はじめに
この試合はトピックスが多い両チームの対戦だった。ヴィッセル神戸は監督が代わり、新監督での初陣。ポドルスキは母国のドイツで手術をし7月あたりまで日本に帰ってこない。そして間に合わないと思っていたイニエスタの先発出場。
一方でFC東京は何と言ってもヤングスターの久保建英がレアル・マドリードに移籍。ここまで特に攻撃でアクセントを加えてきた久保が退団。さらにコパアメリカでこの試合はいない。そしてもう1人。スピードスターの永井謙佑が先日のキリンチャレンジカップで怪我をして離脱。攻撃の要が2人いない中でFC東京はどのように戦うのか注目だった。
そんな忙しい両チームの試合結果は0-1で神戸の勝利。この試合内容に触れつつ神戸の変化(戦い方)とこれからの東京について触れていこう。
FC東京(4-4-2)
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試合内容
この試合結果ははっきり言ってFC東京にとっては不本意なものだっただろう。試合を通して何度もカウンターを浴びせ、決定機を作った。だがこれを決めきれなかったのがこの試合の敗因だろう。前半は神戸の出方を探るような戦い方で、むやみやたらにハイプレスを仕掛けず、主にミドルサードあたりからプレスをかけていた。主にクロスからの攻撃が有効でこの形で9番が3度チャンスを迎えたが決めきれず。カウンターもいくつかあった。イニエスタのポジションが少し下がり目で、誰が捕まえるか迷っていてここが守備のタスクで唯一の修正点だっただろう。前半のスタッツもシュート8本を打ち、神戸の出方を探る中で良いサッカーだっただろう。
そして迎えた後半。後半からイニエスタが前に出てくるようになり、徐々に押し込まれ、49分に失点。ここからの追い上げが凄まじかった。ターニングポイントは63分に交代。ここで何かしらの指示があったのか、選手自身の判断なのかはわからないが、8番が高いポジションを取ることで押し込み、間延びを生じさせて、FC東京の得意とするサッカーに持っていった。クロス、ショートカウンター、ロングカウンター、ドリブル突破と様々な攻撃で圧を強めたが決めきることができなかった。
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これからのFC東京
正直な意見として、やはり久保がいた方がFC東京の攻撃の幅は広がると感じてしまった。ライン間でボールを引き出す選手がいないので攻撃のスピードとバリエーションにかけてしまう。ディエゴオリベイラにボールを預け、ためを作り、SBの室屋や小川がサイドを上がる。このパターンしかないように思えた。現にディエゴオリベイラは中盤まで降りてきて組み立てにも加わる場面が多くなっていた。これではゴール前で決定的な仕事をする場面が減ってしまう。一刻も早くここの改善が必要だろう。
また永井の不在も響いていたようにも思う。カウンターでの鋭さはみられたが、どうしても今までのカウンターの質と速さをみていたら物足りなかった。ディエゴオリベイラが孤立することも多くあり、ここのサポート役が必要に思えた。永井だと走力を生かしてオリベイラのサポートができる。ここの改善も必要だろう。
では改善点ばかりかというとそうでもない。まず第一に後半に失点してから一気にFC東京ペースになり押し込むことができてフィニッシュまで持っていくことができたいたこと。もちろん久保がいる方がもっといろんなバリエーションが見られるのだろうが、彼がいなくてもフィニッシュの形が作れていたので良かったのではないだろうか。
さらには23番の矢島。彼は永井と違った特徴の持ち主で、クロスに対して強く、ロングボールも収めることができ、起点を作ることが可能だ。新たなオプションとして良い発見だっただろう。
ヴィッセル神戸(4-4-1-1)
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試合内容
監督が変わりどのようなサッカーをするのか楽しみだった。その新監督の戦い方はポゼッション。しっかりとイニエスタを中心にボールを回し、敵陣に押し込んで行った。
