【進撃のチェルシー】Premier League 35節 マンチェスター・シティ vs チェルシー

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チェルシーのシーズン終盤。『全てが決勝』と言わんばかりの試合が続く。(実際に2試合は決勝)その大切な一戦目、そしてCL決勝の対戦相手でもあるマンチェスター・シティだ。この試合は前哨戦とも言える一戦でFAカップに続いてペップ・シティを打ち破って見せた。では今回はこの試合のレビューを行っていこう。

 

 

 

はじめに

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シティの守備について

まずは形を変えてこの試合に臨んだシティについて触れていこう。FAカップ準決勝での戦いではチェルシーのCHに対してOMFデブライネが1枚で対応する形になっていた。ここの数的不利をFA杯では使われてしまい、前進されていることが多くなっていた。

 

だからペップはこの試合では3-1-4-2という布陣を使用することで、CHに人を当て嵌めることを狙う。

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シティの当て嵌め方

このようにCHに対してIHがマークを行うことでCH経由の前進を阻止する。2トップは3バックに対して数的不利になってしまうが、ここはプレスの掛け方で数的同数に持っていけるようにする。またIHが前に出ることで人数を合わせる場面も見受けることができた。この場合は、DMFロドリが縦スライドでCHをきっちり捕まえることでマークの補完をする。

こうすることでバックラインではそれぞれのマークが明確になり、対応を行いやすくなるように設定されていた。

そして以下の場所に誘導して追い込むことでボールを回収しようと試みていた。

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シティの奪いたい場所

このように、CFのプレスまたは牽制で外側のCBにボールを持たせる。ここからもう1枚のCFが中から外に向かってプレスをかける。ここでボールを奪えたらベストだが、そう簡単には奪えないので、次のパスを狙う。

そのためにCHに対してはIHがマークを行ったままスライドを行い、逆WBはSTの位置まで絞る。こうすることで同サイドCBをカバーポジションに移らせることができる。そしてWBへのパス、またはSTへのパスを潰しに行くことでボールを回収しようと試みていた。

 

このようにしてシティはCL 2nd legで見せたレアル・マドリードのような戦い方を選択していた。

 

そしてこの方法を経験済みのチェルシーは簡単にこのプレスを掻い潜っていく。

ではどのようにプレスを回避し、攻撃に出ていたのだろうか。

 

チェルシーのプレス回避

チェルシーは直近の試合のレアル戦でもCHを徹底的に消される守備を行われた。

以下がレアル戦のマッチレビューだ。気になる方はぜひ覗いてみてほしい。

 

www.soccer-bunseki.com

 

この経験と見てボールを動かせるチェルシーはレアル戦と同じようにプレスを回避していく。

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段差→背後

まず最もシンプルな攻撃パターン。それがSTが下がることでCBを釣り出してシティバックラインに段差を作り出してCBから背後に流し込むパターンだ。この中央から斜めにヴェルナーが抜け出すパターンはFA杯でも見せていた方法で、この試合でもジエクが下がることで、ヴェルナーのスピードを生かした。

だからこそ、何度もサイド奥深くをヴェルナーが抜け出したり、一気にゴールまで迫ることができていた。欲を言うならば、ヴェルナーの仕掛けがもっと巧ければ…と思うシーンが多かったことだろうか。だがこの試合でも確実にこのヴェルナーのスピードと抜け出しはシティに圧力を与え続けていた。

 

もちろん、他の方法もある。

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CBの持ち運び

この方法はレアル戦でよく見せていたパターン。CBにスペースを与えるために、周辺の選手が動きを加える。上の図のように、CHがボールサイドに寄らずに中央にステイすることで、一緒に中央にIHを止める。いわゆるピン止めを行う。さらにボールサイドWBが少し低めのポジションを取ることで、シティWBを釣り出す。この動きに連動して、WBが開けた場所にSTが流れる(サイドに流れる)。

これでCBが持ち運ぶスペースが生まれる。そして狙ったのがシティCBの判断を難しくさせることだ。

ではここからはCBの出方に対してのチェルシーの主な判断について触れていきたい。

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流れたSTにCBが対応した場合

まずはサイドに流れたSTに対してCBが着いて行った場合。この場合が最もシンプルで、CBディアスとCBラポルテのギャップがかなり広がるので、そこに持ち上がったCBリュディガーが背後にボールを流し込む。そしてもちろん背後に入るのはスピードスターヴェルナーだ。この方法が最もシンプルだが、シティ守備者は当然のことながらまずは場所を埋めることを選択する。

だからチェルシーは以下のように判断を変える。

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ST→外から流し込む

このようにシティCBが最初に場所を埋めた場合は外に開くSTへパスを送る。ここで時間を持たれること、そしてフリーで前進されることを嫌うシティはここにCBを当てにいく。これでチェルシーはCBを再び釣り出すことができるので、外から斜めに背後にボールを流し込むことができる。このパターンが最も見られたヴェルナーの抜け出せる方法だった印象だ。

 

もちろん、これらの方法が打ち込めない場合もある。その場合は以下のように展開する。

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サイドを変える

このようにWBが流れるSTを消しに来た場合はCBを動かすことができない。だがシティの守備により、逆サイドのWBが空いている。これは先ほども触れたようにシティWBが絞ってSTを捕まえる立ち位置を取っているからだ。もちろん、このサイドチェンジのパスが届くまでの間にシティWBがチェルシーWBの近くまで寄ることができていたのだが、この試合は終始ジェームズ vs メンディの局面でジェームズに軍配が上がっていた。だからこそ、ここの縦突破からクロス攻撃を仕掛けることができていた。

 

このようにしてチェルシーはまず背後を取り続けることでシティのプレスに迷いを与えて、全体を下げさせた。(それでもシティのラインは高かったけど。こいつらすげえ)

だからチェルシーはボールを保持できるようになり、ロドリ周辺のスペースを効果的に使って中央からの攻撃も仕掛けれるようになっていた。

ボールを支配するためのスペースを得るために、まずは背後を取りに行く。そしてプレスに出てこなくなれば、配置を整えながらボールを保持する。
 

ここの整理と共有が明確になったからこそ、チェルシーは負けなくなった。そしてこの整理と共有を尋常ではない速さで達成してみせたトゥヘル。彼もまた最高峰の指揮官だ。

 

チェルシーの守備とシティの回避について

この局面についてはYouTubeで解説したので、ぜひご覧になってもらいたい。

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本物だ、チェルシー

ペップ・シティに対して2連勝。この強豪シティとの対戦は残すところCL決勝のみ。きっとペップもこのまま黙っているわけがない。だが、今のトゥヘル・チェルシーは安定感抜群で、明確な武器を持ち、そして見てサッカーをし、剥がしていくことができる。僕自身の3バックの概念をひっくり返してくれたトゥヘル。このままの勢いで、FA杯、トップ4フィニッシュ、そして2度目のビッグイヤーを獲得してもらいた。そしてそれが十二分に可能と思わせてくれる戦いを見せてくれている。青春を共に過ごしてきたチームが強いのは純粋に嬉しい。そして新生・チェルシーに期待せずにはいられない。

 

 

 

 

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