PL バーンリー vs アーセナル 〜空中戦 vs 地上戦〜

 

 

はじめに

勝てないアーセナル。リーグ最多の引き分け数で、ここまでの試合をこなしてリーグテーブルでは10位に。ひしめき合うCL権争い、迫り来る残留争い。どちらにも絡むことができ、それはアーセナル自身の問題だ。そしてこの試合も同勝ち点で、1つしたにつけるバーンリーとの一戦。負ければ一気に順位の変動が起こり得る。このような状況で迎えた一戦は、「通常通り」と言っても良いかもしれない、ドローゲームで幕を閉じた。だが内容に目を向けると、引き分けでよかったと言う表現が良いのかもしれない。後ろから丁寧に繋ぎ、ショートパス中心で活路を見出そうとするアーセナル、アバウトな、そして質の高いロングボールで活路を見出そうとするバーンリー。この対照的な両チームが行なった試合はとても興味深いものだった。では今回はこの試合について、解説をしていこう。

 

スターティングメンバー

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引用:https://www.whoscored.com

FAカップでの怪我が心配されたムスタフィはしっかりとこの試合で先発復帰。そしてトレイラに変わってゲンドゥージが先発に名を連ねる。オーバメヤンが出場停止明けで復帰し、好調のマルティネッリがぺぺをベンチに追いやって先発に名を連ねた。

では早速この試合のレビューをしていこう。

 

アーセナルセカンドラインの突破方法

この試合の立ち上がり、アーセナルは確実にこの試合を支配していた。実際に上手く前進でき、何度かバーンリーのゴールに迫ることができた。その理由がバーンリーのセカンドラインを突破できていたから。ではアーセナルはどのようにセカンドラインを突破し、前進をしていたのか。

(黒⇨バーンリー 白⇨アーセナル

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バーンリーの守備は4-4-2で基本的に人を捕まえて守備を行う。所謂、アーセナルの苦手とする守備戦術を敷くチームだ。だがこの試合の立ち上がりは「人を捕まえる」守備戦術の苦手意識を克服したかのように、簡単に前進を行えていた。その理由が右サイドでの前進の方法。RSBのベジェリンが戦列に復帰してから、CHがバックラインに降りて3バック化する方法は取らなくなり、CHは中央に残り、RSBのベジェリンがバックラインに残って3バック化することが増えた。そしてこれが上手く嵌る。上の図のようにバーンリーのセカンドラインもSBにはSH、CHにはCHが人を捕まえれるように守備を行う。だが右サイドに至っては、そうはいかなかった。3バック化したSBにSHがプレスをかけようとするのだが、その背後にOMFが流れてくるため、プレスに出ることが難しくなる。この迷った一瞬でOMF、またはWGにパスを出すことでセカンドラインを突破。これでアーセナルの攻撃は一気にスピードが上がる。またこのようなパターンでもセカンドラインを突破する。

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このようにOMFが大外に流れ、WGが中に入ることで入れ替わり、WGへのパスコースを作り出す。これでセカンドラインを突破する。 

これらの方法で一気にスピードを上げてバーンリーゴールに迫る。

 

セカンドラインを突破してから

そしてアーセナルセカンドラインを突破してからどのようにゴールに向かっていたのか。これはFAカップボーンマス戦と酷似した方法でゴールに迫っていた。

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このようにOMF(またはWG)がライン間でボールを受けると、一気にスピードアップ。そしてうちに入っているWGとCFが裏抜けでDFラインを引っ張ることで、逆サイドのSBのスペースを開けることができる。ここにSBがオーバーラップし、クロス、またはラストパス、仕掛けで崩すと言う算段だ。これはボーンマス戦のSBサカのゴールシーンと酷似している。気になる方はこちらも合わせてご覧いただきたい。

 

www.soccer-bunseki.com

 アーセナルの試合の入りがかなり良かったので、今節こそ勝利、はたまた勝ち点3を得るだろうと感じる戦い方だった。

 

引きずり込まれた空中戦

立ち上がりから調子の良かったアーセナル。だが徐々に空中戦に持ち込まれることとなる。ではどのようにしてバーンリーは空中戦に引きずり込み、アーセナルはそれに付き合うことになってしまったのか。

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バーンリーはSHのタスクをはっきりさせることで対応。そのタスクは「幅をとる選手の牽制、及びマークの実行」だ。さらにライン間に立つOMF(時にWG)への牽制はSBまたはCBが行うことで、縦パスを引き出させないことに成功。黒丸のエリアでボールを持たせることを許容したバーンリーは、これで「ロングボール以外でセカンドラインを突破されない」ことに成功した。そしてこれでバーンリーの土俵である、空中戦に持ち込むことができた。

唯一の望みはD・ルイス

空中戦に持ち込まれるにつれて、アーセナルは徐々に流れを失っていく。それでもいくつかのチャンスを作ることができたのは、CB、D・ルイスからの高精度のロングフィード。これがアーセナルの唯一の突破方法で、一縷の希望の光だった。現に何度かダビド・ルイス(時にジャカ)からオーバメヤンの抜け出しで決定機を2度作ったが、決め切ることができなかった。バーンリーからすると、ここが悩みの種だっただろう。

 

バーンリーのロングボール戦術

そして空中戦に引きずり込んだバーンリー。空中戦で戦うことに徹底したこのチームを止めることは非常に難しい。この整理されたロングボール戦術に少し解説を加えていこう。

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このようにシンプルだが、CFのウッドめがけてバックラインからロングパスを送る。この時にもう片方のCFがSTの位置、SHが中に絞ることで黒丸のエリアに人を集める。これでセカンドボールを回収する際の人数を集めることで一気に前進するということだ。

さらにこのようなパターンもある。

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このようにCHが一枚(ないしは2枚)バックラインに参加することで、SBを押し上げる。これで赤丸のエリアにボールを送ることで空中戦で勝負を挑む。CBに比べ、SBの空中戦の弱さを突く、バーンリーの理にかなった攻撃にアーセナルは苦しんだ。さらに失うにしてもサイドなので、ラインを割る場合が多く、カウンターを食らうことも少ない。このようにして空中戦に挑み、勝利目前だったが、最後までゴールを奪うことはできなかった。

 

まとめ

またしても引き分けを記録したアーセナル。その要因として「エジルを潰された時の前進の方法がなくなってしまう」ことにあるだろう。アルテタ監督が就任して一気にボール回しのイメージが整理、共有されたが、まだ1つしか前進の方ほが見つかっていない。ここを早急に見つけないと、このまま引き分けが続き、さらには黒星も付いてくるかもしれない。けが人が多い中、シーズン途中の就任と難しい状況だが、ここを乗り越えて、浮上のきっかけをつかむことができるだろうか。一方のバーンリー。古き良きイングランドのオールドスタイルを貫き通す戦い方。戸田さんも触れていたが、現代サッカーにおいてスペースがなくなる中、ロングボールという前進方法は整理さえすれば協力な武器になり得るのではないだろうか。現にこの試合のバーンリーの戦い方にはとても関心した。狙ってロングボールを蹴り込み、そしてそのこぼれ球を拾う準備もできている。「曲者」と言われる所以がわかる戦い方だった。この戦い方でどこまで通用するのか、これから少し目を向けていきたい。

 

終わりに

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