皆さん、どうも。今回はPremier League第11節のリーズ×アーセナルについてを考えていきます。
今季首位に立つのは勢いと確かな強さと共に直向きに走り続けるアーセナル。そのアーセナルがアウェイに乗り込むのはエランド・ロードです。リーズはマーシュ監督と共に、敵陣でボールを掻っ攫い、直線的にゴールに向かっていくチームになっています。
そのリーズに対してアーセナルは特に前半、内側と外側を上手く使い、さらに内側で人を止めることで外から差し込むこと、縦に早く攻撃を仕掛けていくことでサカのスーパーゴールを生み出しました。
後半はリーズの修正に苦しみましたが、耐え切って見事に連勝をキープしました。
では早速リーズ×アーセナルでどのようなことが起きていたかを考察していきましょう!
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スターティングメンバー
前半の立ち振る舞い
嵌り切らない前半のリーズのプレス
リーズのプレスが「完璧に嵌り切った」かどうかというと嵌り切ったとは言えないと思います。当然、チャンスを作り出すシーンはありましたが、後半の戦い方と比較したときに嵌り切ったとは言い難いと僕は感じました。
ではまずはリーズが考えていたプレスを考えていきましょう。下の図をご覧下さい。
こちらの図を見る通り、リーズはロドリゴとハリソンがトーマスを消すことから始まります。特にハリソンがトーマスを見るタスクがありました。そして基本的にシニステラがホワイトを見る形を取っていたので、少し前に出るような立ち位置になっていました。ここまで述べたことは主に「意識する」ぐらいのマークの仕方で、マルティネッリとサカにはそれぞれクリステンセン、ストライクが、ウーデゴールにはロカがマンツーマンで対応を行っていました。
ここは明確なものだったので、かなりマーカーに対して近い位置から守備を行っていました。僕はマンツーか気にする程度かゾーンなのかを判断しています。
そして最も複雑でキツいであろうタスクを託されていたのがアーロンソンです。マーシュ監督からの信頼が厚い彼が行っていたタスクは次のものになります。
- ジャカを消すこと(中央を消す)
- 冨安までジャカを消しながら出ていくこと
- バックパスを出させてプレスの本スイッチを入れること
- 外誘導でSBに奪わせること
この4つです。若きアメリカ人は、レッドブルグループ出身ということだけあってプレスの迫力と内側から外側に出ていく時の背中での消し方、プレスのランニングコースは目を見張るものがありました。
だからこそ、リーズは以下のようにプレスを完結させていこうという狙いが明確に見えました。以下の図をご覧下さい。
このように2トップが牽制を行いつつ、SBにパスを出させるとそこにアーロンソがプレスを行っていました。先ほども述べたように、アーロンソが内側から外側にプレスをかけるので、ボールを引き取った冨安は外のマルティネッリにパスを選択することが多くなっていました。
このアーロンソのプレッシングにかなり苦しんでしまった冨安。前方へのパスが難しくなって、ガブリエウへのバックパスが多くなっていました。危ないシーンも多くあって、かなり苦戦した印象です。
さらにアーロンソが冨安間で出て行っているので、それに呼応して中盤はお椀型(シニステラも加えて)にスライドを行います。当然のことながら最終ラインもスライドを行って圧縮を行っていました。
これで赤色のエリアでボールを回収して一気にゴールに向かっていくことを考えていたように思います。
ではアーセナルはどのようにしてこのプレスを回避していたのでしょうか。
最前線の状況を見たプレス回避とは?
