CL 2nd Leg リバプール vs アトレティコ・マドリード
スタジアム:アンフィールド
過去5試合対戦成績:リバプール⇨1勝 アトレティコ⇨3勝 1分
試合結果結果:2-3
得点者
リバプール:43‘ ワイナルドゥム 94’フィルミーノ
アトレティコ:97‘ 105+1’ ジョレンテ 120+1’ モラタ
前置き
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では早速、解説に入っていきましょう!
最後までお付き合いください!
はじめに
最強の矛を持つとされるリバプールと最強の盾を持つとされるアトレティコ・マドリード。1st legはホームの盾のチームに軍配があがった。ホームでの熱狂的なサポーターの後押しもあり、まさに「らしく」勝利を手にしたアトレティコ。彼らが乗り込むのは『要塞』アンフィールド。昨シーズンのCLバルセロナ戦。4-0で勝利し、逆転突破を果たした「アンフィールドの奇跡」は記憶に新しいだろう。そして今回もリバプールは逆転突破をするべく、ホームに最強の盾を粉砕するために、彼らを呼び込んだ。
この白熱した試合は延長戦までもつれ込み、結果、アトレティコの勝利で幕を閉じた。戦術の駆け引き、思惑、準備、そして情熱。トップオブトップが繰り広げるこの試合に興奮したフットボールファンは多いだろう。
では今回はこの試合の全貌をじっくりと解説していこう。
スターティングメンバー
1st Legのマッチレビュー
まずはこちらをご覧頂き、そして少しでも1st Legの試合を思い出してこのマッチレビューをご覧になって頂きたい。
https://note.com/soccer_bunseki/n/n88b66d594711
では2nd Legのレビューを行っていこう。
盾を打ち砕くための3つの準備
1st Leg。リバプールは枠内シュートが0という驚きを隠せない結果に終わった。完全に幅をスペースを消され、そして粘りに粘られての敗戦。ホームでの逆転突破にはこの『アトレティコの壁』を越えて2ゴールを奪わなければならなかった。だからこそ、この試合に向けて準備した事を最初から出し惜しみなく、そして全力で行った。ではどのような準備を行い、そしてそれにはどのような思惑があったのか。
準備①:両WGが幅を作る
まず1つ目の準備。それがWGが幅を作ること。もちろん、普段の試合も幅を作る事はあるが、この試合に関しては明らかに『WGが幅を作る』事を意識していた。ではこれにはどのような意図があったのか。
まずはこれを見ていただきたい。これが通常の試合で取る攻撃時の基本的なポジショニング。WGが中に入る事でSBを押し上げる。これで幅と深みを作り、さらには弾かれたボールを高い位置で回収する事で2次攻撃に繋げる。
だがアトレティコとの1st Leg。このポジショニングで狙われたのが、SBの背後。
このように赤のエリアを使われる事でリバプールはカウンターを受け、SBはそこのケアを気にするので、ダイナミックな動きが少なからず制限される事になった。
だからこそ、ホーム、アンフィールドでのこの試合はWGが幅を作ることを選択。
このようにする事でSBが少し低い位置にポジションを取る事ができる。
比較するとこのような感じだ。
このようにWGを張らせて、SBのポジションがを変える事で2つの狙いがあった。
まず1つ目。それが先程、少し触れた「SBの背後へのボール」の対処。初めからここのスペースを消す事により、アトレティコにカウンターの活路を見出させないようにする事。初めからスペースを消しているので、アトレティコはSBの背後にボールを送る事が難しくなる。これがまず1つ目の狙い。
そしてもう1つの狙いがこちら。
このようにWGが幅を作る事でアトレティコのSHとSBを引きつける事ができる。これによって時間ができる場所はSB。ここでWGがSBにボールを落とす事でSBは高精度クロスを供給する事ができる。
1st Legでは封じ込まれたクロス攻撃。攻撃し倒す他ないリバプールはここに1つ活路を見出す事に成功する。現にこの試合の先制点も延長戦の追加点もクロス攻撃で、その本数は62本もあった。
さらにはWGに幅を作らす目的はもう1つある。それがこの試合に向けての『準備②』だ。では準備②はどのようなものだったのか。
準備②:CBからの斜めのロングフィード
