はじめに
コパアメリカもブラジルの優勝で幕を閉じた。この大会でチッチ監督が作り上げたブラジルがいかに強いかが明らかになった大会だった。そしてこのセレソンに決勝で挑んだのがダークホースのペルー。負けはしてしまったが、ここまで堅守を見せていたブラジルのゴールを破った。このゴールはペルーらしく細かいパスワークで奪ったゴールだった。このゴールとブラジルの守備時の決まりごとを解説していこう。
決勝戦の全ゴール(動画)
コパアメリカ決勝の全ゴール。ブラジルの上手さに組織の堅さが加わり、大会を通して強かった。ペルーは球際の強さ、足下の技術も高った印象。決勝に相応しい一戦。#コパアメリカ決勝 #コパアメリカ #ブラジル #ペルー #サッカー #サッカー好きな人と繋がりたい #エヴェルトン pic.twitter.com/uPiSkZ1pAs
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ブラジルの守備時の決まり事
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ブラジルの強さ
一度ブラジルの強さに触れたので気になる方はどなんになって頂きたい。
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4-1-4-1のブロック
まずはブラジルの守備ブロック。これは4-1-4-1になる。
カゼミロをライン間に立たせることでボールの回収率を上げる。カゼミロの特徴をしっかりと生かすためにこの布陣を引いていた。だがこれにも弱点がある。それがDMFの脇のスペース。この脇を使われるとライン間で前を簡単に向かれてしまう。そうするとDMFがスライドしなければならない。またCBが釣り出される。
このようにWGが中に入りスペースを使われる。だからライン間でボールを受けること、前を向くことはとても効果的なのだ。ではこの弱点をブラジルはどのようにケアしていたのか。それはボールサイドのCBがアプローチに行くことで対応していた。
ここの予測と強度があるので守れる。CBのチアゴシウバとマルキーニョスはこの予測の質と正確性が高い。また寄せたら絶対に前を向かせないという圧もある。さらにDMFのカゼミロが少しカバーリングの動きでスペースを埋める。組織的に、そしてもともと高い個人の能力が高いので今のブラジルは守ることができる。
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2列目の守備
これももまた、堅守を支えている。もっと具体的に指摘すると、CBの予測を簡単なものにしている。この身体の向きと強度があるので予測しやすい。またそこでボールを奪うことができる。ではなぜこの強度が必要なのか。プレスの強度があることでボールホルダーは判断の時間がなくなる。そうすると見えているところにパスかドリブルをしてしまう。この判断できる時間の猶予をなくすことで予測をしやすくする。またもちろんプレッシャーがかかるのでミスを誘え、ボールを奪える。ブラジルの強さで少し触れているがここの強度が選手全員に浸透しているのでボールを奪うこと、または相手は前進することができない。
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ネガトラの速さ
これも以前、触れたことがあるかもしれないがこの試合もしっかりとこの意識があった。現に2点目のフィルミーノのネガトラも見事だった。このトランジションの速さ。これを行えないとと今のブラジル代表でスタメンで出場すること、はたまたメンバーに入ることもできない。そしてその時の決まり事にも優先順位があった。
- ボールを奪う
- 前進させない
- 味方がいる方に追い込む(身体の向き)
- バックパスを選択させる
これが決まり事かつ優先順位だ。これを試合を通して、この大会を通して行うことで強硬な守備を見せつけた。
ネガトラからのゴール
チッチ監督がブラジルに埋め込んだネガトラの速さ。この結果がゴールという最高の結果を生んだ。この試合を通してネガトラの速さも圧倒的だった。#コパアメリカ #コパアメリカ2019 #ブラジル #ブラジル代表 #ネガティブトランジション pic.twitter.com/9s6iI2917k
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PKを誘発したペルーの攻撃
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ペルーの攻撃(動画)
