【アントラーズが保持できた理由について】Jリーグ 13節 鹿島アントラーズ vs FC東京

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衝撃の試合内容。僕は少なくともこう感じた。苦しむFC東京は4-4-2でこの試合に挑み、低いブロックを形成してカウンターを狙ったことが裏目に出た。だからこそアントラーズはボールを保持し、押し込み、そして圧勝した。

では今回はなぜアントラーズがボールを保持でき、そして試合を支配できたのか。これについて解説していこう。

 

 

 

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アントラーズが保持できた理由

これには多くの要因がある。これを1つずつ紐解いていこう。

 

下がることがスタンスだったFC東京

この試合のFC東京のスタンスは『まずは撤退』というものだったように感じた。だからこそ、FC東京は前からのプレスを捨てて、撤退を行った。この撤退が後述するFW-MFのライン間が空いてしまうことに繋がっていく。

 

最初に取れたFW-MFのライン間

後退することがこの試合のスタンスだったFC東京。これによりアントラーズはCBとCHで時間を作り出すことができていた。

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下がるMF~DFと残るFW

このようにFC東京はMF~DFは撤退し切ってまずは場所を埋めることを行う。この時に中央3レーンを固めることで、ゴールを守ろうと試みた。(2シーズン前の守備を行おうといているように見えた)

この撤退し切ったMF~DFとは裏腹に、FW陣は下がり切らずにアントラーズCHとCBに牽制をかけようとしているように映った。もしかしたら「CBとCHの牽制」がタスクとしてあったかもしれないが、彼らが下がらなかったことでアントラーズは以下の場所でスペースを取れていた。

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アントラーズが得れたスペース

上の図のように、アントラーズが取れた場所というのがFW~MFのライン間とCFの脇のスペースだ。ここをCBとCHが効果的かつ簡単に使えたので、アントラーズはボールを難なく保持することができ、そして様々な方向へ展開することが可能になっていた。この試合で感じたのは、CB犬飼と町田、CHレオと三竿がこれだけの自由があれば、多くのことができるのだなということだ。これは4人の展開力を生かすように設定していたザーゴ前監督の遺産と言えるのではないだろうか。だからこそ、もう少し我慢し、ザーゴ体勢を見たかった気もするが…

 

4-4のブロックとSHとSBの関係性

FC東京が撤退したことでライン間で自由を謳歌することができたアントラーズ。そしてさらにFC東京の4-4の中央を締めるブロックもアントラーズがやりたい放題、攻撃を仕掛けることができていた大きな要因だ。

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幅と高さを取れるSB

このように撤退したFC東京は基本的に4-4のブロックを作り出す。この時に中央3レーンに人を集めることで外回りにして「ゴールから遠ざける」ことを狙う。さらにこれは憶測に過ぎないが、2シーズン前のように、クロスを徹底して弾き返そうとしたのではないだろうか。

FC東京がこのようなスタンスで守備を行うようになったことで、上の図のようにアントラーズSBが「幅」と「高さ」を簡単に取れるようになっていた。

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SHがSBをピン止め

さらに追い討ちをかけるように中に入るSHがFC東京SBをピン止め。またCF脇をCBが持ち上がることで、FC東京SHはまず「中に入るSHへの縦パス」を消す立ち位置を取るようになるため、より中に絞るようになる。

これで大外のSBが広大なスペース多大な時間を得ることができるようになっていた。

そしてSBがFC東京SHの斜め後ろでボールを受けることでFC東京SHをほぼ無力化していく。

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FC東京SHを無力化

このようにCBが持ち上がりSHの視線を引きつけた状態でSBへパスを出す。こうなるとSHの視野と体の動きは上の図のように反転が必要になる。こうなるとこの「反転の時間」と「SBの距離分」だけアントラーズSBがフリーになれる。さらに、SHは自陣に向かって走る(背走)ことになるので、圧倒的に不利な状態で守備を行わなければならなくなる。

だからこそ、アントラーズSBは有利に攻撃を仕掛けることができていたし、この状態を作り出すことに成功したことで、FC東京SHを敵陣深くまで押し下げることができた。これで被カウンターのリスクをグッと下げることに成功した。

 

この局面を作れた時点でアントラーズが押し込めることができるようになる。

 

CHとOMFの優位性と土居の存在

さらにこの試合は「FC東京CHの背後」をよく使うことができていた。これはFC東京のCHに対してアントラーズはOMFとCHで数的優位に立つことができたので、CHの背後、いわゆるMF−CFのライン間を取ることができた。

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縦関係での数的優位

このようにアントラーズはCHとOMFでFC東京CHに対して「縦関係」の数的優位を作り出す。これが簡単にでき、そして効果的に行えたのもFWのプレスバックがない分、ライン間で場所を得れたことが大きく関係している。

そしてこのライン間でボールをピックアップすることで以下のように次のライン間を使っていく。

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段差を作る

このようにCHを釣り出すことでFC東京のセカンドラインに段差を作り出す。これで出て行ったCHの背後にOMFまたは土居が立つことでライン間を取る。この時の入り方がCBからピックアップしたCHがそのまま縦パスを打ち込むか、CH→CHで斜めに入り込むかが主な2択になっていた。これでライン間を取って、さらに押し込むことができていた印象だ。

もちろん、CBからCHがボールをピックアップした時点で、FC東京CHを釣り出せない場合は、一気に逆サイドのSBへボールを届ける。この左右の揺さぶりを行うことでFC東京のスライドを強要する。この走らされているという意識をFC東京に植え付けたことで、CHを釣り出すことに成功し、ライン間を取ることができるようになっていたのではないだろうか。

 

ほぼ全勝だった対人

この試合は4-4-2のミラーゲームだったため各ポジションでの1vs1が多く行われた。そしてこの試合でアントラーズはこの各ポジションで圧倒的な対人の勝率を誇った。だからこそ、攻守に渡り試合を優位に進めることができた。サッカーが団体競技といえども、細部を切り詰めていけば、最後は個人の戦いになる。ここで勘違いして欲しくないのは、個人を生かすためにチームがあり、戦術があるということだ。この試合ではここの部分でFC東京はこだわりがなかったように見えた。

だからアントラーズはほとんどの局面で対人を制することができていた。

 

修正を施すも…

FC東京はハーフタイムで修正を加える。それが3枚替を行なって5-3-2にしたことだ。だがこの修正は個人的に効果的ではなかったと感じた。もちろん、後ろを5枚にすることで幅は埋めれるかもしれない。だが根本的な「押し込まれる」ことと「ボールを持たれる」ことを防ぐことができなかった。

だからFC東京は後ろに重いままで結局2トップにボールを届けたとしても孤立した状態で攻撃に出ることができなかった。

 

じゃあどうすればよかったのだろうか?

