【ソシエダを先導する久保】LaLiga第10節 レアル・ソシエダ×マジョルカ

皆さん、どうも。今回はLaLiga第10節のソシエダ×マジョルカについて考察をしていきます。この試合の勝利でLaLiga7連勝、公式戦8連勝になりました。そんなソシエダを先導している1人の日本人、久保建英です。

攻撃面での貢献はもちろんのこと、守備面での貢献度の高さも忘れてはいけないところです。彼のプレスの強度は、ソシエダのプレッシングを先導しているのは間違いないでしょう。だからこそ、ソシエダはハイプレスからのショートカウンターのクオリティが LaLigaの中でも高いのだと思います。

では早速ですが、この試合で何が起きていたのか、そしてソシエダがどのようにしてプレスと攻撃を完結させていたのかを考察していきましょう。

 

こちらはYouTubeで徹底考察してますので、どうぞご覧下さい!

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スターティングメンバー

 

マジョルカの守備を崩すために

ここがまずこの試合の焦点になると思います。5−4−1のブロックを形成して、ソシエダをゴールから遠ざけることを行います。

ではまずはマジョルカの守備の設計についてを考えてこうと思います。以下の図をご覧下さい。

まず5−4のブロックは基本的にペナ幅で形成していました。これでお互いの門を狭くして、内側に差し込めない状況を作り出します。さらに縦のラインもかなり狭くして、ライン間のスペースもなくしていました。

どこかを狭くすれば、どこかが広がるのは当然のことで、マジョルカはソシエダCBとSBを割と放置することを選択していました。そしてロドリゲスはゲバラを消すことを行っていました。

もちろん、完全放置ではなくてSTの手前にいるときは次のように牽制をかけます。

このようにダニロドリゲスがリコに対して内側から外側に出ていきます。この時に意識するのがWBとCBとSTとCHでメリーノとシルバを閉じ込めることを意識していました。これでSBに対してはWBではなく、STが対応する形をとり、マジョルカは「3CB脇」を上手に隠すこと、埋めることを行っていました。だからソシエダはマジョルカのゴールに近づくことが難しくなっていた印象です。

 

ではSTのラインをSBが越えて受けたときはどのようになっていたのでしょうか。

以下の図をご覧下さい。

このようにSTが斜めに出ていくのではなく、横に対応することを選択します。ここでもWBはSBに出ていくことは少なかったです。だからこそ、ジローナ戦やエスパニョール戦のような3CB脇強襲を行うことが難しくなっていたのは確実です。

 

何度も言いますが、基本的にマジョルカは横と縦をかなり狭めてゴールから遠ざけて、入ってくる時点でスペースと時間を奪えているので、これでボールを回収してカウンターを打つ形で守備を進めていきます。

 

ではこれに対してソシエダはどのようにしてこの守備ブロックを崩していたのでしょうか。

 

回してズレを作るソシエダ

久保、シルバ、メリーノ、メンデスのローテーションはロマンに満ち溢れていると僕はいつもソシエダの試合を見ています。

この試合でもローテーションを行って、相手を止めること、マーカーをズラすこと、それによって作った遅れとスペースを利用した攻撃を仕掛けていました。

ではどこを回していたのかをまずは触れていきます。

まず回るのは久保とメリーノとシルバのところです。とくに久保がサイドに広がってWBを止めることを行うことは設計されていることです。これはどの試合でも久保が外側に流れて大外を止める、もしくはそこでボールを引き取ってドリブルで仕掛けていくことが多くなっています。だから久保のアシスト数が増えているのではないでしょうか。

さらに久保が流れたことでシルバがIHの立ち位置に入り、メリーノが2ndラインの手前に降りてリコの並行を作り出します。

ここの回しはメリーノがライン間に留まり、シルバが2ndラインの手前と並行を作り出すこともあります。

ではどのようにここから崩しを行っていたのかを考察していきましょう。以下の図をご覧下さい。

まず崩しのスタートになるのが、ここではリコとメリーノです。これはダニロドリゲスに対して数的優位の状況を作り出しているので外から差し込むか、1つ中から差し込むかの違いになります。

そして先にも述べたように、久保がゴンザレスを止め、寄ってきたシルバがルッソ止めることを行います。ここでライン間にパスが入ると、リコかメリーノがレイオフを作り出します。例えばリコが久保にパスを出すとメリーノが3人目になるようなイメージです。シルバに出たらメンデスが3人目になることもありました。

そしてここのコンビネーションで、ズレを作りながら狙うのがハーフスペースです。ここはCBにライン間の対応を行わせて一番奥にスペースを作り出します。

これでレイオフもしくは外の久保から、シルバのテクニックから逆のメンデスが抜け出してフィニッシュワークまで持っていくことが多くなっていました。

もちろんここのローリングと崩しを省いて、スルロットへのクロスでのフィニッシュまで持っていくこともありました。

 

ではもっとサイドを意識した攻撃についても考察していきます。

これはSBがSTを動かしたときにダニロドリゲスとバタグニアの門を広げつつ、シルバにボールを届けます。これで内側を取るので目線を内側に集めることができます。これで大外にポジションを移している久保が斜めに抜け出すことで決定的な場面を作り出すことが可能になっていました。

シルバからのあの決定機は決め切りたかった、惜しい!!!!

