【動かす場所と斜めの前進】プレミアリーグ第21節 アーセナル vs マンチェスター・C

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皆さん、どうも。今回はプレミアリーグ第21節のアーセナル×マンチェスター・Cについて考えていきます。最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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スターティングメンバー

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プレスと回避の掛け合い

ガブリエウが退場するまでの試合内容。ここまでマンチェスター・シティを圧倒するチームは中々ないのではないだろうか。しかも下がってブロックを引くのではなく、前に勇敢に出て行くことで、シティの前進を止めにかかった。

プレスと回避の掛け合いがかなり高レベルで、見ていて面白いものだった。ではアーセナルはどのようにプレスをかけ、それに対してシティはどのように回避を行なっていたのだろうか。

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個人で捕まえる場所と組織で守る場所の明確化。
スターリングとマフレズ、カンセロとロドリに対しては個人で守る意識が強め。
だからそこに両SB、マルティネッリ、ウーデゴールを当てに行く。
これに対してまずシティはアケが最終ラインに残ることを選択し、外側(DMFを斜めに越える)パスの供給源を確保しつつ、IHへの縦パスを中心に前進することを考えていた。

アーセナルが考えたことはロドリ経由の前進を防ぐこと。これを考えることで、WGで奪うことを狙っていた印象だ。さらにCBに持ち出させると、そこにはウーデゴールがロドリを消しながら出て行く、左サイドだとマルティネッリがカンセロを消しながら出て行くように設定されていた。

これで飛ばしてパスが出るのがWGになる。ここのスターリング対冨安、マフレズ対ティアニーの勝負でアーセナルはかなりの勝率を誇り、起点を作らせないことでシティの前進を止めにかかる。

この試合の両SBのパフォーマンス、特に対WGの守備対応はミスがなく、高次元のものだったのは間違いない。日本人でもこれだけのパフォーマンスができるんだぞ!と世界中に知らしめた試合だったと嬉しく感じる。

 

当然、これだ黙ってないのがペップ・シティだ。「ロドリを消すのなら…」という対策も落とし込まれているというか、オートマチックになっている。これも末恐ろしいことだろう。

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ロドリを消されたときのリアクション。
IH(特にシウバ)がロドリの横に降りてウーデゴールに対して数的優位を作り出す。こうすることでジャカのマーカーを無くすと同時にデブライネが外に流れてトーマスのマーカーを強制的に2枚にさせる。
配置のバランスを取るために、スターリングが内側に入って冨安を引き摺り込むことでデブライネがフリーになることが多くなる。

このようにロドリを消されて時のリアクションも完璧だ。しかもこれが行われたのが1:48時点。すぐにプレスに対するリアクションを見せ、そのプレスを回避してみせた。どこに数的優位を作り出し、フルバックの出口を作ってあげるか、相手に対して難しい選択をさせるためにどこに降りる、流れるか、そして味方を見てどこにポジションを取るのか。この一連の動きはやはり美しいと何度も感じてしまう。

これを完璧に、そして異常なスピードでこなしてしまう選手と、トレーニングで落とし込んでいるペップの指導はとんでもない。

 

だが、アーセナルもシティのこのリアクションに対するアクションを起こしていく。

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まず行なったのが玉突きの縦スライド。
ウーデゴールのタスクは変わらず、流れて落ちるシウバに対してはトーマス、流れるデブライネに対しては冨安が出て対応。
ホワイトと冨安のゾーンとマンツーマンの切り替えと受け渡しはさすがだと思った。

まず起こした守備アクションが玉突きの縦スライド。これを行うことで、流れて起点を作り出すデブライネからのタッチダウンパスとどうしても起こってしまうホワイトのスライドとスターリングの動き出しにより生じるマークの受け渡しをはっきりさせるためだろう。

だから横よりも縦に動かすことで、自分の守るべき守備エリアとマーカーを明確にした。だがこうなると一瞬空いてしまうのが逆サイドになってしまう。もっと詳細に言うとジャカ周辺だ。内側に入ってくるカンセロであったり、少し前に出て受けるディアスであったり、逃げられた場合のスペースの管理ができるか否かのリスクが大きすぎる。

よってアーセナルは出て行くプレスの微調整を行う。

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ジャカがロドリ、ウーデゴールがシウバ、流れるデブライネはトーマスの修正。
空いてしまうスペースは前向きにCBが出て行くことで対応。マルティネッリも斜めのスライドでカンセロが入るスペースを消す。

このようにジャカが出て行くように微調整を加えることで、フルバックを最終ラインに残すことを選択。これを行うと、横スライドを行う必要がなくなり、さらに前向きにCBがスペースに入ってくる選手にアタックすることが可能になる。これでアーセナルはシティのリアクションにもしっかりと適応していた。

 

【疑問に思うこと】

補足として、スペースに入ってくるIHやSBには割とフルバックが出て行くことが多かったのだが、ジェズスが降りる時だけなぜかアタックする回数が少なかった印象だ。個人的にはここが疑問に思うところだ。

 

そして恐ろしいのはシティはこれに対しても再び解決策を出していく。

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エデルソンが加わって4バック化。ディアスとアケが幅を作り出すことでカンセロを内側に入れ込んでロドリのヘルプ。これを行うことでIHが降りずにライン間で待つことが可能になり、アーセナなるCHに対して数的優位を作り出せる。

