Football Base 〜サッカー戦術分析〜

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PL トッテナム vs リバプール 〜インビンシブルズへの挑戦〜

 

 

はじめに

インビンシブルズへの挑戦。それは03-04シーズンにアーセナルが成し遂げた無敗優勝。さらにはそこから「49戦負けなし」とまさに「無敵」のチームだった。そして今シーズン。そのチームに匹敵する強さを兼ね備えているだろうチーム。それがクロップ監督のリバプール。今シーズン、ここまで20勝1分けとリーグで負け知らず、そして昨シーズンから数えて37試合無敗に。この独走体制を止めるべく、立ち上がったのは「スペシャル・ワン」ジョゼ・モウリーニョグアルディオラのマンCが止められないのなら、モウリーニョが止めるしかない。だが、エースのケイン、守護神のロリスを欠き、ホームゲームとはいえ、厳しいものとなることは確実だった。モウリーニョらしい戦術でしっかりと戦ったのだが、それでも現在のリバプールを止めることはできなかった。では今回はこのビッグゲームの解説をしていこう。

 

スターティングメンバー

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引用:https://www.whoscored.com

トッテナムのラインアップは「モウリーニョの狙い」が現れた人選。スピードと突破力のあるルーカスモウラとソンフンミンを前線に置き、カウンターを狙うことを目的としていた。さらにSHにSBが本職のオーリエを配置することで守備力を強化。これがこの試合のリバプール対策として打って出た策だ。一方のリバプールは引き続き、ファビーニョの怪我、さらにミルナーの怪我もあり、チェンバレンが先発に名の連ねる。ここ以外はベストのメンバーだった。

 

モウリーニョの対策

流石のモウリーニョ。奇策までとは言わないが、しっかりとリバプール対策を立てて試合に望んだ。ではまずはその対策について紹介していこう。

(黒⇨リバプール 白⇨トッテナム

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このようにモウリーニョトッテナムはハーフラインあたりまで引き込み、CF2枚で中央を消しながら外回りにパスを回させる。ここでSHにSBが本職のオーリエがいる事で右サイド、リバプール側からすると左サイドのマネとロバートソンにプレーをさせないように試みた。リバプールSBが上がってくると、SHがマンマークを実行し、実質5バックの形になる。リバプールSBが幅をとるので、至極当然、WGが中にポジションをとる。中に入ったWGをSBがマンマーク。これで前進させないように試みた。これが右サイドの守備。左サイドは幅をとるリバプールSBに対してはSBとSHが対応。SHのソンフンミンとSBのダニーローズにスピードがあるため、サイドチェンジをされても追いつく事ができる。右サイドと同じく、中に入るWGに対してはCBのサンチェスがマンマーク。スピードがあり、さらに対人の強い彼だからこそ、リバプールのエース、サラーをある程度、抑える事ができた。このような守備戦術で「ボールを捨てて守りに徹する」ことで0-0で前半を折り返す事がゲームプランとしてあっただろうし、理解できた。

 

それでもこじ開けるリバプール

前半はトッテナムにこのような守備をされ、攻めあぐねるかと思ったが、いとも簡単にゴールをこじ開けて見せた。焦ることなく、一つ一つ対応していくことで徐々に優位に立っていく。だからこそ現在のリバプールは負ける事がない。ではどのように対応をしていったのか。

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まずはトッテナムの前線2枚に対しての対応。ここはDMFのヘンダーソン(もしくはIHのワイナルドゥム)がバックラインに入る事で数的優位を作り出す。これでバックラインで時間とスペースを持ってボールを保持する事ができる。次に中央に降りるIHと、もう1人のIHがサイドに流れる事で牽制を行うCHを釣り出す。もしここでCHがついてこないならばIHがボールを受けて新たにトッテナムを動かす。トッテナムのCHがついてくる事が多かったので、リバプールでよく見る、CFフィルミーノの中盤へ降りてのサポート。IHが開けたスペースにCFが入り、縦パスを引き出す。このスペースで前を向けるので、一気にリバプールはスピードを上げて攻撃を仕掛ける事ができる。

さらにCFが中盤に降りるので中央にスペースが空く。ここに両WGが入り込む事でクロスに対する人数、バイタルエリアでの良い距離感をしっかりと保ったまま攻撃に移る事ができる。これで主に左サイド、CHの脇のスペースで優位に立ち、効果的な攻撃を仕掛けていった。このように少しずつ、一つ一つトッテナムの守備陣形をずらしていく事ができるので、リバプールは「負けない」のだろう。

 