ここからはアーセナルが行ったリーズのプレスに対する回避を考えていきます。
では以下の図をご覧下さい。
まず最初に見られたパターンがこちらです。このパターンはロドリゴとハリソンが門を閉めているときはガブリエウが2トップの外側を持ち出すことが多くなっていました。これを行うために冨安がロドリゴとリンクを作り出すこと、そしてそれに伴ってトーマスが横にずれてハリソンを少しホワイト側に動かします。これでガブリエウが持ち出すスペースができるので、ここから内側に差し込むか、展開を促すかを選択していました。
さらに冨安が内側に入ってきてボールを引き取る場合もありました。以下の図をご覧下さい。
この場合はガブリエウとサリバのやり取りの中でロドリゴを動かします。さらにそのやり取り中にトーマスがハリソンをロドリゴと逆に動かします。これでロドリゴとハリソンの門を広げて冨安がボールを引き取ることができるようになっていました。これは開幕からジンチェンコが行っていることで、冨安もこれを行えるだけの器用さと技術と理解度があるのでできることだと思います。
さらにアーロンソをジャカが、クリステンセンをマルティネッリが止めていることもあり、冨安がスペースと時間を得ることができていました。ここからもっと前方に進むためのパス、もしくは展開を促せるパスを出すことができると、もっともっと良い選手になれるのではないでしょうか。そもそもDFの選手があのレベルでプレーできるのが狂っているんですが…笑
そしてこれを行うようになると、もちろんアーロンソの立ち位置が変わってきます。それが冨安の近くに立つようになっていました。これに対してアーセナルは以下の対応でプレスを回避していきます。
やはり最初に見て決定するのは、1stプレッシングプレーヤーの門の広がり方と閉じ方です。ここを見て先述した内側から進む方法と外側から進む方法です。
その時にアーセナルが加えた適応がジェズスが降りてきて門の先の受け手を1枚増やすということです。これによってロカとシニステラに対して縦に数的優位を作ることが可能になります。さらにそのサイドで四角形を作り出すことで右サイドでも保持と崩しまで持っていけるようになっていました。
もちろん、左側からはアーロンソの外側にジャカが立つことでそこで起点を作ることができるようになっていました。これで左だとマルティネッリ、右だとサカが大外から背後を取る攻撃を仕掛けていました。
サカのスーパーゴールはロドリゴのサイドチェンジのミスにより生まれたものでしたが、何よりも逆足であの角度からニアハイをぶち抜けるサカは意味がわからん。。。
リーズの修正
良い形を作りながらも少しづつ嵌り切らないプレッシング。マーシュ監督はハーフタイムでその修正を加えます。まずは人を変えました。
ロドリゴに変えてバンフォードを投入し、アーロンソをトップ下に配置、ハリソンを右SHに移しました。バンフォードの投入は、より中央で起点を作ることとクロスからの迫力をもたらすことを狙ってのことだと思います。
アーロンソを中央に移したのは、より前方へのプレスの圧力を強めること、そして内側から外側の抜け出しを促して全体を押し上げることを考えていたからだと思います。
さらにプレッシングの修正がかなり嵌まっていました。だからアーセナルは後半はかなり苦しんでいた印象です。
ではリーズはどのような修正を加えたのでしょうか。以下の図をご覧下さい。
まず明確に変えたのが2トップのプレスの振る舞いとSHの立ち位置です。2トップはガブリエウとサリバにはっきり向かっていくようになっていました。この時にトーマスを消しながら進んでいくのですが、もしそのコネクションが切れてしまいそう、もしくは切れてしまった場合は、アダムスが出ていくことが多くなっていました。だからこそ、かなりフルスロットな試合展開になっていきます。
さらに冨安とホワイトの近くには予めSHを近くに立たせるようにします。これで下からの持ち出しに制限をかけていきます。
最終ラインに対して制限をかけたので、アーセナルの選手の出ところを潰すことに成功していました。アーセナルはプレーする時間を奪われるので、パスの精度と的確なポジショニングと繋がりを作ることが薄くなっていき、ミスを誘発される形でボールを失うことが多くなっていたのは後半の展開を見れば明白でした。
そして奪った先でのアーロンソのフリーランとそれに関係してのバンフォードのポストプレー。どんどん人が前に入っていくリーズの熱量は物凄いものだと感じました。
耐えて手にした勝利
アーセナルはそれでも耐え切って手にした勝利。ノースロンドンダービー、リバプールとの激闘、勝ち切ったELでの一戦。モチベーションを維持するのは決して簡単なことではなかったはずです。それでも勝ち切れる強さがあるのが今のアーセナル。ここからどこまで連勝を伸ばすのか、またしても悲願のリーグ優勝までまた一歩近づきました。これからもアーセナルの試合も追っていこうと思います。
最後までご朗読ありがとうございました。次回の記事もお楽しみに!