はじめに
チェルシー、リバプール、トッテナム。続々と同リーグの同胞は試合を落とし、早くも『プレミア勢、ベスト16で全滅』という記事が飛ぶように。まだ1st legが終わっただけだが、試合内容を見るとこう描かれるのも一理ある。そこで最後の砦として戦ったのがマンチェスター・シティ。稀代の名称、ペップグアルディオラ率いる青い彗星は、圧倒的なカリスマ性、厳格かつ、温厚。『勝利至上主義』のクラブのことを知り尽くす、ジダン率いる白い巨人と相見える。そして厳しい戦いを強いられながらも、アウェイ、ベルナベウでの勝利。ではなぜ、マンCはアウェイで逆転勝利を掴むことができ、レアルは試合を支配しながらも負けてしまったのか。今回はこれを噛み砕いていこう。
スターティングメンバーとスタッツ
・スターティングメンバー
・チーム別スタッツ
CL 1st Leg レアル・マドリード vs マンチェスター・シティ
スタジアム:ベルナベウ(スペイン)
過去5試合対戦成績:レアル⇨2勝 マンC⇨1勝 2分
試合結果:1−2
レアル:60’ イスコ
マンC:78‘ ジェズス 83’ デブライネ(PK)
退場者:86‘ラモス
(参照:Goal.com)
では早速、この試合について噛み砕いていこう。
ジダンが用意したハイプレス
まずはこの試合の大きなトピックスの1つ。それがレアルのハイプレスだ。このプレスの仕組みについて紹介していこう。
まず結論から述べると、ジダンが用意したハイプレスは『人を捕まえる』もの。この人を捕まえるプレス方法は「パスを繋ぎ、相手を動かして前進する」ビルドアップに対してかなり有効だ。だからこそ、『人を捕まえるハイプレス』を使用するチームが多くなっている。だがこのプレスには「対人能力」と「空間認知能力」、そして「走力」が必要になる。これをもちろん、ハイレベルで兼ね備えているのがレアルの選手。そしてこのように人を捕まえる事でボールを奪っていく。
このようにIHが1列前に出ることで2トップの形に。(主にモドリッチがこの役割を果たす)そして次にWGがCHを捕まえるために中に入る。この時にIHがしっかりとCHへのパスコースを消しながら前に出る事が大前提。これを完遂できるのが、モドリッチとバルデルデ。SHが中に入ることで空いてしまうのがSB。ここにはSBが出る事でマークを実行。これがボールサイドで行われる事。ではもっと視点を広げてみよう。逆のCBにはCFが、CHにはIHが、DMFの所では2トップをマーク。(ここで数的不利になっているが、カゼミロの能力が高すぎるので実行可能)そしてバックラインは3バックの形となり、大外のSHへのボールを弾く役割。これでハイプレスをかける事で、ボールを引っ掛けるなり、ロングボールを蹴らせて弾くなりでボールをマンCを苦しめることに成功した。
レアルの前進方法:前半編
レアルはボールを蹴らせて回収することが多いので、バックパスをし、やり直すことも多かった。マンCの守備はゾーンディフェンスなので、このような方法で混乱させて前進していく。
このようにありとあらゆる場所でのローリング。ジダンがここまで落とし込んでいるのか、はたまた選手の個人判断で行っているのかは手が届かない所だが、このローリングにより、SH、SB、CH(白丸の選手)は「タスク過多」に陥る。この3人は局所で数的不利に陥っているので、無力化されてしまう。このように互いにスペースを補完し合い、前進する事で今シーズンの攻撃の肝であるサイドチェンジを行うことができる。
このように下がったIHがボールを受けてマンCのSHを誘き出す。これで中に入ったSHに当てる事でCHを1枚寄せ、DMFにセットする。これでCHのロドリが数的不利に陥る。ここで出る事ができないのは背後のスペースを気にするため。だからDMF(またはIH)で時間を作ることができ、サイドを変えて一気に局面を変えることができる。これでレアルはいとも簡単に前進していく。もちろん、サイドチェンジをせず、同サイドから前進事も多々ある。このように相手に色んな選択肢を与える事で優位にたった。
奇策?グアルディオラの狙い