後半のトッテナムのプラン

後半に入り、明確に前に出てきて、プレスを行い、ゴールを奪い、勝利を目指しにきたトッテナム。では前半となにが違ったのか。

守備面

まずは守備面に関して。前半は『Park the bus』、いわゆる「バスを置く」戦術で耐えきろうとしていたトッテナム。これの狙いは「リバプールの攻め疲れ」と「ロングカウンター」で仕留めるためのものだった。そして後半。ゲームプランとしては失点してしまったので、少し崩れたかもしれないが、セカンドハーフから「高い位置から奪いにいく」というものだったのではないだろうか。そしてその方法がこちら。

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このようにトッテナムは前線2枚がCBとDMFにプレス。その時に逆のSHが逆のCBを牽制。こうすることによりサイドを変えさせず、徐々にサイドに追い込んでいく。プレスをかけることで中央が開き、ここを使われるリスクがあるので CH(主にエリクセン)がここを牽制する。そしてこのようにプレッシングを行うのでリバプールSBはボールを受けるために前半よりも高い位置を取る事が難しくなる。これでトッテナムSHが一列前にポジションとる。こうする事でIHに対してプレスが行けるようになり、さらにバックラインも押し上げれるので、リバプールSBに対してはSBが対応。これで上の黒丸の部分でボールを奪う、または背後にボールを蹴らせる事でトッテナムは自分たちのボールにしていき、徐々にボールを持ち始めた。

68分の交代

そしてこれを加速するべく、トッテナムSB3番のローズに変えて11番のラメラ、CH23番のエリクセンに変えて18番のロチェルソを投入。これでさらに前に出るぞというモウリーニョの意思表示。もしかしたら、これはそもそものゲームプランに組み込まれていたかもしれない。そしてボールを奪うパターンを確立した。

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このように積極的にプレスをかけるのはリバプールのDMFがバックラインに入らない時。これがトッテナムのボールを奪うパターン。これで上の図の四角のエリアでボールを奪いきり、ショートカウンターを発動。幾度となく、これでチャンスを作り出したが、ゴールを奪い切る事ができなかった。もしもになってしまうが、ここに大エース、ハリー・ケインがいたら結果は変わっていたかもしれない。

 

攻撃面

攻撃面もかなり前半と変わったものになっていた。ボールを能動的に奪いにいくようになったので、ボールを持てる時間が前半よりも後半の方が圧倒的に長かった。そのため、このような攻撃、特に68分の攻撃からこのような攻撃を仕掛ける場面が多かった。

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前半はロングボール一本で27番と7番(絡めて20番)で攻撃を完結させようと試みていた。だが後半に入り、高い位置でボールを奪う事ができるようになっていたので、攻撃に厚みが増す。2トップの裏抜け⇨クロスというパターン、2トップが裏抜けで引っ張ってSHのランニングを使うパターン、という風にこの二つを使い分けて攻撃を仕掛ける。

あと一歩のところまで迫ったのだが、ゴールを奪うことはできなかった。

 

リバプールがボール保持を失った理由

ではなぜリバプールはボール保持を失ってしまったのか。それは先述しトッテナムの守備も関係しているが、もっと深い要因はCB(DMF)から縦パスが入りにくくなった事。ライン間でボールを受けるためにCFが降りてくるのだが、プレスで自陣に押し込まれていくので、なかなかそこにパスを入れる事ができない。そして自陣深い位置からのロングボールが多くなるので、ボールをトッテナムDFラインの背後におよす事ができなくなっていったから。このような状況に陥ったのでDMFがバックラインに入らずに、セカンドボールの回収と、前に出てくるトッテナムの攻撃陣を潰す役割を担う。だがこれでCBとトッテナムの前線2枚が同数になるので、トッテナムの守備網に嵌ってしまう。そこでライン間でボールを受けることの得意な20番のララーナを投入したがそれほど効果はなかった。

 

トッテナムのハイプレス

それに起因しての自陣深くからのロングボール

これらに関係してのDMFのバックライン不参加

 

この3つがリバプールがボール保持を失った理由だ。

 

まとめ

モウリーニョはしっかりと対策を練り、リバプールに泥をつけることを本気で試みた。この試合に対する準備とはっきりとしたゲームプラン、そしてそれを実行させるマネジメント。敗戦してしまったがさすがだった。だがこの欧州王者はモウリーニョの一枚上をいくチーム。後半のように、劣勢に立たされても失点しない。さらに前半のように守備を固められてもこじ開ける術を持っている。試合巧者で、多くの試合のパターンを知っている。そしてそれを実行できるだけの技術とメンタルがある。果たしてこのままアーセナルが保持する無敗優勝、そして無敗記録を更新するのか。選手、監督ともに気を抜いていない雰囲気が漂うのでもしかしたら達成するかもしれない。そう思わせるほど今のリバプールは強い。果たしてどうなるのか。これからもリバプールに注目だ。

 

終わりに

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