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- 後手を踏んでしまう守備
- 切り込めないトッテナムの守備
- 放置してしまうサイドのスペース
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【Premier League11節 ノースロンドンダービー】
トッテナム vs アーセナル
スタジアム
トッテナム・ホットスパースタジアム
結果:2−0
【トッテナム】
13’ ソンフンミン 45’+1 ケイン
【アーセナル】
なし
スターティングメンバー
後手を踏んでしまう守備
まずアーセナルの守備について触れていこう。この試合、後手を踏んでしまっていた。ではどのような守備を行っていたのだろうか。
まず初めに行っていた守備が上の図のようになる。アーセナルはCBに対してSTがプレスを牽制。さらにCFとOMFに対してはCHがマークを行い、SBに対しては右ではST、左ではWBがマークを行う。これで嵌め込もうと試みたが、CFのラカゼットがCHを消す立ち位置を取った時に、ここで数的不利になってしまい、嵌め込むことが難しくなっていた。
だからアーセナルは中央を使われて前進を行われてしまっていた。
だがこれに対してすぐに対応を行う。
このようにCFとSTオーバメヤンでCHを消す立ち位置を取る、4-4-2の形に変更することで、プレスをかけ始める形を変更する。
そして上の図のように、CHを消しながら主にSTオーバメヤンがプレスをかけることで守備のスイッチを入れる。このスイッチが入ると、マークを行っているSB、またはSHのところ(白丸のエリア)でボールを回収することを試みた。
現に何度か、奪うことができていたのだが、それでもモウ・トッテナムに以下のように前進されてしまう。
その方法が、CHが外に開くこと、降りてくるCFがDF-MFのライン間に移動することでマーカーのCHを押し下げることで、FW-MFのライン間にスペースを作り出す。そしてここにSH(主にベルフワイン)が降りることで、縦パスを受けて前を向けるようになっていた。
アーセナルはここを使われることが多くなっていたので、CBの脇のスペースを使われることが多かった。
このようにほぼカウンターに似た、かなり早い攻撃でアーセナルは攻撃を仕掛けられ続けていた。
切り込めないトッテナムの守備
さすがは2年目のモウリーニョのチーム。かなり、モウリーニョの色が濃くなったチームに仕上がってきている。前節のチェルシー戦でも見せた守備は、この試合でも存分にその威力を発揮した。
トッテナムはCBにはプレスをかけず、4バック化するアーセナルCBに自由にボールを持たせることを許容する。この時に、CFとOMFでCHを消し、SHでSB化するCBとWBを消す。バックラインはペナルティエリアの幅を保ちながら、STとWBサカの守備対応、そして降りてくるCFラカゼットに対しては2CHで守備を行っていた。
これでCFラカゼットに入るボールを狙って奪う、またはラカゼットを潰すことでボールを回収することを狙う。
また次のような奪い方も持ち合わせていた。
一度、ボールを外に出させ、そこへSHが中→外へプレスをかけることで、バックパスを選択させる。これでアーセナルはSH-CHのギャップを狙うことができるチャンスを得るのだが、トッテナム2ndラインのスライドが早いので、縦パスのコースに入られてしまう。だからここに入ってくるボールをCHが奪う、または再びCBにボールを持たせることで、攻撃を遅らせ、焦らし、ミスを誘った。
放置してしまうサイドのスペース
この試合を観た方の多くが感じたであろう、アーセナルが放置したサイドのスペース。ここを放置したことにより、トッテナムの十八番ともなったカウンターを助長し、そして2失点を喫し、このダービーに破れてしまった。
ではなぜ、このような現象が起きてしまったのか。
それには攻撃時の形が起因となっていた。
このようにアーセナルの攻撃時の形は2-2-1-5のような形になっていた。
WBベジェリンとCBティアニーが幅を作り、WBサカがハーフスペースとSTウィリアンがハーフスペースに入る。さらにSTオーバメヤンがCF化することで、全てのレーンに人を配置。さらに、キープ力のあるCFラカゼットが降りてOMFの役割を担うことで縦パスを引出そうと試みる。そしてCBの脇のスペース、幅を作り出すCBとWBの背後のスペースをカバーするためにCHが3列目に残る。だから、セバージョスではなく、彼よりも機動力もあり、潰す役割を担えるトーマスとジャカが起用された。
だがこれが、トッテナムのカウンターを助長するものとなっていた。
中央に差し込むスペースがないアーセナルはまず、大外のスペースを使うことを選択。ここに対応するのはSHとSBで、ここでしっかりと対応できるのは、チェルシー戦と同様に、CHがポケットを縦スライドで確実に埋めていたからだ。
(↓参考までに)
これでサイドでボールを奪われてしまうと、CFケイン、またはOMFロチェルソで一度時間を作られる。ここで潰し切れればいいのだが、ここで潰せない場合はSHにCBの脇のスペースを使われてカウンターに移られる。
またCFラカゼットで潰されるケースも散見された。
このようにラカゼットvs ホイビュルクのバトルがこの試合の1つの肝となっていて、ここでラカゼットが潰されてしまうと、ここでも同様にCBの脇のスペースを使われてしまう。
この図のように、赤のエリアに大きなスペースがあったので、そこをSH、ないしはSBに走られ、後手の対応、CHの背走、CBが釣り出される、数的不利と、多くの失点してしまう条件が揃い、現にカウンターから2ゴールを奪われ、敗戦を喫してしてしまった。
さすがだな、モウリーニョ!
前節に続き、ロンドンのライバルとの試合。しかも今節に関してはより「熱い」ノースロンドンダービーだ。このダービーでも、堅守速攻を完璧にこなし、少ないチャンスを掴み取り、そして見事に勝利を掴み取った。現実的主義のモウリーニョらしい、勝ち方でもあり、そしてその緻密さこそが、彼の最大の武器でもある。試合中の迅速な対応も見事だったし、アルテタ監督に格の差を見せつけるものとなったではないだろうか。
一方のアーセナル。オーバメヤンの契約延長、デッドラインデイでのトーマスの獲得、昨季見せたアルテタ監督の手腕。などなど、今季は期待のできる要素は多かったはずだ。だが蓋を開けてみれば、満身創痍で傷だらけ。どこで、このようになってしまったのか。そして何が原因になっているのか。これがはっきりとしないだけに、サポーターも苦しいのではないだろうか。これからも、彼らの試合に注目しつつ、その原因をしっかりと考えていきたい。
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