【並行とライン越えとネガトラ】プレミアリーグ第23節 エバートン vs アストン・ヴィラ

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皆さん、どうも。今回はプレミアリーグ第23節のエバートン×アストン・ヴィラのマッチレビューをしていきます!最後まで目を通して頂けると嬉しいです!

 

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スターティングメンバー

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並行・ライン間・斜め・背後

アストン・ヴィラのサッカーは見ていて爽快で熱くなれる。それにはしっかりと土台と規則がある。

そして忠実にそれを行なっていくことで、アストン・ヴィラは『並行・ライン間・背後』を取れるようになっており、テンポよく、ダイレクトなサッカーを展開することができている。

ではそれを行なっていくために、アストン・ヴィラはどのような戦術の下で戦っているのだろうか。

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エバートンの守備
エバートンはかなり中央を締めて、外回りにさせる。

まずはエバートンの守備にさらっと触れていきたい。彼らは宿敵でもあるベニテスを解任し、愛されるレジェンドであるタンガン・ファーガソンが暫定で監督を務めることになった。2年前も似たような状況があり、その時は良い結果で乗り切って見せた。(そしてアンチェロッティが就任)

現状では後任は決まっていないが、やはり闘うサッカーに変わっていたのは言うまでもない。だからエバートンの選手たちは中央を消しを徹底して行い、さらに「人中心」で守備を行なっていた。

この守備に対してジェラード率いるアストン・ヴィラは以下のような方法で攻撃を組み立てて、ラインを越えていく。

ラインを越える準備

まずはラインを越えるための準備についてを触れていきたい。

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ライン越えの準備。
ブロックの外にIHが降りていくことが多く、それに伴ってSBが高い位置を取る。
この時にSBはエバートン中盤の背後まで上がる。

基本的にアストン・ヴィラの組み立ては『IHがブロックの外に降りること』と『SBが中盤の背後まで上がること』から始まる。これは前節のマンチェスター・U戦でも行なっていたことだ。さらにここで重要な役割を果たしているのが、DMFルイス。彼がCBの間に降りるのか、エバートンCFの間に留まるのか、ここの縦の動きで2トップを中央に「寄せる」ことを行なっていた。

だからこそ、ブロック外まで出ていくマッギンやラムジーは2トップから距離を作ることができて、ボールを比較的自由に扱う時間を確保できていた。

このように組み立ての準備を行なって、並行とライン間を駆使しながら、よりテンポよく、ダイレクトにゴールに向かっていく。

 

①:並行とライン間

ではここからは並行とライン間を駆使いしていく方法についてを考えていこう。

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並行とライン間を使って前進。
IHでSHもしくはCHを呼び込めるので段差を創出。
その背後にSTが入って縦パスもしくはSBの並行を作り出す。

このようにIHがブロックの外で起点を作り出すことで、エバートンのCHもしくはSHを釣り出すことが可能になる。例えばSHを呼び込んだ場合は『SHの背後に立つSB』にパスを供給し、CHを呼び込んだ場合は『段差の背後に立つST』へ縦パスを打ち込む。

ボールを引き取るための降り方とライン間で浮くことの上手なブエンディアとコウチーニョが躍動するのは納得だ。

さらに並行の作り方も上手で、SBにパスが入った時点で瞬間的に2vs1の数的優位を作り出せるポジションを常に取っていた。

「並行とライン間で受けるポジション」を取れること「IHがブロック外で起点になれること」がアストン・ヴィラの攻撃を支えていることは間違いない。

 

②:並行の位置が低くなるとき

次に考えていきたいのが①で考えたことにプラスして背後を加えるときだ。

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背後が加わる場合。
この時はボールサイドSTが背後に抜ける。
これと同時に逆STとCFが並行と斜めを作り出す。
さらに逆IHがラインを越えて1つ前のライン間に入ることで厚みを加えていく。

このようにSBで中盤のラインを越えれた場合は、多くはエバートンSBを釣り出すことができる。この状況下になった時に背後が加わってくる。

SBの背後をSTが斜めに抜け出していくことでエバートンのバックスのラインを押し下げることができ、さらにMF–DFのライン間を広げることができていた。だからこそ逆STとCFとSBでトライアングルを形成することで「並行と斜めのパスコース」を作り出すことができて、必要であれば逆サイドまで展開して目線を変える攻撃を仕掛けることも可能に。

その経由点となるために逆STが開けたスペースにIHが入り込むことが基本となっていた。これで縦に早い攻撃とライン間での距離が近いのでテンポの良いコンビネーションアタックと、詰まったときの広い方への逃げ道を確保して、フルスロットルなアタッキングフットボールを展開できるようになっている。

 

③:形を変えてのライン間攻略

さらに形を変えてのライン間攻略もある。これはアンカーのルイスがCBの間に降りて、ブエンディアがトップ下のような立ち回りをする方法だ。これは4−4−2のダイヤモンドのような形と表現するのがしっくりくる気がする。

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ルイスが落ちるとき。
この場合は並行の位置が1つ低くなる。
さらにブエンディアがOMFの位置に入り、コウチーニョとワトキンスが2トップの振る舞いでフルバックを止める。

