【アルテタよ、なんでそうした?】UEL 2nd Leg アーセナル vs ビジャレアル

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最後のチャンス。このセカンドレグに何としても勝たなければならなかったアーセナル。CL復帰はおろか、ELへの道も絶望的に。だからこそ何としても勝たなければならなかった。だが、その意気込みとは裏腹に、試合内容はちぐはぐしており、とても勝てる雰囲気は漂ってなかった印象だ。

今回はこの試合で感じた、「何でこうしたの?」と「こうすればよかったんじゃない?」と言う僕個人の勝手な印象を述べさせてもらいたい。

最後までお付き合い頂けると幸いだ。

 

 

 

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オーバメヤンの起用方法

最初に触れたいのがここだ。現役の頃にCFをしていただけに、僕はここが気になった。ニューカッスル戦、そしてビジャレアル戦。果たしてオーバメヤンの『CF起用』は正しかったのだろうか。もちろん、ストライカーの位置で使う選手がいないことは「重々承知の上で」だ。

 

ではどこが気になったのか。それが「前を向いてプレーができていない」と言う点だ。仮にオーバメヤンのプレースタイルが「DFを背負っての起点作り」ならば話は別だ。

だが彼が名声を得たプレーと言うのは確実に「前を向いたプレー」だ。もっと詳細に言うと、「背後に抜け出すプレー」と「クロスに合わせるプレー」だろう。

 

これを考慮した上で、果たして今のアーセナルのプレースタイルにオーバメヤンを当て嵌めれるのだろうか。個人的にはここに疑問が残る。もちろん、ニューカッスル戦のゴールのような状況を多く作り出せるのならば、何も問題はないだろう。ニューカッスル戦でも、ビジャレアル戦でもオーバメヤンが前を向いて(効果的な状態で)プレーすることが少なかった。

さらに、クロスの供給の仕方にも問題がある。ここでもオーバメヤンの良さを生かし切れていない関係になっている。

守備陣が構えた状態でクロスを上げるのでは圧倒的に守備者が有利だ。入ってくるボールを待ち構えている状態だから、跳ね返しやすい。このクロス攻撃を仕掛けるのならば、ジルーやミトロヴィッチ、キャロル、一昔前の選手でいうとドログバやクラウチをストライカーに添えるべきだろう。

 

このようにオーバメヤンの良さを活かすことのできる起用法を考えるべきではないだろうか。このビッグスターを持て余している感は個人的には否めない。

 

大きかったエジルの存在

僕はこの魔法使いがいなくなったことも大きく関係していると思っている。シンプルにエジルからのラストパスは武器になっていたし、オーバメヤンの動き出しにしっかりと合わせることができていた。さらにエジルのフリーランだ。彼がハーフスペース奥を取ることで、横からのクロスではなく、折り返しのクロスになる。またエジルのフリーランにより、守備者の目線が大きく動き、オーバメヤンがマークを外しやすくなる。この互換性があったからこそ、オーバメヤンはアーセナルでもゴールを量産することができたのではないだろうか。

そして今のアーセナルに目を向けた時、ハーフスペース奥を取り、そこから折り返すクロスはあるだろうか。そもそもフリーランで背後まで引っ張る選手が何人いるだろうか。この動きが圧倒的に少ないから、現在のアーセナルのクロスは構えられた状態で、横からクロスを「入れてしまう」ことが多いのではないだろうか。

もちろん他にも、エジルがライン間で攻守のリンクマンの役割を担ったり、起点になったり、と様々な理由がある。彼のアーセナル退団はもう1人のビッグスターを苦しめることになっているのかもしれない。

 

じゃあどうする?

じゃあ、どうする?このように考えてみた。果たしてオーバメヤンの能力を最大限、引き出すために、どうすれば良いのか。僕個人の意見では、3-4-1-2だ。アーセナルは攻撃時に、3バックに可変することが多い。それならば最初から立ち位置を3枚にすれば良い。こうすることで、「可変する」といプレーを1つ飛ばすことができ、シンプルになる。さらに、2トップにすることで「起点」と「逆の動き」の役割、そしてトップ下のリンクマンの役割を明確にすることができる。起点の選手をラカゼット、逆の動きをオーバメヤン、リンクマンをウーデゴール、スミスロウに託す。さらにWBを配置することで、幅と深みを作りやすくなり、オーバメヤンがチャンネルランをしやすくなるのも目に見える。(もちろん、SBよりもWBの方が守備の負担が小さくなることも考慮。ベジェリンとか)そしてCHには配給のできるセバージョスやジャカ、そして回収能力の高い、トーマスやエルネニーを起用すれば上手く嵌る予感がするし、個々人の色も出てきそうだ。

当時エメリが起用したこの形ならば、個人的にはかなり上手くチームが回り、そしてオーバメヤンの得点能力を存分に生かすことができるのではないだろうか。

 

SHとSBの関係性

特にこの試合。SHに入ったぺぺとサカ。SBに入ったティアニーとベジェリン。この関係性に少なか僕は疑問を抱いた。ではどこに疑問を抱いたのだろうか。

まずはベジェリンサイドのことから。

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ベジェリンサイドのこと

どこに疑問を持ったかと言うと、ベジェリンのサポートのタイミングだ。上の図のように、SHが『幅を持って』ボールを受けるとする。例えばニューカッスル戦だとウィリアンが幅を作ってボールを持つことが多かった。こうすると中のフリーランでウィリアンのサポートを行い、ハーフスペース奥を取るか、もしくはDFを引きつけることで、ウィリアンのドリブルのサポートを副次的に行った。