ペルーらしい攻撃。ペルーの攻撃の質も高いが、この攻撃でブラジルの弱点?ぽいものがわかった気がしたのでブログで解説します。#コパアメリカ #ペルー #ブラジル #サッカー #サッカー好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/yo0PEGeoy0
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まずはこの攻撃を見て欲しい。ペルーらしい人とボールが動く良い攻撃だ。この攻撃でブラジルの弱点ぽいものが見えてきた。それを解説していこう。
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攻撃の解説
(黄⇨ブラジル 白⇨ペルー)
まずはスローインからボールが入ったこの場面から。白1がボールを前向きで受ける。この時のブラジルの守備は完璧な配置だ。特に綻びは見当たらない。
そして次のこの場面。白4がオーバーラップをすることで、白1が前にボールを運ぶことできる。すると黄1と黄7がプレスをかける。この時に黄3のカゼミロは白5へのパスを通されたくないため、少し中に絞る。そうすると、白3への縦パスへのパスコースが空く。本当に小さいことだが、これがブラジルの弱点ではないだろうか。
この中に風にろが中に絞った時にSBの前にスペースが生まれる。この状況だとCBはもちろんプレスに行くことができない。さらには白4がオーバーラップしているので黄4SBは強めにプレスに行くことができない。それが次の場面。
ライン間に多大なスペースが生まれる。これで黄3〜6はひっくり返され無力化。
そして黄1vs白3と4の1v2の形が出来上がる。ここで白3は白4へ丁寧に落とす。
白4がボールを持つことでSBがプレスへ行く。白3がその後ろのスペースへ進出することでDMFを引き連れることができる。そうすると空いてくるスペースがここになる。
ここで後ろからできたスペースに白1が飛び出してくる。ここで前向きにボールを持つことで、白3について行ったDMFが白3のマークを捨てて白1へプレス。そうすると空くのが白3の前のスペース、CBの脇のスペースだ。
ここを使うことでCBを釣り出すことができる。白1はそのまま止まらずに次の動きへ。
ここで白1と2vsCBの構図に持っていくことに成功。DMFは背走の形になるので無力化。さらに白3と4のスペースを作り出すために白2はオーバーラップする白1を使うことを選択。そうするとこのようになる。
白1が深さを作ったため、DFラインを下がざるを得ないのでここにスペースが生まれる。
深さを作ったのでそしてここに折り返すとシュートが打てる。だから深さを作ることが大事なのだ。この状況ではチアゴシウバのハンドになったが、もしも当たってなくてもゴールは決まっていただろう。それぐらい崩し切っていた。
この人が止まらず、ボールも動くこの攻撃はまさにペルーらしいゴールだった。
うまくスペースを作り、そこを使う選手がいる。決勝まで来れた理由がよくわかるゴールの一つだ。
ブラジルの弱点?
このシーンでわかったブラジルの弱点。それはSBの前のスペース。これは4-1-4-1で守るのでどうしても空いてしまうところだ。サイドに圧縮し奪えきることができればいいが、DMFが中央のパスコースを消すとどうしてもこのスペースが空いてしまう。ここで受けた選手が1v1の状況だと対応はできるが、1v2の形になると今回のように対応が難しくなる。まだこのような場面が1、2回しか見られなかったので弱点とは言い切れないが、もしかしたらここの攻略が堅守ブラジルの突破口になるかもしれない。
まとめ
ブラジルの強さが改めてわかったこの大会。守備の強度に加えて、本来の攻撃力も健在。チッチ監督がこのまま次のワールドカップまで続けたら優勝も十分にあり得るだろう。そのブラジルのゴールを破ったペルー。この大会ブラジルからゴールを記録した唯一のチームだ。その崩しにもしかしたら突破口のヒントがあるかもしれない。とてもレベルの高い試合で面白かった。次のワールドカップがとても楽しみになる、そんな大会だった。
終わりに
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これからもなるべくわかりやすく伝えていくので引き続きよろしくお願いします。
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