はじめに
リーガ制覇を狙うためにもはや引き分けすら許されない状況に陥ったバルセロナ。レアル・マドリーの調子を考えたらこの試合は何がなんでも勝利が必須だった。そんなバルセロナに相対したのがレアル・マドリーのライバル、アトレティコ・マドリードだ。彼らは『チョロ』シメオネの下、強靭で規律のある守備を展開。シーズン当初は苦しんだが、なんだかんだで3位まで浮上。そしてここでバルセロナを叩く事ができればCL出場へまた一歩近づける。カンプノウで勝てないシメオネ監督はこの試合も「アトレティコらしく」叩き抜く事で勝ち点3は得られなかったが、「鬼門」カンプノウで勝ち点1を持ち帰る事にで成功した。では今回はどのようにしてバルセロナのホームでアトレティコは勝ち点を持ち帰ったのか。攻守ともに整理されていたアトレティコの戦い方について解説していこう。
スターティングメンバー
カウンターを打つための守備
アトレティコの十八番、いや最早、伝統でも言うべきか。この試合も他の試合と変わらず、守備から試合に入る。ではどのように守備を行っていたのか。
まずは2トップの役割。バルセロナはIHのラキティッチが降りる事で3バックのようになりSBを押し上げる。そのSBで幅を作るので、相手を広げ、中央に差し込む事を狙う。だがアトレティコはその中央を使わせないように守備を行う。だからまず2トップはDMFを消す立ち位置を取る。
そしてボールが中央から外のCB(降りたIH)に動くと、CF1枚が牽制を行う。この時にCHのサウールが1列前に出てDMFを捕まえ、ボールサイドのSHカラスコが絞ってIHを捕まえれるポジションを取りながら中央を埋める。さらに逆のSHも絞る事で中央の場所を埋める事を強化。
このような守備を行う事でアトレティコはバルセロナに中央を使わせずにボールを外に追いやる事ができる。
そしてSBにパスが出た瞬間にSHカラスコがプレスを行い、DMFを捕まえていたCHサウールは縦スライドでIHを捕まえる。これで2トップに帰陣する時間を与える。
そして帰陣する時間を稼いだら、このような守備ブロックを形成する。ボックス幅で守備を行い、中央には必ず3人を配置。バックラインのハーフスペースにはSHのコレアが入り、逆はSBのロディが入る。さらに中央の2トップを消す立ち位置をCHのトーマスとサウールで取り、カラスコ、コスタ、ジョレンテでIHとDMFを牽制できるポジションを取る。ここでももちろん、外を使わせる事でゴールに近寄らせない。
そして高い位置同様に外回りにさせると、ここではSBがプレスを行う。初めてここでボールを奪う意識を明確に表現する。だがここでSBがでると空いてしまうのがハーフスペース。ここを埋めるのがCHのサウールの役割で、CHが開けた中央のスペースを埋めるのがSHカラスコの役割だ。このスライドが異常に早く、驚愕の正確さなので、強固な守備を形成する事ができている。
さらに抜け出されたとしてもボックス内に4枚を必ず揃えているので、クロスを跳ね返す事は容易だ。だからアトレティコは堅守を誇り、そして失点も少ない。
だがこの試合はたった2つの中盤のスライドの遅れと、CBのカバーの遅れで2失点(CKからのオウンゴールに繋がるものとPKを与えてしまったもの)を喫してしまった。やはりバルセロナはミスを見逃してくれないという事を再認識できるゲームでもあった。
矛を持ち得たアトレティコ
「何も通さない盾」を持っているアトレティコ・マドリード。それに加えてこの試合(他の試合を見れていないのでなんとも言えないが…)は「何でも貫く矛」とはいかないものの、その右手には矛を持っていた。それがカウンターだ。このカウンターに加わる選手、カラスコ、コケ、ジョレンテ、コスタ(状況に応じて両SB)だ。彼らのカウンターは正に矛と表現しても良いものだった。ではどのようにカウンターを完結させていたのか。
まずこのように守備をセットした理由。それがバルセロナSBを高い位置まで押し上げる事にあった。元々セティエン監督がバルセロナの監督に着任してからは両SBがかなり高い位置にポジションを取る事が多くなっていた。そしてこの試合も同様で、さらにアトレティコが自陣深くでブロックを引くのでバルセロナSBは迷わず上がっていた。これがアトレティコの狙いだ。
このように仮にSBのところでボールを奪えるとその背後に広大なスペースが生まれる。
もちろんここに抜け出すのがSHのカラスコ。先制点のPK獲得のシーンはこのような
場面から生まれた。カラスコは生粋のボールプレーヤーで独特とスピードで推進力を発揮する。だからバルセロナCBを釣り出し、さらにサイドで1vs1(1vs2)の状況を作り出せたのなら「質的優位」に立つ事が可能だ。さらにCBを釣り出したことで中央でも数的同数を作り出すことができる。
このようにCBを釣り出したことの恩恵を大きく受けることができるのだ。だからアトレティコはこの試合、カウンターを完結させる回数が多く、スピードを持ってバルセロナのゴール前に迫ることができていた。さらにこのようなパターンもある。
このように中央でボールを奪った場合。リキ・プッチというライン間プレーヤーの台頭でバルセロナは中央に差し込むパスを打つことが出来ていたが、かなりコンパクトなアトレティコの守備はライン間で前を向かせることを許さなかった。だからプッチのところでボールを奪える事が多くなっていた。そしてここで奪うと次のようにボールを運んでいく。
カラスコがSBの背後でボールを受け、CBを釣り出す事に変わりはないが、そこからCFのコスタが抜け出す動きを加える事でDMFを動かし、もう1枚のCF、ジョレンテへパスを送る。このパスこそ、『時間を作るパス』で、SBが攻撃に参加できる時間を稼ぐ事ができるわけだ。(もちろんこのままドリブル突破の場合も多く見受けられた)
そしてここでボールをキープできるジョレンテ。元々中盤の選手だからことストレスを感じず、ボールをキープできるのだろう。その作った時間でSHのコレアが背後に抜ける。その時にバルセロナIHはプレスにくるが、CBのラングレは場所を埋めるのか、ボールの出所を潰しに行くのか、この判断に迷う。この一瞬を見逃さず、ジョレンテはボールを運ぶなり、パスを出すなり、選択肢を持つ事ができる。
この2つのカウンターの方法でアトレティコは鬼門カンプノウで勝利目前まで迫った。
バルセロナの守備とアトレティコのビルドアップ
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まとめ
このようにしてシメオネ監督はいつも通り守備から試合に入り、自分たちの土俵に持ち込む事で優勝するために勝利が必要なバルセロナを苦しめる事に成功した。場所を埋め、人を消すポジショニングとそのスライドの速さ、ハードワークをする献身性。まさにシメオネ監督のアトレティコの良さが存分に出た良い試合だった。大刷新した今季のアトレティコ。シーズン当初は結果が出ずに苦しみ、もがいていたが、ここにきてかなりの完成度になっている。この調子を維持でき、このスピリットを持ち続ける事ができるのならば、大穴でCL制覇を成し遂げるかもしれない。そのぐらい、完成度が高いと感じる事のできる一戦だった。
終わりに
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