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【譲れないが故に…】Jリーグ 第34節 鹿島アントラーズ vs セレッソ大阪

 

 

【J1リーグ第34節】

鹿島アントラーズ vs セレッソ大阪

 

県立カシマサッカースタジアム

 

結果:1−1

鹿島アントラーズ

90’ エヴェラウド

 

セレッソ大阪

83’ 松田

 

スターティングメンバー

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手こずるアントラーズ

今季最終節。ACL出場権を得るために、何よりもライバルよりも上の順位に立つために勝利を渇望する一戦だ。

だがホームに迎えた相手、セレッソ大阪に手こずることになる。

ではなぜ、アントラーズはセレッソの守備に手こずることになったのだろうか。

・セレッソの守備について

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この試合、セレッソ大阪は3-4-2-1で試合に臨んだ。これには上の図の意図があった。

守備時の配置は5-4-1になる。

この時にCFがアントラーズのCHに対して牽制をかける。これで開くCBにパスを供給させるところからセレッソの本格的な守備が始まる。

CBにパスを出させると、STはまずSHへの縦パスのコースを消し、WBが高い位置を取るSBのマークの担当を行う。さらに中に絞っているSHは基本的にCHが気にするスタンスを取っていた。

そして最も警戒しなければならないのが2トップだ。

3バックで挑んだ理由の1つが、2トップに対して3バックで常に数的優位を作り出す狙いがあった。

このようにしてセレッソは守備を始める。

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そして中央にパスを入れさせないことでSBへのパスを選択させる。SBにパスが出ると、これがプレスのスイッチとなり、WBが前に立つことで時間をかけさせ、STが挟み込み来る。これでアントラーズの攻撃の起点となるSBを潰すことができる。もちろん、SBから中のSHへのパスはCHが狙っているので、パスを出せない状況になっている。

だからこそアントラーズはバックパスが多くなり、『ブロックの外でボールを持たされる展開』に持ち込まれた。

さらに、セレッソはアントラーズSHの中→外の抜け出しにもしっかりと対策を打っていた。

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このようにSHが中→外に抜け出すと、CHはCBにマークの受け渡しを行うことで対応する。この時に3バックにしたメリットが出てくる。仮にここでCBが抜かれ、SHにクロスを上げられたとしても、中では数的同数の状態を保つことが可能に。

さらに2CBだと中の枚数が手薄になるので、プレスに出るかどうかの判断に迷いが生じるが、3CBだとそれが生じない。メンタル的にも思い切りプレスに行けるので、SHを潰す確率が高くなる。

このように、セレッソ大坂は対アントラーズの守備を用意することで勝利、最悪、引き分けを狙っていた。

 

  • アントラーズがチャンスになる時とは?

上記の守備を行われ、SHとSBで起点を作ることができないアントラーズ。こうなると、ボールを持たされる状況になり、いわゆる「苦手とする展開」で試合が進んでいく。だがそれでも、何度かチャンスになりかける場面を作り出していた。

ではどのような状況に持ち込むことができれば、アントラーズはチャンスを作りかける、またはチャンスを作り出すことができていたのだろうか。

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まず1つ目がSTをバックラインで剥がしてからのCBの持ち運びだ。これを行うことで、CHまたはWBを釣り出し、SHまたはSBにパスを供給する。これでどちらかで起点を作り出すことができていた。だが、この方法はセレッソCBが前に出て潰しに来ることが多く、より難しい方法となっていた印象だ。

そしてもう1つがWBを釣り出す方法だ。

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STに背後で消されることが多かったSH。だからそのSHがSTの斜め背後にポジションと移動し、ボールを受ける動きを取ることが多くなる。

この時のセレッソの対応が、CHが出るのではなく、WBが対応に出ることが決まりとしてあったように見えた。こうなると、自然と空いてくるのが大外のSBだ。このようにしてSBをフリーにすることで、クロスからの攻撃を仕掛ける場面、コンビネーションで攻撃を仕掛けていく場面が何度か見受けることができていた。

 

そしてもう1つがCFへのシンプルなロングパスだ。これで強引に前進し、その2ndボールを回収することで、一気に敵陣に入り込む。

 

これら3つの方法でアントラーズはチャンスを作る、またはチャンスになりかける場面を作り出していた。

 

特に前半は、アントラーズがボールを持ち、セレッソが構えることで試合が推移して行っていた。だから動きの少ない、堅く、慎重な内容となった。

だが、ハーフタイムを挟むと、一気にその形相が変わっていく。

 