WGが幅を作る事でSBからの高精度クロスを放り込む事ができるようになったリバプール。さらにその攻撃を活性化させるために行った事が「CBからの斜めのロングフィード」だ。このプレーも前回対戦では見受ける事が出来なかったもので、この試合に向けてしっかりと準備を行って来たものだろう。
ではなぜこのロングフィードが打てるようになったのか。
このように前回対戦の時は後ろが3枚でボールを回す。さらにSBが幅を取り、WGが中に入るので、幅を作っている選手は1枚。だからアトレティコの選手は気兼ねなく幅を取る選手にプレッシングに行けた。
だからこそこの試合、リバプールはWGが幅を作り、そしてIHが中に入り、トライアングルのバランスを保つためにSBも幅を作った。
このように幅をSBとWGで幅を作った事で斜めのロングフィードを打てるようになる。では何故それができるようになったのか。
このようにサイドではトライアングル、バックラインではダイヤモンド型のスクエアを形成する。こうする事で準備を進める。そしてSBにボールを出した時にアトレティコSHがプレスを行う。アトレティコはSHがSBを牽制する事でSBに展開させないようにする必要があるため、ここでSHがプレスに出て行く。この時にしっかりとスライドを行う事で中央を固め、ゴールを閉ざす。これでアトレティコは守るのだが、ここに風穴を開けるべく、リバプールは準備をしている。
アトレティコSHがプレスに来ると、SBはCBにリターンパス。ここから一気にサイドを変える。
このようにサイドを変える事で張っていたWGが時間を持ってボールを持つことができる。アトレティコはスライドを行なっているので、若干の遅れが生じるので、本来ならばSHとSBの2枚を揃えて対応をしたいのだが、SB1枚の対応になる。これでサイドを変える事で次の攻撃の準備をする事ができていた。
補足:なぜ後ろがスクエアだったのか
ではなぜ背後がスクエアだったのか。これは前回対戦をよく見れば分かってくる事。
例えば前回対戦のように後ろがトライアングルの場合。この場合だと、上の図のように2トップのどちらかがDMFを消しながら牽制を行えるので、サイドを変える斜めのフィードを打つ事ができない。だから相棒のCBにパスを出す事でサイドを変えるが。そこに届くまでに時間がかかる。だから前回対戦は斜めのボールを見る機会が少なかった。
では今回のように後ろがスクエアだった場合はどうなるのか。
このように似たような状況。SBからのバックパスを受けるCB。この時にDMFヘンダーソンが2トップの間にポジションを取る事でCFの1枚をピン止めすることができる。さらにボールサイドのCFは中央のDMFヘンダーソンを消す立ち位置を取る。だからCFはCBにプレスに行く距離が長くなり、CB(特にファンダイク)は時間を持ってボールを持つことができ、そしてサイドを変える事ができる。
さらにこのようにバックラインをスクエアにしている事で、SBのサポートも距離も短くでき、さらにこの試合の狙いの「後ろでのサポート」(準備①)ができる。
これが後ろをスクエアにした理由で、これで斜めのボールを差し込む事ができるようになった。前回対戦からの修正をしっかりと行っている証拠の1つだろう。
準備③:IHの飛び出し
WGが幅を作る事。CBの斜めのロングフィード。そのためのサイドでのトライアングルとバックラインでのスクエアの形成。これにより繰り出せた攻撃がSBからの高精度クロス。そしてもう1つがIHの飛び出しだ。この攻撃でアトレティコの堅守に小さな穴を開けていった。ではどのようにしてIHは飛び出していたのか。
WGがボールを持つとSHとSBがボールを奪いにプレスを行う。この時にIHを捕まえるため、場所を埋めるためにCHはSBのカバーポジションを取る事が特に前半は決まりとしてあった。
ここで先述したようにSBにパスを送る事で、時間ができているSBからの高精度クロスを放り込まれる。だからCHの立ち位置は徐々に高くなり、曖昧になっていく。
このようにSBにも牽制に行ける距離間を保ち始める。比較で確認してもらいたい。
このように少しだけ高くなる事で、IHがここに抜け出すことができるようになる。
このようにCHが若干高いポジションを取っているので、IHの抜け出しに間に合わなくなり、深い位置をとられてしまうようになる。この攻撃はCHが若干高い位置を取るようにうなって見られるようになった攻撃だ。
