【もしかして、もしかするのか!?】J1第21節 名古屋グランパス vs 鹿島アントラーズ

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もしかしてもしかするのか。堅守を誇るグランパスに2ゴール。FC東京戦に続いてボールを持てた。さらに守備に関しても一工夫を加えたことで完璧にグランパスを押さえ込み、危惧されていたサイドチェンジにも対応して見せた。では今回はアントラーズのこの試合での振る舞いについてを中心に、マッチレビュー を行っていこう。

 

 

 

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優先のビルドアップと保持に持ち込めた理由とは?

ビルドアップの局面から触れていこう。まずここに触れる前に、驚いたのはグランパスの守備の振る舞いだ。YouTubeでのプレビューで触れたのだが、スコアレスの時のグランパスは割と前からプレスをかけることが多くなる。この時にCH(特に稲垣)が前に出てCHが縦関係になり、CBと降りるCHと人数を合わせることが多くなる。

だがこの試合ではそれを行わなかった。これには少し驚いたが、それでも相馬監督が用意していたものにはそれほど影響を及ぼさなかった。

ではアントラーズはどのようなビルドアップを優先していたのだろうか。

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名古屋のスタンスと鹿島の配置

まずはグランパスのスタンスとアントラーズの配置について。上の図のようにグランパスは2CHが縦関係にならずに、アントラーズOMFと上がるCHに当て嵌まるようになっていた。これに対しいてアントラーズは『グランパス2トップの脇』まで広がるように設定されていた。こうすることでSBの立ち位置を変える。右SB杉岡はグランパスSHの背後まで上がり、左SB常本はあまり上がらずに残っていた。

そして以下のようにボールを動かす。

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vs成瀬とハーフスペースのランニング

このように優先的に使うパスが「沖のロングパス」だ。ここで沖はCBが広がったことでグランパス2トップのギャップに立つCHに縦パスを出せるのだが、ここを選択することが限りなく少なかった。

そしてこの高精度のパスを届ける先がSHの背後を取ったSB杉岡のところだ。ここでグランパスSB成瀬との空中戦を制することで一気に前進する。ここで成瀬が出てくるので、CBとSBの間(チャンネル)をアラーノがランニングすることができる。特に先制するまではこの形が一番可能性があったのではないだろうか。

さらにこれを行ったことで、以下のようなメリットを獲得することができていた。

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強要する縦スライド

 この図のように一気に沖から杉岡へロングパスを届けることで、赤のラインよりアントラーズ自陣にいるグランパスの選手は背走することになるので、不利な状況に陥る。アントラーズはこの状況を作り出すことで有利に立つ。

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縦スライドと保持

このようにグランパスCHに対して縦スライドを強要する状況を作り出す。この状況を作り出せるのは、ハーフスペースをランニングするアラーノ(または土居)のスペースを埋めるためにCHが縦スライドをさせることができていた。

これで上の図の白のエリア、グランパスCHの手前でピトゥカや永木が時間を得ることができていた。だからこそ、FC東京とはまた違った方法で保持に持ち込むことができていた。

このようなビルドアップを設定することで手数をかけない速攻と保持に持ち込む遅攻を展開することができていた。

 

ゾーンのさらに奥を突く攻撃

この試合も土居をCFに置く、いわば0トップのような立ち振る舞いのできる布陣で試合に臨んだグランパス。FC東京戦では、彼らのスタンスが大きく関係して保持をすることができた。

(以下がFC東京のレビュー) 

www.soccer-bunseki.com

 

この試合では上の項で解説したように、グランパスCHの縦スライドを強要したことで、ピトゥカと永木が時間とスペースを持った状態でボールを持つことができていた。

もちろん、ここから先はグランパスが守備ブロックを作ることで守備を行っていく。これに対してアントラーズは「さらに奥を取る」ことで攻撃を完結させようと試みていた。

これがどのようなことなのか。これを解説していこう。

この攻撃について題材にしたいのが31:10~の攻撃と杉岡のゴールシーンだ。

どちらの攻撃にも共通して言えるのが、SBとCBのズレとその遅れ、そしてその背後を取ることができていたことだ。

ではなぜ、そこを取ることができたのか。

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サイドからの攻撃

このように、まずはCBの持ち運びなどでグランパスSHを釣り出す。こうすることで大外のSBにパスを出した時に、グランパスSBを釣り出すことができる。そしてこの時点でCFに入った土居(後半からここを取りに行くのは荒木が主)がSBの背後に流れることが多くなっていた。

この流れる動きに対してグランパスCBに対応を行わせないように、逆SHが中央に入ることでCBをピン止め。もちろんOMFを入ることでもう1枚のCBをピン止めする。

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レイオフからさらに奥

そしてこのようにSBからCHへレイオフし、サイドに流れたCFへ縦パスを打ち込む。もちろんこの時にもCHを中に入ったSHがピン止めしていることで、CHが時間とスペースを得ることができていた。

そしてこの試合でCHにレオと三竿ではなく、ピトゥカと永木を選んだ理由はここにあったのではないだろうか。ここのパス(きっとこれだけじゃないけど、ここが一番大きな理由のように感じた)を打ち込むために、よりボール扱いの上手い選手を起用した。これはボールを持てることを予測しての起用だったのだろう。

