コミュニティ・シールド アーセナル×リバプール 〜新シーズンの幕開けを飾ったアーセナル〜

 

皆さん、ご機嫌よう。

一番初めに自己紹介から。気になる方は下記のリンクからご覧ください!

 

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では早速、分析レビューを行っていきましょう!

 

 

 

はじめに

つい先日。UCLが終わり、19-20シーズンが幕を閉じた。そしてもう新シーズンが本格的に始まろうとしている。プレミアリーグ王者とFAカップ王者が戦うコミュニティ・シールド。この試合こそが、プレミアリーグ20-21シーズンの幕開けの合図となる。この幕開けの試合を戦うのがアーセナルとリバプール。一方は混沌の中、OBを招聘して立て直ししつつ、FAカップというタイトルを獲得。一方は圧倒的な強さを誇り、悲願のリーグタイトルを獲得した。そしてこの一戦を制したのはアーセナル。PKでも決着となったが、我らが南野も嬉しい公式戦移籍後初ゴールを決め、試合の内容も面白い、見応えのある一戦となった。では今回はこの一戦のレビューを行っていこう。

 

スターティングメンバー

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剥がしたリバプールのプレス

まず前半に起こっていたトピックスから。それは主に、アーセナルがリバプールのハイプレスを剥がしていたことではないだろうか。現にこのプレスを剥がして前進し、逆サイドに展開したことで先制点が生まれている。ではアーセナルはどのようにしてリバプールのハイプレスを剥がしていたのか。

  • 可変4バック:ティアニー・ロール

プレスを剥がすために説明しなければいけないこと。それは攻撃時に行う、可変4バックシステム、『ティアニー・ロール』だろう。昨季の3バック採用からこの戦術で戦っていた。では改めてこのシステムについて触れておこう。

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 昨季の3バック採用から(正確にいうと、ティアニーを3バックの一角として使い始めてから)上の図のような形で攻撃を組み立てる。ビルドアップの局面になると、CBティアニーが幅を作り、右WBベジェリンが下がって、それぞれSBの役割を果たす。これに伴い、左WBのメイトランド=ナイルズが中に入り、CH / IHのような役割を担う。そしてポジションの互換性、バランスを保つため、オーバメヤンが幅を作ることが多かった。もちろん、メイトランド=ナイルズが幅を作って、オーバメヤンが中に入るパターンも存在する。

 この可変4バック、『ティアニー・ロール』は、特に前半、面白いように嵌っていた。

 

  • どのようにしてプレスを剥がしたのか?

では本題のプレスの剥がし方について触れていこう。

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まずはリバプールのプレスから。リバプールは継続して行っている、外切りのプレスをこの試合ももちろん行う。WGがSB化するベジェリンとティアニーを消し、CFが立ち位置でCHへのパスを牽制しつつ、そこに追い込んだ時にIHがもうプレスをかけれるような立ち位置を取る。これで中央でボールを奪ってショートカウンターを発動させるか、ロングボールを蹴らせて、2ndを回収、または敵人にボールを押し込み、再びハイプレスを発動させて、ボールを強奪していく。この強度の高いプレスで餌食となったチームは多いのだが、アーセナルはしっかりと丁寧に剥がしていた。

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そのためにアーセナルはこのような動きをつける。CBがボールを受けることでWGのプレスを誘発させる。この時にSB化する選手が『CBと同じライン』に下がることでリバプールWGの外切りのエリア外に出ることでボールを受けれるように。ここでボールを受けることで、リバプールSBとIHに、「どちらがプレスに行くのか?」という判断を迫らせ、迷わせることができる。さらにこの時に、CHエルネニーとジャカ、CH化しているWBメイトランド=ナイルズがボールサイドに寄ってサポートを行う。こうすることで逆WBのティアニーが少し高い位置を取れるようになっていた。

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外切りのエリアの外に出てボールを受けたベジェリンがボールを運び出すことで、IHまたはSBのプレスを呼び込む。そしてこの試合はIHミルナーのプレスを行うことが多く、その背後のスペースを使うことでプレスを剥がす。IHが出てきた時に、行う動きとして、STのサカとCFのヌケティアの位置が変わることだ。これを行うことで、リバプール両CBをその場に留まらせて、(CFに着いて行き、STと入れ替わられるのを危惧するからその場に留まる)CFヌケティアがDMFファビーニョの脇あたりでボールを受けることができる。もちろん、CHエルネニーがボールを受けることも可能だ。このようにしてIHを釣り出した場合は、このスペースを使うことができる。さらにIHを釣り出すともう1つの良い点として、SBの立ち位置を曖昧にさせることができる。

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SBはIHがプレスに行ったので、そのカバーを行うため、少し前めのポジションと取るようになる。この立ち位置が曖昧で、背後にスペースを開けてしまうことになる。アーセナルはこれを見逃さずに、SBの背後のスペースをSTが使うことで中盤を越して、一気にリバプールのプレスラインを2つ剥がす。そしてここからスピードを上げて、逆サイドへ展開を行い、攻撃を完結させる。実際にこのような形でオーバメヤンの先制点を生み出した。

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これが得点シーンを切り出した図。プレスラインを2つ越したことで、一気にサイドを変えることができた。この時にCFヌケティアが斜めに引っ張っていたことで、STのサカが時間を持つことができていたことも見逃してはならない。そしてサイドでボールを受けたオーバメヤンに対して、WBのメイトランド=ナイルズとCBのティアニーがそれぞれ中と外を追い越していたことも忘れてはならない。この2つの追い越しによるサポートを行えることもこのシステムの良い所で、そしてこれを繰り返しできるアーセナルは正直、強い、強くなる、と感じるものだった。そしてオーバメヤンのシュート技術は圧巻のものだった。

