ラウンド16で3連覇を果したディフェンディングチャンピオン、白い巨人が姿を消した。
この対戦カードを見たときに、次のラウンドに進むのはレアル・マドリードだろうと
誰もが予想していただろう。
だが結果は違った。ホーム&アウェイで戦い、2戦合計3-5という結果。
アヤックスは若手主体のチームながら、どのようにしてこの白い巨人を仕留めたのか。
その要因が2つある。それを解説していく。
まずは両チームのスターティングメンバーから。
いつも通りの4-3-3の布陣。だが精神的な支柱、セルヒオ・ラモスを累積警告で欠く。
これがもしかしたら一番大きな敗因かもしれない。
続いてアヤックス。
こちらも4-3-3の布陣。
レアル・マドリードと同じ配置。ミラーゲームで白い巨人に挑む。
1. モドリッチとクロース封じ(8番と10番)
レアル・マドリードの大事なキーマンのこの2人。
試合のリズムを作り、攻撃方向とスピードを決め、攻撃の起点にもなる。
さらには決定的なラストパスを出し、チャンスを創り出す。
アヤックスはまずこの2人を封じ込んだ。ではどうやって封じ込んだのか。
それは何度もこのブログで説明しているプレッシングだ。
正確にいうと、ロングボールを多用させる。そうするとモドリッチとクロースの上をボールが行き来するので、2人はボールに関与できない。また2人ともこぼれ球(セカンドボール)を回収することに長けている選手ではない。
さらに、必ず誰かがこの2人を牽制しているので前向きでボールを持つ事が少なかった。(主に21番と6番。ミラーゲームにしたメリット)
そうするとレアル・マドリードはボールを保持している時間が短くなり、リズムが掴めない。
このようにして、アヤックスはモドリッチとクロースを封じ込み、白い巨人から勝利をもぎ取ることに成功した。
ではこの方法を説明していこう。(プレッシングの詳細は他の記事にあり)
これを観てもらうと一目瞭然だろう。
アヤックスのモドリッチとクロース封じのプレッシングの一部。
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) March 6, 2019
終始試合を通してこれを行う。 pic.twitter.com/zoiENbPha8
何度も他の記事でプレッシングについて紹介してきたので理解しやすいと思う。
ショートパスを出させないように連動して動いき、ロングボールを蹴らす。
リバプールと似ているところがあるが、決定的な違いは中央に追い込むか、
サイドに追い込むか(SBのところ)だろう。またはバックパスを選択させ、
それぞれがマークについて牽制をしているので、GK(クルトワ)はロングボールを蹴らざるをえない。彼はロングボールの精度がそれほど良くないので、ルーズボールになる確率が高い。
そこまでアヤックスの監督、エリック・テン・ハーグは計算していたのだろう。
2. スペースの使い方と深み
二つ目は深みをとり、それに伴って生じるスペースの使い方だ。
所謂、3人目の動き。
一番アヤックスがこれを徹底しているのではないだろうかと個人的に感じている。
あれやこれやと文字で綴るよりも、目で見てもらった方がいいだろう。
それぞれ深みを取ることで、新しくできたスペースを使って攻撃している。レアルには、深みを取る動きが全くなかったので、攻撃がどん詰まりしていた。 pic.twitter.com/zZrrUbrGKo
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) March 6, 2019
ここは詳細を詰めていこう。
まずは得点したシーンから。このシーンはアヤックス10番(タディッチ)の個人技がワールドクラスのものだったが、それを踏まえたうえで観ていこう。
①の選手が縦に相手を引っ張る事で、深みを作り、スペースを作る。
そしてラストパス。
しっかりとここのスペースを狙っていたのでゴールを奪えた。
続いて二つ目。
①がもともとあるスペースに走り込み、深みを作る。
そうする事で、②をマークしているDFはついていく。
そして次の局面へ。
①がDFを引き連れた事で、②がどフリーになり前方に大きなスペースが生まれる。
このスペースを使わない訳が無い。
続いて三つ目。
この時点でアヤックスの攻撃はほぼ完結できる状況なのだが、①が楔のパスを受ける事で、視線が①に集まる。
そうするとどうなるだろうか。
①があのスペースで前を向くと一気にシュートに持っていかれるので、DFはボールを取りに行く。
そうすると、もちろん③はフリーになりスペースでパスを受けれる。
そして④がDFを引っ張る事で新たなスペースが生まれる。
そして次の局面へ。
④がDFを引き連れたので①の前に多大なスペースができる。
ここでは決まらなかったが容易にシュートが打てた。
そして四つ目。
これは三つ目と似た形でゴールが生まれる。
ここもタディッチのスーパープレーだったが、それまでの過程が完璧だ。
そして今から紹介するシーンの前の展開も同じく完璧だった。
①はボールを受け、そのまま止まらずに深みをとるためにスペースへ走りこむ。
②も同様だ。そして③(これがタディッチ)は①と②がスペースに走り込んだので、
その場にとどまることを決断。
そして次。
僅かだがここにスペースが生まれ、そのスペースでパスを受けフィニッシュ。
クルトワが為す術もないほどのスーパーゴールだった。
ここでもう一度動画を観てもらいたい。
それぞれ深みを取ることで、新しくできたスペースを使って攻撃している。レアルには、深みを取る動きが全くなかったので、攻撃がどん詰まりしていた。 pic.twitter.com/zZrrUbrGKo
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) March 6, 2019
この動きがアヤックスにはあり、レアル・マドリードにはなかった。
この違いが攻撃にダイナミックさを生み、DFを混乱に陥れる。
アヤックスは試合を通し、ずっとこれを続けれていた。
この2つが大きな勝敗を分けた大きな要因だろう。
アヤックスの監督はホームでの1戦目も多少やり方は違ったが、このモドリッチとクロースを封じ込める作戦を取っていた。(1戦目はリバプールと同じで中央に追い込み、モドリッチとクロースからボールを奪う)
それに比べ、レアルの監督ソラーリは明らかに準備不足だった。
前半で怪我人が2人出てしまう不運もあったが、3-5-2にし中盤を増やすなどの配置を変える違った対応はできなかったのだろうか。
はたまた、前の試合で多少のターンオーバーをしていたら、怪我人は出なかったかもしれない。
精神的支柱のセルヒオ・ラモスがいなかったことも確実に負けてしまった要因だろう。
そしてやはり、大エース ロナウドの存在が大きかったことが明らかになった。
<レアル・マドリードのロナウド>ではなく<ロナウドのレアル・マドリード>だった。
起こってしまったことを嘆いても仕方ないが、ここでレアル・マドリードが大会から姿を消す事に驚きを感じている。
兎にも角にも、アヤックスが次のステージへ進んだ。
もしかしたら、今シーズンはアヤックスがダークホースなのかもしれない。
これからのアヤックスのCLの戦い方に注目だ。
そしてDAZNやスカパー!でその動向を追ってみて欲しい。
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