共に逆転されて敗戦してしまった前節。再び勝利を取り戻すために戦った両軍。勝利を手にしたのはアントラーズだったが、上手く攻撃を仕掛けらたかというと、素直に肯けないと個人的には感じた試合だった。
ではなぜ、この試合では攻撃が停滞してしまったのか。今回はこれについて考えをまとめていこう。
はじめに
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ビルドアップの2つの問題
まずはここから触れていきたい。この試合でのビルドアップでの主なエラーは2つあった。それが、
- 降りるCHの問題
- CFの降りる動きとSHの関係
この2つだろう。
ではこの2つの詳細について考えていこう。
①:降りるCHの問題
この試合で取り組んだビルドアップ。その時の形は4-4-2のブロックを形成するセレッソの2トップの外側にCBが広がる形をとっていた。
このように2トップの外側にCBがポジションを取るようになっていた。
この形でボールを前進させることが難しかったので、徐々にCHレオがCBの間に降りてくるようになっていた。さらにCHが降りると今までのように荒木が開いた場所に降りるように設定されていた。(だがこれは後にエラーを生むことになる)
ここではCHレオが降りることのエラーについて触れていこう。
レオが降りる問題点として、後ろ向きでボールをピックアップしてしまうということが挙げられる。
だからこそ、セレッソのプレスを呼び込んでしまい、ミドルパスを半ば強制的に蹴らされることが多くなっていたのではないだろうか。
この後ろ向きで受けてしまうことにより、2トップに対して数的優位を作り出してプレスを止めること、相手を動かすことのメリットを獲得することができなくなっていた。
そしてこの先の展開でのエラーも起きてくる。
このようにレオが下がったことでミドルパスを受ける人がピトゥカになっていた印象だ。ここにボールを打ち込んだ時に、果たしてボールを収めることができるのかと疑問点が浮かんでくる。僕の印象のピトゥカは確実に上のパスよりも下のパスを得意とする、ボールプレーヤーだ。
だからこのように設定していることで、ピトゥカの良さは半減されていたのではないだろうか。
さらに、ミドルパスを供給する場所も間違っていたのではないだろうか。
CFに高さはないが、2ndを作り出すために最前線にボールを供給するべきだったと感じている。こうすることで中盤で2nd回収の勝負に持っていくことが可能になり、得意とする一種のトランジション勝負に持ち込むことができたのではないだろうか。
このように考えていくと『CBの間に降りる選手の設定』に疑問が浮かんでくる。確実によりボール回収能力が高い選手はレオで、よりボールの扱いが上手い選手がピトゥカだ。だからこそ、CBの間に降りる選手がピトゥカで、2nd回収要因がレオになる方が効率が良かったはずだ。
だがこの試合ではそこが逆になっており、個人的に疑問が解消できない点になっていた。(ここに関しての意見、考えを頂けると嬉しいです)
②:降りるCFとSHの関係
そして2つ目が降りるCF土居とSH荒木の関係だ。今までの試合はCFに土居、OMFに荒木が入っていたが、この試合ではSHに荒木、OMFに小泉という人選だった。
そして先ほども少し触れたように、CHが降りて開いたスペースに入るのがSH荒木になっていた。
こうなるとどのようなエラーが生まれてしまうのだろうか。
このように荒木がCHのような立ち位置を取り、その先パスコースを作り出すためにCF土居が降りてくるようになっていた。こうなると中央を開けることになるのだが、そこを使う選手がいない状態になることがアントラーズは多くなっていた。このエラーが起きたのが、SH荒木が3列目かつ中に入り過ぎたことに原因があるのではないだろうか。(そのように設定されていたっぽい)こうなると『SBとCBの間に立つSH』がいなくなることで、開いた場所を使う選手が存在しなくなる。
ここをSBが使えばよいのでは?と感じるかもしれないが、距離が遠いこと、さらに幅を取る選手がいなくなることで、CBのパスコースが1つ喪失してしまい、結局ボールを前に蹴り出す他なくなってしまう。
また仮に同サイドでショートパスで前進できたとして、SBが中寄りでプレーすることで中央が渋滞してしまう状況に陥る。現にこの試合では多くそのような場面が見受けられ、だからこそ攻撃が停滞していたのではないだろうか。
これら2つのビルドアップの問題点から攻撃が停滞してしまう原因が生まれていたと個人的に感じている。
動かすべきは?
ではアントラーズは攻撃を効果的に行うためにどこを動かすべきだったのか。
それは縦ではなく横だっただろう。この試合で行っていたのは、早い縦への展開。だがボールをうまく前進させれない状態でこれを行ったので、土居がラインを跨いでボールをピックアップする動きを加えるようになり、中央で渋滞が起こるようになっていた。
このようにCFが2ndラインを跨いでボールをピックアップしにいくと、セレッソCBは中盤にマークを受け渡す。こうなるとアントラーズはCBを動かすことができず、中に入るSH、OMF、CF、時にSBがかなり近い位置でプレーすることになるので、攻撃が狭い状態に陥ることになっていた。
だから、ここのサポートをCHが行うために高い位置を取り始め、その背後を使われるという現象が多々起こっていたのだろう。
ではどこを動かすべきだったのか。それは確実に横だ。中央に集まり、意地でも縦で突破しようとしていたアントラーズ。チャンスになる場面からも分かるように、縦が潰され、その2ndボールを拾え、そして逆サイドに展開した時にチャンスが生まれることが多くなっていた。これは能動的に起きたのではなく、偶発的に起こり得たものだろう。
能動的に横を動かすことで、セレッソのギャップを広げること、目線を変え続けること、身体の向きを動かし続けることを怠ったツケが今日の試合内容だ。
だからこそ、この試合では縦に動かすのではなく、横に動かすこと、もっと言うのならば広げることが重要になっていたのではないだろうか。
そうすることで先述したような現象を引き起こすことができ、そこで初めて中央に差し込むことができただろう。
今後、縦を動かせない時に横を動かすことにシフトすること、そしてそのための設定が必要と感じる試合内容だった。
動かすことが重要!
とにかくこの試合で触れたいことが動かすことが重要!ということだ。これはどの試合でもそうだし、どのチームでも行わなければならないことだ。もちろん、縦に動かすことができたのならば、段差を作ることができ、最短距離でゴールに向かうことができるかもしれない。だがこの選択ばかりとっていると、この試合のような停滞感のある攻撃しかできなくなってしまう。
だからこそ相手の守備の出方を見ることが重要なのだ。縦に動かすことができないのならば、広げて横に動かし、ギャップを作り出す。結果それが縦に入る道を作ることになる。遠回りのように感じるかもしれないが、何気ない横パスや広げるパスは、だから効果的なのだ。(もちろん1つ飛ばしのパスやサイドチェンジはめちゃくちゃ有効)
この先、今日のような展開に陥った時にどのようにアントラーズが攻略していくのか。広げて差し込むのか、無理矢理2ndボールの拾い合いに持ち込むのか。
今後の戦い方も気になる一戦だったのではないだろうか。
p.s.
守備についてはまた後日、元気があれば更新します。笑
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