Football Base 〜サッカー戦術分析〜

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【UEL】ヨーロッパリーグ決勝 セビージャ×インテル 〜歓喜の涙を流すために〜

 

 

はじめに

色々起こった今シーズンも残るところUEL決勝とUCL決勝の残り2試合となった。そして先に行われたUEL決勝。どちらも完全復活を遂げるため、そして来季への糧にするためにこのタイトルは是が非でも獲得したいものだ。そしてこのタイトルを見事勝ち取ったのは『ヨーロッパリーグマスター』のセビージャだ。優勝した瞬間の選手達、何よりもコーチ陣達の「勝利の涙」に胸を打たれた人は多いのではないだろうか。では今回はその「勝利の涙」を流すためにロペテギ監督のセビージャの戦い方に焦点を当ててこの試合を読み解いて行こう。

 

スターティングメンバー

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弱点を突きながらのサイドチェンジ

セビージャが一貫して行ってきたであろう、相手を動かす事。こと、サイドチェンジにおいては確実にシーズンを通して行って来たと確信が持てるものだ。(申し訳ないが、再開後のセビージャ×ベティス、ELユナイテッド×セビージャしか見れてない…)

そこでこの試合、インテルの弱点を突きながら、サイドを変え続け、インテルの選手達のズレを作り続けた。ではどのようにサイドチェンジを行っていたのか。

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まずセビージャはサイドチェンジを行うためにこのような陣形をとる。ボールサイドで主に幅を作り出すのはSBとWGだ。ロペテギ監督が両SBにかなり攻撃力のある選手を配置していることがここに現れているのではないだろうか。このSBとWGに幅を取らせることで全体をボールサイドに寄せるか寄らないのならば、ハーフスペースを攻略しながらペナルティエリアの深い位置を取って行く。そしてこの時にSBが高い位置をとるためにIHがリスク管理のために少し低い位置をとる。これがインテルの守備の弱点を突けることになる。

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このようにセビージャが時間を持てた場所はインテルIHの前とその横のスペースだ。ここで時間を持てたので、インテルIHにプレスかステイかの判断を迫らせることができる。さらにここでWGがWBをピン留めしているので、そう簡単にWGを捨ててWBはSBにプレスに行くことができない状況に追い込むことができている。仮にWBがプレスに来るのならば、WGがフリーで抜け出すことが可能になる。(何度かこの場面を見受けることができた)

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仮にIHが出てきたのならば、バネガが上がってIHの背後を取るか、オカンポスが中に入ってバネガ経由でそのスペースを使うことができる。この2つのパターンがあ主だったが、よりこの試合で使われていたのが、WGオカンポスが中に入るパターンだ。だからWGが中でSBが幅を取る形を最初から取っているように見えたが、そうではなく、WGとSBで幅を作り、その次のプレーでWGが中に入っていた。そしてこのバネガ(IH)経由で中への縦パスが多かった理由があり、その理由が「サイドチェンジ」を行うためだった。

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サイドチェンジを行う場合はIH経由でサイドを変えることが多かった。だから先ほども少し触れた、「IH経由で縦パスを打ち込む」ように設計していたのではないだろうか。そしてセビージャはサイドチェンジを行うことでインテルの中盤をスライドさせる。この時にSBが中を取ってサイドチェンジの受け手の役割を担い、WGが幅を作ることでWBの意識を引き、ボールを受けたSBへのプレスを行わせないように仕向ける。これで時間を得れるSBは一度WGにパスを出して広げることで、IHがヘルプを行える時間を稼ぐ。

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そしてこのようにWGがボールを受けると、IHがヘルプに来る時間を稼ぐ。その時にWGヘパスを出したSBはすぐに幅を作り出す。これはWGのスソがカットインすることが多いので、オーバーラップするためにこのようなポジションを取るのと、IHがヘルプにきたときにトライアングルを作り出すために、幅を作り出す。これで遅れてスライドしてくるインテルIHの出方を見て、ハーフスペースへ差し込むのか、スソとナバスでサイドを攻略するのか、もう一度サイドを変えるのかの判断を決める。このようにしてセビージャはインテル中盤の脇を中心にボールを握り、攻撃を仕掛け、完結させていた。

 

この攻撃は今シーズン、ロペテギ監督が積み上げてきたもので、それはインテル相手でも、ヨーロッパの舞台でも通用するということが証明された試合だったのではないだろうか。

 