ではどこを修正すればよかったのだろうか。結果論になってしまうが、ビルドアップを阻むことを行うべきではなかったのではないだろうか。もしくはブロックを作るのならばFW陣もしっかりとプレスバックを行わせて起点となるライン間を潰しにかかることが必要だったように感じる。

そしてFC東京はこれら2つを行わず、配置だけを変えた「前半とスタンスを変えない」戦いを選択する。

仮にビルドアップを阻害しにいくことで、追い込む場所と誘い込む場所を後ろの選手に伝えることができる。これで全体が連動して追い込むことが可能になる。さらに追い込むことで、攻撃の選択肢を削ることができるので、アントラーズの攻撃の幅を狭めることができたはずだ。

このように修正すればFC東京はもう少し違った展開に持ち込むことができたのではないだろうか。

 

この圧勝をどう捉える?

このアントラーズの圧勝をどう捉えるのか。素直に喜んで良いとは思う。だがこの試合でゴールを奪ったのはCKと松村の個人完結のスーパーゴール。3点目が入るのは時間の問題だった。こう考えた時に流れからのゴールが少ないことが心配になるのが本音だ。もちろん、セットプレーと個人の質での完結というのは大切だ。だがここで勝てなくなりつつあるからこそ、ザーゴと共に現代サッカーの骨組みを築き上げ、新たな強さを手に入れようとしたのではないだろうか。相馬監督になり原点回帰して「鹿島らしい強さ」は取り戻したかもしれない。だがこれがどこまで通用するのか。この試合ではFC東京が引いて守ってくれたからこそ、個人の圧倒的な質を存外に発揮することができた。これから先、もっと苦しい試合になった時に、どのようにチームとして戦うことができるのか。ここの『細部の突き詰め』にこれから期待したい。この圧勝を手放しで喜んでも良いかもしれないが、この先のことも少し視野に入れておいた方が良いと個人的には感じる試合でもあった。

何はともあれこの勝利は大きいものになるだろう。

 

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【進撃のチェルシー】Premier League 35節 マンチェスター・シティ vs チェルシー

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チェルシーのシーズン終盤。『全てが決勝』と言わんばかりの試合が続く。(実際に2試合は決勝)その大切な一戦目、そしてCL決勝の対戦相手でもあるマンチェスター・シティだ。この試合は前哨戦とも言える一戦でFAカップに続いてペップ・シティを打ち破って見せた。では今回はこの試合のレビューを行っていこう。

 

 

 

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シティの守備について

まずは形を変えてこの試合に臨んだシティについて触れていこう。FAカップ準決勝での戦いではチェルシーのCHに対してOMFデブライネが1枚で対応する形になっていた。ここの数的不利をFA杯では使われてしまい、前進されていることが多くなっていた。

 

だからペップはこの試合では3-1-4-2という布陣を使用することで、CHに人を当て嵌めることを狙う。

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シティの当て嵌め方

このようにCHに対してIHがマークを行うことでCH経由の前進を阻止する。2トップは3バックに対して数的不利になってしまうが、ここはプレスの掛け方で数的同数に持っていけるようにする。またIHが前に出ることで人数を合わせる場面も見受けることができた。この場合は、DMFロドリが縦スライドでCHをきっちり捕まえることでマークの補完をする。

こうすることでバックラインではそれぞれのマークが明確になり、対応を行いやすくなるように設定されていた。

そして以下の場所に誘導して追い込むことでボールを回収しようと試みていた。

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シティの奪いたい場所

このように、CFのプレスまたは牽制で外側のCBにボールを持たせる。ここからもう1枚のCFが中から外に向かってプレスをかける。ここでボールを奪えたらベストだが、そう簡単には奪えないので、次のパスを狙う。

そのためにCHに対してはIHがマークを行ったままスライドを行い、逆WBはSTの位置まで絞る。こうすることで同サイドCBをカバーポジションに移らせることができる。そしてWBへのパス、またはSTへのパスを潰しに行くことでボールを回収しようと試みていた。

 

このようにしてシティはCL 2nd legで見せたレアル・マドリードのような戦い方を選択していた。

 

そしてこの方法を経験済みのチェルシーは簡単にこのプレスを掻い潜っていく。

ではどのようにプレスを回避し、攻撃に出ていたのだろうか。

 

チェルシーのプレス回避

チェルシーは直近の試合のレアル戦でもCHを徹底的に消される守備を行われた。

以下がレアル戦のマッチレビューだ。気になる方はぜひ覗いてみてほしい。

 

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この経験と見てボールを動かせるチェルシーはレアル戦と同じようにプレスを回避していく。

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段差→背後

まず最もシンプルな攻撃パターン。それがSTが下がることでCBを釣り出してシティバックラインに段差を作り出してCBから背後に流し込むパターンだ。この中央から斜めにヴェルナーが抜け出すパターンはFA杯でも見せていた方法で、この試合でもジエクが下がることで、ヴェルナーのスピードを生かした。

だからこそ、何度もサイド奥深くをヴェルナーが抜け出したり、一気にゴールまで迫ることができていた。欲を言うならば、ヴェルナーの仕掛けがもっと巧ければ…と思うシーンが多かったことだろうか。だがこの試合でも確実にこのヴェルナーのスピードと抜け出しはシティに圧力を与え続けていた。

 

もちろん、他の方法もある。

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CBの持ち運び

この方法はレアル戦でよく見せていたパターン。CBにスペースを与えるために、周辺の選手が動きを加える。上の図のように、CHがボールサイドに寄らずに中央にステイすることで、一緒に中央にIHを止める。いわゆるピン止めを行う。さらにボールサイドWBが少し低めのポジションを取ることで、シティWBを釣り出す。この動きに連動して、WBが開けた場所にSTが流れる(サイドに流れる)。

これでCBが持ち運ぶスペースが生まれる。そして狙ったのがシティCBの判断を難しくさせることだ。

ではここからはCBの出方に対してのチェルシーの主な判断について触れていきたい。

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流れたSTにCBが対応した場合

まずはサイドに流れたSTに対してCBが着いて行った場合。この場合が最もシンプルで、CBディアスとCBラポルテのギャップがかなり広がるので、そこに持ち上がったCBリュディガーが背後にボールを流し込む。そしてもちろん背後に入るのはスピードスターヴェルナーだ。この方法が最もシンプルだが、シティ守備者は当然のことながらまずは場所を埋めることを選択する。

