プレミアリーグの中でも、因縁深いこのダービー。
ここ最近ではトッテナムがアーセナルより上の順位にいる事が多くなり、
ノースロンドンの勢力図が変わりつつある。そんな中で行われたダービー。
アーセナルはこれ以上トッテナムに勝ち点を離される訳にはいかない。
一方のトッテナムもここで勝ち点を失えば、リバプール、マンCの背中が遠くなり、
優勝争いから脱落しCL争いに巻き込まれてしまう。
どちらも勝利が必須だったこの試合を解説、分析していく。
立ち上がりから25分頃までは、ほぼアーセナルのペースだった。サイドに追い込み、ロングボールを蹴らせ、こぼれ球を回収し広いエリアから攻撃へ。単純だがこれがかなり嵌っていた。ロングボールの対応としてソンフンミン(トッテナム7番)にソクラティス(アーセナル5番)、ケイン(トッテナム10番)にコシェルニー(アーセナル6番)をマンマークさせていた。
先日のノースロンドンダービーから。
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) March 5, 2019
サイドに追い込み、ロングボールを蹴らせる。
そしてセカンドボールを回収し、広いエリアから攻撃を仕掛ける。
単純だが、これがかなりハマっていた。 pic.twitter.com/U1Wws7foUt
ではプレッシングの細部を詰めていこう。
①の選手は他の選手が付いて来ているかを確認し、プレスへいく。
この確認がないと、ただの無駄走りになってしまう。
そして付いて来ているのを確認できたので、サイドに追い込みにかかる。
①は中へのバックパスを、②は背後へのパスコースを、③は中へのパスコースを消す事でロングボールを蹴らすことに成功している。
ロングボールを蹴らせ次の局面。
ボールを回収することに成功。
そしてここからが大事な局面。
黒丸で囲った所を見て欲しい。こうすると縦の関係で2v2が出来上がる。
前にも説明したが、2v2を創り出せればほとんどの局面を打開することが可能だ。
黒①は黒2へパスを出す。そうすると、黄②はプレスをかけるか、その場に留まるかの選択を迫られる。この時点で黄①は無力化されている。
仮にその場にステイすれば、黒②は前向きでボールを持つことができ選択肢は無限大だ。また、プレスにくると、背後に大きなスペースが生まれる。
黄②はプレスに行くことを選択。
するとスペースが生まれる。
もちろん黒①はそのスペースを突く。黒②もそこにパスを出す。
これでこの局面を打開できた。
トッテナムの3-4-1-2という布陣も多少なりに関係しているが、〜25分までは面白いほどこれが嵌っていた。
現に、17分にアーセナルは先制している。
これも(トッテナムDFのミスが関与しているが)ロングボールからの縦の2v2の関係でゴールを奪っている。
ミスも関与しているが、ロングボールが出た時点で8番は裏のスペースに走り出し、自分のマーカーを無力化。
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) March 5, 2019
6番のミスは最悪だが、9番はすかさずスペースへパス。
8番をよく見ている証拠だ。 pic.twitter.com/lmmkb8uO67
だがここからトッテナムにペースが傾く。
ソンフンミンがボールを受けに下りてくるようになり、パスコースが1つ増えることにより、プレスを掻い潜るようになる。
そしてマンマークをしていたソクラティスとコシェルニーでケインをマークするようになり、ペナ角のスペースを使われ始める。そしてペースを崩していた。
これがそのシーン。
アーセナルはペナ角のスペースが空きはじめ、そこを使われ始めペースを崩す。 pic.twitter.com/gCBBjWBxGQ
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) March 5, 2019
そしてペナ角のスペースがここ。
赤丸のところがケインに2人マークしている場面。もう少し外側にポジションを移してもいいと思う。ここでもそのスペースを使おうとしたが、ボールは出なかった。
次が実際にそのスペースを使う局面。
①は一度後ろに下がり、スペースを作り一気に加速しそこを使う。
シュートまでは行けなかったがこの場面が増えて、一気にトッテナムペースになる。
そしてビッグチャンスが生まれる。
7番がボールを受けに下りてきて、サイドに展開。
— サッカー解説と分析 ~違った視点からの観戦~ (@jHgW2UrDVwTxdFs) March 5, 2019
そして10番がペナ角のスペースで前向きでボールを持ちビッグチャンス。 pic.twitter.com/mJps7Uv1PK
先程述べたようにソンがボールを受けに下りて来て、サイドに展開。
そして一気にスピードが上がり、ペナ角のスペースでケインがボールを前向きで受け、
クロス。そしてフィニッシュ。だがトッテナムはこのビッグチャンスを逃してしまった。ここで決まっていたら、試合の結果も変わっていただろう。
そしてここはアーセナルのGKを褒めるべきだろう。
そして後半。基本的に前半同様だったので、後半は自分の意見を中心に解説してく。
まずはアーセナル。ハーフタイムで29番に代えて、11番を投入。
この意図はボールを握る時間を増やしたかったのだろう。
そしてトッテナムも後半59分に12番に代え、11番を投入し、配置を少し変える。
こうする事で配球の上手な23番(エリクセン)をプレスのかかりにくい場所でフリーにし、起点を作ろうとしたが上手くいかずにすぐにポジションを変更する。
このシーンを作れたのは1度しかなかった。それがこれ。
この配置の変更で黒丸あたりで起点を作ろうと試みたがアーセナルの8番(ラムジー)が牽制をしていたので上手くいかなかった。
赤丸の選手がエリクセン。効果的な配球がなくトッテナムはポジションを変更。
このポジションにしてすぐに、ファールをもらい、PKを獲得し同点に追いつく。
アーセナルはこのトッテナムのポジション変更を受けて、プレスの狙い所をサイドではなく、中央の3番(ダニーローズ)にするべきだった。
ローズはSBの選手なので、ボールの持ち運びが上手くない。
ここでボールを奪えば、カウンターを仕掛けれたのではないだろうか。
最後にアーセナルにもPKが与えられたがGKがビッグセーブ。
後半の大きなトピックはこんな感じだろう。
結局試合は1-1のドロー決着。
どちらかと言えば、前半の方が駆け引きがあり観ていて面白かった。(後半はファールが多くなり、少し荒れた試合になったので残念だ)
いかにしてボールを奪い、どこから攻めるのか、
一方のチームはどのように修正し、流れを引き寄せるのか、
そんな見応えのあるノースロンドンダービーだった。
これでトッテナムもCL圏内争いに巻き込まれることになった。
ここまで熾烈な争いを繰り広げるリーグは他にきっとないだろう。
少しプレミアリーグのことも気にかけてみて欲しい。
最後までご朗読頂きありがとうございます。
このような駆け引きのある試合を観るのはやはり面白い。
ぜひ皆さんもDAZNやスカパー!で試合を観てはどうだろうか。
はたまた、スタジアムに足を運ぶのも良いだろう。
そしてこのブログを読んで、少しでも観戦の視点が変わっていたら幸いだ。
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改めて、最後までご朗読ありがとうございます。