- はじめに
- スターティングメンバー
- モウリーニョの狙い:守備の決まり
- モウリーニョの狙い:攻撃
- チェルシーのビルドアップ①
- チェルシーのビルドアップ②
- チェルシーの攻撃①
- チェルシーの攻撃②
- WBジェームズの存在感
- チェルシーのハイプレス
- 後半のトッテナム修正とアスピリクエタの対応
- まとめ
- お知らせ
- 終わりに
はじめに
リーグ戦で勝ちから遠ざかってしまっているランパード監督率いるチェルシー。来週のCLも控える中でホーム、スタンフォード・ブリッジに迎え入れるのは、かつての恩師、モウリーニョ監督が率いるトッテナム。トッテナムはモウリーニョ監督の就任で、勝利を取り戻し、ボトムハーフに沈んでいた前半戦から、CL圏内にあと一歩の所まで登り詰めてきた。そしてこの試合はそのすぐ上に位置するチェルシーとの一戦だ。そしてその勝ち点差はわずかに1。いわばシックスポインターと称されるゲームだ。だが、エースのケインを欠き、さらにはソンフンミンまで怪我で離脱。少し苦しい状況のトッテナムだが、状況はチェルシーも似たようなもの。カンテ、エイブラハム(今節復帰)、オドイを欠き、こちらも苦しい状況だ。そんな中で迎えた注目の師弟対決、しかもロンドンダービーというビッグゲーム。今回はこの試合を噛み砕いていこう。
スターティングメンバー
チェルシーはカンテの怪我があってか、前回対戦の良いイメージがあってか、3-4-3の布陣でこの試合に臨んだ。一方のトッテナムは後ろを重く、5枚のディフェンスラインを引き、その前に4枚の中盤。モウリーニョ監督らしく、「ゴール前にバスを置く」守備ブロックを形成する布陣でアウェイ戦に臨む。
モウリーニョの狙い:守備の決まり
まずはモウリーニョの狙いから触れていきたい。この試合、バック5を使用し、まずは失点をしないという意図を見せたトッテナム。実にモウリーニョらしい試合の入り、作り方だ。ではトッテナムにはどのような守備の決まりがあったのか。
バック5にした理由はチェルシーの3トップを3CBで捕まえる事が目的。マンマークを行う事で3トップを自由にさせなかった。これがCBの役割で、3トップマンマークして自由にさせないというのが決まりだろう。次にSB。SBの役割はWBにボールが出ると、そこにプレスを迅速にかけて前進させない事。これにより、WBを高い位置に取らせない事を目的とした。次に中盤の3枚。ここの3枚は中央に差し込ませないためにしっかと距離を近く保ち、スライドを行う。またCFとSH(主にモウラ)のカバーを行う事が役割として与えられる。そして最後にCFとSHのモウラ。この2人が最前線にでるような形をとり、ボールサイドのCBとCHを何となく牽制。ここでも中央に差し込ませないように牽制を行う事が役割として与えられていた。これがモウリーニョの守備の決まりだ。
モウリーニョの狙い:攻撃
モウリーニョの攻撃の狙いは明かに「ロングカウンター」だった。だからこそ、ロングカウンターを狙うための準備もしっかりとしてきていた。ではどのようにロングカウンターを狙っていたのか。
先述した守備戦術だと、ボールを奪う位置はもちろん低くなる。これで1度ボールを下げて作り直す時間を作る+プレスを呼び込む事を行う。そして上の図のようにCBが幅を作る事でSBを1列前に押し出す。そうするとチェルシーWBがそこを捕まえる。SBが押し上がられた事でSHがハーフスペースでCBから縦パスを引き出す動きをつける。そうするとSHを捕まえに来るのはCB。これで捕まえにきたCBの背後にスペースが生まれる。ここへCBがロングボールを流し込む事でCFが抜け出し、ドリブルで勝負を仕掛けることができる。CFのベルフワイン、SHのモウラのドリブルでの推進力を中心にトッテナムは攻撃を組み立てていった。もちろん、SHが縦パスを引き出して、独力で展開を変えるパターンも存在。(この試合を見ていると、こっちの方が効果的で、途中からSHの個人技で前進する事に切り替えていた)
この2つの攻撃を中心にトッテナムは攻撃を組み立てていき、ゴールを奪う事に専念した。
チェルシーのビルドアップ①
チェルシーはトッテナムの守備戦術に対して、どのようにビルドアップを行なっていたのか。この試合、チェルシーは主に2つのビルドアップを中心に攻撃を組み立てていた。ではまず、1つ目のパターン。
4バックの時と同じようにCHのジョルジーニョ(時にコバチッチ)がバックライン付近に降りる事でCBのアスピリクエタとリュディガーを押し出し、幅を作らせる。こうする事で白の四角のエリアで数的優位を作り出すことができ、SHのモウラを釣り出す事を目的としていた。ここを釣り出す事で、STがボールを中央で引き出すことができる。これをまずは攻撃の組み立て、ビルドアップの形として試していた。
チェルシーのビルドアップ②
そしてもう1つのパターン。このパターンの方がより効果的なものだった。そのビルドアップがこちら。
このようにCBのアスピリクエタが幅を作り、WB、STで三角形を形成。こうすると、SHのモウラは前に出れなくなるので、バックラインは2枚で良くなる。さらにSTがSHとCHの間に降りる事でトッテナムCHのウィンクスをその場に留めることができる。こうするとチェルシーにはフリーになる選手が2人生まれる。それが白の四角で囲った選手、ジョルジーニョと逆のWBのアロンソだ。このような形を作り出した事でチェルシーは効果的に攻撃を仕掛けられるようになる。