この攻撃を繰り出すことができたのも、SBで時間を作れるように準備したから。2つの選択肢をCHに提示する事で徐々にアトレティコの壁に穴を開けたいった。
これら3つの準備を徹底的に行い、何度も試合を決められるシーンを作り出し、そして勝ち上がるための準備が整っていたリバプール。
だが結果はCLから姿を消す事になった。もちろん『運がなかった』のもあるだろうが、それ以上にアトレティコの選手の闘志とシメオネ監督に修正が効いていた。『要塞』アンフィールドでアトレティコが勝つために施した修正は一体どんなものだったのか。
施す盾の修繕
リバプールの矛で突かれまくり、だんだんと穴ができ始めたアトレティコの盾。だがハーフタイムでの修正、そして54‘の交代による修正で「盾」の修繕に向かう。ではどのような修繕し、そしてどのような意図があったのか。
前回対戦同様の守備戦術
まず触れるべきはアトレティコ守備の戦術。「機能していた」といえば機能していたし、「機能していなかった」といえば機能していなかった。
いわゆる、どっちつかずで、どっちに転ぶか分からない状況だった。それが特に前半。では基本的にどのように守備を展開していたのか。
2トップはDMFを消し、外回りのパスを選択させる。そしてSBにパスが出ると、SHが牽制を行う事でサイドを変えさせないように対応。その時に中盤がしっかりとスライドし、最終ラインはペナルティエリアの幅で守備を行う。こうする事でボールを持ったSBにWGへのパスを選択させる。
WGにパスが出ると、SBがプレス、SHがプレスバックで数的優位を作り出し、対応を行う。そして白のエリアを埋めるためにCHが下がってカバーポジションを取る。こうするさらに逆のCH、SHもボールサイドにずれる事で中央を締める。これで中に人数をかけ、入ってくるボールを尽く跳ね返した。
だがこの守備が通用したのは1st Legのこと。この試合は2nd Legだ。先述したようにリバプールはしっかりとこの試合に向けて準備を行っていたので、SBからの高精度クロスを入れられ、徐々にIHに深い位置を取られるようになり、前半にうちに失点を喫してしまう。
だから後半からこのような修正を加える。
この修正こそが、最強の矛を有するチームを『要塞』で破る事に成功する。
修正①:ポジションの入れ替え
まずハーフタイムで行った修正はSHに位置していたサウールをLCHへ、RCHに位置していたコケをLSHへ、LCHに位置していたトーマスをRCHへ変更。これにはどのような意図があったのか。
意図①
まず1つ目の意図。それが『コケの運動量』に頼るカバーではないだろうか。前半から圧倒的な走行距離を誇り、前半だけで6.1kmを走った。だからこそ、シメオネ監督はキャプテンをサイドに置く事で、SB、WG、そしてIHのケアを任せたのではないだろうか。
実際にリバプールの攻撃は右に大きく偏っており、「ここを止めなければ突破はできない」と踏んでのポジションの変更だろう。
意図②
2つ目の意図はカウンター時の推進力。勝ち上がるためにはゴールが必要な両チーム。アトレティコはアウェイと言えど、防戦一方でPKを狙うという戦い方を選択しなかった。後述するが、カウンターの機を伺い、本気で勝ちにいった。
だからこそ、中央からの推進力が必要で、その中でもサウールの推進力に頼った。現にゴール前まで行くと、必ずサウールがおり、ミドルシュートもいくつか放った。
意図③
3つ目の意図。これは2つ目と若干被るが、サウールの推進力を生かす事で、SBを押し下げようという試みだ。ではどのように押し下げようとしたのか。
まず白のエリアがコケのカバーエリア。ここをカバーすることを任された。そしてこの辺り、またはクロスの跳ね返りを拾い、赤のエリアにボールを供給し、そこへCFが流れる。これで中央を開ける。ここにCHに入ったサウールが飛び出す事で、CFのJ・フェリックス、コレア、CHのサウールで攻撃を完結させることを試みた。これでSBを押し下げ、前回対戦と同様の展開に持ち込む意図を狙ったのだろう。
だが、腹を括っているリバプール。ここで簡単にSBが下がらず、高い位置を取り続ける事で逆転突破のゴールを狙い続けていた。
だからこそアトレティコは次の修正に打って出る。
修正②:CBへのプレス