インテルのハイプレスを剥がすために

セビージャは上記の攻撃に入るためにインテルのハイプレスを剥がさなければならなかった。そしてセビージャはこのプレスを上手く剥がすことができていた。ではどのように剥がしていたのか。

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まずインテルの守備はこのようになっていた。CBに対してはCF、DMFに対してはDMF、IHに対してはIH、3トップに対しては3バック、SBに対してはWBがマークを行う。(ボールサイドWBはSBを捕まえ、逆WBはバックラインに戻る)これでインテルは高い位置でボールを奪う、またはミスを誘うことで回収して、ショートカウンターを狙っていた。だがこのプレスを上手く剥がすことができたセビージャ。ではどのように剥がしていったのか。

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まず一つ目がロングパスを使った剥がし方。インテルはほぼ全員がマンマークプレスを行ってくるので、まず行うことがSBがWBとの距離を稼ぐために深い位置を取ること。これでボールを受けた時に時間を多少なりと持てる。さらにDMFフェルナンドに対してブロゾビッチが出てきて、IHジョルダンが下がることでガリアルディーニを前へ釣り出すことができる。こうしてできるのがライン間のスペースだ。ここへロングパス(裾への縦パスもあり)を送ることで一気にインテルの前線と中盤をひっくり返すことができる。これがシンプルだが一つ目の方法だ。ではもう一つの方法はどのようなものだったのか。

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もう一つの方法はまず、バネガとフェルナンドが入れ替わる動きから始まる。この動きをすることに意図として、DMFブロゾビッチとバレッラのマークの受け渡しを強制させることだ。これを強制させることで、遅れを発生させて、中央に降りるバネガがボールを受けることができる。

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バネガが中央でボールを受けると、インテルWBはプレスが嵌り切っていないので、SBにプレスに行くことができない。だからバネガはSBへのパスで一度広げることが可能になる。

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そしてこのようにSBで一度広げることができると、WBが遅れてプレスにくることになる。この時にIHがサポートにくることでインテルIHを釣り出すことができる。これでできるのがロングパスの時と同様に、ライン間にスペースを作り出す。そしてこのスペースを使うためにWGへの縦パスを打ち込む。

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WGにパスが入るとIHが動き直しでボールを前向きに受ける。これでプレスを剥がすことでサイドを変えながら、前進をしていた。このようにセビージャはインテルの守備を工夫しながら掻い潜ったことでインテルにショートカウンターを打つチャンスを与えず、自分たちの理想とする攻撃を仕掛けていった。

 

守備の局面は?

では守備の局面はどのようなものだったのか。

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まずは高い位置からの守備について。これはインテルの守備と似ていて、基本的に人を捕まえるプレスを行う。3バックに対しては3トップ、DMFに対してはバネガ、IHに対してはジョルダンとフェルナンドがマーク。これで中央にボールを出させることでボールを引っ掛けて回収を行う。また、出し所をなくすことでロングパスを蹴らせてそれを回収していた。

また自陣に入った時はこのような形を取る。

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このように自陣に入った時はWGがWBを意識する形を取る。これで3バックは自由にボールを持つことになるがそれは許容していた。さらにCFとバネガでブロゾビッチを挟み込み、IHを捕まえておくことで、CBからラウタロまたはルカクへの縦パスを狙って奪う。このようにしてボールを奪って攻撃に出ようと試みていたので、ディフェンディングサードに入った所付近でファールが多くなっていたのではないだろうか。

このように守備を行い、インテルの遅攻は防ぐことができていた。実際にやられたのはカウンターとセットプレーだったので、十分に守備は機能していたといってもyいのではないだろうか。(もちろん、瀬戸際で防ぐこともあったが、これは終盤、インテルが形を崩しながら攻撃を仕掛けていたためだろう)

 

まとめ

スペイン代表監督の電撃辞任から、レアルマドリードの監督に就任し、半年での解任、そして見つけたセビージャというクラブ。就任1年目で、しっかりと結果を残し、ヨーロッパリーグのタイトルを勝ち取って見せた。このタイトルまでの道のりは険しいものだったに違いない。だからこそ、試合が終わった後、あのような涙が出たのだろう。そして自分が作り上げてきたチームが結果を残したことに誇りを感じたのだろう。今シーズン、このセビージャの試合をもっとたくさん見ておくべきだったと感じれる良い試合と整理された戦術だった。インテルもとても良いチームだったが、それを上回ったセビージャ。来シーズンにもかなり期待の持てるチームの一つだろう。ぜひ皆さんもこの決勝をご覧いただき、来季のセビージャに注目してもらいたい。

 

 

 

終わりに

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