チェルシーの攻撃①
ビルドアップ②で解説したようにチェルシーはCHのジョルジーニョと逆のWB、アロンソのところで優位に立つことができる。そしてこのようにして先制点が生まれた。
CBからフリーのジョルジーニョにパスが渡ると、このようにSTが縦パスを引き出す動きをする事で、CBを誘き出すことができる。これはトッテナムの守備で触れたように、CBがSTをマンマークするというタスクがあるので、CBを動かすことができる。そしてこの動きに連動してCFがCBの背後に抜け出す。実際にこの形で先制点を奪い、このジョルジーニョからの縦パスは何度か見られるものだった。
チェルシーの攻撃②
そしてもう1つビルドアップ②に関係している攻撃がこちら。
このように逆のWBがフリーになっているので、ここをシンプルに使うという攻撃だ。トッテナムの中盤はスライドして中央を固めているので、その脇をWBが使う事ができる。そしてここでWBがボールを受けるとSBが出てくるので、その背後のスペースをSTが使うことでチャンスを作り出すという算段だ。この攻撃の方がより多くの展開を作ることができるので、このような攻撃を見受ける事が多かった。
WBジェームズの存在感
最後にチェルシーの攻撃を支えていたのは確実にこの若武者、WBジェームズだろう。弱冠20のジェームズは有効的なポジショニングと持ち前の推進力で攻撃を牽引した。
このように効果的にハーフスペースを使う事ができるので、トッテナムの守備陣を動かすことができる。そしてSTまたはCFとのコンビネーションプレー、または単独での突破でチャンスを広げる。さらにはCBアスピリクエタのインナーラップを促す事もしていた。この試合のWBジェームズの動きはとても賢いものだったので、ぜひもう一度この試合を見て頂きたい。
チェルシーのハイプレス
守備に課題があるチェルシー。その中でも特にハイプレスに関して問題があるが、この試合のハイプレスはしっかりと機能していた。
プレスはかなり前からかけていたチェルシー。CBに対してCFとボールサイドのSTがプレスを行う。この時にボールと逆サイドのSTはボールサイドのCHを捕まえる。さらにSBに対してはWB、SHに対してはCB、CHに対してはCH、逆のSHに対してはWBがマンマーク。これがハイプレスの構成で、ボールを奪う準備。そしてこのようにボールを回収していく。
CBの所で奪えたら理想だが、ここでなかなか奪うことは難しい。だからSTはCBの背後を使われないようなプレスをかけることで中央にボールを蹴らせる。これで競り勝ち、白丸のエリアで2ndボールを回収するという算段。低い位置でブロックを形成しているトッテナムはこのエリアまで押し上げるのに時間がかかってしまうので、チェルシーの中盤の尽く2ndボールを回収されていた。このようにして攻撃しては回収することでチェルシーはトッテナムの攻撃を封じることに成功した。
後半のトッテナム修正とアスピリクエタの対応
後半になりトッテナムは攻撃の仕方を変更。それはSHのモウラが中盤まで降りて組み立てに参加すること。これでトッテナムはボールを持てるようになっていく。
まずはSBの位置。ボールサイドのSBが高い位置を取るようになったことでWBを押し下げることに成功。さらにこのようにする事でSHが自由に動けるようになる。そしてこれでSHが組み立てに参加できるように。上の図のようにCHがSTの脇に流れる事でSHが中央で受けれるスペースを創出。そうすると、CBには2つのパスコースが生まれ、チェルシーCHはSHかCHのどちらを牽制すればいいのか、判断の難しい状況に陥る。これでトッテナムは徐々に全体を押し上げてチェルシーゴールに迫っていくが、アスピリクエタがSHを自分のポジションを捨ててまで捕まえに行く判断を下し、そしてしっかりと潰しきれるので、この修正も威力を半減された。アスピリクエタのこの好判断がなければ、もしかしたらチェルシーは崩れていたかもしれない。
まとめ
モウリーニョ監督らしく、守備から試合を作り、カウンターで仕留めるという十八番の形を狙ったが、この試合に関しては上手くいかなかった。その理由がランパード監督が準備してきたであろう、ビルドアップの場面にある。しっかりと相手を動かすポジションをとり、そして効果的にパスを回す。これでフリーになった選手を素直に使い、決定機をいくつも創出した。この攻撃の中心にいたのは間違いなく、ジェームズとジルーだろう。ジルーに関してはなぜ使われなかったのかわからないが、ボールの収まり所を提供し、そしてポストプレーで周りを生かし続け、自分でもゴールを奪って見せた。他のストライカーにはできないプレーで確実に違いを見せつけた。現在のチェルシーにはもってこいのCFではないだろうか。見事に采配を的中させたランパード監督に軍杯があがり、重要なシックスポインターのビッグマッチを制する事に成功。次の試合はまたしてもビッグマッチのCL、バイエルン戦。この試合のような戦いを継続できるのであれば、勝利を掴む事ができるのではないだろうか。次の試合も楽しみだ。
お知らせ
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