このようにCBの間に降りたときにはSBはあまり高い位置を取らない。これはルイスが降りて中央に人がいなくなるので「IHがブロックの中」にポジションをとることが多くなる。これでブロックを寄せといて、外側にSBが立つようになるので、SBが余り高い位置を取らなくなる。

これに伴ってIHがSBの並行を作り出すので1つ低い位置での並行の作りとなる。この並行を入れ込んだ時に必ずと言っていいほどCHが出てくるようになっていたので、その背後にブエンディアがいることで、ライン間に縦パスを打ち込めるように設定されていた。

このようにして、アストン・ヴィラは主に3つのパターンを駆使しながら攻撃を仕掛けていた。

これができるのも選手個々人のサポートの上手さと場所取りの上手さがあるから。さらにプレーの明確性も確保されているので、迷いなくサッカーをプレーすることができる。ジェラードの人間性も合わさり、やっても楽しい、見ても楽しいサッカーができているのではないだろうか。

 

ネガトラでアタックするために

攻撃を組み立て、ダイレクトにサッカーをするアストン・ヴィラ。奪われたときのネガトラの速さもさすがだ。

この時にネガトラを完結させるために重要になっているのが、ボールと人にアタックする準備だ。この準備はIHがかなり重要な役割を果たしている。

いうならば「3トップとIHが支えている」感じだ。

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IHの支えとSBの幅。
アタッキングサードに入ると3トップはかなり近くでプレーを行う。
この時のIHは失った時のことを考えながら3トップのユニットの後ろに距離を維持しながらポジションを取る。そうすることで人とボールにアタックする。

基本的にアタッキングサードに入ると3トップはかなり近くのユニットを形成する。これでコンビネーションプレーで守備ブロックを粉砕していくのだが、もう1つ目的があり、それが失ったときのボールホルダーへのアタックだ。これを行うことで、少し後ろでカバーしてくれているIHを助ける。

IHは3トップがボールホルダーへアタックしている間に出てくるボールとパスの受け手を消すポジションと取ることで、ネガトラを完結させ、再び攻撃に移行するようにタスクが課されている。だから今のアストン・ヴィラのIHには走力と力強さ、出足の速さと読みの鋭さが必要で、かなりタフな選手じゃないと務まらないだろう。

それをほぼフルタイムで完遂させているラムジー、マッギンはとんでもない。

さらにここで重要になるのがSBの立ち位置だ。奪ったボールを広いところへ展開することで一気にチャンスを作り出す。これはエバートンを広げることで、自分たちの時間を稼ぐことも考慮されている。

だから奪ったボールの多くはSBに届けることが多くなっていた(広い方向)し、チャンスならば背後という設定がある印象だ。

 

このようにして、アストン・ヴィラはエバートンにロングパスを蹴られる前に距離を詰め切り、高いインテンシティで回収し続けて攻守一体のフットボールを展開し続けた。その結果が前半の結果で、被シュートが0というものではないだろうか。

 

後半のエバートンが前に出れた理由

では後半についても考えていこう。後半は打って変わってエバートンの時間帯が多く続いた。なぜこうなったかの結論を先に述べると、それは「ロングパスを早いタイミングで送る修正」をしたからだ。

前半はアストン・ヴィラの圧力に屈して、対空時間と距離の長いパスを2トップに送り込むことができなくなっていた。

だが後半からはそれを行なっていくことで、アストン・ヴィラのネガトラを回避していく。さらにCFのカルバート=ルーインがミングスではなくクンデと勝負するようになったことで、ハイボールの勝率を上げ、さらにミングスを動かすことができるので、徐々にサイドが空いてくるようになる。そしてこの展開が続き始めたところでゴードンの投入。これでより縦の意識を強め、エバートンもよりゴール方向へダイレクトに攻撃を仕掛けれるようになっていた。

この修正を加えて見違えるように攻撃に迫力が出たエバートンだったが、アストン・ヴィラの魂のこもった守備で、この試合もゴールが遠く、敗北を喫してしまった。

だがシンプルでよりフィジカルを生かしたこのサッカーは、サポーターに再スタートして闘うぞ!という意思を伝えれるものだったのではないだろうか。

 

アストン・ヴィラをおすすめしたい!

小難しいことを抜きにして、シンプルに見ていて熱くなれるのが今のアストン・ヴィラではないだろうか。個人の技術も相当に高い中、何よりも闘うサッカーを目の当たりにできる。戦術が大事なことは言わずもがなだが、やっぱりサッカーは闘うスポーツなんだと認識できる。誰が見ても熱くなれるサッカーはやっぱりおすすめしたい。個人的な見解だが、美しいプレーよりも、なりふり構わず泥臭く闘うサッカーの方が僕は好きだ。その中で、戦術的な要素も含むアストン・ヴィラ。ジェラードが就任して見事に復活して見せた彼らが、どのような旋風を巻き起こすのか、残りのシーズン、そして先を見据えた来シーズンが楽しみだ!

ぜひ、この試合も見返して見てほしい。

 

最後までありがとうございます!

今回の記事はここまでとなります。ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

次回の記事もお楽しみに!!!

 

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