何を隠そう、僕はチェルシーファンだ。「スペシャルワン」モウリーニョがチェルシーに来て、そこから僕はチェルシーのファンになった。正直、最初はモウリーニョのファンだったが、ドログバの理不尽さ、鉄人ランパードの勤勉さ、闘将テリーの気迫、神がかったセーブを連発するチェフ。彼らに魅了され、そして彼らが引っ張っていくチームに惹かれたのだ。魂のこもったチームに僕は惹かれたのだ。(金満クラブと友達からバカにされることもあったが。笑)
そして彼らが中心となり悲願のビッグイヤーを手にし、クラブを去り、ブーツを脱いだ。
悲願のビッグイヤーを獲得してはや9年。再びその歓喜の瞬間が訪れた。レジェンド達が去ってからの9年間は浮き沈みの激しいものだった。
そして補強禁止という厳しい状況に手を差し伸べたレジェンドのランパード。彼が築き上げたものは、新たなチェルシーだった。若手を積極的に起用し、そして彼らが中心になっていった。
彼らはレジェンドの意志をしっかりと引継ぎ今夜、2度目のビッグイヤーを手に入れた。
このタイトルが意味することは今後の未来が明るいことを意味するものだろう。
興奮冷めやまない中で、レビューを行うことは不毛かもしれないが、レビューを行っていこう。
- はじめに
- プレビュー
- YouTubeのレビュー動画
- スターティングメンバー
- ペップの狙いは?
- チェルシーの守備について
- 意識した早い攻撃
- シティの修正
- おめでとう、チェルシー!
- オンラインサロン「サッカー、一緒に考えん?」
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はじめに
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プレビュー
YouTubeのレビュー動画
スターティングメンバー
ペップの狙いは?
まず触れていきたいのは、ペップの狙いについてだ。プレビューでは手堅くいつも通りに闘うと予想していたが、やはりペップ。一種の奇策を仕掛けてきた。それがロドリ、フェルナンジーニョを使わないという選択だ。
ではこれにはどのような狙いがあったのだろうか。
まずはビルドアップの形から。シティは可変を行い3バックの形になることが多くなる。(ここは定期的にシティの試合を見れていないので、わからないが多分頻繁に行うことだと思う)
ここで僕が疑問だったのは、バランサーのプロフェッショナルのフェルナンジーニョを起用しなかった理由。(これはもっと深いところでの狙いがあったのだろう)
結果論になってしまうが、現にフェルナンジーニョが入るとボールの循環が良くなっている。
ではビルドアップの立ち位置に話を戻そう。
上の図のように、SBジンチェンコが内側にが入ることでIHの立ち位置へ。彼の立ち位置は明確で、STの背後、CHの脇に立つようになってた。ここにSBが入ってくるので、IHフォーデンがOMFの立ち位置へ。ここも立ち位置が明確で、チェルシーCHの間に立つようになっていた。
そしてもう1つ。過去2戦と違うのがWGの立ち位置だ。彼らが明確に大外でさらに高い位置をとることでWBを押し下げる役割を果たしていた。
これで中に入るSBジンチェンコとIHベルナルドにスペースができるようになっていた。
そして以下のように前進するように設定されていた。
このようにバックラインでボールを回すことで、チェルシー3トップのプレスを呼び込む。(動かすという表現の方が的確かも)
これで5-2-3の形で守備を行うチェルシーの中盤に対して数的優位を保ち、ボールをピックアップすることができていた。
もちろん、STがIHを消す場合もある。その場合は以下のように攻撃を仕掛けていく。
このようにSTがIH(中に入るSB)を消してきた場合はCBが持ち上がることでSTを動かすことができる。
この「空いた場所から」というのが実にシティらしい。これでシティはボールを保持することができていたのだが、チェルシーの守備により、「保持はできるが…」という状況に陥っていた印象だ。
ではチェルシーの守備はどのようなものだったのだろうか。
チェルシーの守備について
この守備に触れる時、必ず言わなければならないことがある。それが2CH、カンテとジョルジーニョがめちゃくちゃ頑張っていたということだ。彼らの縦・横のスライドの速さとその回数の多さは凄まじいものだった。
ではこれが念頭に入った上で、チェルシーの守備について触れていこう。
このようにSTがCBに対して牽制を行うと、その背後のIH(もしくは内に入るSB)に対してCBが対応するようになっていた。立ち上がりはここの対応に苦しんでいた。
だがトゥヘルの指示なのか、選手達自身の判断なのかは定かではないが、ここの対応が上記のようになっていた。
これを行うために、CFヴェルナーがDMFギュンドアンを監視するようになっていたし、STが明確にCBへ牽制を行うようにもなっていた。
これでCBが対応にいくと、そこの空いたスペースのカバーをCHが必要であれば行うようになっていた。
これでボールを奪うことができれば、一気に早い攻撃に出れるようにも設定されていた。
さらに、このような場合もある。
このように横スライドを行う場合もある。この状況になる時はIHがサイドに流れる時だ。こうなるとCHが横スライドを行ってそこに対応を行う。もちろん、この時にはCBも一緒に対応。これで逆CHが中央まで絞り、CHがスライドで開けたスペースを縦スライドでSTが埋める。
このようにして場所を狭くしながらボールを回収していた。
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紙一重のCBの背後
この守備を行う時の弱点として抽出されるのがやはり「出ていくCBの背後」だ。ここを前半は何度かWGスターリングやフォーデンに使われて攻撃を仕掛けられることがあった。