ソシエダの崩しは止めながら、マークの受け渡しを強要しながら、そして門を広げてライン間に差し込む、相手の喉元を抉る崩しを行えるのは、見ていてワクワクするな!と毎試合思います。その過程もぜひ皆さんにも楽しんでもらいたいところの1つです。

 

もちろんCKから先制点を奪い、マジョルカがゴールを奪うために重心を少し高くしたということも関係していますが、スペースを創出して、しかもテクニックレベルが高い選手が多いからこそ僅かなスペースで崩しを行えるのはとんでもないなと思いました。

 

そしてこの試合も攻撃からだけではなく、ハイプレスからも攻撃を作っていくこともできていました。

次はハイプレスの局面から攻撃に持っていく方法についてを考察していきます。

 

ハイプレスからクオリティ発揮!

冒頭でも少し触れましたがソシエダのハイプレスとショートカウンターはLaLiga屈指のクオリティを発揮しているのではないでしょうか。

ではどのようにプレスを行っていたかを考えていきます。以下の図をご覧下さい。

まず基本的な担当から。この試合はマジョルカが3バックだったので、トップ下のシルバがライージョに向かっていくことを行います。この時に久保とスルロットは外側のCBを捕まえます。特にスルロットはナスタシッチを予め捕まえる立ち位置を取ります。

これができるのはシルバのプレッシングの巧さがあるからこそできることで、プレスの口火役を久保が担っているからできることだと思います。これは後ほど詳しく話します。

中盤より後ろはCHにはIHがマンツーマンを行うことで近くを見せないようにさせます。そして最終ラインでは3トップvs4バック+アンカーで常時数的優位を作り出すように設定されています。

こうなるとWBが浮く形になるのですが、ここは久保とスルロットとシルバで3CBに対して制限をかけているので、時間を奪っています。それが「探す時間」と「判断する時間」と「技術を発揮する時間」です。この3つをソシエダの1stプレス隊はかなりハイレベルで行えることがプレスを完結できることに大きく関係していると感じています。

 

ではここからどのようにしてプレスを完結させていたのかを詳細に触れていきます。以下の図をご覧下さい。

ソシエダは久保サイドにボールを誘導していくことを基本形にしています。だからソシエダのプレスの口火役は久保になっていますのは明確です。だからルッソにボールを出させると久保が勢いを持って向かっていきます。この時に久保はWBを消しながら向かっていきます。だからルッソは外を見れず、なおかつメリーノも内側を消しているのでGKへのバックパスが多くなっていました。

もちろん、逆サイドの選手たちも連動します。ここの連動と移動のスピードもソシエダを大きく支えています。逆IHメンデスは中央までスライドして、ゲバラがダニロドリゲス付近までズレていきます。スルロットはCHとCBの中間点をとります。

これでGKも逆を見ることが難しくなっていたのだと思います。

だからこそ、ソシエダはここのエリアでボールを回収すぎることが可能になります。

このようにCBにプレスを行った久保はそのままジャンプしてGKライコビッチに向かっていきます。ここの強度がかなり高いので、ライコビッチは逆をみる時間がなく中央に打ち込むことが多くなっていました。ここの強度の高さは継続して行われていることで、何度かGKで引っ掛けて得点をする、ビッグチャンスを作り出すシーンもありました。

そしてこの久保の強度を持ってミスを誘発し、中央でボールを回収してダイレクトにゴールに向かっていくことができるようになっています。

このようにしてソシエダは敵陣で守備と攻撃を完結させるような戦い方でマジョルカを、対戦するチームを苦しめていることが確実です。

 

猛攻を耐え乗り切ったソシエダ

幸先良く先制し、ビッグチャンスを作り出して試合をもっと早く終わらせることも可能だったソシエダですが、そこが敵いませんでした。そしてマジョルカは猛攻に出ます。マジョルカが後半から長いパスを使って、プレスを回避し始めて自陣に釘付けにされることが多くなります。前節のレビューでも話しましたが、ひっくり返されたときのリカバーに少し課題のあるソシエダ。だからこそ、構えて押し返すことを選択しつつ、マジョルカの攻撃に耐え切り、公式戦8連勝を手にしました。

守備でも攻撃でもチームを先導する久保の活躍とソシエダのサッカーにこれからも魅了されていこうと思います。ぜひ皆さんもソシエダの試合を見てみて下さい!

 

最後までお付き合いありがとうございました。また次回の記事もお楽しみに!