今回はPremier League2節 アーセナル×チェルシー、ビッグロンドンダービーについてを話していきましょう。
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では早速、この試合についてを考えていきましょう!
スターティングメンバー
Chapter1:悩めるアーセナルの守備
開幕戦、ブレントフォードに敗戦したアーセナル。不穏な空気が漂う中でのビッグロンドンダービー。
アーセナルはチェルシーに対して、前から牽制をかけて満足にビルドアップをさせまいと考えた。ではどのようにしてこれを行っていたのだろうか。
1−1:最初に考えたであろう守備
ではまずアーセナルが最初に考えていたであろう守備から触れていく。
以下の図をご覧になってもらいたい。
こちらが最初に考えたアーセナルの守備だ。基本的に3バックにはSHとCFを当て嵌めに行き、WBにはSB、マウントにはジャカを、CFルカクにはCBで数的優位を作り出した。OMFのスミスロウはCHジョルジーニョとコバチッチを監視する役割を果たすのだが、数的不利な状態。だからボールサイドのCHを捕まえるタスクがあり、逆SHが内側に絞ってボールと逆CHを捕まえるように設定されていた。
唯一CHのロコンがのタスクが難しく、僕には中央に残ってOMFスミスロウとCHジャカのカバーと互換性を保つバランサーとしてのタスクを託されているように見えた。
最初のこの守備は割と機能するのだが、すぐにチェルシーは対応を行ってアーセナルの守備を無力化していく。(チェルシーの攻撃については Chapter2で触れる)
だからアルテタ監督はきちんと守備の修正を行う。
1−2:修正後の守備
最初の守備をかなり早い段階で無力化されたのでアルテタ監督はきちんと修正を加える。ではどのような修正を加えたのだろうか。
修正を行った場所は主にチェルシーCHのところだ。ここにジャカ(ロコンがの時もあった)を押し出して、OMFスミスロウと一緒にチェルシー2CHを捕まえるように修正。さらに、CFがCBを背後で消しながらGKまでプレスに出るように変わっていた。これは意識の問題で、より前から圧力をかけていこうというスタンスに変えたのだろう。
これでボールを蹴らせて回収、もしくはミスを誘導して回収しようと試みたが、何せ陣取りが存外に上手いチェルシー。
この守備にもすぐに適応して、空いている場所からスルスルと前進。そして攻撃を完結させていく。
では次の Chapterではチェルシーの攻撃についてを考えていこう。
Chapter2:場所の取り方と作り方
チェルシーの強さはこれに尽きる。と僕は思っている。この場所の取り方と作り方が上手いので、バランスを保ちながら前進を行うことができるのだ。きちんと場所を取り、空間を使っているので、前進の時点で引っ掛かることが異常なまでに少なく、全体を押し上げることができる。
ではどのようにして前進を行っていたのだろうか。
(アーセナルの守備プランを頭に入れて読み進めてほしい)
2−1:CHで時間を作る進み方
まずはCHで時間を作り出す進み方だ。これは個人的にマリノスと似ている気がしていて、場所(空間)を作り出して、そこに横パスを打ち込むことでCHがフリーで前を向けるという状況を作り出す。
この『横パスと空間』をマリノスも使い、チェルシーも同様に使う。
ではどのようにそれを作って使っているのだろうか。
CHが空間でボールを引き取る場合に多いのが、バックランとCHのところでボールを右から左(こっちのほうが多い印象)もしくは左から右(こっちは1つ奥へのミドルパスが多い印象)になる。
この試合のアーセナルの守備は上の図のようになっているので、全体をボールサイドに寄せれることが可能に。
そして以下のようにボールを逆サイドに持っていく。
多くはCBクリステンセン経由で逆CBのリュディガーへボールを動かすことが多かった。
もちろん、この時にCHジョルジーニョに一度縦パスを打ちこんで中央に寄せてから逆CBに打ち込むこともある。この一本の壁パスがより逆側のCBに時間を与えるプレーになる。そしてこの引き取り方とその精度が抜群なのがジョルジーニョだ。
とりあえず、CB経由、GK経由、CHの壁パスを打ちこんでからの場合、様々なパターンで逆CBにボールを届ける。こうなると上の図のように、迷わせることができるのが内側に絞っているSHだ。彼にプレスにいくのか、ステイするのかの判断を迫らせる。
そしてCHが空間でボールを受けれる場合は、SHがCBにプレスを行った時になる。
