【ブライトンの攻撃考察:強引なプレス誘発と擬似カウンター】

(※19節エバートン戦と18節アーセナル戦を題材にしてます)

いやぁ、面白い。本当に面白い!見ていて楽しいサッカーを披露し続けるブライトン。きっとプレーするのも楽しいでしょう、これは。僕も入ってプレーしたい…。そう思わせてくれるほどのチームだと思います。なんせゴールに向かっていく情熱が魔境プレミアでも屈指のものなんですから。

その中で日本人がしっかりと活躍しているのが嬉しい限りですね!

では今回はブライトンがいかにして攻撃を組み立てゴールまで向かっていくのかを考察していこうと思いますので、最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

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プレス誘発と擬似カウンター

では早速、考察を行なっていこうと思います。ブライトンはエバートンのプレスを「強引に」誘発させて攻撃を仕掛けていきます。立ち上がりは少し苦戦を強いられましたが、それでもしっかりと慣れて早い段階で三笘のゴールを生み出すまでに至りました。

ではどのようにプレスを誘発させているのか。それはボールホルダーに対するサポートの関係にあります。

CB–CBのパスコースが消された場合

この図をご覧ください。

まずは考えていきたいのが「CB間のパス」が封じられた場合です。この場合の多くはCFが横を切りながらボールホルダーのCBにプレスをかけてきます。この試合のエバートンもこれを行い、そしてこれがプレスのスイッチになっていました。

これに対してブライトンはボールを持つCBに対して2つの繋がりを作ります。それがSBとCHです。縦の繋がりをCH、横の繋がりをSBとしています。ここで特徴的なのがSBの立ち位置で、決まりごととして「CBと同じ高さ」での並行のサポートになっています。

だからハイプレスを仕掛けるエバートンのWGを引っ張り出すことに成功していました。またエバートンWGの背後のにいるブライトンWGは下がることはせずに高い位置でエバートンSBをピン止めします。

まずはこれがボールホルダーとの繋がりになります。この段階でエバートンのWGと

CHをマークするIH、そしてCFのプレスを誘発しています。

では次の段階です。次の段階はさらに2ndラインの選手のプレスを誘発させます。

この図をご覧下さい。

2ndラインをさらに動かすために逆CHとOMFがポジションを調整します。これもまた繋がりを作り出すための調整です。

最初の段階でWGのプレスをSBで誘発したので、それに順次てIH–WGの門が広がります。この門の先にOMFがポジションを取ることでボールホルダーに新たなサポートを創出します。ここにスペースができるのはWGがSBを止めているからです。

さらに逆CHが寄ってくることで相棒のCHと近くで繋がりを作り出します。これは前進において2つの意図があって、1つ目がCHのレイオフを作り出すこと、そしてマーカーを動かして列落ちできるように、CFのスペースを確保することが考えれます。

ここの目的は何度も触れているように、「2ndラインをさらに動かすこと(プレスを誘発すること)」です。その目的はOMFと逆CHのポジションの調整で達成されています。

ではここからなぜこの繋がりの作り方なのか、そしてこの場合のボールの動かし方を考察していきます。

ボールの動かし方①

いくつかパターンがあるので、パターン別に考察していきましょう。念頭に置いといてほしいのがパターンは違えど行き着く先は同じということです。その行き着く先は「擬似カウンター」であり「ゴールを奪うこと」です。

では最も多いパターンを考察していきます。それが門の先に打ち込むパスです。これをご覧下さい。

門の先(大体はハーフスペースになる)まで流れてきたOMFに対して打ち込む縦パスが最も多い印象を受けます。ここに打ち込むメリットとして、マーカーの遅れを作り出すことができることです。

なぜこの遅れを発生させれるかというと、門の先を通すことで目線を集めることができるからです。実際にプレーしてみると分かりますが、いくらマーカーが決まっていたとしても、ボールが近くにあるとボールを追ってしまいます。ましてや真横をボールが通ればボールに目線がいき、その先の受け手を追ってしまいます。

ブライトンはこれを上手く利用するため、そしてこれを利用して落とし(レイオフ)を作り出します。これをご覧下さい。

門の先で受けたOMFで人を集めることができているので、必然的にどこかで時間ができます。その時間ができる場所がCHとSBです。これはCHとSBのそれぞれのマーカーであるIHとWGの目線の移動による身体の反転を利用しているから、CHとSBがスペースと時間を得ることができます。それぞれのレイオフの主な目的はこのようになります。

