプリシッチやハヴァーツがボールを引き取る動きを行う。またWBでSBを釣り出すこともできるようになっていたので、その背後にハヴァーツがばがれて起点を作ることも多くなっていた。この動きも前半にはなかったもので、だからMF–DFのライン間を引き伸ばす、広げることが徐々にできるようになっていく。
そしてこれを繰り返すことで、徐々にワトフォード中盤を下げることができて、次はFW–MFのライン間を広げることができるようになっていく。
だから「いつものように」3バックで起点を作り出すことができるようになっていき、そこから中央のチャロバー(負傷交代した後はロフタスチーク)を一度経由することで、ワトフォードIHを釣り出して中央に寄せてサイドへ展開することで、WBとその先のSTやCFで数的優位を作り出す攻撃を仕掛けられるようになっていた。
この試合の決勝点のジエクのゴールはまさに「一度中央を経由する」ことでワトフォード全体を中央に寄せて、サイドで優位に立つ攻撃から生まれた、緻密に設計されたゴールだろう。
広げるために必要なのは…
広げるために必要なのは「一度中央経由する」ということだ。幅を最大限活用するにはまずは中央を使って全体を寄せなければならない。この試合はこの重要性がかなりわかるものとなった。前半と後半のプレーを見れば明白だろう。中央を一度経由するために、バックスでの時間の作り方、そのためのCHのパスコースの作り方がいかに重要か。そしてジョルジーニョとチアゴシウバの優秀さが嫌というほど理解できる試合だったのではないだろうか。縦に広げること。個人的にこの重要性をかなり痛感した試合だった。そしてそれをピッチレベルでいち早く気付き、きちんと修正を加えるトゥヘル監督の確かなフットボールを観る眼とそれを完璧に理解して実行する選手たちが末恐ろしい。このような難しい試合を勝ち切ることができたのは、これから先、大きな財産になるだろう。
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