【増やしていく選択肢】Premier League 29節 リバプール vs チェルシー

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6ポインター。トップ4に食い込むためにビッグクラブが凌ぎを削っている。そしてなんとしてもCL出場権を獲得したい両者の一戦。この一戦で勝利を収めたのは、10戦7勝3分という脅威の勝率を誇るトゥヘル・チェルシーだ。

では今回、この試合で『なぜチェルシーはプレスを回避できたのか』に焦点を当てて解説していこう。

 

(解説は目次のスターティングメンバーから始まります)

 

 

はじめに

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スターティングメンバー

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リバプールの守備について

チェルシーのことを考えるためには、まずリバプールのことについて触れておかなければならない。この試合、リバプールはDMFにチアゴを添え、IHにワイナルドゥムを起用した。これには、次の守備を行うための入れ替えだったように感じた。

ではリバプールはどのように守備を行ったのだろうか。

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リバプールの守備について

このようにリバプールはハイラインでコンパクトな陣形を保ちつつ、ボール回収に努めた。そのために、CFフィルミーノがまずはポジションを落としてCHを捕まえつつ、中央CBを牽制できるポジションを取る。このタスクを託せるのはフィルミーノだからだろう。さらにIHジョーンズも余ったCHを捕まえる。こうすることで、WGが両脇のCBを外切りで牽制。また、IHワイナルドゥムはSTマウントを気にする立ち位置を取り、DMFチアゴと割と横並びの立ち位置を取る。

こうすることで、WGの頭上を越すWBへのパスを送らせてSBでボールを回収する。または、チェルシーを自陣に押し込んでいくことで、選択肢は無くしてミスを誘うことでボールを回収していた。

 

だがチェルシーはこのプレスを剥がしていくことで選択肢を広げていった。

ではチェルシーはどのようにプレスを回避していったのだろうか。

 

選択肢を広げるために

ではこの試合でチェルシーが見せていた回避方法を順に解説していこう。

①:CH→WGの回避

試合の立ち上がり、立て続けに見せた回避方法だ。

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CB→CH→WBの回避

このようにリバプールWGが外切りのプレスを行うので、ボールホルダーCBは「外が見えない」状態になる。だから中へのパスが自然と多くなる。このパスはリバプールに狙われているが、CHがワンタッチでWBへ逃げることでWBがフリーでボールを持てることが多くなっていた。これは「プレッシャーを受けながらもワンタッチで逃れる技術」が備わっているからこそできる回避方法だ。さらに、トゥヘルが就任して、きちんと配置が整理されたことで、適切な場所に選手がいるので、CHがワンタッチで叩くことができるようになった。

まずはこの方法でプレスを回避していく。そしてこれを行ったことでリバプールSBを釣り出すことができるようになる。

 

②:CB→SBの背後

①の回避でチェルシーはWBでリバプールSBを動かすことに成功したと先程少し触れた。ではこれを達成したことで次のプレーはどのように変化していったのだろうか。

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SBの背後を使う

次の選択肢は『SBの背後』となる。ではなぜここにスペースができたのか。それはWGがプレスを行った時点で、SBがWBを捕まえに前に出るようになったからだ。これは①で述べたように、WBで時間を作られることを嫌ったことでSBを動かすことができた。そしてこの背後を狙うために、この日の先発はジルーではなく、ヴェルナーとなっていたのではないだろうか。

この展開を予想して、トゥヘルは1トップにヴェルナーを起用した。だからこそ、前半10分あたりから、ヴェルナーがSBの背後を使う攻撃が散見された。

恐るべし、トゥヘル。

そしてこの攻撃前進を見せたことでさらに選択肢が広がっていく。

 

③:CB→WB→CHの回避

次に得た選択肢はCB→WB→CHの回避方法だ。

ではなぜこれが打てるようになったのだろうか。

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CHへ回避できた理由

この図のように、リバプールは背後を使われることを懸念したので、SBがバックラインに残るようになる。こうなるとリバプールは「WGが外切りのプレス」を行うと①と同様のプレス回避を行われることになる。だからこそ、「WGが真っ直ぐにプレス」を行うようになっていた。これで、CBが得られるパスコースはWBへのコース。ここにシンプルに逃げることで、リバプールIHを釣り出すことができる。これで、中央CHへパスを送ることでプレスを回避することができていた。さらに、中央ではCHとSTで数的優位を保ち、ボールを引き受けることができていた。

だからこそ23:00~の攻撃、VARで取り消しになったヴェルナーのゴールは、CHが中央で前を向けたこと、さらに、マウントの決勝点もCHからのロングパスからのものだった。

 

④:CH→STの前進

そして最後の選択肢。とうとうチェルシーは中央からの前進も可能になった。

ではどのように前進していたのだろうか。

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中央を突破するために

中央突破ができる場合は、CFフィルミーノがCBクリステンセンにプレスがかかった場合。この状況になるとリバプールは中盤3枚でブロックを作り出す。これに対してチェルシーはSTがブロックの外に流れる。これと同時にWBが少し高い位置を取ることでSBをピン止めする。

 だからこそ、以下のような状況を作り出すことができた。

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局所での数的優位

このように局所で瞬間的に数的優位を作り出すことができたので、CBクリステンセンは2つの選択肢を持つことができていた。

これに対してリバプールは一気に前進されたくないので、主にSTを消すことが多くなる。だからこそ手前のCHがボールを引き出すことができ、ここで前を向くプレーが多く見受けることができたのではないだろうか。

そして手前でCHが前を向けば、リバプールIHの視線を引きつけることができる。

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視野外でのマークの外し

このように、CHで「IHの視線を前」にしたことでその背後のSTが視野外のポジションに立つことができる。これで簡単にマークを外してボールを引き出せるようになっていた。

 

このようにチェルシーはプレスを1つずつ回避していくことで、選択肢を広げて攻撃を仕掛けていった。そして、この攻撃を組み立てるために、スピードのあるヴェルナーをCFで起用し、WBにはアロンソとオドイよりもパスの上手なジェームズとチルウェルを起用。彼らを起用したことで、WBからCHへの中央への斜めのパスを安定して差し込むことが可能になっていた。

 

攻撃の安定=守備の安定?

トゥヘルが就任してからの試合。ここまで10戦で7勝3分。圧倒的な結果を残している。そして驚愕なのがここまで2失点しかしてないことだ。その内訳はOGと南野のゴール。(南野凄え…!)この試合でも、結局枠内シュートを1に押さえ込んだ。

ではなぜ、ここまで守備が安定したのだろうか。これは攻撃の安定が大きく関係しているのではないだろうか。

攻撃時の配置がランパードの時よりも明確になったように感じる。選手個々のポジショニングが確実に変わった。だからこそ、ランパード時代に少なからず散見された『被るってしまう』現象。これはトゥヘルになってから、『全くもって』といっていいほど観られなくなった。この被ることがなくなったことで、ネガティヴ・トランジション時に、きちんと牽制をかけることができている。ランパードの時の『気合』の感じがなくなったので、選手も強度を持って走れるのではないだろうか。

他にも確実に要因はあるので、ここは追々触れていきたい。

 

 

 

 

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