CL セカンドレグ PSG vs マンU ~スールシャールマジック~

チャンピオンズリーグ 通称CL。

この大会でまたしてもジャイアントキリングが起こった。

パリサンジェルマンはアウェイでのファーストレグの結果(0-2)を受け、今シーズンこそは、次のステージへ駒を進めることを疑ってなかったはずだ。

だが結果は無残にも敗退。

 

そしてアヤックスに引き続きイングランドの赤い悪魔ことマンチェスターユナイテッドが劇的な大逆転を成し遂げ、ラウンド8に駒を進めた。

ファーガソンマジックならぬスールシャールマジック。

このマジックがなぜ起きたのかを解説していく。

 

 

まずこれがPSG (パリサンジェルマン) のスターティングイレブン

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だが試合が始まってからのフォーメーションは3-4-3だった。

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これがそのフォーメーション。

前回の対戦と同様の並びでホーム戦を戦うことを決意。

 

一方のマンUはこれ。

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こちらも蓋を開けてみると並びが違った。

実際は4-4-2の並び。

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明らかにカウンターで仕留める狙いが見えた。

 

そして思いも寄らぬ展開でこの試合の幕が上がる。

開始2分でマンUが先制ゴール。相手のミスを見逃さず、バックパスを掻っ攫ってルカクがきっちりとゴールを決めた。

そうするとマンUは上でも述べたように、引いて守ってカウンター

というこの戦い方を徹底して行うことができる。

カラバオカップ決勝のチェルシーvsマンCと似た構図だ。(この記事を読めばより深く理解出来ると思う)

これがその動画だ。

 

 

 

これを永遠と繰り返す。

チェルシーと少し違うところがクロスを上げられるのは仕方ないと割り切り、

クロスボールを弾くという点。

 

だがこれもそう長く続かない。

前半12分、PSGが同点に追いつく。

 (下の動画に載せている) 

ここから明らかに、PSGの攻め方が変わる。

D ・アウベスを起点に、ハーフスペースを攻略し、左サイド、またはムバッペでフィニッシュ。この攻め方にシフトチェンジをした。

これが分かりやすいシーン。(13番がアウベス。7番がムバッペ)

 

 

ではなぜこれができたのか。

それは3-4-3の優位性にある。

マンUのDFラインは4枚なのでサイドを変えられるとスライドをしなければならない。そうするとボールサイドとは逆の大外にポジションを取っている13番(アウベス)は必然的にフリーになる。それがこれ。

 

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黒丸がアウベス。逆サイドからボールが配給される。

そしてマンU(白のユニ)はボールが逆サイドに展開されたので、矢印の方向にスライド。

ここで一番判断が難しいのが赤丸のSBの選手。

プレッシングを行うのか、その場にステイするのかがとても難しい。

アウベスはプレスがなければフリー、プレスがかかれば1タッチで裏のスペースにパスが出せる。

PSGはここを狙った。実際に同点弾のシーンもこれが使われている。

 

では話をマンUに戻そう。

この状況にどのように対応したか。これがこの試合の重要なポイントであり、分岐点になる。

マンUの監督スールシャールは18番(A.ヤング)をDFラインに下げ、枚数を増やしてスライドの距離を短くし、5レーンを埋めた。並びは5-3-2の形。

この形にしてマンUはボールを奪え始め、前線2枚を走らせてゴールを狙った。

 

そして前半30分に勝ち越し弾を決める。

マンUは奪ったボールを広いエリアに運び、そこでボールを受けてシュートまで持ち込みゴール。

PSGのGKブッフォンのミスもあったが、狙い通りの得点だったのではないだろうか。

 

後半に入り、PSGが多く決定機を迎えるが、最後のところで決めきれず、マンUは最後のところで身体を張り守りきる。

そして、マンU勝利の女神が舞い降りる。VARでのPK判定だ。

正直このハンドをとられてしまったら、DFはどうしようもない。

これが決まり、トータルスコア3-3でアウェイゴール差でマンUが勝ち抜けた。

 

もしもスールシャール監督が失点を喫した時点で5-3-2の形に変更していなかったら、この結果にはならなかっただろう。

あと2点必要という状況下で、守備に人数をかけるこの決断はなかなか出来ないことだろう。

これ以上失点しないという決断。これがこの試合のターニングポイントであり、

マンUが奇跡の逆転を成し遂げた要因である。

そして攻め疲れたPSGの状況を作り出し、最後の5分に全ての望みを賭け、必死で攻め込んだ。

前線にロングボールを放り込み、リスクを賭けてこぼれ球を拾う。

良くも悪くも昔ながらのイングランドスタイルで勝利をもぎ取った。

 

 

一方のPSGはマンUが5-3-2に変更した時点で、後ろでボールを回せばよかったのではないだろうか。はたまた、トゥヘル監督がD.アウベスをシャドーポジションに移した時点で、ピッチ上の選手てちはその意図に気づくべきだったのではないだろうか。

そして残り5分のマンUの殺気を感じ取るべきだった。

最後は判定に泣くことになったが、分析をすれば必然の結果だったのかもしれない。

 

アヤックスに引き続き、奇跡の大逆転。これだからサッカーは面白い。

そして強いマンUが戻ってきたのだろうか。

それを期待できるだけの結果をスールシャール監督はここまで残している。

これからもCL、そしてプレミアリーグでの彼らの結果に注目していて欲しい。

ぜひDAZNやスカパー!でご覧になってみてはどうだろうか。

 

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