だからチェルシーは以下のように判断を変える。

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ST→外から流し込む

このようにシティCBが最初に場所を埋めた場合は外に開くSTへパスを送る。ここで時間を持たれること、そしてフリーで前進されることを嫌うシティはここにCBを当てにいく。これでチェルシーはCBを再び釣り出すことができるので、外から斜めに背後にボールを流し込むことができる。このパターンが最も見られたヴェルナーの抜け出せる方法だった印象だ。

 

もちろん、これらの方法が打ち込めない場合もある。その場合は以下のように展開する。

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サイドを変える

このようにWBが流れるSTを消しに来た場合はCBを動かすことができない。だがシティの守備により、逆サイドのWBが空いている。これは先ほども触れたようにシティWBが絞ってSTを捕まえる立ち位置を取っているからだ。もちろん、このサイドチェンジのパスが届くまでの間にシティWBがチェルシーWBの近くまで寄ることができていたのだが、この試合は終始ジェームズ vs メンディの局面でジェームズに軍配が上がっていた。だからこそ、ここの縦突破からクロス攻撃を仕掛けることができていた。

 

このようにしてチェルシーはまず背後を取り続けることでシティのプレスに迷いを与えて、全体を下げさせた。(それでもシティのラインは高かったけど。こいつらすげえ)

だからチェルシーはボールを保持できるようになり、ロドリ周辺のスペースを効果的に使って中央からの攻撃も仕掛けれるようになっていた。

ボールを支配するためのスペースを得るために、まずは背後を取りに行く。そしてプレスに出てこなくなれば、配置を整えながらボールを保持する。
 

ここの整理と共有が明確になったからこそ、チェルシーは負けなくなった。そしてこの整理と共有を尋常ではない速さで達成してみせたトゥヘル。彼もまた最高峰の指揮官だ。

 

チェルシーの守備とシティの回避について

この局面についてはYouTubeで解説したので、ぜひご覧になってもらいたい。

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本物だ、チェルシー

ペップ・シティに対して2連勝。この強豪シティとの対戦は残すところCL決勝のみ。きっとペップもこのまま黙っているわけがない。だが、今のトゥヘル・チェルシーは安定感抜群で、明確な武器を持ち、そして見てサッカーをし、剥がしていくことができる。僕自身の3バックの概念をひっくり返してくれたトゥヘル。このままの勢いで、FA杯、トップ4フィニッシュ、そして2度目のビッグイヤーを獲得してもらいた。そしてそれが十二分に可能と思わせてくれる戦いを見せてくれている。青春を共に過ごしてきたチームが強いのは純粋に嬉しい。そして新生・チェルシーに期待せずにはいられない。

 

 

 

 

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【アルテタよ、なんでそうした?】UEL 2nd Leg アーセナル vs ビジャレアル

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最後のチャンス。このセカンドレグに何としても勝たなければならなかったアーセナル。CL復帰はおろか、ELへの道も絶望的に。だからこそ何としても勝たなければならなかった。だが、その意気込みとは裏腹に、試合内容はちぐはぐしており、とても勝てる雰囲気は漂ってなかった印象だ。

今回はこの試合で感じた、「何でこうしたの?」と「こうすればよかったんじゃない?」と言う僕個人の勝手な印象を述べさせてもらいたい。

最後までお付き合い頂けると幸いだ。

 

 

 

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オーバメヤンの起用方法

最初に触れたいのがここだ。現役の頃にCFをしていただけに、僕はここが気になった。ニューカッスル戦、そしてビジャレアル戦。果たしてオーバメヤンの『CF起用』は正しかったのだろうか。もちろん、ストライカーの位置で使う選手がいないことは「重々承知の上で」だ。

 

ではどこが気になったのか。それが「前を向いてプレーができていない」と言う点だ。仮にオーバメヤンのプレースタイルが「DFを背負っての起点作り」ならば話は別だ。

だが彼が名声を得たプレーと言うのは確実に「前を向いたプレー」だ。もっと詳細に言うと、「背後に抜け出すプレー」と「クロスに合わせるプレー」だろう。

 

これを考慮した上で、果たして今のアーセナルのプレースタイルにオーバメヤンを当て嵌めれるのだろうか。個人的にはここに疑問が残る。もちろん、ニューカッスル戦のゴールのような状況を多く作り出せるのならば、何も問題はないだろう。ニューカッスル戦でも、ビジャレアル戦でもオーバメヤンが前を向いて(効果的な状態で)プレーすることが少なかった。

さらに、クロスの供給の仕方にも問題がある。ここでもオーバメヤンの良さを生かし切れていない関係になっている。

守備陣が構えた状態でクロスを上げるのでは圧倒的に守備者が有利だ。入ってくるボールを待ち構えている状態だから、跳ね返しやすい。このクロス攻撃を仕掛けるのならば、ジルーやミトロヴィッチ、キャロル、一昔前の選手でいうとドログバやクラウチをストライカーに添えるべきだろう。

 

このようにオーバメヤンの良さを活かすことのできる起用法を考えるべきではないだろうか。このビッグスターを持て余している感は個人的には否めない。

 

大きかったエジルの存在

僕はこの魔法使いがいなくなったことも大きく関係していると思っている。シンプルにエジルからのラストパスは武器になっていたし、オーバメヤンの動き出しにしっかりと合わせることができていた。さらにエジルのフリーランだ。彼がハーフスペース奥を取ることで、横からのクロスではなく、折り返しのクロスになる。またエジルのフリーランにより、守備者の目線が大きく動き、オーバメヤンがマークを外しやすくなる。この互換性があったからこそ、オーバメヤンはアーセナルでもゴールを量産することができたのではないだろうか。

そして今のアーセナルに目を向けた時、ハーフスペース奥を取り、そこから折り返すクロスはあるだろうか。そもそもフリーランで背後まで引っ張る選手が何人いるだろうか。この動きが圧倒的に少ないから、現在のアーセナルのクロスは構えられた状態で、横からクロスを「入れてしまう」ことが多いのではないだろうか。

もちろん他にも、エジルがライン間で攻守のリンクマンの役割を担ったり、起点になったり、と様々な理由がある。彼のアーセナル退団はもう1人のビッグスターを苦しめることになっているのかもしれない。

 

じゃあどうする?

