はじめに
不振も不振。不振を極めてリーグ戦をボトムハーフで迎えたボクシングデイ。新監督のアルテタの初陣はアウェイでのボーンマス戦。グアルディオラが全幅の信頼をおいた彼がどのようにアーセナルを建て直すのか気になったフットボールファンも多いはずだ。アルテタ監督になりたった1試合しかゲームをしていなので、これから詰めていく必要があるが、この試合でやりたいサッカーの尻尾が見えた。今回はアルテタ監督が就任し、見違えるようにスムーズになったビルドアップについて触れていこう。
見違えたビルドアップ
この試合のボーンマスとアーセナルのスターティングメンバーがこちら。
アーセナルはラカゼットが先発に復帰し、久しぶりにオーバメヤン、ラカゼットのコンビを見ることができた。さらに前回ベンチ外となったエジルも先発に戻ってきている。
ではこの試合で挑戦していた何パターンかあったアーセナルのビルドアップについて紹介していこう。
右サイドの前進
まずは右サイドでの前進方法を紹介しよう。ではどのように前進していたのか。
右サイドは主にSBがCHと同じ高さに上がることで四角の部分で数的優位を作り出す。SBが中に入るのでWGが幅を取り、大外にもパスコースを作り出す。CH(主に11番)はCBとOMFの間に立つことで中央にもパスコースを作り出す。片方のCHは一列前に上がることでライン間で受けれるように、かつCHの注意を引くことでOMFがライン間で受けることができるスペース、CHがターンできるスペースを作る。これで上の図のようにいくつかパスコースが生まれ、OMFがライン間でボールを受けれることが多くなっていた。さらにWGにボールが入るとこのようにサポートを行う。
このようにOMFがWGのサポート、SBが内側でのサポートを行えるので自然と良い形と関係でサポートを行える。いわゆる「一列前のポジションの選手が同レーンにいない」状態だ。これはさすがグアルディオラ監督のすぐ側にいただけある。自然とこのような形になるようにオーガナイズされていた。
左サイドの前進
では次は左サイドの前進の仕方。
こちらのサイドは主にSBの推進力とCHのサイドチェンジ、SBをWGのコンビネーションで前進する場面が多かった。特にSBのドリブルでの前進が多かった。(自陣深くからだとWGがドリブル突破。ここで引っ掛けられて失点を喫した)逆のSBがポジションを一列上げ、中に入ることで、形として2-3-3-2のような並びを形成。これでCH(特に34番)がCFの脇、SHの前で曖昧なポジションを取れるのでCBからボールを受けた場合にCHが一瞬フリーでボールを受けれ、そこからサイドを帰る斜めのボールを供給することができる。この方法で左サイドは前進していた。
CHがバックラインに降りるパターン
これは主に後半から行っていた。アルテタ監督から指示があったのだろう。前半のうちに何度かCHが爆ラインに入ることはあったが、後半になりそれが顕著になった。ではこのパターンだとどのように前進を行うのか。
このようにCHがバックラインに入ることでCHに時間が生まれる。CHがバックラインに入るために逆のSBがCHの役割を担う。これでCH(主に11番)とSBで中央にパスコースを作り出す。SBが中に入ったのでCB(主に5番)がSBの代わりに幅をとるポジションをとる。これで上の図のように良い関係を作り出せる。これでCHに時間ができたので、ここからハーフスペースに入ったWGに縦パスを入れれるとサイドチェンジできる回数が増える。実際にこのちょっとしたポジションチェンジでアーセナルは同点弾を奪っている。
まとめ
ボーンマス戦で見られた再現性のあったビルドアップは大きく分けてこの3つだろうか。アルテタ監督になり、SBとSH(WG)のポジショニングが被ることもなくなり、さらにCHが中央でボールを触る回数も増えた。そうすることにより、ライン間でボールを引き出すことの上手なエジルが何度もチャンスを作り出すことができていた。今まで前進することができなかったアーセナルだが、今までの状態がまるで嘘のようにスムーズに、より合理的に前進することができていた。ボールを持たされるのではなく、しっかりとボールを持つことで守備の時間を少なくしていた。同点に終わってしまったが、アルテタ監督に大いに期待の持てる試合内容だったのではないだろうか。そして今節はビッグロンドンダービー。就任2試合目でのビッグゲームでどのような采配を振るうのか、とても楽しみだ。
終わりに
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