PL マンU vs リバプール 〜準備してきたマンUの狙いとは〜

 

 

はじめに

国内、国外問わずに人気のあるクラブのマンUリバプール。このビッグクラブが戦うこの試合、ナショナル・ダービー。一方は悲願のリーグ優勝をかけ、一方は本来あるべき姿に、そして自信を取り戻すためにこの試合を戦った。そしてその結果は1-1のドローゲーム。だがこの試合に臨むにあたって、準備してきたであろうマンUの戦術がうまく嵌り、欧州王者、ライバルを苦しめ、連勝街道を見事に止めた。ではどのような準備をし、どのようにこの試合を戦ったのか。今回はマンUが準備してきたであろう戦術を紹介していこう。

 

スタッツとスターティングメンバー

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WhoScored.comより引用 

 

マンUの準備と狙いとは?

では早速、マンUが準備してきたこと、そしてその狙いを紹介していこう。

プレッシング(守備について)

まず紹介したいのは、プレッシングについて。これはしっかりと準備してきて、この試合リバプールを苦しめたものではないだろうか。その方法がこちら。

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これが基本的なマンUのプレッシング。基本的にボールを外回りにさせ、SBの所、もしくはSBからの縦パスを引っ掛けることを狙いとしていた。ではこの詳細を解説していこう。

CFの役割 

CFの役割はCBに局面を一気に変えられる斜めのロングボールを蹴らさせないこと。リバプールのCBから逆のWG(SBの場合もあり)へボールを刺されると、一気にスピードが上がり、決定機を作られる可能性が上がってしまう。だからCFはCBに対してプレスをかけ、時間を奪った。さらにCBからボールを受けに降りてくるIHをある程度背中で消しながらプレスを行なっていた。「CBに斜めのロングボールを蹴らせない、サイドを変えさせない」ためのプレッシング、または牽制がこの試合のCFの役割だ。

参考までにもしも斜めのボールを入れられた状況を少し紹介しておく。

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この状況を作らせたくないので、CFの牽制、プレスが重要になっていた。

STの役割

STの役割は中央に位置するDMFのマンマーク。これを行うことで、リバプールの中央経由の攻撃を限りなく少なくした。リバプールの攻撃のはじめは一度中央を経由することが多く、そしてその経由の選手で一番CBからボールを引き受けることが多いのがDMFのファビーニョ。(もちろんCBもパスが出せるので、リバプールは強い)ここを消せないとこの試合の8分11秒のような場面、DMFからCFへの鋭い縦パスで一気に攻撃のスピードが上がり、ピンチに陥る。だからSTはDMFにボールを入れさせないようにマンマークでついていた。これで中央経由の攻撃を組み立てさせず、外回りのボール回しをリバプールに強要させた。これがSTの役割。

CHの役割

CHの役割もSTの似ていてボールを受けに降りるIHの牽制。STがDMFを消しているので、ボールを受けに、IHが降りることがある。ここに縦パスを入れさせないために、IHがマークをつく。だが全ての局面においてマークするのではなく、IHが降りることでSBを押し上げるパターンの時はついて行かないことが多かった。これはこのような理由があるからと考えられる。

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このようにもしもIHにCHがついて行ってしまうと、中央をあけてしまうことになる。ここのライン間でボールを受けられるとピンチになってしまう。だからこそ、IHが下がりSBを押し上げる場合にはCHがプレスに行くことは少なかった。ではこれで守れるのかどうか。結論から言うと守れる。その理由がこちら。

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このようにIHに運ばれてしまうが、中央を締めているので、人数が揃いスペースがない状況に持っていくことができる。これはリバプールが推進力のある15番のチェンバレンや8番のケイタを入れて打開を試みていた所だ。このIHのマンマークという難しいタスクをしっかりこなしていたマンUのCH。そしてもう一つがSBからの縦パスを奪うというタスク。これもしっかりとこなしていたのではないだろうか。これがCHの役割。