このようにシティは土台を作る段階で、GKエデルソンが上がってきて4バックの形を取る。足元があり、パスが出せて、視野の広いエデルソンだからこそできる芸当だ。これを行うと、GKはいなくなるがピッチ内では数的優位を作り出すことが可能に。

もちろん、危険な選手を前に押し出すことができるようになる。

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前から圧力をかけるアーセナルを逆手に取り、ロドリもしくはカンセロでCHを釣り出してその背後でIHがボールを引き取る。

このようにエデルソンorラポルト⇨アケorディアスのパスが多くなる。そしてここでSHを釣り出すことで、アーセナルSB–SHを引き剥がし、さらにCHを動かすことでIHが受けるスペースを作り出して前進を試みていた。

だがこれに対してアーセナルは先ほども触れたように、手前のスペースに入ってくる選手に対してはCBが出て対応することが決められていた。さらにWGとSBのところで完璧にアーセナルが優位性を保っていたので、この前進を食い止め、ペップ・シティに対してかなり難しい状況を作り出すことに成功した。

 

そしてボールを奪い、ノリッジ戦と同様に斜めに進んでいくことでCBに対して対応を迫らせた。

 

動かす場所と斜めの進み方

アーセナルはボールを奪い、そして攻撃を仕掛け続けてシティを苦しめた。プレッシングの熱量とその精度、戻りと場所を取る速さ、そして球際。ほとんどの局面でシティの一歩先を行った。

そして先制点を奪って見せる。際どいチャンスも全て「斜めの前進」で生まれたものだ。(ゴールシーン、15:40〜、26:00〜)

この方法は確実にノリッジ戦と同様のもので、ジャカが左落ちするのではなく、1つ前にポジションを取るようになったことが大きく関係している。

(ノリッジ戦のレビュー)

www.soccer-bunseki.com

ではアーセナルはどこを動かし、どのように前進をしていたのだろうか。

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起点を作るのは冨安とサカの間。ここにウーデゴールが流れてボールをピックアップ。
だからサカが降りて来ずにアケを押し下げる。この試合ではラカゼットがロドリの近くに降りることでロドリを止める動きも多く加えていた。

ジャカが一列前にポジションを取る回数が多くなったことで、ウーデゴールg IHの立ち振る舞いをするようになっている。だからサイドに流れた段階で、ボールをピックアップすることが可能になる。ここにパスを正確に届けられる冨安とホワイトの存在はとてつもなく大きなものだ。

そしてウーデゴールにボールが入った瞬間にジャカは前に出て、サポートはトーマスが行う。これで逆への展開を促すことが可能になっており、ロドリ脇・シウバの背後で起点を作れる大きな要因にもなっている。

さらにこの試合ではシティのスライドが早く間に合った場合には、SHへ向けてミドルパスを打ち込む回数も多かった。ここでSBを背負ってSHがボールを収めれたことも大きなプレーだった。

特にサカがアケを背負ってプレーできたこと、マルティネッリがカンセロから離れながら、スーパーなコントロールで前向きで収めることができたことに僕は驚いた。

 

当然ウーデゴールに対して潰しが効かないと、シティはジリ貧になり、CBのみの対応(組織から個人の対応を迫られる)になるので、流れるウーデゴールに対してはアケが出ていって対応を行っていた。だがこうなってくると、ウーデゴールのワンタッチの逃げ方とラカゼットの降りる場所によって、ロドリが中央から外側に動かされてしまう。(サカのカバーもあるから)

だからシティはプレス隊と最終ライン隊が引き剥がされて、押し込まれてしまっていた。そしてアーセナルは縦に進むのではなく、斜めに切り裂いていくことで、全体を押し上げて奪われた後のアクションにもスムーズに移行できるように設定されていた。

だから、シティのポジトラの局面を一気に潰すことができて回収・蹴らせることができていた。シティが捨て球を蹴る、もしくは苦しくなってミスが出るという状況下に持ち込んだアーセナル。特に冨安とサカとトーマスの回収率とプレスのタイミングはとんでもなかった。

 

残念ながら…

前半の試合内容からすると確実にアーセナルの試合だった。アウェイでボコボコにされたあの日のアーセナルはどこにもいなかった。若手中心で向かっていくアーセナル。シティの連勝を止めると思ったが、PKとガブリエウの退場、そして劇的な逆転ゴール。一瞬にして全てが崩れた。これもフットボール。若手が多いのでヒートアップすることも仕方がないかもしれないがアーセナルファンの人たちからすると、どうしても消化しきれない試合だっただろう。それにしても勿体ないとどうしても感じてしまう。

王者と互角以上の戦いを披露していただけあって、最後まで同人数で見たかった。2022年一発目の試合は後味の悪いものとなってしまったが、前半のあのハイレベルな戦いは今年もフットボールは俺たちを熱くしてくれると確信させてくれるものだった。(その熱が悪い方向に向かってしまったが…)

これから一年、再びフットボールに没頭していこうと思わせてくれる熱い試合だった。どうぞ皆さん、今年もよろしくお願いします。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

次回の記事もお楽しみに!!!

 

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