そしてもう1つの修正。それがCBへのプレスだ。これを判断したのは54’の交代、CFのジエゴ・コスタに変えて、マルコス・ジョレンテを投入。この意図にはCBへのプレスをかけるための交代だった。ではどのようにプレスを行い、そしてそれによる、後の展開を望んでいたのか。
交代により、SHに入っていたコレアがCFに、そして交代で入ったジョレンテがSHに入る。これで「より走れる」選手が揃うことになる。この交代の直後の60‘辺り。ここからアトレティコの2トップはリバプールのCB、もっというとスクエアを形成する後ろの選手にプレスかけるようになる。これにより、白のエリアは空いてしまうが、これは許容していた。それよりもCBからの斜めのボールを嫌ったのだろう。
このプレスによりアトレティコは息を吹き返す。ではなぜアトレティコは復活したのか。
このようにプレスをCFがプレスをかけるようになったことにより、リバプールはSBを押し上げる事が簡単になる。これは先程、少し触れてた、アトレティコが白のスペースを「捨てた」から。だからSBが高い位置をとるようになる。
これこそがアトレティコが息を吹き返した理由。このような展開になったことにより、リスクは多少伴ってしまうが、防戦一方だったアトレティコがカウンターを打てるようになった。
この理由がリバプールの後ろが「トライアングル」になったから。これは前回対戦と同様でSBの背後、CBの脇をつけるようになったこと、さらには「トライアングル」になったことにより、シンプルに守備の人数が減ったことが関係している。
さらにアトレティコがカウンターを打てるようになったので、前半よりもオープンな展開になる。こうなると、徐々にWGのポジショニングが『中』に入っていく。こうする事でリバプールは『直線』のロングボールが多くなり、アトレティコは跳ね返す事が斜めのものより、容易になる。またWGが抜け出す場合も「中⇨外」になるので、「ゴールから遠ざける」事に成功する。
また、WGが中に入った事で前回と同様の戦いにシフトする事も可能に。『リバプールを抑えた』という事実がある前回同様の戦い方に持っていく事でアトレティコは精神的にも優位に立つ事ができた。
もしもこれらの2つの修正で
一部のスペースを捨て、SBを押し上げさせる事で、
カウンターを打つ準備をし、そして前回と同様の戦い方にシフトする
これをシメオネ監督が狙っていたとしたら、、、
このように考える事ができる後半に内容で、大胆なこの方法に度肝を抜かれた試合だった。
延長戦に入ってから
延長戦に入ってからは戦術的な変わりはなく、試合が進んでいった。リバプールは準備してきた事を徹底して行う事で決定的となるゴールを奪ったかのように見えた。このゴールが少し、テイストが違うが、IHが抜け出してクロス、これまでに何度も試みた攻撃だ。さらにアトレティコが前に出て、カウンターという土俵で攻撃できた事も大きかっただろう。
アンフィールドでの逆転劇で幕切れかと思ったが、GKアドリアンのミスで全ての流れがアトレティコに移った。リバプールはこの失点で万事休す。
我慢して仕留めるの真骨頂でアトレティコは劇的な勝利をてに入れた。
まとめ
矛と盾。勝利と敗北。歓喜と悲哀。天国と地獄。まさにこれらを具体的に表した、そしてサッカーの『冷たさ』と『熱さ』が同時に現れ、入り混じった最高の試合だった。何度も身震いがし、興奮した。そんな試合を支えていたのが、戦術であり、情熱。稀代の名将が織りなすこの試合は後世に語り継がれてもよい試合の1つではないだろうか。それぐらい様々な感情と思惑が詰まった試合だった。
コロナの影響でサッカーが見れないという虚無感にさらされる中で、このような試合を見れた事に感謝したい。時間が許される限り、この試合を見返していきたい。
そして早期のコロナウイルスの沈静化を心より願っている。
終わりに
最後までお付き合い頂きありがとうございます!
ではこの場を借りまして、5つの事について紹介させて下さい。簡潔にまとめているので、この4つの事も覗いて頂けると幸いです!
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改めまして最後までお付き合い頂き、ありがとうございます!また次回の記事でお会い出来る事を楽しみにしています!
これからも『Football Base』を宜しくお願いします!