このようにCBの対応が遅れてしまった時に斜めにWGに抜け出されることでピンチになることが多くなっていた。このフリーランの強度とスピードを使うためにペップはスターリングのチョイスだったのではないだろうか。さらに後半、デブライネが負傷交代してしまったが、彼のワンタッチで外に逃げて再び受け直す動きは後半、シティが攻撃を仕掛けれる大きなヒントになっていた。
だがこのピンチもしっかりとWBジェームズが対応したこと、さらにはその先のクロス対応やカバーリングなど、アスピリクエタやリュディガー、シウバ、クリステンセンがしっかりと防いでいた。
意識した早い攻撃
ではチェルシーの攻撃についても触れていきたい。彼らは明確に過去2戦と同様、スピードを意識しての攻撃を展開していた。
だがシティのプレッシングが良くも悪くも中途半端だったので、ボールを保持できることができていた。だが、確実にトゥヘルの狙いは早い、スピードを意識した攻撃だっただろう。
そしてこの試合の唯一のゴールがまさに狙い通りだったのではないだろうか。
このゴールはシティのプレッシングが強まった時に起こりえたものだった。「待ってましたよ、そのプレス」と言わんばかりに、過去2戦と似たような攻撃方法だった。
題材にしたいのはやはりゴールシーンだ。シティが前の圧力を加えた時にチェルシーは例の如くWGの背後にボールを届けることでSBを釣り出す。これで横のサポートを行うSTがフリーになれる。これは過去2戦でもしていたことで、空間でボールを受けることの得意なマウント、ハヴァーツ、ジエクと彼らの特性を生かした攻撃になっていた。
そしてこの空間でボールを受けることで、次に動かすことができるのがシティCBだ。ここでボールを前向きに受けることで、必ずCBが対応にくる。ここの対応に来るまでの時間こそ、STがボールをフリーに持てる時間であり、周りの選手がアクションを起こす時間だ。
この対応に来るまでの数秒があれば、この選手たちは決定的な仕事をこなして見せる。
そして過去2戦と色合いが違ったのは2段階で背後を突いていくということだ。CFヴェルナーの役割は引き続き、SBの背後を狙うことで中央のCBを動かすことだった。だがここから先のボールの動かし方が過去2戦と違い、ヴェルナーへのスルーパスではなく、よりダイレクトで決定的な中央のスルーパスに設定されていた。
だからこの試合では抜け出すこともできるハヴァーツの選択だったのだろう。これでハヴァーツはSBの前をランニングすることができるので、先のボールを触ることができて、ゴールを見事に奪って見せた。
このようにチェルシーが意識したことは明確に早い攻撃であり、そのためのプランをしっかりとこなしていた。
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高い位置を取るようになったカンテ?
この試合、ビルドアップの時にCHのカンテが高い位置を取るような気がした。いつもならば3-2の形でビルドアップを行うのだが、この試合では3-1、もしくは4-1のような形でビルドアップを行っている印象を受けた。だからこそ、ジョルジーニョを消された時でも、カンテがポジションを1列上げるのでシティの中盤を動かすことができ、縦パスやサイドチェンジを打ち込むことができていた印象だ。
この方法はマウントがCHに入った時に見せていたもので、カンテの振る舞いも似ているものだった。1列前の動きを加えることのできるカンテ。末恐ろしい。
シティの修正
後半に入り、シティも修正を行った。それがSBの立ち位置だ。中に入っていたSBが明確にそとにポジションを取るようになったことでWBの1つ手前で時間を得れるようになっていた。
これでCHを中央から動かすことができていたが、チェルシーにはカンテがいた。彼のカバーエリアの広さとそのスピード、クリーンなタックル。(もちろん、ジョルジーニョのスライドとSTの縦スライドも)
ここの2ndラインの突破に手を焼いてしまい、外から入っていくことも難しくなっていた。だが確実に後半の方が攻撃を仕掛ける方法も回数も多かったし、チェルシーの各々の対人とフィジカルが強かったのが勝負の分かれ目だったのかもしれない。
おめでとう、チェルシー!
時間が進むにつれ、チェルシーは疲労感もあり、攻め込まれるようになった。だがそれでも身体を投げ出し、耐えて耐えて、2度目のビッグイヤーを手に入れた。
耐えるメンタリティはチェルシーのメンタリティなのではないだろうか。思い出せば、あの時の耐えて、耐えて栄光を掴んだ。もちろん当時よりも整理され、明確になり、より魅力的なフットボールを展開していることが間違いない。それでも根底にあるものは変わらず、しっかり引き継がれている。
耐えて、耐えて、栄光を掴み取る。それまでの過程を決して無駄にしない。そしてワンチャンスをモノにするこのチェルシーが痛快で好きだ。
波乱のシーズンだったが、最高の形でシーズンを締めくくれて一種の安堵感がある。これから先のシーズン、トゥヘルと選手たちがどのようなフットボールを展開してくれるのか。楽しみで仕方ない。
シティからすると悔しいでは収めきれない感情だろう。だが「敗戦が人をクラブを強くする」と僕は知っている。チェルシーもCL決勝でユナイテッドに敗れ、悔しい思いをした。そこから立ち上がり、強くなり、ビッグイヤーを手にして見せた。
この敗戦から立ち上がり、今でも十分強いシティがこれからメンタル的にも強くなる。そう考えると、とても厄介で同時にワクワクする。
これからも最高のフットボールを展開し、プレミアリーグ、そして欧州の舞台でもフットボールファンを興奮させてもらいたい。
選手、監督、フットボールに関わる全てのみなさん、今シーズンもお疲れさまでした!
来シーズンもフットボールを楽しんでいきましょう!そして来シーズンもよろしくお願いします!
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