じゃあ、どうする?このように考えてみた。果たしてオーバメヤンの能力を最大限、引き出すために、どうすれば良いのか。僕個人の意見では、3-4-1-2だ。アーセナルは攻撃時に、3バックに可変することが多い。それならば最初から立ち位置を3枚にすれば良い。こうすることで、「可変する」といプレーを1つ飛ばすことができ、シンプルになる。さらに、2トップにすることで「起点」と「逆の動き」の役割、そしてトップ下のリンクマンの役割を明確にすることができる。起点の選手をラカゼット、逆の動きをオーバメヤン、リンクマンをウーデゴール、スミスロウに託す。さらにWBを配置することで、幅と深みを作りやすくなり、オーバメヤンがチャンネルランをしやすくなるのも目に見える。(もちろん、SBよりもWBの方が守備の負担が小さくなることも考慮。ベジェリンとか)そしてCHには配給のできるセバージョスやジャカ、そして回収能力の高い、トーマスやエルネニーを起用すれば上手く嵌る予感がするし、個々人の色も出てきそうだ。

当時エメリが起用したこの形ならば、個人的にはかなり上手くチームが回り、そしてオーバメヤンの得点能力を存分に生かすことができるのではないだろうか。

 

SHとSBの関係性

特にこの試合。SHに入ったぺぺとサカ。SBに入ったティアニーとベジェリン。この関係性に少なか僕は疑問を抱いた。ではどこに疑問を抱いたのだろうか。

まずはベジェリンサイドのことから。

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ベジェリンサイドのこと

どこに疑問を持ったかと言うと、ベジェリンのサポートのタイミングだ。上の図のように、SHが『幅を持って』ボールを受けるとする。例えばニューカッスル戦だとウィリアンが幅を作ってボールを持つことが多かった。こうすると中のフリーランでウィリアンのサポートを行い、ハーフスペース奥を取るか、もしくはDFを引きつけることで、ウィリアンのドリブルのサポートを副次的に行った。

だがこの試合では、中のランニングコースにIHが先に立っている。だからこそ、無理矢理、幅を作り出すSHの外をランすることが多かった。じゃあ止まれば?と思うかもしれないが、3バックに可変しているだけに、余ってしまう。だからこそ、1枚無駄な状態になり、シンプルに不利になる場所が出てくる。

それを防ぐためにベジェリンはサイドを駆け上がることあったのだが、これでは良い関係性とは言い難い。

 

もちろんこれはティアニーサイドにも言えることだ。こちらのサイドはティアニーがバックラインに残ることが多かったので、彼の上がりは自重気味だった。だがいざ攻撃に参加するとなると、やはり息詰まった感が出てしまっていた。

 

ここの関係性が良くならない限り、アーセナルは攻め手を1つ失っていることになってしまう。

だから息詰まり、横からの短調なクロスになってしまうのではないだろうか。

 

左サイドでの息詰まり

これは右サイドではあまり見られない現象。右サイドではベジェリンが中のフリーランでパスコースを作ることが多いため。だが左サイドは訳が違ってくる。まずティアニーがバックラインに残ることが多くなるので、必然的に幅を作ったSHぺぺのサポートがIHが行うことになる。こうなると、中のサポート・パスコースが無くなってしまう。これでビジャレアルはかなりはっきりとした状態で守備を行うことができていた。

さらに悪循環なのが、ボールサイドチャンネルにCFオーバメヤンが流れて来てしまうことだ。もともとフィニッシャーとしての仕事を託しているはずが、崩しの一歩手前にからんでしまうことで、オーバメヤンの良さを消してしまうのではないだろうか。

 

じゃあどうする?

じゃあどうすれば良いのだろうか。これは先ほども触れた3-4-1-2で全て解決できる。そもそものWBとSBの立ち位置の違いでWBが高い位置で幅を作り出すことが可能になる。さらに、息詰まりの原因となるポジションの被りと中のサポート・パスコースの不足が起点役CFにより解消される。もちろん、必要ならばリンクマン役もサポートに行える距離にいるはずだ。こうすることで、確実に場所がか被ることは減ってくるだろうし、フリーランも増えてくるのではないだろうか。

 

本当に外切りで良いの?

では最後。最後に触れたいのは守備についてだ。基本的にアーセナルは外切りを行う。この試合でも外切りプレスが嵌り切ったと言える状態ではなかった。

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外切りプレス

このようにパウ・トーレスに対してサカ、アルビオルに対してオーバメヤンが外切りのプレスを行うように設定されていた。こうすることでIHがCHを捕まえれるように。だが、上の図のようにGK経由で逆サイドのSBに逃げられることが多くなっていた。ここでフリーになられてしまっているのは、1stプレスサイドに人を寄せている(バックラインをスライドで寄せている)ことで、逆SHぺぺがSHを捕まえている状態になるから。こうなると、SBで時間を作られるので、外切りプレスは無力化する。さらにアーセナルは時間ができたSBに対しても人を出してプレスを行うことが多々ある。

こうなると、SB⇆SHの距離の分だけ、SBは時間を得れて次の最良の判断を下すことができ、さらに周りの選手もその準備を行うことができる。

これでアーセナルが1stプレスラインを簡単に突破されてしまうことが多く見受けられた。

 

こうなると、トーマスの仕事量が増えてくる。いくらカバーエリアが広いとはいえども、中央を1枚で守れる訳が無い。だからこそ、サイドに引っ張り出された時に、STモレノや中に入ってくるSHトリゲロスがトーマスが開けた場所でボールをピックアップする場面が多く見られた。

 

また逆に展開され、スライドを行っている時点で再び逆に展開されることも少なからずあった。再び逆SBにボールを届けられると、ここに出てくるのがSBのベジェリンだ。ここでもベジェリンとSBの距離の分だけ、時間を得れ、周辺の選手は動きを加えることができる。

そして中に入るSHがボールを引き取ることでプレスラインを突破される。ここにCBが出てこれないのはもちろん、CFがピン止めを行っているからだ。これで一気にIH、SH、CFが置き去りにされるので、アーセナルはカウンター気味の攻撃を仕掛けられることがこの試合と言わず、多く見受けられるの原因になっているのではないだろうか。

 

例えば、ペップ率いるシティならば、外切りが嵌らない場合は即座に内切りのプレスに変更する。だがアーセナルはその変更がなく、無謀なプレスを仕掛けることも多々ある。ここの違いは間違いなく試合に大きな影響を与えているだろう。そして個人的に感じるのが、現時点では外切りプレスはもはや「嵌らないプレス」になってしまっていると、アーセナルやシティの試合を見て思う。

 

続投?解任?

