【アトレティコの進化】LaLiga 1節 アトレティコ・マドリード vs セビージャ

 

LaLiga 1節

アトレティコ・マドリード vs セビージャ

ワンダ・メトロポリターノ

結果:2−0

 

【A・マドリード】

17’ コレア

76’ サウール

 

【セビージャ】

なし

 

LaLigaの首位を直走るアトレティコ。今季は堅い守備が顕在の上、攻撃力も増した。スアレスの加入も大きいが、それよりもここまで崩さなかった不動の4-4-2を捨て、革命を起こした。それが3-5-2のシステム。一概にシステム変更により、攻撃力が増したというのは、安直かもしれないが、それでも結果としてリーグテーブルの首位に立っている。

ここまでアトレティコ・マドリードの試合を観なかった僕が、彼らの試合が面白いがゆえに、何度も見返した。では今回はこの試合で行われていた事を中心に、アトレティコ×セビージャのレビューを行っていこう。

スターティングメンバー

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アトレティコの各エリアの振る舞い

新システムの3-5-2。だがこれは各エリアでの振る舞いの違いで、4-3-3にも3-5-2にも6-3-1にもなり得る。この可変こそ、今のアトレティコを個人的に観て欲しい1つの理由となっている。

では各々のエリアでどのような振る舞いをしているのだろうか。

 

  • ビルドアップ

ではまずはビルドアップの局面から触れていこう。

彼らのビルドアップの形は4-3-3の形になる。

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このように、左CBに入ったエルモソが幅を作り、SBの役割を果たす。これに呼応してWBカラスコが高い位置を取ることでWGの役割を担う。

右サイドではWBトリッピアーが下がってSBの役割、2トップの一角に入ったCFコレアが幅を作り出しWG化。これで中央でジョレンテ、レマル、コケにスペースを与えつつ、外からでも入りこめるように設定する。

このように、2トップの1枚が幅を作り出すことが必要なので、J・フェリックスが1stチョイスになっていないのではないだろうか。

 

  • 前進し押し込んだ時

では前進ができ、攻撃のフェーズに入るとどのような形になるのだろうか。

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押し込んだ時の形は3-1-4-2の形になる。この時に幅を作っていたエルモソが3バックの立ち位置に戻り、WBカラスコが幅を作る。右サイドではトリッピアーが幅を作り出すことで、コレアを中に押し込み、STの役割を担わせる。このようにすることでライン間に人を配置しながら、両サイドで幅を保つことができる。

これで、中央を閉められれば外から入り込み、広げたところでライン間に立つ選手に縦パスを打ち込む。このようにアトレティコは攻撃を仕掛けれるようになっていた。

だからこそ、カウンターで仕留めるイメージの強かったアトレティコが能動的にボールを持ち、そして崩すことが可能になったのではないだろうか。

 

  • ネガトラとプレッシング

押し込み、攻撃を仕掛ける。だが、完結できないことの方が多い。そこで大事なのがネガティブトランジションとプレッシングだ。

このプレッシングの狙いは、「遅らせること」を中心に置いているように映った。(もちろん、ボールを奪うこともある)

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このように、プレスをかけることで早い攻撃を打たせない。さらに中央も経由させないことで一度外に追いやり、時間をかけさせる。これにより、配置を整えることができる。「遅らせること」。これがハイプレスの大きな狙いだった。

 

  • ミドルブロック

プレスをかけることで遅らせ、配置を整えてミドルゾーンでブロックを作り出す。

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このように、WBがバックラインに入ることで5-3-2の形になる。この形がミドルブロックの完成形。この時に2トップと3枚の中盤で中央を閉めることで、ここでも中央に入れさせないことで、バックラインまたは外側でボールを持たせる。(青のエリア)

これで、作り出した「網」に誘い込む。

 

  • 構えるブロック

自陣にブロックを構え、そしてボールを回収。これはどのチームも決まって行うこと。だが、アトレティコの場合は、それが極端だ。

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条件付きだが、アトレティコはブロックを作る場合は6-3-1の形になる。この条件というのが、セビージャSBが高い位置で幅を作った時に、カラスコとコレアがバックラインに入る。だからこの試合、6バックのように見えることがあった。もちろん、これでセビージャは簡単にCBが持ち上がることが可能に。

だが、これも明確な「線引き」があり、CBがハーフラインを超えると、中盤が1枚牽制を行い、外にボールを追いやるように仕向ける。

これで、幅を作る選手にボールを持たせ、「縦を切る」ことで、人数が揃っている方へ誘い、ボールを回収していた。

このように中に誘い込んでボールを回収できるのも、4枚がペナ幅で守っていること、そして何よりもDMFに入るコケの圧倒的運動量を生かしたカバーにより、この回収方法が成り立っている。

 

このようにしてアトレティコはそれぞれのエリアの振る舞いを変えながら、セビージャと戦っていた。(もちろん、他の試合もそうだったのだろう)

4-4-2に強いこだわりのあったシメオネ監督の進化が直に分かる試合だった。

 

後半から戦いを変えたセビージャ

ではセビージャはどのようにこの試合に臨んでいたのか。

まず前半。彼らはスソをCFに、オカンポスを右WG、エン=ネシリを左WGに配置した。これでスソを下がらせ、エン=ネシリをストライカーの位置に動かすことを狙っていた。もちろん、スソがDMFコケの周辺をうろつくことで、中に入るWGオカンポスへの縦パスを打ち込むことも狙っていた。だがこれでは6-3-1のブロックを崩し切ることができなかった。

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このように攻撃を試みるのだが、ペナ幅に4枚配置するアトレティコ。これにより2vs4の圧倒的不利な状況になってしまうので、攻撃を完結させることは誰が観ても簡単ではなかった。

だからこそ、ロペテギ監督はハーフタイムで修正を加える。

その修正というのが、CBクンデの攻撃参加だ。この最終ラインからの攻撃参加により、セビージャは攻撃の糸口を見出した。

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このように、カラスコとエルモソを動かすことで、サイドのスペースを取ることに成功する。だから後半からセビージャはCBクンデがクロスを上げることが多くなり、攻撃が回るようになっていた。これができたのも、アトレティコが6-3-1になり、背後に重くなり、前線に人がいないので、CBが簡単に攻撃参加することが可能になっていた。

だがこれに対して、シメオネ監督はすぐに対処する。

  • シメオネが出した対策

シメオネが行った対策というのが、5-4-2の守備に変更することだ。だからサウールとJ・フェリックスを投入して配置の変更を行った。これで、前に人数が残るアトレティコに対して、セビージャCBが簡単に攻撃参加ができなくなる。さらに、SBに対して一列高い位置の選手がプレスをかけれるので、バックラインを動かされることが少なくなる。

 

このようにして対処することで、アトレティコはこの試合でもしっかりと守り、クリーンシートで試合を終えることに成功した。

 

進化したアトレティコ

観よう、観ようと思っていたアトレティコの試合。新年になり、やっと観ることができた。噂には聞いていたが、どうだ。予想の遥か上を行く試合をしていた。今までのアトレティコから、数段の進化が観られた。他のライバルチームが不調ということもあるが、彼らが現在、首位に立つ理由が分かる。いや、他のチームが好調でも、彼らが首位かもしれない。そう思えるほど、アトレティコは面白いサッカーを展開していた。

アトレティコマドリードの試合を観て、絶対に後悔しない。個人的にはそう感じる。是非皆さんも、アトレティコの試合をチェックしてみて欲しい。

 

 

 

 

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