2022ー23 プレミアリーグ 第19節 クリスタルパレスvsトッテナム 備忘録記事


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クリスタルパレス0-4トッテナム

 

得点者(TOT)

48' 10ハリー ケイン
53' 10ハリー ケイン
68' 2マット ドハティ
72' 7ソン フンミン

 

得点者(CRY)
なし

 

両チームのフォーメーション

 

ハイライト

 前節ホームでアストンヴィラに敗れ、2023年1発目の試合を落としたトッテナム。新年早々からの連敗を避けるべく、今節はクリスタルパレスとのロンドンダービーに臨んだ。

 トッテナムは前節からスタメンを2人変更。ダイアーがスリーバックの真ん中。サスペンションにより出場停止のビスマに代わり、スキップがスタメン出場に名を連ねた。

 パレスはヴィエラ監督が就任して以降、ポゼッションベースでこれまで戦って来ている。実際、この試合でもしっかりボールを動かしつつ、如何にして機動力のある前線4枚にボールを届けるかチャレンジしていた。

 それでも左サイドの機能がやや不安定な印象だった。普段からパレスの試合を見てないので何とも言えないが、左のハーフスペースにトップ下のエゼが流れることで、足元でボールを受けたがるザハのスペースを食い潰しているように見えた。そのため、左から上手く作れているかと言われれば微妙であった。

 それに対して右サイドは左利きのオリーズが内側のレーンに入ってカットインを狙いつつ、外をクラインが走るという形。トッテナムにとって嫌なのは、パレスの右サイドからの攻撃だったように感じる。

 一方でトッテナムが保持した場合は、サイドチェンジを多用しながらパレスの4-4-2ブロックを左右に揺さぶりをかけていた。

 この左右への揺さぶりが効果的だったかと言われれば微妙。むしろ、パレスのブロックが縦に間延びすることが多いため、中央から楔を通した方が前進できるケースは多かった。

 そこで良かったのがヒルである。ヴィラ戦では、ヴィラのコンパクトなブロックによって、ライン間で潰されることが多かったが、この試合はパレスの守備の陣形が縦に間延びしていたこともあり、ライン間でボールを持てることが出来ていた。

 勿論、クルゼフルスキのようにどんな局面でも背負える訳では無いが、少なくともこの試合では、彼のプレーが効果的だったと感じる。

 そんなこんなで序盤はトッテナムが押し込むケースが多め。試合の潮目が変わったのは27分のザハの個人技からアイェウに決定機が訪れた場面からである。

 これ以降はパレスが試合の流れを掌握する。パレスの非保持の振る舞いが変化してきたのはこの時間辺りだったからと記憶している。中を閉めて外に誘導することで、トッテナムの降りてくるWBでボールを奪う流れが多くなった。そこからのショートカウンターによってパレスがトッテナムのコートで試合を進めるようになっていた。

 トッテナムからすれば、この前半の終盤に起こった嫌な流れを抑え切り、失点0で後半を迎えられたことが大きかった。 

 後半の頭はいつもようにトッテナムがギアを上げるような入り。これはここ数試合一緒である。そんな中で迎えた48分、ホイビュアがセカンドボールを回収すると、ソンからのパスをバイタルで受けたヒルが内側に持ち込み左サイドに展開。走り込んできたペリシッチのクロスを最後はケインがファーサイドで合わせてトッテナムが先制する。

 直近の試合ではギアチェンジを狙った後半の頭で失点することが多かったトッテナムだったが、この試合は先制に成功。それも、前半から続いていたパレスのライン間が空いていた所でボールを受けたヒルが時間を作り、ペリシッチのオーバーラップまでの溜めを作れたのが大きかった。

 その5分後にはダイアーのロングボールにダイアゴナルの動きで受けようとしたドハティが潰されるも、セカンドボールを回収したケインが、サイドに開いたヒルとのワンツーからハーフスペースでボールを受けシュート。これがネットを揺らしトッテナムが後半の頭に2点目をあげる。

 このシーンも見ても分かるようにパレスの守備の脆さが伝わる。開いたヒルに対してウォードとシュルップの2枚が釣れたことで、ハーフスペースをケアする選手が居なかった。こうなったら、グエーイがスライドして埋めるべきなのだがそれも無かったため、ケインにフリーで打ち抜かれてしまっている。

 ある程度リードを広げられることで、この時間からトッテナムは塩漬けモードにシフト。ハイプレスで行くのでは無く、5-4-1のブロックを敷いてカウンターで攻勢に出るようになる。60分には、カウンターアタックでパレスゴールに襲いかかるが、オフサイドの判定となる。ただ、勝つ確率を上げるなら良い選択肢であると筆者は感じる。

 ボールを持ってもパレスの心が半ば折れ気味だったこともあり、ポゼッションは落ちついて出来ていた印象。また、より中途半端に前がかかりになっていたため、パレスの高いDFラインの背後にソンが抜け出す形も作れていた。

 68分には左サイドに流れたケインがキープをし、ゴール前にパスを送るとソンがシュートを打たずに折り返しを走り込んできたドハティが決めてゴール。この試合ザハを抑えるなど、攻守に渡って光っていたドハティが貴重な3点目を決めた。

 更にその4分後にはケインのロングボールに抜けたソンがグエーイとのポジション取りを制して、最後は相手GKとの1vs1を冷静に決めて4点目。後半の頭に決めた1点を皮切りに得点を重ねていった。

 試合はこのまま4-0でトッテナムが快勝。先制した試合は未だ負け無しが続いている。

雑感

 昨シーズン苦渋を味わったセルハースト・パークで勝ち点3を得ることに成功したトッテナム。「パレスがどうだったか」という内容ではあるものの、新年初勝利を手にすることが出来た。

 この試合は何と言ってもヒルの活躍だろう。パレスの4-2-3-1が間延びしていることも有り、ボールをライン間で受けては上手くキープして周りを活かすプレーが出来ていた。また3点目もヒルの動きだしに寄ってソンへのパスコースも生まれているのも忘れてはならない部分である。

 フィジカルの面では不安があるのは事実だし、それを売りにしているクルゼフスキには適わない部分があるものの、怪我人が続出した前線をヒルが救ってくれたのは大きかったと思う。

 そして今季からトッテナムに合流したサールも、この試合では長い時間プレー出来ていた。フィジカルコンタクトもプレミア水準のモノを持っているため、そこは正直驚いた点である。身体の入れ方が本当に上手い。また、保持でもボールを散らすことが出来るし楽しみな存在になりそうである。

 試合を通してみれば後半の頭でギアを上げるも失点という流れが多かっただけに、そこで得点を挙げられたのは大きかった。後半頭の10分が今後の試合でも鍵になって行くであろう。

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(編集者:川崎人)

 

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