プレスを呼び込んでいる状態を作り出し、さらに次のライン間に進むための道を作り出します。最も多いのがやはりCHへのレイオフです。CHにレイオフをするとCFへの縦パスもしくは持ち出しでライン間に進出していきます。そしてライン間に進出すると一気にスピードを上げて攻撃を仕掛けていきます。ここがカウンターのような速さなので僕は擬似カウンターと表現しています。

ちなみにアーセナル戦の開始早々の失点はここの持ち出しを奪われてしまって失点しています。

またCHへのレイオフのリスクが高い時はSBを選択します。これは受け手(WGのこともあり)の判断に促されており、その場の状況を読み取る経験からどちらにレイオフをするかを選択している印象です。SBに選択した場合は基本的にはリスク回避とやり直しが選択されることが多かったです。

これが最も多かったパターンで、擬似カウンターまで持っていく1つの方法です。

では次のパターンも考察していきます。

ボールの動かし方②

このパターンはCB–SBの並行の関係から作り出す動かし方です。角度を作り出すことで斜めに差し込める状況を作り出します。SBが並行を作り出すのにはプレスを呼び込む先で斜めに差し込むことがあると考えられます。こちらをご覧下さい。

CBに対してIHが牽制を行う場合、OMFへの縦パスを打ち込むことができません。ですがこれは一発で縦パスを打ち込む場合に打ち込むことができないだけであり、角度を作ると打ち込むことができます。それが先ほども触れたSBの並行です。

これはWGのプレスの掛け方に依存します。WGが背後を消しながら向かってくると流れてきたOMFへ斜めに打ち込むことが可能です。そしてこれで一気にライン間に進出することが可能になります。これをご覧下さい。

CHがOMFのサポートを行うことでライン間に進出します。この時にCHはOMFにパスが到達するまでライン間に進出しません。これは距離が近いからこそできることで、進出しないのは早めに入ってしまうと場所が埋まってしまうからです。ここのタイミングと正確に落としを決めれるサルミエントやララーナは恐ろしいし、ポジションを取るセンスが抜群に高いなと見ていて感じます。

 

一方でSBからOMFへの斜めのパスが差し込めないときはどうなるかを考えていきます。これは先ほども触れたように「WGのプレスに依存」しています。だからOMFへのパスを差し込めない場合は、基本的にWGが内切りのプレスを行った場合です。

WGが内側を切りながらプレスをかけるとSBは縦方向を見つけることができます。ここでWGがボールを受けることが多くなります。当然、ここでボールを奪われると攻撃は終わってしまうのですが、マーチも三笘もしっかりとDFの力を利用して時間を作れる選手です。だから安心して味方はボールを届けることができます。

さらにOMFとCFで並行とレイオフを作り出すことでDMFに2つの選択肢を突き付けます。だからWGはボールを保持しやすいですし、安心してレイオフと並行を使うことができます。これで広がったライン間を使うことで速攻を繰り出していきます。

ここも行き着く先は速攻であり、ゴールを奪うための組み立てになっています。

3つ目のパターンも考えていきましょう。

ボールの動かし方③

3つ目の動かし方がCHの繋がりです。CHの距離の近さもブライトンの1つの特徴ではないでしょうか。これをご覧下さい。

CH間のレイオフを作り出すために逆のCHが寄ってくることを行います。この時にボールサイドのCHは横にズレてあえてIH–WGの門を閉じます。これはOMFが中央に留まることの合図になり、レイオフを受けたCHが縦パスをチラつかされるようにするためだと考えれます。

ではなぜこの縦パスをチラつかせることが必要なのかを考察していきます。

このように縦パスをチラつかせることで繋がりの変更を行います。それがCH–CHのつながりではなく、CH–逆CBの繋がりを再結成します。これにより、プレスを呼び込んで人を集めたボールサイドから手薄な広いエリアから攻撃を仕掛けることが可能になります。これでCBが持ち出して速攻に移行していく設計が成されていると僕は感じました。

 

何度も言いますが、ボールを動かし方は違えど行き着く先は同じで、全ては最もフットボールで美しい瞬間とも言える「ゴールを奪うこと」のためにブライトンはボールを動かし、プレスを呼び込み、そして擬似カウンターへ繋げているのです。

