リバプールのプレッシングゲーム ~リバプールのプレッシングの秘密~

 

昨季のCLで準優勝。ビッグクラブがしのぎを削るプレミアリーグで現在首位。

そのクラブこそ、リバプールだ。今シーズンはクロップ体制3年目。

悲願のプレミア制覇とビッグイヤーを持ち帰れる可能性を大いに秘めている。

今回はそのリバプールの軸となるプレッシングについて解説をしていく。

 

まずはプレッシングで追い込むエリアの説明をさらっとしておこう。

プレスをかけていく中での基本はサイドに追い込み、そこでボールを奪う。

この方法が定石とされている。

そして多くのチームがサイドに追い込み、ボールを奪う戦術を使っている。

ではなぜサイドに追い込むのが良いのか。

サイドだとラインを背にするので、視野の確保が最大で180度となる。

一方の中央は最大360度。中央の方が選択肢が多い事が容易に理解できるだろう。

これを見てもらえばより理解できるだろう。

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このような状況だとボールホルダーにできる事は限られる。

パスコースも限定されているのでドリブルで抜くか、蹴りだすか、ぐらいだろう。

だから、サイドに追い込むことは理に適っているのだ。

 

だがしかし、巨漢 クロップ率いるリバプールは違う。

サイドではなく、中央に追い込む。そしてそこでボールを奪う。奪えてしまうのだ。

ではなぜ中央に追い込み、ボールを奪えるのかを説明していく。

 

さっそく見て欲しいのがこのシーン。

 

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中央の赤丸の選手にボールが入れば④⑤⑥のいずれかの選手がそこを狙う。

そして①②③のいずれかで挟みこみ、ボールを奪う。

そのために、①と③の選手は外側にいる選手のパスコースを牽制している。

 

これが基本的なセットポジション。これはアタッキングサードでも同じ。

そして奪えなくても、ボールを後ろに下げさせてロングボールを蹴らせる。

中盤の3枚、および2CBが空中戦に強いのでそのボールを弾き、こぼれ球(2ndボール)を回収する。この制度が今季はかなり高いので、堅守を誇り、リーグ最少の15失点でここまできている。

今回はその動画を実際に見てもらおう。

 

https://twitter.com/jHgW2UrDVwTxdFs/status/1099938980022243328

 

実際に見てもらうと解りやすいだろう。

あらゆる現象がここには詰まっている

このシーンは前からプレッシングを行い、ロングボールを蹴らせ、こぼれ球に反応。

しかし拾えずに展開されるが中央を閉め、パスコースを消し、バックパスをさせてセットポジションを取り直すというのが大まかな流れ。

 

さらに細かいところを突き詰めたい。

まずはここ。

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 ①が外のパスコースを切りながらプレスをかける事で、ボールホルダーはロングボールしか蹴れない状況に追い込まれる。

②は①が剥がされた時のために外の選手をカバーしつつ、中央の選手もケア。

サイドの選手(マネとサラー)はこのプレスのかけ方がかなり上手い。

さらに足も速いため、ボールホルダーはかなりの圧を感じるだろう。

 

そしてロングボールを蹴らせる。

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そしてここで競り勝ちパスを送るがボールを奪われる。

ここで注目して欲しいのはロングボールを蹴られた時の戻ってくる選手の反応の速さ。

ボールサイドに白のチーム(バイエルン)は3人に対し赤のチーム(リバプール)は4人。ここではボールを回収できなかったが、ボールへの反応が速い事がわかる。

 

そして展開されてからのシーン。

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①の選手はボールホルダーに突っ込むのではなく(赤線)ボールホルダーの前に回り込み、早めに中央の選手にパスを出されることを防ぐ。

そうすることで相手の攻撃を遅らせ、味方のプレスバックの時間を創り出す。

もしここでボールホルダーにプレスに行くと、中央の選手にパスを出され、2v2の状況を創り出されてしまうだろう。

2v2になると圧倒的に攻撃側が有利だ。(他の記事参照)

クロップは展開された時のプレスのかけ方の指導と対策もきちんとしている事がわかる。

 

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攻撃を遅らせることに成功。

そして初めてここで中央にパスが出るが、①が戻って来ているので問題はない。

仮に外の選手にパスが出ても、②が対応できる。

見事な対応だ。

そしてバックパスを選択させ、最初のセットポジションへ。

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そしてもう一度プレスを開始。

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黒①がプレッシングのスイッチを入れ、黄②にパスが出ないように牽制しながらプレスをかける。

それと同時に黒②も連動して、黄①にパスが出ても大丈夫なように距離を詰める。

そして次。

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ここでも連動してプレスをかけに行く。

黒①は外のパスコースを切りながら、黒②はワンタッチで黄①にパスを出させないように、黒③は黄①との距離を詰める。

そして次の局面へ。

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ここでたまらずボールホルダーはバックパスを選択。そしてロングボールを蹴らせてボールを奪う。

その一連の流れをこの解説を意識しながらもう一度見てもらいたい。

 

https://twitter.com/jHgW2UrDVwTxdFs/status/1099938980022243328

 

 

このプレッシングは選手間の距離とプレスをかける方向、どの選手がプレスのスイッチを入れるのか、がかなり見応えがある。

是非リバプールの試合を見る機会があれば少し意識して観てもらいたい。

 

今回はリバプールのプレッシングについて解説をしてみた。

このチームはフルスロットフットボールを展開するから、全ての試合で退屈することはないだろう。見るのが苦手という方はリバプールの試合を観て欲しい。

きっとサッカーを観ることが楽しくなるだろう。

そしてこの解説を意識して観てもらうと光栄だ。

 

今シーズンに加わったGKアリソンを筆頭に守備も完成され、昨夜からの3トップも健在だ。いよいよ弱点が見当たらない。

そして昨季のCLでの借りを返し、悲願のプレミアリーグ制覇を成し遂げる事が出来るのだろうか。個人的にそのポテンシャルと可能性はかなりあると思っている。

CLとプレミアリーグでのリバプールの試合に注目してもらいたい。

そしてこれからスカパー!やDAZNなどで観てはどうだろうか。

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今回も最後までご朗読いただきありがとうございます。

そして更新が遅くなった事をお詫び申し上げます。

 

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