ICC マドリード・ダービーを見終えて。〜アトレティコマドリードについて〜

 

 

はじめに

個人的にICCで一番注目していた一戦。それがこのマドリード・ダービー。久保建英のレアル移籍でよりレアルの試合は注目度が高まっているのではないだろうか。その試合結果は7-3でアトレティコの勝利。プレシーズンとは言え、レアルにとってはショッキングな試合だった。だが試合内容を見ればこの結果は妥当だと感じた。今回は大量得点で宿敵を粉砕したアトレティコ・マドリードについて紹介しよう。

 

カウンターと守備について

まずは守備について紹介しよう。この試合も守備から試合に入っていた。しっかり守れるからこその結果だろう。そしてこの守備はカウンターを打ち出すためのものだ。ではそれを紹介しよう。

ショートカウンター

(黒⇨アトレティコ 白⇨レアル)

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これはあるビルドアップの場面。CBがボールを持つと、ハーフウェイラインまで一旦吸収する。そこからCFは中央へのパスを消し、SBへパスを出させる。ここにボールが入ると、SHはプレスへ。

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SHは中のパスコースを消しながらSBへのプレッシング。そうするとSBは開いているWGへのパスかドリブル突破、CBへのバックパスのプレー選択肢になる。そしてこれらの選択肢をより消すためにCFはCBへのパスコースを消せるポジショニング。SBはWGの位置へ出る。ここで面白いのがDFラインはスライドをせずに中央を固める。MFのラインはしっかりとスライドを行う。

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これでサイドを圧縮してボールを奪い切る。局面を見るとSB・SH vs WGの2v1、もうすこし大きく見ると、SH・SB・CH vs WG・SBの3v2の形になる。ここで重要なのがCHのポジション。ここでしっかりと中央へのパスに蓋をしなければ突破されてしまう。

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最悪な場合はここで単独突破されてしまう事。もちろんそういった状況が起こり得るので、CBがここで対応にいく。またCHがここのスペースを使う場合はCHがついていく事で対応をする。このようにリスク管理を行なっている。だがこの状況に持っていかれるとカウンターができなくなってしまう。だからCHのポジショニングが重要になっている。このような形と類似した状況で開始早々の先制点を奪っている。

サンプル動画

 

 

ロングカウンター

ロングカウンターをするためにこのような形になる。

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このようにCFも低い位置まで下がり、サイドを圧縮する事でサイドチェンジを誘う。CFも低い位置まで下がる事で相手は逆のSBが上がりやすくなる。そうすると攻撃に厚みが出るリスクがあるが、逆にいうとロングカウンターが狙える。そしてそれを狙ってできるのがアトレティコ。サイドチェンジ行う選手にある程度の圧をかける事ですこしでも制度を落とす。そしてこのボールを奪い、一気にロングカウンターに移る。

これがそのサンプル動画。一つはファールで止められてしまったが、止められなかったら攻撃を完結させていてだろう。

サンプル動画

 

CHのポジショニングについて

これは要するにネガティブトランジションについて。これをするためにここでもCHのポジショニングが重要になる。では早速そのポジショニングを紹介しよう。

ネガティブトランジションとセカンドボール

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このようにクロスに対してや、縦パスなど、ボールを失った時にすぐにセカンドボールに反応できるポジショニングを取るためにここにポジションをとる。ここのエリアを埋める事で被カウンター対策になっている。さらにボールサイドと逆のSBは上がることはあまりなく、これも被カウンター対策になっている。(SBのこのポジショニングは主に速い攻撃の時の場合。遅攻の時は高いポジションをとることが多い。ビルドアップの時に解説をする。)実際にこの試合はこのポジションをとっていたので2点目、3点目、似ている形が4点目だ。

サンプル動画

 

ビルドアップと遅攻

次に解説するのはビルドアップ時のポジショニング。だいたいこのような形をとる。

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 他のチームがよくとるビルドアップの形はCHが1枚DFラインに降りて、2CBとCHの3枚になる形だが、アトレティコは2枚のCHがDFラインに降りて4枚でボールを回す。中央にSHが入り込み、SBを押し上げる。これは他のチームと一緒だ。これはボールを奪われた時のショートカウンター対策になっているのではないだろうか。このようにしてCHがSFラインに降りる。そして丁寧につなぐこともあれば、シンプルにここから裏一本のボールを蹴ることもある。そしてここから遅攻に移る。遅攻の時はこのような目的があるだろう。

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ここで起点を作る事で相手のラインを上げさせることが目的としてある。そうすることで、背後のスペースを狙い、シンプルかつ強力な攻撃を仕掛ける。だがもちろん、そこのスペースを埋められるので、SBの幅を使う。

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そうすると、サイドで押し込むことができる。それが最初に解説したCHが起点を作ることも意味だ。そしてSHはサイドで深い位置を取り、少し時間を作る。この目的がCHの上がりを待つため。

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ここで時間を作る事で、CHの距離感が近くなる。これの目的がネガトラでボールを奪うため。遅攻をしているのだが、守備のことを頭に入れておくことがシメオネ監督らしい。

サンプル動画

 

 

まとめ

主力の選手が退団したアトレティコ。だがこの試合を見る限り、その影響は全くないように自分には見えた。完成度の高さと、強度、走れる選手が揃っているから大崩れしないのだろう。さらにはジョアンフェリックス。彼のセンスには本当に驚くばかりだ。ポジショニングとスペースに入って行くタイミング、そしてボールの置き所。天才型だがハードワークもしっかりこなす。この試合でグリーズマンの影を一気に消し去ったのではないだろうか。今シーズンのアトレティコはとても面白いサッカーをするのだはないだろうか。とても期待感が高まる試合だった。

 

終わりに

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