そしてこのようにCHがボールを空間で引き取ることができる。
これを完結させられるのは、多くの場所で『遅れ』を生じさせているからだ。そもそもボールサイドCHのマークの担当はOMFのスミスロウなのだが、逆サイドCHを捕まえているので、スライドが間に合わない。(間に合うこともあるけど、チェルシーのパススピードが早いので間に合わないことが多い。)
もちろんこれは中央に残るCHロコンガも同様で、スミスロウとジャカのカバーを行っていたので、ぎりスライドが間に合うかも?という状態だ。ここもスライドが遅れる。
さらにSBセドリック。彼はWBへのプレスのタスクがあるので、WBを経由されるとタスク遂行の意識があるのでCHへのプレスに遅れが生じる。
じゃあCBが出れば?と考える方もいらっしゃるだろうが、これは常識的にあり得ないし、そもそもCBが3列目まで出ていくことは時間がかかり、ポッカリとスペースを空けるだけになる。だから普通に考えればあり得ないのだ。
このようにチェルシーは多くの場所で遅れを生じさせることができ、それによってCHが横パスを引き取ることで空間でフリーになれる。特にチェルシー左側で起きていた現象で、これはアーセナル右SHペペの守備の不得意さを利用したものだったのではないだろうか。だから特にチェルシー左側でこの現象を多く見受けることができた。
2−2:STがボールを引き取る進み方
では次にSTがボールを引き取る進み方だ。これもどちらかというとチェルシー左側で多く見受けることができた。
これも2−1と同様に右から左にボールを動かす。この時にWBアロンソが高い位置を取ることでSBセドリックをピン止め。これでSTハヴァーツが降りていくことでCBリュディガーからボールを引き取る。
当然ここも2−1で話したように、ロコンガのスライドに遅れがあるのでハヴァーツがボールを引き取ることが簡単になっている。さらに奥深くまでSTが降りていくのでCBはそこまで出ていくことに躊躇する。もちろん出ていけば、背後にスペースを残すことになるので、CBからするとかなり難しい判断、決断に勇気が必要なプレーとなる。
このような理由があり、STが空間でボールを引き取ることも適っていた。
2−3:1つ奥を取る前進
では左から右にボールを動かした時にはどのようになるのだろうか。
左から右に動かす時も左から右に動かす時と同様だ。そしてこの1つ奥を使う時はWBジェームズが下がってボールを引き取ることが多くなる。この時にSBと距離を取ることで前を向ける空間を作り出して、前向きにボールを配球できる体勢を整える。
このように手前のSTマウントにパスを出すのではなく、1つ奥のCFルカクにボールを供給する。これはヴェルナーが入ると一気に奥深くへパスを供給して、背後にランニングさせ、ルカクの場合は手前に落とすことで、起点を作らせるように設定されていた。
ここで起点を作り出せるだけの天与呪縛のフィジカルと、修行で培ったボールコントロールがある。これでCBをサイドに釣り出して、起点を作り、マウントの内側のランニングを促す。これで一気に前進を行えるように設定もされていた。
ヴェルナーとルカク。それぞれの特徴を生かすことのできる攻撃の設定方法だと言えるのではないだろうか。
Chapter3:ルカクがもたらすもの
武者修行を経て、とてつもなく大きくなって帰ってきたルカク。誰がどう見ても、彼は最高のストライカーだ。チェルシーの英雄、彼と同様の衝撃だ。僕はまだ小学生だったが、ドログバのプレーに度肝を抜かれた。そしてこの試合も同様の衝撃だ。彼の青い血を引き継いだルカク。
彼がもたらすものはとんでもなく大きいだろう。まず保証されるの言わずもがなゴールだ。これは言うまでもないだろう。
さらに『基準』になれる。この試合でそれを証明した。ゴールを背負って、DFを背負っての安定感と強さ。だからこそ、一気に相手を引きつけることができ、他の選手がフリーになれる。これも紛れもなく、ルカクがチェルシーにもたらすものだ。もちろん、2−3で触れたように、逃げ道にもなってくれる。
ルカクがもたらすものはチェルシーのクロス攻撃のスタンスにも影響を与えそうだ。低いクロスが多かったが、上の滞空時間の長いクロスも増えてきそうだ。
これから先、多くのものをもたらしてくれそうなルカク。かつて憧れた理不尽なストライカーの再来のような気がして、僕はワクワクが止まらない。
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