FAカップ 4回戦
サウサンプトン vs アーセナル
セント・メリーズ・スタジアム
結果:1−0
サウサンプトン
24’ OG (ガブリエウ)
アーセナル
なし
FAカップ最多優勝を誇るアーセナル。ボクシングデーから調子を上げた彼ら。相対するサウサンプトンを破り、次のラウンドを駒を進めたかったが、セインツのハイプレスに苦しみ、奪われた虎の子の1点を守り抜かれて、最古の大会から姿を消した。では今回はなぜ、ハイプレスの回避ができなかったのか。そしてなぜ後半から一変して流れを掴めたのか。これを考えていこう。
スターティングメンバー
セインツのハイプレス
いつも通りサイドを圧縮してハイプレスを仕掛け続けたサウサンプトン。これにより、アーセナルを押し込み、満足に攻撃、はたまた前進を行わせなかった。ではサウサンプトンはどのようにハイプレスを仕掛けていたのだろうか。
まずサウサンプトンは4-2-2-2で守備を行う。だからSHが中に寄ることで、2CF、2SH、2CHで中央を確実に締める。この時のそれぞれのタスクが、
- CFはCBを牽制
- SBにはSHがプレス
- SHがプレスに出るとSBはSHをマーク
- CHは縦ズレでマーク
という大枠の決まりがある。
これがあるので、連動してハイプレスを仕掛けることができる。
このように、外のSBにパスが出るとその後ろのSBがSHを消しにいく。さらにCHを捕まえていたSHがSBに出るので、それをカバーするためにボールサイドCHが捕まえにいく。こうすることでボールサイドを圧縮していく。ここをさらに狭くしていくために、逆CHと逆SHも中央に寄っていく。こうすることで、ボールを回収してショートカウンターを仕掛けていくように設定されていた。
これで、奪い所はこのようになる。
上の図のように、サウサンプトンは主に3つの奪い所を設定していた。一番良いのが、アーセナルサイドの深い位置で奪えることだ。ここでボールを回収することでセインツは決勝点を奪うことができた。
2つ目の奪い所はCHかSHへのパスだ。ここで潰しにかかるため、そのこぼれ球を回収するため、奪った時にサポートを用意しておくために、サウサンプトンは極端に場所を狭くして人数を集めている。
そして3つ目の奪い所が、「ロングパス」だ。これは場所を圧縮するチームは苦手な逃げられ方なのだが、これもしっかりと対応できる。その理由は場所を圧縮していることで、アーセナルの選手を閉じ込めていること、これに伴い、ロングボールを受ける選手が孤立しているので、ボールを回収できるようになっている。
これでサウサンプトンはハイプレスとショートカウンターを完結させてアーセナルに圧力を加えていった。
-
ミドルブロックはどうなる?
もちろん全てが全て、ハイプレスを仕掛けるわけではない。
前進された場合は、ミドルブロックを作り出すことで前進を拒み、バックパスを選択させて、再び前の圧力を強めていく守備を行う。そのためにミドルブロックは以下のような守備を行う。
このように4−4−2のブロックを作り出すことで、ひたすら中央へのパスコースを消し、ボールの動きを外回りにさせる。こうするこで、幅を取る選手にボールが渡ると、牽制を行いながら場所を狭くして、バックパスを選択させる。これで、前進させずに再び前プレスを敢行していた。
バイタルが空く所以
この試合の前半。アーセナルはビルドアップ時にボールを奪われてしまうとバイタルエリアが空いてしまっているので、ピンチに陥ることが多かった。
もちろん、バイタルエリアが空いてしまうことには理由がある。
バイタルエリアが空いてしまう2つの原因があった。
- ウィリアンが下がってヘルプを行わないこと
- 2CHがバックライン付近に降りすぎること
この2つが原因として挙げられる。
仮にOMFがスミスロウならば、このヘルプを行うことで縦パスを引き出すことを行っただろう。元々サイドのプレーヤーかつキャラクターの違いがあるので、できる限り前でボールを受けたいと思うのがウィリアンだ。高い位置でボールを受けれれば、違いを作り出せる選手だ。だが、この試合ではその特徴が裏目に出てしまっていた。
さらに、ジャカとエルネニーがサウサンプトンの圧力により、バックライン付近まで降りてビルドアップを行うことが多くなっていた。
これによりバイタルエリア(白のエリア)に人がいなくなり、サウサンプトンに奪われてそのエリアを使われることでピンチに陥っていた。
さらに、これにより上手く前進できなくなっていた。
後半アーセナルが上手くいった理由
前半、苦しんだアーセナル。アルテタ監督は修正を加え、見事に流れを引き寄せた。(逆転できなかったが…)ではどのような修正を加えたのだろうか。
このようにアルテタ監督は3つの修正を加える。
- SH(ぺぺ)が中に入ること
- ウィリアンとマルティネッリが入れ替わること
- CHがなるべく中央に残ること
この3つの修正を加える。これを行ったことで、アーセナルは中央への縦パスを入れ込めるようになっていた。これができるようになった理由はCHが中央に残ることで、CHを「その場所」に止めパスコースを作り出せたからだ。さらに、SHが中に入ったことで孤立する状態を解消。これでアーセナルはこれでサウサンプトンのハイプレスを回避し、徐々に押し込んでいった。
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確実にするトーマス投入
流れを確実にするために、エルネニーに替えてトーマスを投入。この投入で、アーセナルは『間延び』を解消。さらに、トーマスが場所に残ることができ、技術もあるので、前進も簡単になる。守備に関しては中盤で潰せるので、カウンターを未然に防ぐことができていた。
改めてトーマスがワールドクラスということが確認できた一戦だった。
敗因は回避方法
敗因は確実に見つからなかった回避方法だろう。前半にハイプレスの圧力に屈してしまい、失点を喫してしまった。間延びを起こしてしまい、バイタルがガラ空きの状態になり、苦しい状況に陥った。だが、それでもハーフタイムでしっかりと的確な修正を行うことで、流れを引き寄せた。残念ながら逆転することができなかったが、駆け引きと思惑の見れた面白い試合だった。再びリーグ戦で相見える両者。果たして次はどのような戦いになるのか。とても楽しみだ。
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