これで全てのカップ戦で敗退、リーグ戦もヨーロッパの大会にほぼほぼ出られない位置にいる。こうなると騒がれるのがアルテタ監督の解任論だ。確かに昨シーズンはFAカップを手に入れた。だが今季のここまでの戦いを見ても、続投される可能性は低いのではないだろうか。さらにCL、ないしELを逃せば選手を連れてくることも難しいだろう。ましてやコロナ禍のこの状況で。危惧すべきは主力選手の放出だ。確実に今夏、移籍したい、する選手は多いだろう。Euroもあり、アピールするには十分の場所もある。またマドリーからレンタル組、特にウーデゴールを引き止めることも難しくなるのではないだろうか。

一時代を築いたヴェンゲルがいなくなったことで招いた混乱。果たしてこの強豪は復活することができるのだろうか。勝手なイメージだが、ユナイテッドにはお金にものを言わせて、選手を連れてくることができたが、アーセナルにはそのイメージが湧かない。これは大きな違いで、戦力維持すらままならない。ましてや『魔境』Premier Leagueだ。これからアーセナルがどうなっていくのか。ここを意識しながら観戦することも存外に面白いだろう。

 

 

 

 

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【カリスマ率いる絶対王者を倒すために】UCL セミファイナル 2nd Leg チェルシー × レアル・マドリード

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鬼門の突破。戦術狂・トゥヘルと共にチェルシーはペップ率いるマン・シティの待つ決勝へ駒を進めた。トゥヘルがチェルシーの監督になって日は短いが、ビッグイヤーまであと一歩の所まで来た。ここまでチームを劇的に変えられる監督はいないだろう。

では今回はいかにしてチェルシーがカリスマ率いる白い巨人を粉砕して見せたのか。これについて考えていこう。

 

 

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保持と非保持で変わった並び

まずはここから触れていこう。チェルシーの保持(攻撃)の並びはいつも通りの3-4-3になっていた。マウントとハヴァーツの2シャドーで、カンテとジョルジーニョの2CH、そしてヴェルナーの1トップだ。

一方の非保持(守備)の場面。チェルシーは非保持の局面になると5-3-2の形になる。

これを念頭に置いた上で、攻撃と守備の局面の詳細に触れていこう。

 

  • 空く場所と攻撃のきっかけ

まずは攻撃から触れていこう。まずはレアルの守備と空く場所から。

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レアルの守備と空く場所

このようにレアルは2トップで3バックの牽制、IHでカンテとジョルジーニョをマンマーク。さらにサイドではWBを当て嵌めることで、人を意識する守備を行い、対人の局面(1vs1)を作り出してボールを回収していこうという意図が見えた。

これに対してチェルシーは空く場所を見つけ出して、そこを使うことで攻撃を仕掛けるきっかけを作り出していく。

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CBの持ち運び

このようにレアルは2トップとIHでCH経由のパスを徹底して消すことを行っていた。これがかなり極端で中央に人を集めるようになっていた。だからこそ、チェルシーブロックの外、2トップの脇をCBが持ち上がることで攻撃のきっかけを作り出していく。

 

右サイドのきっかけ

まずは右サイドでの主なきっかけについて触れていこう。

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右サイドのきっかけ

右サイドでの主なきっかけは『CBが持ち上がることでIHを釣り出した時』になっていた印象だ。ここでIHを釣り出すことで、その背後のライン間をCHカンテが使うことが可能になっていた。これはクロースが前に出ることで、マーカーがいなくなると同時に、視野外に入れるのでマークを簡単に外すことができるからだ。

もちろん、ここのスペースをDMFカゼミロがカバーする。だがここでSTハヴァーツが下がることで数的優位を作り出す。さらにハヴァーツのヘルプをより有効化するために、WBアスピリクエタが背後に抜け出す動きを頻繁に加えていたことで、STハヴァーツのマーク担当のCBナチョをその場に留めることができていた。これでライン間で数的優位を作り出して攻撃を仕掛けていた。

 

この形でヴェルナーの先制点を生み出すことができていた。(この先制点はヴェルナーがカゼミロに対して数的優位を作り出していた)

 

左サイドのきっかけ

左サイドのきっかけも割と明確になっていた印象だ。

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左サイドのきっかけ

左サイドのきっかけは主に『CBが持ち上がりSTマウントが降りてくる』ものになっている印象を受けた。

これができるのはレアルIHのタスクがCHをマンマークすることになっているので、ブロックの外でマウントが受けれるスペースが広くなっていることが関係している。この降りる動きを加えることで、CBミリトンに対して判断を迫ることができる。それが「マウントについて行くのか」と「ヴェルナーの抜け出しがあるためその場に止まるのか」ということだ。もちろんミリトンはゴールを守ることを優先するため、ヴェルナーの抜け出しに対応することが多くなっていた。だからマウントが手前でボールを受けることができるようになっており、カゼミロを釣り出して中央を開けてそこから攻撃を広げてチャンスを生み出していた。

 

これらのようにチェルシーは相手を見ることで空いている場所から入って行き、そして相手を動かし、攻撃を仕掛けていた。この見てサッカーをするというのはランパード体制からできていた印象だが、トゥヘル体制になってそれはより洗練され、精度は増した印象だ。

 

  • 守備について

次は守備について触れていこう。これもランパード体制よりも洗練され、圧倒的な安定感を手に入れた。

ではこの試合ではどのように守備を行っていたのだろうか。

 

微妙に嵌らない理由

まずは微妙に嵌らなかった理由について触れていこう。

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案外厄介なアザール

守備が嵌らなかった理由はアザールにあった。上の図のように、チェルシーはサイドに追い込んでボールを回収しようと試みたが、アザールが下がってヘルプを行うことが多くなっていたので、守備時IHの立ち位置をとる選手(上の図ではカンテ)が数的不利な状況に陥ることが多くなっていた。

さらに、レアルはカゼミロが下がることでCBの立ち位置を取り、CBナチョとミリトンはSBの立ち位置を取るように設定されていた。こうなると、そもそも幅を作り出すCBがフリーになる。これはWBがWBのマークの担当をしていることが関係。

さらに中央CBとカゼミロをCFヴェルナー1枚で牽制をする関係でGKへのバックパスへのプレスが届かなくなり、逆サイドに展開されることが少なからず見受けられた。

これを行われても何とか守備が保てていたのはマウントとカンテのプレス強度があったからだ。改めて彼らの凄みをこの試合で確認することができた。

 

ではチェルシーはこの微妙に嵌らない守備をどのように修正し、嵌め込んで行ったのだろうか。

 

守備を嵌め込み奪う場所

チェルシーは下がるアザールに対してCBを出すことで人数を合わせることで対応を行う。

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当て嵌め方と奪い所

このようにアザールに対してCBが前に出ることで数的同数を作り出した。これで、他の選手のマークが明確になる。CFヴェルナーはラモスとクルトワ、マウントはカゼミロ、カンテはクロース、ジョルジーニョはボール位置によりモドリッチの監視役に。こうすることでサイドを変えさせずにWBの場所でボールを回収するように誘導。そしてWBにボールが出るとそこに強く対応することでボールを回収するか、縦突破をさせず中に誘導することで、味方のヘルプを呼んでボールを回収していた。

 