WBの役割

WBの役割がこの試合、最も重要なものになっていた。その理由がシンプルにボールを奪うものだから。さらにリバプールのSBに時間を与えないことも重要なものになっていた。

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ここでボールを奪えばカウンター、もしくは時間とスペースを奪いバックパス、精度の落ちる縦パスを入れさせてボールを奪う。そのためにWBがSBにプレスをかけていた。これがWBの役割。

CBの役割

最後にCBの役割について。これも大事なものになっている。WBの役割がSBにプレスに行くことになっていたマンU。WBが出れば、もちろん相手が狙うのはその背後のスペース。ここをカバーするのがCBの役割になっていた。

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ここに流れるWGをCBが対応することでリバプールの攻撃をせき止めた。ここんスペースのカバーとWGとの対人戦。これがCBの役割だった。

 

攻撃について 

攻撃についてもキープレーヤーになったのはWB。ではどのように起点になり、どのような攻撃を仕掛ける準備と狙いがあったのか。それを解説していこう。

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 このように攻撃には3つのルートがあった。配置的にWBが「浮く」のは容易に考えられること。マンUはここを効果的に使い、時間を作った。そしてこの攻撃を仕掛けるために、先ほど解説した守備戦術を準備していた。SBにボールを運ばせるので、相手くるのがその背後のスペース。そこを使うために、2CBに対して2トップでプレッシングを行う。WBがボールを持つと、CFが一枚スペースに流れ、CBを引き連れる。そうすると中央でもう一枚のCFがCBと純粋な1vs1の状況に持ち込むことができる。これがよく現れたシーンが7分45秒からの攻撃。CFのジェームズがサイドに流れ、中央のCFラッシュフォードがWBからボールを受けるシーンを作り出している。

さらにSBの背後のスペースにボールを流した場合はCFのジェームズがスピードのあるドリブルから際どく、そして質の高いクロスで何度もチャンスを創出した。実際にこの試合の先制点はこのような形で作り出している。

このようにマンUが準備してきた攻撃はシンプルな『カウンター』だったが、攻撃するための守備の配置がしっかりしていたので、ライバルの連勝を食い止めることができた。

 

リバプールの対処方法

一方のリバプール。しっかりと準備されたゲームプランに対してクロップ監督は後半から4-4-2の形にして対処を施した。その理由がこちら。

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このようにSHを作ることで、マンUのWBのタスクである、「SBへのプレス」に迷いを与えることに成功。さらに中盤の底が2枚になることで、マンUのCHを一枚釣り出すことができる。そうすると、SB側のCHはプレスに行きたくても中央を開けてしまうことになるので、プレスに行けなかった。そしてリバプールの時間ができるポジションがSBになる。ここから早めのクロスを上げることでマンUを押し込み、徐々にSBが高い位置でプレーするようになっていた。マンUが4-4-2の対処に回るために並びを3-4-2-1、守備ブロックを5-4-1にした頃には押し込まれていて、クロスから失点しているので、ここでも監督の手腕の差が出たのではないだろうか。かなり見事な修正案だった。

まとめ

下馬評では確実にリバプールの圧勝という予想がされていたのかもしれない。だがデータとこれまでの試合で考えるとリバプールはなかなかオールドトラフォードで勝つことができていない。今回もドローという結果に終わってしまった。もちろんこれにはいくらマンUの調子が悪くても、「こいつらには負けたくない」という選手の意地がある。この試合はまさにそれがマンUの選手には現れていた。(いつもと動きが格段に良かった)このようなモチベーション、準備を難しいかもしれないが毎試合演じることができれば、名門復活までそう時間はかからないのではないだろうか。ドローという結果だったが、今回の準備とモチベーションは今シーズン、一番良いものだったのではないろうか。なんだかんだで強いマンUが戻ってきて欲しいサッカーファンも多いはずだ。果たしてここからどうなるのか。注目していきたい。

 

終わりに

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