ユベントスを見事に下してラウンドを進めたポルト。一方でランパードを解任し、新たにトゥヘルを招聘して見事に復活を遂げたチェルシー。いうまでもなく、ヨーロッパを代表するビッグクラブ同士の対決だ。ポルトはユベントス戦でも見せたように、手堅く戦い、そしてテンポの良い早い攻撃でチェルシーから勝利をもぎ取ろうと試みた。相対したチェルシーはしっかりとポジションを取り、ボールを動かしていくことでポルトから勝利をもぎ取った。
では今回はいかにしてチェルシーがポルトの守備を掻い潜っていったのか。これについて触れていこう。
はじめに
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ポルトの守備について
まず触れていかなければならないのがポルトの守備だ。彼らはどのようにしてチェルシーの攻撃を食い止めようとしていたのだろうか。
まずは守備開始時の基本的な立ち位置から。まず左SHが一列前に出て2トップの立ち位置を取ることが多くなる。さらに逆SHがバックラインまで下がることで5バックを形成。これで中盤はCHをオタビアとウリベが捕まえる形になる。そしてグルイッチがDMFの立ち位置を取ることでCHとSTのケアを行えるポジションに入る。
そして以下がそれぞれの立ち位置でのタスクになる。
まずチェルシー3バックに対しては2トップでの牽制になるのだが、ここでの彼らのタスクは『外側のCBにボールを持たせること』になる。だから中央CBのクリステンセンはボールを持てることが多くなっていた。これに関係して中盤3枚は『トライアングルを形成しつつ、絶対に縦パスを入れさせないこと』が主なタスクとなる。
そしてバックラインでは5バックになっているので、WBの立ち位置の選手がSTのマークの担当となる。
これで以下のように守備を行っていく。
この図のように外側のCBがボールを持つと、2トップの一角が守備のスイッチをいれる。これで、もう片方のトップが中央のCBを消せる立ち位置を取る。
さらにCHを捕まえているオタビアがCBの視界に入ることでSTへの縦パスのコースを消す。さらにそれに連動してSTを捕まえていたWBがSBまで出て、STにはCBが、CHにはDMFの立ち位置を取っているグルイッチが擦れてマーク。
そして以下の場所でボールを奪い切る。
まず最優先で奪いたい場所はWBの所。ここでボールを奪えれば一気にひっくり返して早い攻撃を仕掛けることができる。またCBがWBへのパスを選択肢ない場合は、『上のパス』を選択するようになる。これはオタビアがCBの視界に入っていることで、上のパスを選択するように仕向けている。そしてこれでSTやCFへの上のパスを弾き返すことでボールを回収していた。
チェルシーはポルトの守備に割と苦しみ、満足にボールを前進させることができなかった。だが、それでもチェルシーは活路を見出して攻撃を仕掛け、見事に勝利を掴んでいる。ではどのようにチェルシーは前進し、攻撃を仕掛けていたのだろうか。
チェルシーの回避方法
ではここからはチェルシーの回避方法について考えていこう。
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この試合のチェルシーのスタンス
まず初めにこの試合のチェルシーのスタンスについて少し触れておく。この試合はどちらかというとCBの攻撃参加も少なく、パスの本数もいつもより少なかった。これはポルトの強みの1つであるショートカウンターを消すことに重きを置いているように見えた。
さらにWBと3トップが常に背後を狙うことでシンプルに攻撃を完結させようとしているように見えた。
守備位置をいつもより下げ、プレスで出てくれば背後へボールを供給する。これが主なこの試合のチェルシーのスタンスのように個人的には映った。
だからこそ先ほども少し触れたように、いつもよりもパス本数が少なかったのではないだろうか。
ではここからは、『ポルトがプレスで前に出てきた時』のプレス回避について解説していこう。
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マウントのサポート
まず最初に行ったことはこちら。
まず行ったのはSTとCFの立ち位置を動かすことだ。特にSTマウントがCBに捕まらない位置まで下がることでハヴァーツとヴェルナーを2トップの関係に動かす。
マウントが降りることで狙われているWBがに対して横のサポートを行うことができる。もちろんCH1枚でも行えるのだが、マウントがサポートに参加することで数的優位を作り出して横のサポートをより簡単に行えるようにしていた。
そしてこれよりも多く見られたのが背後へのパスだ。
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背後へのパス
最初に行ったマウントのサポート。その際にヴェルナーとハヴァーツが2トップの関係になっていたことは先ほど少し触れた。これが肝となっており、背後へのパスを供給することができていた。
このようにCBからボールを受けるWBがワンタッチで背後に落とすボールを供給。この時にCFハヴァーツがハーフスペースに流れていることで『1枚で2枚』を引きつけることが可能に。これで背後のスペースをスピードスターのヴェルナーがシンプルに使うことで攻撃を仕掛けようと試みていた。
さらにWBへの対角のパスでの背後も見受けることもできた。
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WBへの対角での背後
これはポルトのプレスがCBに掛かりきらない時に行えるものだ。
ではどのように対角のパスを打ち込んでいたのだろうか。
このようにバックラインでパスを回した際に、必ずプレスが掛かりきらない場合が出てくる。この掛かりきらなかったプレスを見逃さずにCBがすかさず対角のパスを打ち込む。このパスを多く選択していたため、パス本数が少なくなっている要因の1つだろう。そしてこの時にヴェルナーも背後に走ることで中に人を寄せる。これで逆WBがフリーでボールを受けれるようになっていた。
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STのピン止め
ここからは後半に主に行っていたことになる。背後を使うというスタンスは基本的に変わらないのだが、後半からは割と手前でボールを持てるようにもなっていた印象だ。
ではなぜ手前で受けれるようになったのだろうか。
このようにSTがサイドに流れてWBへプレスを行う選手をピン止め、さらにCFもハーフスペースに流れることでCBをピン止めする。これでWBがフリーでボールを受けれるようになる。さらにここからサイドチェンジのボールを打ち込むことで逆WBがフリーでボールを受けることが多くなっていた。チルウェルの追加点はこのような展開からサイドを変えたことでミスを誘って生まれたゴールだろう。
このようにしてチェルシーはシンプルなスタンスで攻撃を仕掛けていくことでポルトの良さを消しつつ、プレスを回避した。そして少ないチャンスでゴールを奪って見せた。
この展開は少し苦しい?
個人的に感じたのは「背後を狙い続ける」展開は少し苦しいように感じてしまった。今までがボールを握って試合をコントロールする戦いだったので、このように感じてしまったのかもしれない。だが、やはり個人的にはこの展開は苦しいのではないかと思った。その理由がCHのジョルジーニョとコバチッチと3トップの距離がどうしても広がってしまうので、弾き返された時の2nd回収に苦しむからだ。仮にカンテが万全の状態で試合に出ていたとしたらまた印象は変わっていたかもしれない。少し間延びをしてしまうことに一種の苦しさみたいなものを感じた。だが確実にこの試合の「ゲームプラン」なのでまた普段通りの戦いに戻るだろう。
大きくベスト4入りに前進したチェルシー。このまま気を抜かずに進める所まで突き進んでもらいたい。
何はともあれ、WBA戦の大敗から再び勝利を手にしたことに安心した。週末のパレスとのリーグ戦、ミッドウィークのCLセカンドレグ、来週のシティとのFAカップ準決勝。ここまでなんとか乗り切ってもらいたい。
最後までご朗読ありがとうございました。
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