このようにしてチェルシーはレアルの攻撃を早い段階で食い止めてチャンスを作らせなかった。それでもレアルは単独で剥がし、決定機を作り出すのだから末恐ろしいと感じた。

 

ビッグプレーヤーのカンテ

この日もまたカンテが輝きを放った。IHとCHのタスクを同時にこなして見せたカンテ。ボール奪取能力はもちろんのことながら、先制点の起点となったターンとその後の振る舞いはまさに『IHのそれ』だった。このプレーは確実にサッリの遺産だろう。サッリがIHでカンテを起用し、そのノウハウを叩き込んだことでもう一段上のレベルへ引き上げた。サッリに感謝すべきだろう。無尽蔵の体力とボール奪取能力に加えて、攻撃力も手にしたカンテ。彼とトゥヘルの化学反応はかなりのものだった。この先の鬼畜な日程にも今のチェルシーなら、最良の結果で乗り切って見せるだろう。

そしてその先にFA杯、トップ4フィニッシュ、そしてビッグイヤーが待っている。残りの試合も見逃さず、彼らの勇姿をこの目に収めたい。

 

 

 

 

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【右サイドの四角形と香車役】J1リーグ 22節 横浜FC vs 鹿島アントラーズ

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クリーンシートと3ゴールでの勝利。試合数にはばらつきはあるが、10位まで順位を上げることに成功。ザーゴを解任し、相馬監督を招聘した意味はとりあえず出ているのではないだろうか。では今回は個人的に気になったサイドでの四角形と香車役を担った常本の関係について考えていこう。

 

 

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サイドのスクエアと常本の関係

まずこの試合では前節のヴィッセル神戸戦から左右SHの立ち位置が変わっていた。

(前節のレビューはここに置いときます)

 

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この左右の入れ替わりで起きたことがこの試合の大きなトピックではないだろうか。個人的には特に右サイドでの四角形とローテーションと入れ替わりがとても面白いと感じ、これは相馬監督の攻撃の狙いになのではないだろうか。

では早速解説をしていこう。

ビルドアップの局面は?

まずはビルドアップの局面、プレス回避の局面から。アントラーズは基本的にCBの間にCH(主に三竿)が降りることでプレス回避を行っていく。

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ビルドアップの形とタスク

このように、アントラーズはCBの間にCHが降りることが多くなっていた。(多分これは横浜FCが2トップだったことも関係)

この降りる動きはどの試合でもよく見られていたことだが、この試合ではOMF荒木のタスクがより明確になっているように感じた。そのタスクというのが、CHが『降りるとその空いた場所に入る』というものだ。もっと簡潔に表現するのならば、『荒木のCH化』だ。こうすることで、常に2CHの配置を取る。またCHがCBの間に降りていることで、SBが押し上がられること、SHが中に入る動きも付け加えられる。

この動きの中にも明確なタスクがあり、ボールと逆サイドのSHがかなり中に入ってほぼCFの立ち位置になることが多くなっていた。

このような動きを加えて立ち位置を変更することで、以下のように前進することができるようになる。

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レイオフと荒木の動き

このように、CBで横浜FCのCFのプレスを呼び込んだ時点でSBへ。この呼び込むことが重要で、CFを釣り出したことで、その背後のスペース(FW-MFのライン間)でCHがレイオフを行うことができる。これでCHが前を向くと、もちろん横浜FCのCHが前に出て前進を拒もうと試みる。この動きが入ると、CHの立ち位置に立っている荒木がその背後に潜る。この動きも自動的なものになっている印象を受けた。

もちろん、レイオフしたCHにプレスがかからないのならば、そのまま持ち上がったり、他の展開を促すことができてた。

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CHの背後を使えるSH

そしてこの試合を見た方は「CHの背後を使えるなー」と感じたのではないだろうか。それはこのようにCH(主にレオ)で横浜FCのCHを釣り出すことができ、SHが中に入ることで縦パスを引き出していたからだ。さらに、そのCHの背後にOMFが立つことで、縦パスを受けたSHに対してもしっかりとサポートを行っているので、ボールを失うことが少なくなっていた印象だ。

 

この試合は相馬監督が就任してからの試合の中で、一番前進がしっかりと明確になっていたのではないだろうか。個人的にはこのように感じた一戦だ。(ルヴァン杯は観れてないので、他にも整理された前進があったら教えてください)

 

サイドの四角形と逃げ道

アントラーズは前進を行うことで、横浜FCを全体的に下げさせた。(プレスが嵌らないので、全体を下げたのかも?)

こうなった時に、この試合で僕がもっとも触れたい現象が多く起きていた。ではアントラーズはどのように攻撃を仕掛けていたのだろうか。

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サイドの四角形+逃げ道

まずサイドの攻撃時の決まりとして出来上がっていたのが「サイドでの四角形」と「+@での逃げ道」だ。上の図のように、基本的にSB・CH・SH・OMFで四角形を作り出し、四角形に参加していないCHが「逃げ道」の役割を担う。

さらに前線では逆SH(主に白崎)が2トップの役割を担うようになっていた。

こうすることで、SB常本がサイドを奥深く取れること、さらに逆SB永戸がフリーで時間が持てるので、そこから高精度のクロスを供給できるようになっていた。

もちろん、このサイドの四角形の形成はローテーションが加えられることもある。

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サイドのローテーション

このように、レオ、荒木、土居の入れ替わりはよく見受けることができた。ここで注意して欲しいのが、SB常本はローテーションに加わることが極端に少なく、常にサイドで幅を作っている状態が多かったということだ。

この入れ替わりは横浜FCからすると混乱に陥る要因になっていたのではないだろうか。

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サイドを取るために

そしてローテーションを加えながら、サイドの奥深くを取っていく。そのためにSHが中に入り、相手SBを中に寄せる。これでワンツーなどを駆使して常本のオーバーラップを促してサイドを駆け上がらせる。もちろん、右サイドが詰まれば「逃げ道」としているCH三竿経由で逆サイドに展開。これで一気に攻撃のスピードを加える。先制点は左右逆の形で常本がサイドを取ることで生まれたゴールだった。

 

このようにこの試合では、右サイドでの四角形とサイドの奥深くを取ることを中心に攻撃を仕掛けていた印象を受けた。

 

ピンチになる場面かも?

この試合で感じたこと。「サイドで起点を作られるとピンチになるかも」ということだ。そうとは言っても、相馬監督になり『ミドルプレス・サイドに追い込む』に変更されて、守備は存外に安定した印象を受ける。

 (守備についてはこちらで解説)

www.soccer-bunseki.com

それでもこの試合では、サイドで起点を作られてしまっていた。この起点の作られ方がこの試合では少し不安になるものだった。

これについてYouTubeの方で解説したので、こちらもご覧になっていただきたい。

 

www.youtube.com

 

これらの課題をこれからどのように修正していくのか。ここにも注目してみたい。

 

相馬監督の狙い?

