コッパ・イタリア 第1戦を振り返ろう! ミラン vs ユベントス

 

 

はじめに

もう一つのコッパイタリア。先日はインテルvsナポリがサン・シーロで行われ、そして続けて同じサン・シーロでミランvsユベントスが行われた。共にリーグ戦でショッキングな敗戦を喫し、勝利を手にしたい一戦だ。個人技頼みで調子が良いとお世辞にも言えないユベントス。イブラヒモビッチというメガスターが加わって、チームに結束力が増したミラン。この対称的なチーム事情がしっかりとしあいの内容にも反映されていた。では今回はこの試合のトピックスを噛み砕いていこう。

スターティングメンバー

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これがお互いのスターティングメンバー。ホームのミランは右SB以外はミラノダービーと同じメンバー。ほぼベストメンバーと言って良いだろう。一方のユベントス。サッリ監督はまだ前線の配置とメンバーが定まらず、この試合は4-3-3を使用。クアドラードがWGに入り、ディバラがCFに入る配置を選択。結論を述べてしまえば、この試合もユベントスは『ちぐはぐ』が拭いきれなかった。では早速、この試合について解説していこう。

ミランの守備について

ミランはインテル戦と同様、このビッグゲームも守備から試合に入った。ではどのように守備を行なっていたのか。

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このようにインテル戦と似たように、『人を捕まえる』守備を実行。対ユベントスに倣って、ミランもDMFのピャニッチをSTのチャノハノールがマンマーク。これで中央からのビルドアップをさせなかった。さらにIHに対してはCHがマークを行うことで、SBにパスを選択させ、外回りのパスにさせる。そしてSBにパスが出るとSHがプレスを行い、このエリアでボールを奪う。

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SBにパスが出ると、SHがプレスを行う。これでSBはパスを出さなければならない状況に陥ることになる。そしてミランは白丸のエリアにボールを追い込み、ここでボールを奪う。しっかりと人を捕まえているので、タイミングさえ合えばパスカット、タイミングが合わない場合は前進させない守備をする事ができる。ここで時間を稼ぐことで、SHとSTで数的優位を作りだしボールを回収する算段だ。このときにバックラインはスライドして3バック化しすることでプレスを躱されたときの対応ができる。さらに逆のSHが白丸のエリア辺りにポジションをとっていることでボールを奪った時のショートカウンター要員になっている。この守備で何度もユベントスのビルドアップを引っ掛けてゴールに迫った。

自陣での守備

先程、解説したのはミランの敵陣での守備。では自陣での守備はどのように行なっていたのか。

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上の図のようにバックラインは「ペナ幅の距離」を保ちながらスライドを行う。こうする事で中央を極端に狭くし、「差し込む」縦パスを入れさせないように対処。さらにその前のセカンドライイン、CH2枚でバイタルエリアを埋める。そして最も重要な役割を担っていたのがSHだ。SHは主にIHを捕まえる。これでSB、ないしはCBは幅をとっているWG(もしくはSB)にパスを出す。ここにボールが出た瞬間、SBとSHで一気にプレスをかけることで奪い切る。『SHがIHを消しながらプレス』をかけることが上手くいっていたので、サイドを奪いどころに設定できた。これでミランはユベントスに印象的な攻撃を仕掛けさせず、完全に封じ込むことに成功した。

これらの守備に対するユベントスの対応

もちろん、ユベントスはミランの守備に対して何もしなかったわけではない。ユベントスも対処し、徐々にボールを持てるようになっていった。ではどのように対応したのか。

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このようにIH(特にラムジー)がCBからボールを引き出すために降りる事でCBからCFへの縦パスのコースを作り出す。ミランの守備戦術をしっかりと理解しているからこそできた対応だろう。これでCF(ディバラ)がライン間に降りてボールをうける事でユベントスはある程度前進ができるようになる。そうすると迷うのがミランCB。出ていけば中央を開け、WGにスペースを使われ、出て行かなければCFにフリーでボールを持たれる。これこそがユベントスの狙い、もっと言うとラムジーの狙いだったのではないろうか。