 

  • もう1つの前進方法

もちろん、サイドを中心にプレスを剥がすだけではない。この可変4バックの強みはもう1つある。それがこちら。

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このようにリバプールはIH2枚でCHを捕まえてボールと人に圧をかけるのだが、WBメイトランド=ナイルズが中に入ることにより、数的優位を作り出すことができる。だからリバプールはここでボールを奪うことができずに、1度中央を使われることが多くなり、アーセナルはよりサイドから攻撃を仕掛けれるようになっていた。もちろん、リバプールはすぐにDMFファビーニョを前に出して対応を行う。

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このようにファビーニョが前に出てきたことで中盤で数的同数となり、この局面はかなり狭くなるが、これに伴ってできるスペースがDMFファビーニョの背後だ。アーセナルはファビーニョが出てくるとCBまたはGKからCFヌケティアへロングパスを送ることで圧縮されるのを回避していた。だが相手がファンダイクとゴメスなので、ヌケティアはボールを収めることが難しそうだったのは否めない。仮にここがラカゼットだったとしたら、もっと楽な展開になっていたのではないだろうか。ポテンシャルは申し分ないヌケティア。ここでのボールの収まりが向上するのならば、ラカゼットから完全にポジションを奪うことができるのではないだろうか。ここが現段階のヌケティアの課題だと感じた。

 

このようにアーセナルは主に2つの前進方法でリバプールのプレスを剥がし、そして先制点を奪うことに成功していた。

 

守れるアーセナル

先制してから、アーセナルはしっかりとブロックを敷いて守備を行う。アルテタ監督に代わり、攻撃面で劇的な変化を告げたが、1番評価するべきところは『守れるようになった』ことがではないだろうか。ではこの試合はどのように守備を行っていたのか。

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先制点の直後から押し込まれることが多くなっていったアーセナル。だが、上の図のようにセットすることでリバプール58分の交代まで枠内シュートを打たせないというほぼ完璧な守備を行う。

まずCFヌケティアがDMFファビーニョを必ず捕まえる。これで1度中央にクッションを置かせることを防ぐ。さらにSTとCHでお碗型のラインを作ることで、IHがブロックの外でボールを受けた時に囲い込めるようなポジションを取りつつ、ボールを回収するか、下げさせてやり直しを強制させる。こうしたことでリバプールに外からの攻撃のみに絞らせる。そしてSBのところはある程度許容させ、ここからのクロスを跳ね返すことで守備を行う。もちろん、深い位置にSBが侵入してくるようであれば、そこはWBが対応する。これでアーセナルは守備を行い、リバプールが並びを変えるまで、安定した守備を行えていた。

 

リバプールが4-2-3-1に変えてから

守備を上手く行い、さらにはGKマルティネッリの安定したセービングもあり、徐々にリバプールに焦燥感を与えていった。だが、さすがはプレミアリーグ王者。彼らは南野とケイタの投入で、閉められている中央の狭いスペースを無理やりこじ開け始め、そし73分に南野が同点ゴールを挙げる。ではなぜリバプールは流れを掴み、ボールを握り続けることができたのか。

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かなりシンプルなことなのだが、リバプールは4-2-3-1に変えたことで2CHのところでボールを持てるようになる。これはアーセナルCFに対して数的優位を作り出すこができるから。そしてボールを持てる場所が1つ前になったことでリバプールは流れを掴み始める。このようにしたことでCHのところでボールを持てるようになり、中央に起点を置くことができる。これでライン間へ差し込むパスを出せるように。さらに4-2-3-1に変えたことで、4-3-3よりもライン間に人が立つ人数が減り、(4-3-3の場合はIHが2枚立つことがある)ライン間でプレーすることの得意な南野とフィルミーノにスペースを与えることができる。だからこの2人で中央を攻略し、同点ゴールを奪うことができた。さらにパスで差し込めない場合は、ケイタのドリブルで侵入する場面も見受けることができた。

シンプルな変更だが、ライン間プレーヤーと運べるドリブラーを投入したことで一気に流れを引き寄せた。その時々に必要な選手を投入し、そして生かすことができるリバプール。今季も当たり前に強いだろうと感じるものだった。

 

まとめ

リバプールが同点に追いついて、その後はゴールが生まれずPKでの決着となり、見事に勝利したアーセナル。そして今季初タイトルとなり、さらに自信がついた一戦になったのではないだろうか。アルテタ監督は明確なビジョンがある中で、今いる選手の『整理』を進めることができたのならば、今季こそ、復活のシーズンになるかもしれない。エジルの問題や、ゲンドゥージの問題、コラシナツの移籍の話や、セバージョスの問題。これらが完全にすっきりした時に、本当の強いアーセナルが戻ってくるのかもしれない。若手の台頭で、彼らが順調に力をつけていくのならば、アーセナルはこれから先、かなり安定した戦いを見せていくのではないだろうか。

そして一方のアーセナル。この試合は負けてしまったが、それでも強さを見せつける形となった。何よりの朗報は南野の初ゴールだろう。確実に彼とケイタが投入されてからガラッと試合の流れが変わった。そして南野本人もライン間でボールを引き出し続け、チャンスを創出した。今シーズンは4-3-3をベースに、4-2-3-1で戦うことになるのかもしれない。そして4-2-3-1で戦うことが多くなればなるほど、南野の出場機会が増えていくだろう。これからも一フットボールファンとして、リバプールと南野に注目していきたい。

 

 

 

終わりに

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