これらの攻撃から分かるように、これが相馬監督の攻撃の狙いかもしれない。だからこそ、右SHにより位置取りが上手い土居を配置し、左サイドにフィニッシャーとなれる白崎を配置。そして右サイドからのクロスを促すために、推進力とスピードがある常本が重用されているのではないだろうか。そのための設計図の一部がこの試合で見受けれた気がした。もう少し試合を見ていかなければならないことは間違いないが、この試合、特に前半の試合内容はとても面白いものだった。

ひとまず勝利+無失点という劇薬を打ち込まれたアントラーズ。この既成事実が自信を取り戻すきっかけとなって欲しい。

 

終わりに

全体レビューは月曜22:30〜かしまわりさんとのYouTubeライブ配信で行っています。ぜひ見に来て下さい!

僕の個人チャンネルでも後日「アントラーズのピンチになる場面」について喋ったものを更新しますので、僕のチャンネルも登録してもらえると嬉しいです!

(登録者数1,000人行けば、僕もライブ配信するのでよろしくお願いします!)

 

かしまわりさんのチャンネル

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僕のチャンネル

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【ペップ、簡潔かつ的確な修正】UCL セミファイナル PSG × マンチェスター・C

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セミファイナルのもう片方の試合。こちらもまたとても面白い試合だった。お互いに悲願のタイトル獲得に邁進し、全力を尽くしここまでたどり着いた。PSGはカウンターを武器にバルセロナ、バイエルンと強豪を薙ぎ倒してきた。シティもシティで、ボルシアMG、ドルトムントを退けてここまできた。

今回は誰もが頷くこのビッグマッチの一戦について解説を加えていこう。

 

 

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PSGの守備とポジトラ

確実にPSGは守備とポジトラでシティを抑え込んだ。シティに中に入り込ませず、外回りにさせ、さらに奪うとカウンターで攻撃に出てシティの守備陣に恐怖心を植え付けた。ここまで何もできないシティを見ることは珍しいのではないだろうか。

これについてはこの動画で喋っているので気になる方はぜひご覧になってもらいたい。

 

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では少しだけ、ここでもPSGのポジトラについて解説しておこう。

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ポジトラ時の配置

基本的にポケットを埋めてボールを回収する選手はCHに設定されていたPSG。だから奪った状態でほとんど3バック(5バック)の形になっていることが多くなっていた。そして一度ボールを落ち着かせる選択を取ることが多い印象だった。

この時に、CH(主にゲイエ)がDMFの立ち位置を取り、ディマリアとヴェラルディがIH、ネイマールがOMF、両SBがWBのような立ち位置を取るようになっていた。

こうすることで、4枚でプレスにくることの多かったシティに対して、2列目に残るロドリとギュンドアンに対して、ヴェラルディ、ディマリア、ネイマールで数的優位に立つことができていた。

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2つの逃げ道

そしてこの図のように、PSGは2つの逃げ道を取ることができていた。1つ目がWGの背後に立つSB、そして2つ目がレイオフの先のネイマールだ。外切りでプレスをかけてくるシティに対してIHに一度縦パスを打ち込むことで、シティCHを釣り出してフリーな選手を作り出す。(もちろんここにプレスがかからないならば、受け手は前を向く)

このようにしてPSGは前進をしていく。そして以下の図のような攻撃をよく見受けることができた。

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よく見られていた攻撃

このように、高い位置を取るSBがボールを持つことでシティSBを釣り出す。(プレスに来なければ持ち出す)

これでその背後をネイマールやムバッペが取ることで攻撃を仕掛けていく。さらにこネイマールがサイドに流れるとヴェラルディが中央に入るように設定されていた。これで早い攻撃を仕掛けて、シティに圧力をかけていた。

もちろん、中央でネイマールがボールを持てばそのままドリブルで前進していたし、ディマリアも然り。前半に関しては、特にネイマールとディマリアは気持ちよくプレーできていたのではないだろうか。

 

ペップの修正

シティがここまで攻撃に出れない、押し込まれる展開になる試合がかつてあっただろうか。(もしかしたらあったかもしれない…あったら教えて欲しいっす。)

このままPSGのペースで試合が進んでいくと思われたが、蓋を開けれるとペップの2つの修正により、シティは一気に流れを変えて逆転勝利をもぎ取って見せる。しかもアウェイゴールを2つ奪って。

ではペップはどのような修正を加えていたのだろうか。

 

①:立ち位置の変更

立ち位置と言っても、フォーメーションを変えたわけではなく、攻撃時の立ち位置を少し変えた。

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立ち位置の変更

行った立ち位置の変更は主に左サイドに見られた。上の図のように初めからギュンドアンとロドリが横並びになる。こうすることで、フォーデンが中に入るスペースを得れる。(初めから横並びになることで、場所が空いている)さらにフォーデンが中に入ることで、SBカンセロが幅を明確に作るようになる。そして極め付けは、前半ライン間で待つことが多かったデブライネがラインを跨いでボールを受ける動きを加えるようになっていた。

これで、中央を締めていたPSGは段差を強制的に作られるようになり、フォーデンやシルバへの縦パスを打ち込まれるようになっていく。さらに、中央に人が多くいるようになるので、大外のプレスが間に合わなくなり、徐々にサイドで深い位置を取られるようになる。これでSHが対応に下がることでカウンターに出ることが難しくなり、自陣に張り付けの状態に。

これでシティは高い位置でボールを保持できるようになり、消されていたサイドを変える逃げ道も確保。このように立ち位置を変えたことで攻撃に比重を置けるようになっていた。

 

②:守備の修正

これも流れを掴んだ大きな要因だ。特にバックスの修正が明確になっていた。

前半はネイマールとムバッペ、ディマリアの爆発的な推進力を警戒するがあまり、「待つ守備」を行うことの多かったシティ守備陣。

だが後半からは明確に前に出て潰すように修正されていた。

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外への誘導→前で潰す

このように大きく変わったのが誘導する場所だ。まずプレスの形をベルナルドを前に出して4-4-2に、そしてWG中切りのプレスから外切りのプレスに変更した。

こうすることで外に誘導して「その次のパス」を潰すことに設定していた。このように設定したことで、バックラインの選手はパスを狙いやすくなり、前に出てディマリアやネイマールを潰すことができるようになっていた。これを続けることで彼らのプレーエリアを低くしていき、物理的にカウンターを発動できないようにした。