だがこの試合では、中のランニングコースにIHが先に立っている。だからこそ、無理矢理、幅を作り出すSHの外をランすることが多かった。じゃあ止まれば?と思うかもしれないが、3バックに可変しているだけに、余ってしまう。だからこそ、1枚無駄な状態になり、シンプルに不利になる場所が出てくる。

それを防ぐためにベジェリンはサイドを駆け上がることあったのだが、これでは良い関係性とは言い難い。

 

もちろんこれはティアニーサイドにも言えることだ。こちらのサイドはティアニーがバックラインに残ることが多かったので、彼の上がりは自重気味だった。だがいざ攻撃に参加するとなると、やはり息詰まった感が出てしまっていた。

 

ここの関係性が良くならない限り、アーセナルは攻め手を1つ失っていることになってしまう。

だから息詰まり、横からの短調なクロスになってしまうのではないだろうか。

 

左サイドでの息詰まり

これは右サイドではあまり見られない現象。右サイドではベジェリンが中のフリーランでパスコースを作ることが多いため。だが左サイドは訳が違ってくる。まずティアニーがバックラインに残ることが多くなるので、必然的に幅を作ったSHぺぺのサポートがIHが行うことになる。こうなると、中のサポート・パスコースが無くなってしまう。これでビジャレアルはかなりはっきりとした状態で守備を行うことができていた。

さらに悪循環なのが、ボールサイドチャンネルにCFオーバメヤンが流れて来てしまうことだ。もともとフィニッシャーとしての仕事を託しているはずが、崩しの一歩手前にからんでしまうことで、オーバメヤンの良さを消してしまうのではないだろうか。

 

じゃあどうする?

じゃあどうすれば良いのだろうか。これは先ほども触れた3-4-1-2で全て解決できる。そもそものWBとSBの立ち位置の違いでWBが高い位置で幅を作り出すことが可能になる。さらに、息詰まりの原因となるポジションの被りと中のサポート・パスコースの不足が起点役CFにより解消される。もちろん、必要ならばリンクマン役もサポートに行える距離にいるはずだ。こうすることで、確実に場所がか被ることは減ってくるだろうし、フリーランも増えてくるのではないだろうか。

 

本当に外切りで良いの?

では最後。最後に触れたいのは守備についてだ。基本的にアーセナルは外切りを行う。この試合でも外切りプレスが嵌り切ったと言える状態ではなかった。

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外切りプレス

このようにパウ・トーレスに対してサカ、アルビオルに対してオーバメヤンが外切りのプレスを行うように設定されていた。こうすることでIHがCHを捕まえれるように。だが、上の図のようにGK経由で逆サイドのSBに逃げられることが多くなっていた。ここでフリーになられてしまっているのは、1stプレスサイドに人を寄せている(バックラインをスライドで寄せている)ことで、逆SHぺぺがSHを捕まえている状態になるから。こうなると、SBで時間を作られるので、外切りプレスは無力化する。さらにアーセナルは時間ができたSBに対しても人を出してプレスを行うことが多々ある。

こうなると、SB⇆SHの距離の分だけ、SBは時間を得れて次の最良の判断を下すことができ、さらに周りの選手もその準備を行うことができる。

これでアーセナルが1stプレスラインを簡単に突破されてしまうことが多く見受けられた。

 

こうなると、トーマスの仕事量が増えてくる。いくらカバーエリアが広いとはいえども、中央を1枚で守れる訳が無い。だからこそ、サイドに引っ張り出された時に、STモレノや中に入ってくるSHトリゲロスがトーマスが開けた場所でボールをピックアップする場面が多く見られた。

 

また逆に展開され、スライドを行っている時点で再び逆に展開されることも少なからずあった。再び逆SBにボールを届けられると、ここに出てくるのがSBのベジェリンだ。ここでもベジェリンとSBの距離の分だけ、時間を得れ、周辺の選手は動きを加えることができる。

そして中に入るSHがボールを引き取ることでプレスラインを突破される。ここにCBが出てこれないのはもちろん、CFがピン止めを行っているからだ。これで一気にIH、SH、CFが置き去りにされるので、アーセナルはカウンター気味の攻撃を仕掛けられることがこの試合と言わず、多く見受けられるの原因になっているのではないだろうか。

 

例えば、ペップ率いるシティならば、外切りが嵌らない場合は即座に内切りのプレスに変更する。だがアーセナルはその変更がなく、無謀なプレスを仕掛けることも多々ある。ここの違いは間違いなく試合に大きな影響を与えているだろう。そして個人的に感じるのが、現時点では外切りプレスはもはや「嵌らないプレス」になってしまっていると、アーセナルやシティの試合を見て思う。

 

続投?解任?

これで全てのカップ戦で敗退、リーグ戦もヨーロッパの大会にほぼほぼ出られない位置にいる。こうなると騒がれるのがアルテタ監督の解任論だ。確かに昨シーズンはFAカップを手に入れた。だが今季のここまでの戦いを見ても、続投される可能性は低いのではないだろうか。さらにCL、ないしELを逃せば選手を連れてくることも難しいだろう。ましてやコロナ禍のこの状況で。危惧すべきは主力選手の放出だ。確実に今夏、移籍したい、する選手は多いだろう。Euroもあり、アピールするには十分の場所もある。またマドリーからレンタル組、特にウーデゴールを引き止めることも難しくなるのではないだろうか。

一時代を築いたヴェンゲルがいなくなったことで招いた混乱。果たしてこの強豪は復活することができるのだろうか。勝手なイメージだが、ユナイテッドにはお金にものを言わせて、選手を連れてくることができたが、アーセナルにはそのイメージが湧かない。これは大きな違いで、戦力維持すらままならない。ましてや『魔境』Premier Leagueだ。これからアーセナルがどうなっていくのか。ここを意識しながら観戦することも存外に面白いだろう。

 

 

 

 

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