 

CB–CBで回せる場合

ここまで考察したことはCB間のパスが封じられた場合です。長々とごめんなさいですが、たくさん触れたいことがあったので許してください。

このCB間のパス封じを突破し始めると、相手はミドルブロックに切り替えることが多くなります。これはハイプレスを仕掛けても奪えないという心境に陥ること、さらにプレスに出てひっくり返されるとカウンターに繋がること、無駄な走りになってしまうことが大きく影響します。

そうなると落ち着いて、さらに高い位置でボールを保持することが可能になってきます。そしてこれでCB間のパス経路が開通されます。いわゆる横に動かすことでプレスを待つことが可能になるフェーズへ進むことができます。ではこの場合はどのように速攻を作り出すのかを考えていきます。

これはエバートン戦の三笘のゴールが分かりやすいのではないでしょうか。ボールを保持できる場合、やはり基本的な考えになるのがどのようにしてプレスラインを突破していくかです。そのために相手を動かして段差を作る必要があります。

ここの考えはブライトンも同じで、それを中心にプレーします。ではこの図をご覧下さい。

CB間のパスが通る場合の多くは「CBの放置」が成されています。だからこそCBで時間が持てます。ブライトンはこの状況下に立つと、SBが必ずと言っていいほど相手SHもしくはWGの背後まで進出します。これはCBの持ち出しを促すために行うことだと思われます。

さらにCHを一枚残すことで4−3−3のような形に変形します。これは視界外からの列落ちを行うためです。視界外からの列落ちからのCBとのやりとりでIHとSHを動かすことが可能になります。だから次のようなボールの動かしになります。

このようにCBとのやりとりを行うことでSHを内側に寄せ、SBへのパスコースを創出。ここにパスを打ち込むことで内側に寄せたSHを斜めに戻すことができます。ここのSHを戻す距離を稼ぐことがとても重要で、SBで時間を作ることが1つの生命線になっていると僕は考えます。ではなぜここが重要なのかを考察していきます。

SBで時間を作ることで三角形の崩しと再結成をする時間を作り出します。三角形を素早く崩す決断と再結成する速さも尋常じゃないです。基本的にはIH化するOMFとCHが列落ちからライン間に進出することで既存の三角形を崩して新たな三角形を形成します。これと同時にマーカーを引きつれることも考えていることではないでしょうか。これを行ったことでSBは2つの三角形に関われます。前方のWG、IH、SBと後方のCB、CH、SBです。これで前方ではコンビネーション、後方を使う場合はサイドチェンジで攻撃を考えていきます。

後方を使った場合はこのようになります。相棒のCHがライン間に進出することで相手を動かします。これに呼応してSBが内側に入ることでSHを前方に釣り出します。特にSBの動き出すタイミングがとても良くて、CHがオープンな状態になった瞬間に動き出すので、相手は2ndラインから前方に引っ張られます。だからサイドを変えるためのコースが開きます。ではどのようにパスコースが創出されているのかはこちらをご覧下さい。

三角形の崩しとライン間の進出を行うことで2ndラインに段差を生み出します。だからこそ斜めのパスを打ち込みやすくなり、ライン間とサイドチェンジを繰り出すことが可能になっています。エバートン戦の三笘のゴールシーンはまさに段差を創出しまくって生み出したゴールだったと思います。この段差を利用して2ndラインを越えると攻撃のスピードを上げるので、ブライトンの攻撃は擬似カウンターのように見えるのだと思います。

 

恩恵を受ける三笘

やはり気になるのは三笘ですよね。そして三笘は恩恵を受けていると言えます。三笘にオープンに受けれる状況を作り出せるようになっていること、さらに擬似カウンターとも取れる戦い方になっているので、三笘の最も魅力的で大いなる武器であるドリブルを存分に発揮することができます。なぜならスペースがあること、そして純粋な1vs1の状況下でボールを受けれるからです。アーセナル戦とエバートン戦、2戦連続でゴールを奪ったのには理由があると思いますし、スタメンで起用された試合で結果を残すだけのメンタリティーはさすがだと思います。ここから先、もっともっと活躍して僕たちに夢を見してほしいですね!

もっと三笘のプレーで興奮したい!頑張れ三笘!