さらにここでもSB杉岡を起用した意図も見えた。CFがサイドに流れることで、中央に人数がいなくなってしまうことは容易に想像できる。だからこそ、杉岡をクロスのターゲット要員にすることで、補完していた。ここは永戸よりも杉岡の方がフィジカル的に強いし、合わせる感覚もあるはずだ。だからこそ、SBに杉岡を起用し、現に追加点(クロスかrではなかったが)を奪って見せた。これは確実に攻撃時にフィニッシャーの役割を与えられていたからこそ、ペナ付近までよく上がっていたのだろう。(これに伴ってSB常本が少し下り目な位置を取っていたことに納得できる)

さらに付け加えると、SBが上がることでFC東京戦と同じようにSHを押し下げて被カウンターのリスクを予め削ることもできていた。

 

そしてこれらを考慮しての彼らの起用だと個人的には感じた。

 

守備の一工夫

なんといってもこの試合の守備だ。僕が危惧していたのはSBの背後とサイドを大きく変えられることだ。

だがこの試合ではほとんどどちらの状況も作られず、安定感抜群の守備を披露。全く持って失点に匂いはしなかった。

ではなぜこの試合では守備が安定していたのだろうか。

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守備のタスク

まずは各々の守備タスクから。この試合のアントラーズは完全な4-4-2で並ばずに、3+1の並びに対してCFとOMFが縦関係になるようになっていた。この縦関係になる理由は、CFが3枚に対してどちらのサイドに誘い込むのかを明確にすることと、中央に残るCHに対してOMFを当て嵌めることを行ったからだ。

これを行ったことで、グランパスOMFに対してCHで数的優位を作り出すことができ、SHがSBへ前向きに対応できる立ち位置が取れるようになっていた。さらにSBがグランパスSBに出てプレスを行わないようになるので、明確にグランパスSHへの対応を行うことが可能になっていた。

このようなタスクを授けたことで、以下の場所でボールを回収することができていた。

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3箇所の奪い所

このようにCF土居がワンサイドカットしながらプレスをかけることで、広がるCBにパスを出させる。この時に中央に残るCH(主に稲垣)に対してはそのままOMFがマークを行う。こうすることで、SHはSB、ヘルプを行うOMFにはボールサイドCH、中に入るSHにはSBがマンマークを行うことで、CBから出てくる縦パスを潰しにいく。これでボールを回収することができていた。また極端にサイドを圧縮せず、逆CHが中央に残ることで、バランスを保つ。これを行うことで、奪った時の逃げ道を確保することができていた。

さらにサイドを極端に圧縮しないことで、サイドを変えられる起点を潰すことができるようになり(OMF小泉の役割)、仮に変えられたとしてもSBの対応が間に合う距離にいることがほとんどだった。

 

このように小泉と永木とピトゥカの立ち位置を一工夫したことで、SBの背後を取られることもほとんどなかったし、サイドを変えられる場面も皆無だった。

この試合での守備の方法はこれから先も十分に通用し、そしてアントラーズの守備の安定性を急激に上げることができるのではないだろうか。

 

ターニングポイントは山崎の交代

グランパスのターニングポイントにも少し触れておこう。グランパスはビルドアップが上手くいかないことを変えようとしたのか、山崎よりも地上での縦パスを引き出すことの上手な柿谷を投入する。だがこの交代はアントラーズの守備にぴったりと嵌り、結果的にさらに攻撃の幅を狭くしてしまった。グランパスは縦パスを打ち込めなかった時に、割と簡単に前線目掛けてロングパスを蹴り込むことが多い。だがそのターゲットとなる選手がいなくなったことで、地上でしか勝負することができなくなってしまっていた。だからアントラーズは守りやすくなっていたし、グランパスは攻撃に出ることが難しくなっていた。個人的には山崎を替えたことに小さくない疑問を抱いていたのは事実だ。

そして現にこの交代を機に、全く前進することができなくなっていた印象だ。だから個人的にはここがターニングポイントと思っている。

 

もしかして、もしかするのか!?

小泉と永木、ピトゥカの気の利くプレーの連発。特に小泉に至っては攻守の立ち位置とカバー、守備ヘルプまで、気が利きまくっていた。だからこそ、アントラーズは守備を完結することができていたし、ボールを難なく保持することも可能になっていた。この試合の小泉はまさに働き者だった。だからこそ僕の中では彼がマンオブザマッチと思っている。

そしてこの試合でも見せたほじの振る舞い。前回対戦のFC東京戦での保持とは色合いが違う。FC東京戦は相手の振る舞いによるものが大きかったが、この試合では確実に能動的に保持を獲得していた。だからこそ、杉岡へのロングパスでの前進や土居のCF起用、永木、ピトゥカの起用だった。

この試合で「引いた相手」には保持し、ゴールを奪いにかかることができるということを証明したと表現してみても良いのではないだろうか。そのぐらい保持の振る舞いとポジトラ、非保持の振る舞いは完璧に近かった。(ネガトラは距離が遠く、プレッシャーが掛かりきらない所があったが、それでもバランスが崩れなかったのは気の利く選手が多くいたからだろう)

だから、「もしかしてもしかする」のかもしれない。まだ疑心暗鬼なのはどちらも「引いた相手」だからだ。週末のマリノス戦でどうなるのか。ここがこれから先のシーズンの分かれ目となりそうだ。この週末の試合でどのような振る舞いをするのか。とても楽しみだ。

 

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