気の利くIHのラムジー

こうして時間が作れるようになり、ある程度、攻撃を仕掛けれるようになったユベントス。敵陣、アタッキングサードではIHのラムジーが絡むとチャンスが生まれていた。ユベントスで「唯一」と言っていい「気の利く」選手がラムジーだ。ではどのような所が気の利くプレーなのか。

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気の利くプレーとは、味方を観てプレーができることだ。そしてこれは1つの例だ。CFのディバラがボールを受け、SBにパスを出す。ここで多かったのがWGへのパス。(ミランの守備戦術も関係)WGはSBのプレスを嫌い、若干下がってボールを受ける。ここでIHがハーフスペースに飛び出す事でSBはIHが気になり、WGが時間を持つことができる。

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このようにスペースにフリーランするので、WGで時間ができ、そして四角のエリアにスペースができ、そこにCFが入る事ができる。現ユベントスには「フリーラン」できる選手、「気の利く」選手がラムジーしかおらず、他の選手はほとんど足元でボールをうけるので、相手を動かせず、個人技頼みの攻撃になってしまっている。

ミランの攻撃

では次は少しミランの攻撃について触れておきたい。

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これがミランの攻撃時のポジション取り。ユベントスは4-4-2で守るのだが、2トップに入るディバラとロナウドには守備のタスクが殆どなかった。だからCHが白のエリア、ユベントスのブロックの前で自由にボールを回す事ができた。そしてSHがハーフスペースに入り、SBが幅を作る。これでクロスから攻撃を仕掛ける事で後半のゴールに繋がる事になる。

後半に入ってのミランの修正

試合をコントロールして上々の前半を過ごしたミラン。唯一の懸念はボールを受けに降りるCFの存在。ピオリ監督はしっかりとここを修正していた。ではどのような修正を行なっていたのか。

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これがミランの修正だ。まずCFに対してCBがマンマークを行う。これでCFを自由にさせない事を選択。こうする事で怖いのはCBが剥がされた時にできる中央のスペース。もしもCBが剥がされた時のためにCHのベナセルが自分のマークのIHを捨ててカバーポジションを取る。そしてIHに対してはSHがプレスバックする事で自由にさせなかった。これでミランは再びボールを回収できるようになり、カウンターを仕掛け続け、先制点を奪う事に成功した。

 

10 vs 11 になってから

ミランに退場者が出てからミランは4-4-1に変更。イブラがDMFのピャニッチをマンマークし、徹底して守る事を選択。これでしっかりと守れていたのだが、最後の最後にロナウドのバイシクルシュートが不運にも手に当たり、PKで同点に追いつかれてしまった。一方のユベントス。イグアインの投入で4-1-2-1-2、いわゆる4-4-2のダイヤモンドの形にして攻撃に圧を加えるが、さほど効果はなかった。最後もロナウドの個人技で得たPKで苦し紛れの同点ゴール。この先が思いやられる展開だった。

まとめ

個人技でどうにかしようとするユベントス。チームでまとまり、タスクを全うするミラン。対極にある戦い方に呼応して試合内容も白黒はっきりした。確実にゲームをコントロールしていたのはミランであり、勝利に近付いたのもミランだった。だからこそ、勝ち切りたかったのが、ピオリ監督の本音だろう。だがミラノダービーの逆転負けからの反応はとても良いものだった。これから先、期待がもてる、そして強いミランが帰ってくる予感のする、ミラノダービー、ユベントスとの2戦だった。だが、この1stレグで失ったものは多く、次節はイブラ、テオ、レビッチ、カスティジェホを失う事に。はたしてピオリ監督はどのような戦術を持ってくるのか。楽しみなところではある。
一方のユベントス。ヴェローナ戦と同様、個人技頼みの連動性のない攻撃。表現したいスタイルが見えず、苦しんでいる印象だ。スーパースターの揃うユベントスだけに勝てないだけで騒がれる。このプレッシャーを受け止めきれず、サッリ監督は解任されてしまうのか。ナポリで見せたサッリボールの片鱗も見えないユベントス。はたしてセリエAで強さを取り戻せるのか。そして来週から再会するCLを勝つ抜くことができるのか。とても楽しみだ。

 

終わりに

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