前半の神戸はイニエスタがすこし下がり目でボールを受け、捌くことが多く、相手のラインを引き上げることが目的のように見えた。低い位置、いわゆる三列目からのスルーパスや縦パスを中心にチャンスメイクを行なった。前半はシュート7本、ポゼッション66%、パス366本、パス成功率88%とボールを握り試合をコントロールしていた。懸念といてはカウンターを受ける場面が多かったことだろうか。この不安を残し、前半を折り返す。
変わって後半。後半の65分あたりまで神戸のペース。イニエスタが前半とは違ってやや高い位置でボールを持つことが多くなり、決定的なチャンスメイクに絡むことも多くなった。さらには前半に受けていたカウンター対策のためにビルドアップ時の後ろの並びを変えて後半は臨んでいた。
前半の後ろの並び
後半の後ろの並び
そして迎えた49分。これがこの試合の決勝点になる。
イニエスタのゴール
先日のイニエスタのゴール。身体と目線を中に向けクロスと見せかけてニアを抜くシュート。トラップした時に歩幅を合わすのも早い。インサイドで引っ掛けながら押し出すことで助走がなくてもある程度強いコンシューが打てる。#イニエスタ #ヴィッセル神戸 #ゴール pic.twitter.com/rd4COF0Cka
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) June 17, 2019
この技ありのゴールで先制する。だがここから防戦一方。それでも守りきった神戸。今までと違うのはインテンシティの高さと前向きでの守備、前進させない守備ができていること。これが守りきれた大きな要因だろう。
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神戸の戦い方
では監督の変わった神戸の戦い方について紹介していこう。
ビルドアップ
まずはビルドアップ時の並び。これはこの試合が新監督の初陣で前半と後半で違ったから上でも少し触れたが改めて二つ紹介しておく。
これが前半の並び。スイーパーをおき、ここを最終の逃げ道とする。そしてイニエスタを中心にボールを回し、SBが高い位置をとる。CFが縦並びになり、SBとSH、降りたCFで5レーンを埋める。変わったやり方で面白いと思った。
そしてもう一つのパターン。
これからどちらでいくかはわからないが、個人的なはこちらの方が安定するのではないかと思う。
攻撃
攻撃はポゼッション主体。SHが中に絞ることでSBが出てくるスペースを作る。
そしてミドルサードで各レーンに人を配置し、幅とバランスをとる。イニエスタが自由に動き、縦パスを入れると攻撃のスイッチが入る。そしてサイドを攻略し、ウェリントンへのクロス、ビジャへのマイナスのパス、入ってくる大外のSH、SBで仕留める。
またサイドが詰まれば、幅をとっているSBへ永井ボールでサイドチェンジ。
これがポゼッション。そしてもう一つ。ウェリントンへのロングボールもある。
これはCBやSB、GKからのボールがもちろん多くなる。ここに2トップが縦関係の理由がある。13分、16分と立て続けにウェリントンのフリックからビジャがボールを拾うことでチャンスを作った。この2パターンが主な攻撃だ。
守備
守備についてはハイプレスを使用している。だからこのような並びをとっていた。
真ん中に人を集める。これはなぜか。それはCFへの縦パスを消すため、ここで潰すためだ。
ここで奪い切ることで二次攻撃を仕掛ける。割とこの守備は嵌っていたように見えた。だが、ここでCFが無理やり突破すると大きなピンチを迎えてしまう。
ここの修正が必要だろう。
押し込まれた時はサイドに追い込み攻撃を遅らせる。これで味方の帰陣を待ち並びを整える。まだ決まった決まりは見られなかった。新監督になってインテンシティが高く、動きが良かったので守り切ることができていた。ここもまだ修正が必要だろう。
まとめ
FC東京とヴィッセル神戸。この試合はこれからの戦い方を決める大事な一戦だっただろう。どのような勝ち方であれ、新監督になり勝利を挙げれた神戸はここから勢いに乗るかもしれない。一方の東京は永井、久保の不在が色濃く出てしまった。これから互いにどのような戦い方をするのか、どのような修正をするのか楽しみだ。
終わりに
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これからもなるべくわかりやすく伝えていくので引き続きよろしくお願いします。
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