もちろん、剥がされてカウンターに出られることはあったが、これはディマリアやネイマールがスーパー過ぎただけで、この方法は守備陣に前で潰す勇気を植え付け、その結果、PSGを押し込むことに成功した。

 

このようにペップは簡潔かつ的確な2つの修正を加えたことで、前半の展開が嘘かのように流れを変えて見せた。

 

これぞ最高峰の舞台だ。

これぞ最高峰の舞台。段違いの個人能力と戦術理解と適応能力。トップの選手たちだからこそできる試合だった。もちろん監督も。何よりもペップの修正力の速さと簡潔さ、的確さに驚いた。そして逆転まで持っていくのだから末恐ろし。

このまま終わることがないのが2nd legだ。果たしてどのようなスリリングな試合になるのだろうか。1週間後がとても楽しみだ。

 

 

 

 

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【戦術狂とカリスマ】UCL チャンピオンズリーグ レアル・マドリー vs チェルシー

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僕は、僕らはただ『最高のサッカー』を見たい。ただそれだけだ。だからこそ、最高峰のクラブが鎬を削るこのコンペティションが大好きだ。

そしてこの試合もまたとてもレベルが高く、そして面白い試合だった。では今回はこのビッグクラブ同士の試合のレビューを行っていこう。

 

 

 

はじめに

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スターティングメンバー

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チェルシーが攻撃に出れた理由

まずはここから触れていこう。これについてはYouTubeでも解説しているので、ここでは軽く解説を行っていく。(以下がYouTubeでの解説)

 

YouTube解説

www.youtube.com

 

モドリッチの背後

まずチェルシーが取れた場所。それがモドリッチの背後のスペースだ。

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フリーになれるマウント

まずこのように、レアルはチェルシーの3バックに対してモドリッチを一列前に出すことで人数を合わせることが多くなっていた。これは直近のクラシコでも行っていた方法だ。

これを受けたチェルシーはモドリッチの背後でマウントがフリーになることが多くなっていた。だからこそ、この試合では左にマウントが入ったのではないだろうか。(同じメンバーだったウェストハムとの一戦は左がプリシッチ、右がマウントだった)

これで外(WB)からマウント、またはミドルパス(CBから)でマウントがライン間で前を向ける回数が多くなっていた。

 

アスピリクエタとカンテ

次に右サイド。この試合のマンオブザマッチにも選出されたカンテ。この試合を見た方はカンテのドリブルでの持ち上がりと攻撃参加が多いなと感じたのではないだろうか。これは確実にジダンとレアルの出鼻を折ることに成功した。

ではなぜこれを行うことができたのか。

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低い位置での展開

まずは低い位置での展開を考えていこう。上の図のようにカンテがクリステンセンからボールを引き出すことで、IHクロースのプレスを呼び込む。ここでカンテはワンタッチでアスピリクエタへ逃げる。この時にWBマルセロとの距離の分だけアスピリクエタはフリーになることが可能に。

このカンテへの縦パスを打ち込むために、より縦パスが上手なクリステンセンが右CBに入ったのではないだろうか。

そしてこのような展開に持ち込むと以下のようにアクションを起こしていく。

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カンテのためのスペースメイク

まず行うのがプリシッチの抜け出しのアクション。(ここはヴェルナーもあり)これを行うことでCBナチョを押し下げる。さらにカンテはアスピリクエタとのワンツーでクロスより前に出る。これができるのはクロースが一瞬ボールに視線が移るため、カンテのマークを外してしまうから。この動きは確実にサッリ監督が教え込み、ランパード監督がその機会を多く与え、そしてトゥヘル監督が細部を落とし込んだことで、ここまでカンテが進化した。

これでスペースを得たカンテがドリブルで持ち運ぶことができていた。だからこそ、カンテがドリブルで持ち運ぶシーンを多く見受けることができていた。

 

アスピリクエタの引っ張り

これもチェルシーがボールを保持できるようになっていた。

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アスピリクエタの引っ張り

上の図のようにマウントやプリシッチが3列目付近に降りることで、3バックのヘルプを行う。こうすることでレアルIHをピン止めし、3バックの誰かをフリーに。このSTが降りる動きと連動してWBが高い位置を取るようになる。(主にアスピリクエタ)

そしてそこから一気に背後を取る動きを加えることでマルセロを押し下げる。これがかなり効いており、手前が開くこと、さらにマルセロの攻撃参加を抑え込んだ。そしてCH経由でカンテがフリーなることも多くなっていた。

 

もちろん、フリーになっている3バックからヴェルナーやプリシッチを走らせる背後のパスも供給することも多くなっていた。

 

このようにしてチェルシーはボールを動かしながら試合をコントロールし、攻撃を仕掛けていた。早く攻める際のスイッチも明確になっていた。だからこそチェルシーは1ゴールだけでは満足のいかない内容だったのではないだろうか。

 

守備から試合を作るレアル

カリスマ監督が率いる常勝スター集団のレアル。彼らはチェルシーの攻撃を真正面から受けたが、それほど焦らずしっかりと受け止めた。この強靭的なメンタルがあるからこそ、レアルは強い。そしてチャンスを作れない中でCKからベンゼマの同点ゴール。ゴールの匂いどころか、攻撃の糸口も見つかっていなかった中からのゴール。この「何もないところから」というのがまさにレアルらしい。

そしてこのゴールの直後からジダンは守備ブロックを形成することを指示する。(後半から明確に守備を固める)

これを行うことで、まずはチェルシーの背後に走るスペースを消した。さらに、守備ブロックを低く設定したことで、チェルシーのWBの攻撃参加を促す。実はチェルシーの失点に繋がるCKは『WBの攻め終わりの背後』を使われて展開されたものになっていた。だからこそジダンは「WBに攻撃参加させる」をことを狙ったのではないだろうか。ここは彼自身、現場の人間しかわからないことなので分からないが、僕はこのように感じた。

これでレアルはWBの背後をベンゼマやヴィニシウスが流れることでカウンターの起点となっていた。

 

期待が募る2nd Leg

後半はお互いにスローペースに持ち込んだことでより堅い試合になった。だからこそ、2nd legに期待がかかる。お互いにこのままで終わるはずがない。レアルはラモスやバルデルデが復帰するだろう。そうなるとより攻撃的に出てくるはずだ。何よりも攻撃に出なければファイナルへの切符は掴めない。チェルシーもこのまま守り切って突破ということがないだろう。多少は守備的に入るかもしれないが、「試合をコントロールする」という信念があるだけに、守備一辺倒になることはないだろう。だからこそ、より戦術的な、より激しい一戦になる。1−1というこの結果がどう転ぶのか。2nd legまでにもう一度見直し、次の対戦をより一層楽しもうと思う。

 

 

 

 

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