せリエA インテル vs ユベントス 〜勝負を分けた守備戦術 ユベントス編〜

 

 

はじめに

王者が王者たる所以。監督が変わろうとも、メンバーが変わろうとも、しっかり勝ちきるのがユベントス。しかも大事な試合で勝ちきるのがなんとも「らしい」ものだった。サッリ監督もナポリチェルシー時代で好んで使用していた4-3-3を捨て、4-3-1-2という新システムをここ数試合で行なっている。そしてこの大一番で採用した守備戦術がこの試合の勝敗を分けた。では今回はそのユベントスの守備について紹介していこう。

スタメン

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WhoScored.comより引用

ユベントス守備について

中盤の守備構成

確実にこの試合の勝敗を分けた中盤での守備のせめぎ合い。今回はユベントスに焦点を当てて紹介していこう。それがこのようになっていた。

(白⇨ユーベ 黒⇨インテル

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インテルの中盤3枚に対し、ユベントスの中盤は4枚。ここで推移的優位を作れるので、インテルDMFに対してOMFが、CHに対してはそれぞれIHがマンマークを実施。マンマークをする事で、中央へのパスを遮断し、インテルの心臓であるDMF77番のブロゾヴィッチに仕事をさせなかった。ここでなかなかリズムを作れないインテルは外回りのボール回しになり苦しんでいた。インテルの中盤3枚に対してマンマークを実施するのがこの試合のユベントスの守備の狙いの一つだった。

外回りにさせる守備

上で解説したように中盤をマンマークで守備することにより、インテルは外回りにボールを回さざるを得ない状況に陥る。これこそがユベントスの2つ目の狙い。ではここからどのようにボールを奪っていったのか。

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CBに対してCFが逆サイドに展開させないように牽制する。そうする事でWBにパスを出させる。もちろんシステム上、インテルのWBが開く仕組みなのだが、ユベントスのSBがここまで出てくる事でWBで時間を作らせなかった。可変3バックに似た形でSBが出れば後ろは必ず3バックの形になりサイドを圧縮できる形に持っていっていた。さらにIHがCHを背後で消しながらプレスをかける事で数的優位を作り出し、ボールを奪いってショートカウンターを何度か仕掛けていた。特にこの状況を作り出していたのは右サイド。これは走力のあるクアドラードをRSBで起用していたので実行できたことだろう。参考までにこれがクアドラードのヒートマップとユベントスのヒートマップ。

クアドラードのヒートマップ

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WhoScored.comより引用

ユベントス全体のヒートマップ

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WhoScored.comより引用

これでユベントスインテルを苦しめることに成功していた。

ユベントスの2つの懸念

上手く守っていたように見えたユベントスだが、インテルは2つの「逃げ道」を見出していた、これがこの試合、ユベントスにとって懸念材料となっていた。ではインテルはどこに「逃げ道」を見出していたのか。

1つ目の逃げ道:WB

「WBで奪うことが狙いなのに逃げ道がWB?」と疑問に思うのが普通だろう。これは詳しく言うと「逆のWB」を逃げ道としていた。現にインテルのヒートマップはWBの位置が濃くなっている。

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特にインテルの右サイド、ユベントスでいう左サイドが特に濃くなっている。これは先程、解説したようにユベントスは右サイドを圧縮して奪うことが多かったのでこのようなヒートマップになっている。ではどのようにして逆サイドまで展開していたのか。

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このようにCBがサポートを自陣深い位置で撮ることでCFを引き連れ、GK、またはCBへのパスコースを作り出す。これは逆のCFの位置をみてパスを出す選手を決めるのだが、ほとんど決まってCFの頭上を越すパスでパスを出す。少しリスクは高いがこれで圧縮された状態から逃げ、逆のWBまでボールを届けていた。この形を何度か作られたのでユベントスは攻められる時間帯も少なくなかった。これがインテルの一つ目の逃げ道でユベントスの懸念の一つだ。

2つ目の逃げ道:CF

これが二つ目の逃げ道。ではどのように逃げていたのか。この方法は二つあった。

1つ目の方法

一つ目の方法はシンプルにCFのルカクへ向けての中盤の頭上を越すミドルパス。これがコンテ監督がチェルシー時代、そしてインテルルカクを欲しがった理由。背が高く、体の大きいCFがいることでできる逃げ道。ビルドアップに困った時にこの選択肢があると一気に楽になる。さらにCFルカクが勝負するのはユベントスDMFのピャニッチのところ。ここで勝負するのでほとんどの確率で空中戦に勝つことができ、ボールを収める、良い形でのセカンドボールを作り出すことができていた。

2つ目の方法

二つ目の方法がCHが外へ流れての縦パス。その方法がこちら。

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ユベントスマンマークを利用してCHが外に流れることでIHを引き連れる。そうする事でCFへのパスコースが一瞬できる。ここでCFはDMFの脇に降りる事でCBの判断を一瞬遅らせ、さらにDMFは視野外からCFが出てくるので対応が少し遅れることになる。これでCFは瞬間的に時間ができていた。この縦パスにもユベントスは苦しんでいた印象だ。

まとめ

二つの懸念がありながらも勝ちきることができるユベントス。まさに試合巧者、まさに王者という貫禄があった。もちろん、サッリ監督が守るのではなく、勝ちに行く采配をとったことも無視することはできない。もしも守りに徹していれば、失点して負けていた可能性は高かっただろう。この攻撃的な交代があったからこそ、ユベントスの勝利で試合は終わった。インテルにも大きな期待がかかるが今シーズン、または来シーズンもユベントスの覇権は続きそうな試合運びだった。それぐらいまだ他のチームとは差があるなと感じたものだった。果たしてユベントスはCLを制覇することはできるのか。そして復帰したブッフォンにそのタイトルを届けることはできるのか。今シーズンもCLはもちろんのこと、セリエAにも注目する事が必要かもしれない。

 

終わりに

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