動き変わった後半

  • セレッソのビルドアップ

まず触れるべきはセレッソのビルドアップだ。

前半から度々見られていたが、後半からその方法が顕著になる。

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ここでも3バックで臨んだ意図が見えてくる。それが2トップに対してシンプルに数的優位を作り出すことができることだ。さらにCHが1枚降りることで、アントラーズCH(主にシルバ)を釣り出すことができる。これが整うと、GKからどこかフリーなCBにパスを供給。そして以下のようにボールを動かす。

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上の図のように、GK→CB→ST、またはGK→STのミドルパスを選択することが多かった。これには理由があり、CHを釣り出したこと、WBを大外に配置したことで、SHをピン止めし、中央に残るCHに対して1vs3の数的優位の状況を作り出すことができるからだ。仮にSTに対してCBが出てくるのであれば、抜け出しの上手いCF豊川が背後を取る。

このようにして、セレッソは素早い攻撃を仕掛けていく。

さらにこのような方法もあった。

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CB木本が幅を作るポジションをとることで、SHのプレスを呼び込む。この時にアントラーズはしっかりと連動し、「人」を捕まえる立ち位置を取る。これを逆手に取り、STでCBを釣り出し、その背後にスペースを作る。ここにCFもしくは、後半からボールサイドに寄ってくることの多くなっていたSTが抜け出すことで、カウンター気味の速攻を仕掛けることが多くなっていた。

この抜け出しを担っていたのが、STの坂元で、さらにロングパスを収めることのできる柿谷を投入することで、カウンターの色を強めていった。

そして見事にその采配が当たり、先制点を叩き出すことに成功している。

 

  • アントラーズの修正

もちろんアントラーズも後半から動き、そして試合の流れを変えていく。特に攻撃の修正を加え、セレッソの守備の形を変えさせるまでに、その修正は嵌っていた。

ではどのような修正を加えたのだろうか。

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まずCBの立ち位置から。後半からCBが少し開くようになり、角度を作り出す。これで縦パスのコースを個人で作り出すことに成功。

これにより、CHの立ち位置も変わってくる。上の図のように、アントラーズCHがセレッソCHの近くに立つようになり、これでピン止めを行い、SHをフリーにする。

さらにSBも高い位置を取るようになったので、WBを敵陣深い位置でピン止めすることに成功。極め付けはCFの立ち位置。CFがボールサイドに流れることでCBのピン止めを行う。これでSHへのパスが入ることが多くなり、攻撃にテンポが出てきていた。

もちろん、時折織り交ぜるCFへのシンプルなロングパスからの2nd回収も見せることで、ラインを簡単に上げさなかった。このように、縦と横の揺さぶりを行い、どんどんセレッソを敵陣に押し込んでいった。

セレッソの修正

SHで起点を作られることで、中と外をを使われ振られることが多くなったセレッソ。この状況を見て、ロティーナ監督はすぐに修正を加える。

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その守備の修正というのが、上の図にあるように5-3-2の立ち位置への変更だ。これを行った意図として、重心を下げることでSHの近くに初めから人を配置すること。そしてこれを行うことで、高い位置を取るようになったSBに対して、WBのマークを明確化することが挙げられる。これでフリーランとチャンスメイクできる清武と、フィニッシャーの役割とボールを収められる柿谷を前線に残すことで、カウンターを狙った。

だからセレッソは前線の枚数を削り、守備者を投入し、守備の安定性を回復させた。

現に、この修正を行ったことでアントラーズの攻撃の勢いが止まり、さらにカウンターでアントラーズゴールを脅かすこと、先制点を奪うことに成功している。

 

譲れない一戦の結末

カウンターで失点をしたアントラーズ。なんとしても勝たなければならない一戦。試合終盤、アントラーズの怒涛の攻撃が始まった。なりふり構わず、形を変え、ひたすらゴールに迫った。そしてシンプルなロングパス一本で、2ndボールを作り出し、同点ゴールを奪う。さらには、アディショナルタイムに決定機を連発で作り出した。この勝利への執念は、たとえ監督が替わろうと、選手が入れ替わろうと、伝統として受け継がれているのだな、と確認するのに十分だった。結果は勝ちきれなかったが、それでも試合終了直後に拍手が起こったのではないだろうか。

最終節にこれまた良い試合を見させてもらった。セレッソのゾーンディフェンスの堅さとアントラーズの攻撃。そしてそれぞれの修正と対応。いろいろな者が詰まった良い試合だった。

 

様々なことが起こった今季のJリーグ。いつもと違い、長く、怒涛のシーズンだった。

それでも、徐々に日常にサッカーが戻り、幸せを感じている。

Jリーグに関わる全ての皆さん、ファン、サポーターの皆さん、今季のリーグ戦もお疲れ様でした。

来季もとても楽しみになるシーズンだった。

 

 

 

 

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