一方のマンC。驚いたのはグアルディオラの「奇策」と言える配置だ。通常ならば4-3-3を採用するのだが、この試合に関しては4-4-1-1または4-4-2の形で試合に臨む。本職がCFのジェズスを左SHに配置し、シウバとデブライネの縦関係とも取れる、2トップを採用。これに驚いた方は多いのではないだろうか。ではこのビッグマッチでの奇策にはどのような意図があったのだろうか。
これがグアルディオラの奇策の狙いではないだろうか。ベルナルドシウバをトップに置く事、いわゆる「0トップ」システムでこの試合に臨んだのは、最前線からボールを受けに降りる事で『DMFを引きつける』事が狙いにあった。ここで引きつけれるのはハイプレスをかけているので、中央でボールを持たれるとハイプレス失敗に陥るから。これを実行する事でGK(またはSB)からライン間に位置するST、デブライネにパス。ここで時間をもってボールを持つと、右に出るものはいないぐらいの能力を発揮するデブライネ。ここからハイプレスに出たSBの背後を使うためにサイドにCFのジェズスを配置。これで外から中に抜け出し、利き足でフィニッシュまで持ち込む可能性が高くなる。これがグアルディオラ、奇策の狙いだったのではないだろうか。
だがレアルのハイプレスの関係もあり、この形を作り出すまで20‘もかかり、個人的には上手くいっていたとは言い難いものだったように感じた。
レアルの前進方法:後半編
後半に入りレアルはまず、前進方法を変更。これはマンCのSHを押し下げる狙いがあっただろう。ではどのように前進していたのか。
このようにDMFがバックラインに入る事でSBが高い位置をとり、SHを押し下げることができる。こうする事で、攻め込んだ時の被カウンター対策になる。さらにはSB、特に右SBを高い位置に配置する事でクロスからの攻撃にも拍車をかける。またハイプレスの時にも走る距離が短くなるので、体力の温存もできる。これらを実行するためにビルドアップを変更したのではないだろうか。
勝負を分けた交代策
ハイプレス⇨蹴らせる⇨組み立てる。ハイプレス⇨高い位置で奪う⇨ショートカウンター。このどちらかを実行し、そして試合を優位に進めたレアル。先制点も奪い、『これが勝ち方を知っている、勝利至上主義のチームか』と思わせる戦いぶり。だが先制点を奪ってからの交代で一気に崩れ落ちる。
まずは攻撃の大きな役割を担っていたヴィニシウスの交代。これにより、レアルは前進方法を1つ失うことになる。またヴィニシウスは守備でも大きな貢献を見せ、上下運動を繰り返した。ベイルの投入でロングカウンターを狙ったが、引いて守る事でマンCにのリズムが蘇る。
そこを逃さず、マンCはWGにスターリングを投入。レアルSBが下がり、その背後をつけなくなったので、ドリブルで違いを作れるスターリングに状況打破を託し、ジェズスにゴールをとるというタスクに集中させる事で、立て続けにゴールを奪い、逆転に成功。
これに焦ったジダンはイスコとモドリッチを下げる。これで攻撃に比重を置こうとしたが、退場の影響もあり、万事休す。
この交代がこの試合の明暗を分けたといっても過言ではないだろう。
まとめ
まさかの逆転負けを喫した白い巨人。先制点を奪うまでは完璧な試合運びで、さすがのものだったが、そこからの対応を誤ってしまった。このレベルになると、1つの判断の誤りに大きな代償が付き纏う。そんな試合だった。失ったものが多く、2nd legに臨むレアル。果たしてどのように戦うのか楽しみだ。
一方のマンC。グアルディオラの奇策が上手くいったとは言い難いが、それでも敵地ベルナベウで勝利を手にしたことは大きな事だ。アウェイゴールを2つも奪い、ホームでのアドバンテージを生かして2nd legに挑むことができる。次2シーズンのCL出場権剥奪もあり、今シーズンでなんとしてもビッグイヤーを手にしたいだろう。はたして奮起を翻し、悲願の優勝を成し遂げる事ができるのか。これからのCLでの戦いに注目だ。
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終わりに
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