【カリスマ率いる絶対王者を倒すために】UCL セミファイナル 2nd Leg チェルシー × レアル・マドリード

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鬼門の突破。戦術狂・トゥヘルと共にチェルシーはペップ率いるマン・シティの待つ決勝へ駒を進めた。トゥヘルがチェルシーの監督になって日は短いが、ビッグイヤーまであと一歩の所まで来た。ここまでチームを劇的に変えられる監督はいないだろう。

では今回はいかにしてチェルシーがカリスマ率いる白い巨人を粉砕して見せたのか。これについて考えていこう。

 

 

はじめに

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保持と非保持で変わった並び

まずはここから触れていこう。チェルシーの保持(攻撃)の並びはいつも通りの3-4-3になっていた。マウントとハヴァーツの2シャドーで、カンテとジョルジーニョの2CH、そしてヴェルナーの1トップだ。

一方の非保持(守備)の場面。チェルシーは非保持の局面になると5-3-2の形になる。

これを念頭に置いた上で、攻撃と守備の局面の詳細に触れていこう。

 

  • 空く場所と攻撃のきっかけ

まずは攻撃から触れていこう。まずはレアルの守備と空く場所から。

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レアルの守備と空く場所

このようにレアルは2トップで3バックの牽制、IHでカンテとジョルジーニョをマンマーク。さらにサイドではWBを当て嵌めることで、人を意識する守備を行い、対人の局面(1vs1)を作り出してボールを回収していこうという意図が見えた。

これに対してチェルシーは空く場所を見つけ出して、そこを使うことで攻撃を仕掛けるきっかけを作り出していく。

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CBの持ち運び

このようにレアルは2トップとIHでCH経由のパスを徹底して消すことを行っていた。これがかなり極端で中央に人を集めるようになっていた。だからこそ、チェルシーブロックの外、2トップの脇をCBが持ち上がることで攻撃のきっかけを作り出していく。

 

右サイドのきっかけ

まずは右サイドでの主なきっかけについて触れていこう。

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右サイドのきっかけ

右サイドでの主なきっかけは『CBが持ち上がることでIHを釣り出した時』になっていた印象だ。ここでIHを釣り出すことで、その背後のライン間をCHカンテが使うことが可能になっていた。これはクロースが前に出ることで、マーカーがいなくなると同時に、視野外に入れるのでマークを簡単に外すことができるからだ。

もちろん、ここのスペースをDMFカゼミロがカバーする。だがここでSTハヴァーツが下がることで数的優位を作り出す。さらにハヴァーツのヘルプをより有効化するために、WBアスピリクエタが背後に抜け出す動きを頻繁に加えていたことで、STハヴァーツのマーク担当のCBナチョをその場に留めることができていた。これでライン間で数的優位を作り出して攻撃を仕掛けていた。

 

この形でヴェルナーの先制点を生み出すことができていた。(この先制点はヴェルナーがカゼミロに対して数的優位を作り出していた)

 

左サイドのきっかけ

左サイドのきっかけも割と明確になっていた印象だ。

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左サイドのきっかけ

左サイドのきっかけは主に『CBが持ち上がりSTマウントが降りてくる』ものになっている印象を受けた。

これができるのはレアルIHのタスクがCHをマンマークすることになっているので、ブロックの外でマウントが受けれるスペースが広くなっていることが関係している。この降りる動きを加えることで、CBミリトンに対して判断を迫ることができる。それが「マウントについて行くのか」と「ヴェルナーの抜け出しがあるためその場に止まるのか」ということだ。もちろんミリトンはゴールを守ることを優先するため、ヴェルナーの抜け出しに対応することが多くなっていた。だからマウントが手前でボールを受けることができるようになっており、カゼミロを釣り出して中央を開けてそこから攻撃を広げてチャンスを生み出していた。

 

これらのようにチェルシーは相手を見ることで空いている場所から入って行き、そして相手を動かし、攻撃を仕掛けていた。この見てサッカーをするというのはランパード体制からできていた印象だが、トゥヘル体制になってそれはより洗練され、精度は増した印象だ。

 

  • 守備について

次は守備について触れていこう。これもランパード体制よりも洗練され、圧倒的な安定感を手に入れた。

ではこの試合ではどのように守備を行っていたのだろうか。

 

微妙に嵌らない理由

まずは微妙に嵌らなかった理由について触れていこう。

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案外厄介なアザール

守備が嵌らなかった理由はアザールにあった。上の図のように、チェルシーはサイドに追い込んでボールを回収しようと試みたが、アザールが下がってヘルプを行うことが多くなっていたので、守備時IHの立ち位置をとる選手(上の図ではカンテ)が数的不利な状況に陥ることが多くなっていた。

さらに、レアルはカゼミロが下がることでCBの立ち位置を取り、CBナチョとミリトンはSBの立ち位置を取るように設定されていた。こうなると、そもそも幅を作り出すCBがフリーになる。これはWBがWBのマークの担当をしていることが関係。

さらに中央CBとカゼミロをCFヴェルナー1枚で牽制をする関係でGKへのバックパスへのプレスが届かなくなり、逆サイドに展開されることが少なからず見受けられた。

これを行われても何とか守備が保てていたのはマウントとカンテのプレス強度があったからだ。改めて彼らの凄みをこの試合で確認することができた。

 

ではチェルシーはこの微妙に嵌らない守備をどのように修正し、嵌め込んで行ったのだろうか。

 

守備を嵌め込み奪う場所

チェルシーは下がるアザールに対してCBを出すことで人数を合わせることで対応を行う。

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当て嵌め方と奪い所

このようにアザールに対してCBが前に出ることで数的同数を作り出した。これで、他の選手のマークが明確になる。CFヴェルナーはラモスとクルトワ、マウントはカゼミロ、カンテはクロース、ジョルジーニョはボール位置によりモドリッチの監視役に。こうすることでサイドを変えさせずにWBの場所でボールを回収するように誘導。そしてWBにボールが出るとそこに強く対応することでボールを回収するか、縦突破をさせず中に誘導することで、味方のヘルプを呼んでボールを回収していた。

 

このようにしてチェルシーはレアルの攻撃を早い段階で食い止めてチャンスを作らせなかった。それでもレアルは単独で剥がし、決定機を作り出すのだから末恐ろしいと感じた。

 

ビッグプレーヤーのカンテ

この日もまたカンテが輝きを放った。IHとCHのタスクを同時にこなして見せたカンテ。ボール奪取能力はもちろんのことながら、先制点の起点となったターンとその後の振る舞いはまさに『IHのそれ』だった。このプレーは確実にサッリの遺産だろう。サッリがIHでカンテを起用し、そのノウハウを叩き込んだことでもう一段上のレベルへ引き上げた。サッリに感謝すべきだろう。無尽蔵の体力とボール奪取能力に加えて、攻撃力も手にしたカンテ。彼とトゥヘルの化学反応はかなりのものだった。この先の鬼畜な日程にも今のチェルシーなら、最良の結果で乗り切って見せるだろう。

そしてその先にFA杯、トップ4フィニッシュ、そしてビッグイヤーが待っている。残りの試合も見逃さず、彼らの勇姿をこの目に収めたい。

 

 

 

 

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