皆さん、ご機嫌よう!
一番初めに自己紹介から。気になる方は下記のリンクからご覧ください!
では早速、分析レビューを行っていきましょう!
はじめに
サッカーを日常から取り上げられて約2ヶ月。やっとサッカーが帰ってきた。厳しい制約の下ではあるが、これほど待ちわびた事は今まで他に経験した事がない。故にサッカーとの再会を喜んだ事はなく、初めて駆られる感情も感じる事ができた。
そしてこの再開の興奮と喜びをさらに強めるかのように、準備されていた試合。それがドルトムント vs シャルケのレフィア・ダービーだ。『無観客』という寂しい試合だが、それは致し方ない。今はサッカーを観れるという幸せを噛み締めていきたい。
肝心の試合内容というと、「ドルトムント面白い」という試合内容だった。攻撃時の流動性はシャルケを翻弄し、そして4発ゴールに叩き込み、ライバルを粉砕した。
今回はこの試合で見せたドルトムントの攻撃について解説を加えていこう。
スターティング・メンバー
シャルケの守備
ドルトムントの攻撃を紹介していく前に、この試合のシャルケの守備戦術を解説していこう。
ハイプレス時
まずはハイプレス時。試合開始から失点する辺りまで、シャルケはハイプレスで守備を
行う。中央のCBに対してはCFがプレスを行い、STがそれぞれ前のCBを牽制する形。ドルトムントCHに対してはCHが前に出て捕まえる。もちろんWBに対してはWBが牽制する形。
ここまではゾーンディフェンスのような形を取っていたのだが、バックラインは徹底してマンマーク。3トップに対して3バックという構図になっていた。
そしてCFがプレスをかけると、このように動いていく。
このようにCBにプレスをかけるとボールホルダーの選択肢は外のCBにパスを選択をする事が多くなる。そして外のCBにパスがで出ると、STが必ずプレスを行う。だからシャルケの守備は5-3-2のような形に見えた。(ライブ観戦中にシャルケの守備は5-3-2と指摘した。詳しくは5-4-1からCBにパスが出ると5-3-2のような形に変形)
そして引き続きCH、WBはそれぞれのマーカーを捕まえ、CBは必ずマンマークを行う。
このようにしてボールの奪い所をここ(下の図)に設定する。
ボールホルダーに対して赤のエリアにパスを出す事を選択させる事でボールを奪い、ショートカウンターを仕掛ける狙いがあった。何度かこの守備でボールを奪うことに成功していたが、ボールを奪ってからの攻撃に関してアイディアが無く(ボールの預け所がなかった)ボールを奪うまでに止まってしまっていた。
構える時
構えて守備を行う時は3バックの基本形、5-4-1で守備を行う。
これで各レーンを埋め、中央に入らせない教科書通りの守備を行なっていた。
このようにして構えた時は守備を行なっていた。この時の守備に関してはある程度機能していたのではないだろうか。
シャルケの守備の弱点
シャルケの守備はハイプレスを行うことで敵陣深い位置、特に中央でボールを奪い切ることを目的としていたが、間延びが生じ、ライン間に大きなスペースができてしまっていた。
これがこの試合の守備の弱点になっていた。
上の図の赤のエリア。ここに広大なスペースが生じ、ここを埋める作業を放棄していたように見えた。さらにはここ(下の図)のスペースだ。
WBが前に出ていくので、その背後のスペース、3バックの脇のスペースだ。3バックなのでここのスペースが空くことは仕方ないのだが、それでもここのスペースのリスク管理も疎かった。だから今から紹介する『ドルトムントの流動性の高い攻撃』により、4発粉砕されてしまう。
ドルトムントの流動性の高い攻撃
ではいかにしてドルトムントはシャルケの守備を掻い潜り、そして粉砕まで持っていったのか。その方法、ドルトムントの流動的な攻撃についてを順に解説していこう。
ビルドアップ
まずはビルドアップの局面から。
先述したようにシャルケはまずCBのフンメルスにプレスを行う。そしてフンメルスは外のCBピシュチェクにパスを出すと中盤の底。DMFのポジションを取ることが多くなっていた。
こうすることによるメリットがある。まず1つ目がGKを含んだスクエアの形成だ。
これをする事でシャル3トップに対して4人で対応する事ができ、数的優位に立つ事ができる。
そしてさらにこのようなメリットも出てくる。
中央にCBが上がった事でボールサイドのCBは極端にサイドに流れ、サポートを行う事が可能になる。さらに逆サイドのCHもポジションを変える事ができるようになり、1列前にポジションを取る。このようにすると何が良いのか。
このように丸で囲った選手の判断が難しくなる。CFはCBとGKのどちらを消すか迷うことになる。CBを消せばGK経由でサイドを変えられ、GKを消せばCB経由で1st ラインを突破される。またCHのゼルダーのタスクだ。CBを消せばCHのディレイニーへの縦パス、ディレイニーを消せばCBフンメルスへのパス。さらにはCFとマークが被る可能性も出てくる。
このようにしてCHとCFの判断を一瞬遅らせる事でラインを突破する事ができる。
また極端に流れたCHのサポートにより、このようなライン突破の方法も生まれる。
上の図のようにボールサイドでもスクエアを作り出せるので、優位に立つ事が可能になる。
そしてSTへの縦パスを打ち込む事も簡単になる。
だからドルトムントは四角のスペースを簡単に使う事で前進をし、攻撃のスピードを上げる事ができていた。
このようにCBがポジションを上げる⇨CHが流れる / 1列前に出るとポジションチェンジを行う事で、スクエアを作り出し、シャルケ選手の判断を一瞬迷わせ、簡単にラインを突破する事に成功していた。
STとCFの動き
ライン間を使う準備ができたドルトムント。さらにここから効率よく、効果的にスペースを使うため、速い攻撃を仕掛けるために、STとCFの動きの工夫があった。
流動的な動き①
これがこの試合でよく観られた動きだ。シャルケDFはマンマークで守備を行なっていたので、STのブラントがボールを受けに下がる。こうする事でシャルケCBナスタシッチの背後にスペースができるので、そこをCFのハーランドが抜け出す。そうすると中央にできたスペースに逆STのアザールが入ってくる。
このようにしてボールホルダーは前線だけで少なくとも3つの選択肢を持つ事ができる。
これはこの試合で起こりえた1つの例を挙げてみよう。
このようにハーランドが流れた事で青のエリアでCHが時間とスペースを持ってボールを受ける事ができる。
そうすると一気に数的優位を作り出すことができ、シャルケの選手はボールとマーカーを同時に観る事が難しくなる。
そうするとCHはボールをはこびながら様々な選択肢を持つ事ができ、フィニッシュまで持っていける可能性はグンと上がる。
もちろん、CHではなく、STがボールを受けるパターンも見受ける事ができた。
流動的な動き②
このようにCFが降りてきてスクエアの選手を入れ替えるパターンも存在した。
その時はSTのブラントが背後へ抜け出す動きを加える事でCBナスタシッチの対応を難解にさせる。そしてもちろん、中央の空いたスペースには逆STのアザールがが入り込む事で補完性を保つ。
このようにして3トップが流動的に動く事でシャルケ3バックのマンマークの守備を翻弄し、ほぼ無力化する事ができていた。そして極め付けはWBの動きだ。
WBの動き
先程解説したようにドルトムントはシャルケの1st プレスを躱し、中盤と最終ラインのライン間のスペースを使って攻撃のスピードを上げる事に成功していた。
そして3トップの流動的な動きにさらにアクセントを加えるべく、WBも効果的な動きをしていた。
ボールサイドのWB
まずはボールサイドのWBはスクエアに参加し、自分を捕まえるWBを釣り出す。さらにSTが降りる動きに釣られてCBが前に出てきた時に動き出す。それがWBの背後、CBの脇のスペースだ。ここに抜け出すことで一気にチャンスを作り出す。
このようにSTとの互換性を保つことでまたしてもボールホルダーに選択肢を与え、シャルケの選手を簡単にひっくり返すことができていた。
ボールと逆サイドのWB
そしてボールと逆サイドのWBの動き。これがとても面白いものになっていた。
先程解説したこの局面。CFが流れ、STが中央に入る。これでも十分な流動性、連動性なのだが、さらにWBがここに加わる。ではどのように加わっていたのか。
このようにWBがSTの位置に入り込む事で中央で受けた時のSTのサポートをする事ができる。だから、ライン間にボールが入った時に数的優位を作り出して攻撃に移る事ができる。
さらに、ここにポジションを取る事で仮に中央でボールを失ったとしても、すぐにボールサイドに人数をかける事が可能になる。
このように中央に人数をかけれるので、すぐに攻撃に移る事も可能になる。守備面でもWBが中に絞る事で貢献をしていた。
もちろん、WBが中に絞る例外もある。それがこの試合の1点目のような状況だ。
このようにCFが中央に留まる場合。この場合はWBは中に入らない。この理由はST、ないしはWBが抜け出した時に大外からクロスに合わせるため。この役割を担うためにこのような例外も存在していた。
まとめ
このようにしてドルトムントは危なげなく、そしてファンが楽しめるようなサッカーを展開し、ライバルであるシャルケを粉砕してダービーを勝利で飾る事に成功した。
今まではブンデスリーガを観る機会は少なかったが、この一戦を観てスカパー!を契約した。それぐらいの衝撃を受ける試合で、これからもドルトムントの試合を観てみたいとしっかりと感じる事ができる内容だった。
そしてなによりもサッカーが日常にある幸せを噛み締めることのできる、とても重要な、そして感謝しても仕切れない一戦だった。
これからもサッカーがある日常に感謝しながら、日々の生活を送っていこうと強く心に誓う事ができる、良ゲームだった。
終わりに
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